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伝統の未来化 - 銭湯から学ぶ文化継承の新しいかたち(全4記事)

15時間労働、ロビー寝泊まりから這い上がった2年間 「のれんを掛けて待つ時代は終わった」地道な営業が生んだV字回復 [2/2]

メディア戦略が功を奏す「24歳・京都・銭湯復活」のキーワード

藤井:それで言うと銭湯そのものを知らないというか、入ったことがないみたいな人ももちろんいると思うんですけど。そういう人たちに対して「銭湯いいよ」「銭湯に来るとおもしろいよ」みたいなのも含めて、どういう言葉でアピールしたんですか?

湊:自分の手段としては、本当にこういうメディアに出ることが一番の手段でした。当時そういうちょっと打算的なところもあって、24歳で京都、銭湯復活、まちづくりとか、いろいろなキーワード的に「どの角度からでも取材的においしいだろう」と思っていました(笑)。

最初、間違いなく取材が来るのはわかっていたんですよ。ただこれも3ヶ月くらいで収まると思っていて、実際にオープンする前からテレビの取材があったりとか、オープンしてからもいろいろな媒体で取り上げられて。

それが3ヶ月くらいでなくなるかなと思ったら、取材が取材を呼ぶスパイラルにはまって、ずっと何かしらの取材があるんですよ。そうしたら『ザ・ノンフィクション』というドキュメンタリー番組とかにも出たり。

そういうのがずっと続いて、けっこう取材もしんどいんですけど、ひたすら出続けて。そうすると見た人が来たりとかして。

あとは、あの時は今みたいな店作りができていなかったですけど、なるべく初めて来た人たちが使いやすいように、昔ながらの銭湯でちょっとクローズしたような場所じゃないよというところを、改善しつつやっていました。


2年目に転機、朝風呂開始と営業時間延長で客数倍増

藤井:それが実ったというか、(お客さんが)増えてきたなって感じたのは、やって何年ぐらいでしたか?

湊:でも2年くらいですかね。1年目はほとんど集客の動きがなくて、だいたい1日のお客さんの平均が80人前後くらいというのが最初の1年目だったんです。

当初は1日100人は平均で入れなきゃいけないという目標だったんですけど、ぜんぜん。100人いくのが月に1、2回とか。「これを毎日は無理でしょ」という感じだったので(笑)、ほぼ1年間現状維持みたいな感じでした。

でもいろいろなものが改善されていったりはしていて、それでも「ここから伸びていくことがあんまり想像できないな」って、経験値的に感じていました。

それで「朝風呂をちょっと始めてみよう」と。朝風呂を始めたらちょっと平均値が上がって、やり始めてみたら夜の時間も入り始めて朝も増えてきました。そうしたら、ほとんど自分でやっていたところを一部だけバイトを雇ってやり始めて。

で、自分の時間ができて、ドンドンやっていったらドンドン増えていって「じゃあもう営業時間伸ばそう」で、2時〜2時。午後の2時から深夜2時まで。朝風呂も土日朝6時からやっていて、そこからドンドン増えていきました。

経費も、そのぶん人件費が高くついて、けっこう賭けだったんですけど、その2時〜2時のシフトに自分が入ると良くないので、全部なるべくバイトで回そうと。で、そのかかる人件費を考えると、今の利益がほぼ吹き飛ぶという(笑)。

だけど、もう突っ込んでみようというので突っ込んで、それがうまく回って、早いうちに定着して、そこからドンドン増えていきました。
 
藤井:深夜2時までやっているのって、当時としては珍しかったんですか。

湊:京都市内ですと北区のほうに深夜1時以降までやっているところが何軒かありました。僕もだから昔、深夜3時までやっているところがあって、梅湯の風呂掃除が終わったら車でそちらの風呂に入りに行くという。

そしたらけっこうお客さんが入っていて、そこの店主の方としゃべっていたら「けっこう滋賀とか京都の南のほうから来るんやで」って言っていて。京都の南のほうにはそんな遅くまでやっているところはないので、じゃあもう南で2時までやったらマーケットを取れるのかなって(笑)。

でも単純に自分自身が深夜開いているのはありがたいと思っていたので、それでやってみようというので踏み切りました。

藤井:そういういろいろな工夫をして、時間も工夫していろいろ回り始めて、サウナの梅湯さんはうまくいったんですね。

(次回へつづく)

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