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転職した理由・しなかった理由(全5記事)

転職してわかった理想の働き方と“前の職場の違和感” ログミーBusiness読者に聞いたリアルな転職ストーリー

ログミーBusinessでは「転職した理由・しなかった理由」をテーマに読者アンケートを行いました。その特集の続編として、アンケートの回答者に追加インタビューを実施。転職を決めた背景やキャリア観についてさらに深掘りました。

あわせて、転職が当たり前になりつつある現代において、マネジメント層はどのように組織運営やキャリア支援を行うべきかについてもお話をうかがっています。

今回は出版・広告業界で働く、くろむ氏のインタビューをお届けします。「不満がある状態ではポテンシャルは上がらない」という実感を持つくろむ氏は、チームの連帯感と明確な役割分担を重視し、前職での過酷な環境で培ったタスク処理能力とコンサル視点を現在の仕事に活かしています。組織と個人、両方の視点から自分に合った働き方を追求してきたくろむ氏の経験には、納得感のあるキャリア選択を実現するためのヒントがありました。

前回の記事はこちら
今回インタビューしたログミーBusiness読者
くろむ氏 (出版・広告業界 30代)

転職で、自分が求める働き方がわかった

——アンケートでは、転職によって「自分に向いている仕事や、やりたい仕事が明確になった」と書いていただきました。それを実感した具体的な業務や瞬間を教えてください。

くろむ氏(以下、くろむ):誰と・どういうふうに仕事しているかがわかった時に感じました。

私の場合は組織・チームのサポートと、個人の仕事と役割の2軸を大切にしていたので、転職でチームと個人の役割やフォロー体制が明確な環境で実務に就いた時は、チームの連帯感とやり甲斐、明確な目的や目標が持てました。

前職(コンサル兼制作)でもチームはありましたが、1案件限りの即席チームで、それぞれの役割を個々が完結し、必要な業務連携を取ることが目的だったので連帯感はほぼなく、助け合いもありませんでした。そのため、今は非常にモチベーション高く仕事ができています。

前職での不満から身に付けた3つのスキル

——前職での不満があったからこそ得られた学びや、現在活かせているスキル・考え方があれば教えてください。

くろむ:大きくわけると3つあります。

1つ目は、まず何より「不満がある状態ではポテンシャルは上がらない」ということの体感です。自分と同様の境遇の社員に対しても、(業務の)改善・向上を一緒に高い解像度で考えられるのは大切だと感じています。

2つ目は、コンサルティング×実務視点での思考力です。

前職のコンサル兼制作会社では1人が幅広い業務を担っていたので、経営者/執行・実務(末端)者の視点の両方を踏まえた思考ができるようになりました。このことは今の業務に活かせています。

3つ目は、タスク整理・処理能力です。

前職は日中の半分以上が打ち合わせで、日々残業、帰宅後や休みの日も仕事という生活でした。その甲斐もあってか、タスク作成と優先順位の整理、他者へわり振り方が身につき、円滑に仕事ができています。

管理職と部下との距離感が重要

——マネジメント層に向けたアドバイスとして、制度改革が難しい現場で、部下との関係性をよくするために、日常のマネジメント行動でできる工夫があるとすれば何でしょうか?

くろむ:マネジメントの役割と、部下との関係性の明確化かなと思います。

マネージャーという役職に就く時、部下に役割を説明することがなく、周囲もイメージで捉えることが多い気がします。それも相まって、部下からは(距離感が)遠い、関係が薄い印象を持たれ、フォローや評価への疑念が生まれるのかも……と感じる時があります。

部下には自身の立場や役割を伝えつつ、いち個人としても仕事仲間としても、評価する立場としても、「あなたを見ている。理解しようとしている」ことを伝え、正直な評価も伝える誠実さがあるといいのではないでしょうか。

立場や役割を明確にしておくことは、理不尽な要求への対応や、やむを得ない時に部下に(意見を)落とし込む際にも使えるところがあります。

不満を持つ部下とのコミュニケーションの例

——アンケートではマネジメント層へのアドバイスとして、「給与・制度の整備が前提」と書いていただきました。給与や評価制度に不満を抱えるメンバーに対して、上司ができる対応は何でしょうか。

くろむ:不満を具体的に聞き、一定の理解を示しながらガス抜きをしつつ、“組織内での相対的な評価”と”あまり意味のない比較をしない“ことを説明したいです。

経験としてこの手の不満は、どうにもならない組織への不満と自身と他者の比較に起因するケースが多かったので、前者はそうそう変わらないことを諭しつつ、後者についても“人ごとに求められる役割や評価されるポイントが違う”ことを説明しておきたいです。

その上で給与や待遇をあげるためのアドバイスやヒントを与え、正当に評価があがる方向へ持っていけたらベストですね。そこまで行かなくても、悩みや不満を受け止めてくれる上司だという理解を得ることが大切だと思います。

転職の前にしておきたい準備

——転職を意識している読者に向けて、現職を続けながらでも実行可能な準備があれば教えてください。

くろむ:優先順位の1つ目は、転職理由の言語化です。

“なんとなく◯◯”のようなものでなく、理由や希望を具体的に言語化することです。それによって自身の転職という選択への納得もできる上、転職活動の書類作成・面接に役立つ&筋の通った回答ができる。主観と客観で見直すのも説得・納得感が得られます。

2つ目が、転職条件の言語化です。

転職理由の言語化を進めていれば自ずと見えてくるので、ある種のセットです。これも納得感と今後の活動の軸として言語化しておくと、ブレなくてよい。

最後が、早期転職ができなかった際の計画です。

転職活動が長引く場合を踏まえて、(資金など)手元に何がどのくらいの必要か、ざっくりでもまとめておくと、転職活動に余裕が持てたり、逆に勢いがついたり、尻に火がつくと思います。

——転職理由を言語化することは、マネジメント層が社員の本音を理解し、後々の職場環境の改善にもつながりますね。くろむさん、貴重なお話をありがとうございました!


くろむ氏のケースでは、チームの連帯感と明確な役割分担を求めて転職を決断しました。組織への不満を抱えたまま働く社員のポテンシャルを引き出すためにも、マネジメント層が自身の役割を明確に伝え、誠実なコミュニケーションで信頼関係を築くことが求められているのではないでしょうか。

このほかにもログミーBusinessでは、マネジメントキャリア形成に役立つ記事を多数ご用意しています。転職する人もしない人も、納得できるキャリアを設計するためのヒントとして、ぜひご活用ください。

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