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泉澤恵一朗氏インタビュー(全1記事)

「映える会社かどうか」を重視するZ世代 優秀な若者が辞めない会社・上司のルール

【3行要約】
・西日本ベンチャー100に選出された泉澤恵一朗氏によると、Z世代は「映える会社」を求め、不透明な評価や年功序列を嫌う傾向があります。
・泉澤氏は、Z世代に特化した人材紹介事業を展開し、若手の採用・育成に成功。
・Z世代の定着には、明確な評価制度と成長ビジョンの提示、失敗を恐れず任せきる姿勢が重要だと語ります。

朝6時に出社、最後の1人になるまで残業するも営業成績0だった…

——27歳という若さで2022年、2023年に西日本ベンチャー100に選出されるなど、若手経営者としての実績を上げられている泉澤さんですが、10代は高校を3ヶ月で中退、土木作業員として働かれていたとのことです。

その後大学を卒業し、パーソルキャリア株式会社(旧インテリジェンス)に入社。法人営業の部署に配属されるも、新卒1年間は営業成績が0円だったとうかがいました。当時は、どんな働き方をされていましたか?

泉澤恵一朗氏(以下、泉澤):当時は誰よりも早く出社して、朝6時台とかにオフィスに着いて、夜は最後まで残るというのを、ほぼ1年間毎日やっていました。それほどめちゃくちゃがんばっているのに営業成績が上がらなくて。

今思い返してみると、マネージャーに教えてもらうのでもなく自分のやり方で行動量だけを追ったり、商談はするけど受注できないとか。「行動量だけやればOK」みたいになっていて、お客さんのことをまったく考えられていなかったですね。

どん底からたった1年でトップセールスに

——そういった挫折もあって、1年目で退職交渉をされたとのことですが、その後営業成績0から1年でトップセールスになられたんですね。

泉澤:そうですね。退職交渉した時に、当時のマネージャーがとても良い人で、「全国MVPの人をメンターに付けるから、ゼロ計上で辞めるな」って言われたんです。「成果ゼロの状態で辞めるのは社会人として恥ずかしいから、もうちょっと成果を上げてから辞めろや」という話をされて。

そこで「もう1回がんばります」となって、自分の上長とその上のマネージャーと、さらにそのメンターという3人がかりで育成してもらいました。その結果、退職交渉して3〜4ヶ月で成果がグッと上がったんです。そこからずっと8ヶ月間、(売上目標を)120パーセント達成して、途中で大手企業の花形の部署に異動になりました。


——自分のやり方だけでやっていたところから、できる人のやり方を取り入れたことで、うまくいくようになったんですね。この後に23歳で起業され、26歳でZ世代に特化した採用支援や転職支援の人材紹介の事業を始められたんですね。

泉澤:初めの1年間は採用代行をやっていて、2年目のタイミングで転職エージェント事業を始めました。そこからZ世代の採用・転職支援に特化していきました。

「若手起業家」の肩書きに集まってくる大人たち

——ここでZ世代に特化した人材紹介の事業を選んだのはなぜですか?

泉澤:前職で経験したキャリア領域しかわからなかったというのと、シンプルにキャリア面談とかも、自分と同い年くらいしかわからないなと思ったからです。30代以降の方からしたら、「お前に何がわかんねん」って思われるはずなので。だから、全部できること、やれることベースで起業しています。

——2025年現在、過去最高売上ということで、若くして起業し経営者としてやってきた中で、どんな困難がありましたか?

泉澤:フェーズによっていろいろな苦労がありますが、創業期は、明日食べるものがないというお金がなさ過ぎる問題と、ひたすら目の前のことをやらないといけないので。しんどかったけど楽しかったですね。

2、3年目以降は、そうしたほうがグロースが早いと採用要件も無しに、いろんな人を巻き込んで大失敗。若くて勢いがあるというだけでいろんな人が寄ってきたりするので。ちゃんと意志を持って断るのが、若い起業家にとっては大事だと思います。僕自身も、そこからはアドバイザリーを入れ過ぎないというか、自分で勉強して乗り越えていくしかないと思うようになりました。

焦らず、1個ずつ着実にやっていくしかない。そのやり方を間違えたら大失敗するし、最終的に自分で尻を拭くしかなくなっちゃうので。

Z世代にとっては「映える」会社かどうかが大事

——ありがとうございます。ここからは、著書『Z世代はなぜすぐに辞めるのか? 優秀な若者が辞めない会社・上司のルール』の内容についておうかがいします。一般的に、Z世代はこれまでの世代とは異なる価値観を持っているとよく言われますが、泉澤さんから見てZ世代はどんな特徴があると思いますか?

泉澤:1つはめちゃくちゃマイペースで、主語が自分なんですね。2つ目は承認欲求が強い。3つ目はタイパ、コスパ意識強くて効率重視ということですね。

——Z世代に特化した採用支援をされていますが、Z世代が入りたい、勤め続けたいと思うのはどんな会社なのでしょうか?

泉澤:おもしろいことをやっている会社じゃないですかね。本でも書いたように、Z世代にとっては「映える」会社かどうかが大事なんです。新規事業とか、いろんなことをやっている会社はけっこう好まれます。反対に、ほかの企業とやっていることが一緒となると、「映え」要素としては少ないんですね。

「コーポレートサイトがない会社」は確実にマイナス

——他の会社と違うこと、新しいことを打ち出していくのが効果的なんですね。逆にZ世代が「イケていないな」って思う会社の特徴はありますか? 

泉澤:コーポレートサイトがないというのは確実にマイナスですね。あと評価が不透明だったり、年功序列な会社。「俺のほうが成果出してるのに、なんでこの人のほうが評価されるんだ」という不満を抱えた時に、SNSで周りと比べてしまう。

SNSで不満をつぶやいたら「転職したらええやん」と気軽に言われたりして、「確かに、この会社だけちゃうしな」と、3年以内に転職する人がかなり多いんですね。

Z世代は基本的に「不透明なもの」が嫌い

——SNSで成功している同年代を見て、焦って早急に転職してしまう人も多いのですね。Z世代社員に「この会社で働き続けたい」と思われるには、どう組織を変えていくのがよいでしょうか?

泉澤:さっき言った「映え」とか評価制度の見直しとかも、一つひとつやっていくことですよね。あとはこれからの事業について「こういうのを展開していこうと思っています」というのを、トップが全社的に話していくのも大事です。

Z世代は基本的に不透明なものが嫌いなんですよ。会社がどこへ向かっているのか、どこを目指しているのかという、目的とか正解を知りたがる傾向があるんです。Z世代は、学生時代からコロナとか「どうしたらええかわからへん」っていう不透明な経験が多かったので、目標やゴールを提示してあげると安心して走り出せるんです。

なのでうちも、「何をやれば、(年収)1,000万円いける」みたいなワークフローも引いています。

Z世代を飲みに誘うのは「1ヶ月前」がマナー

——「ここまでできたら昇給できる」というラインをしっかり決めているんですね。泉澤さんの会社では飲み会やスポーツ大会、社員旅行をするということで、社内全体でプライベートでも積極的にコミュニケーションをとっているとうかがいました。Z世代は仕事とプライベートを分けるイメージがありますが、どんなふうにコミュニケーションをとるのがよいでしょうか?

泉澤:そうですね。Z世代は別に飲み会は嫌いじゃないんですよ。ただ、飲みに誘うのは1ヶ月前がマナーです。みんな基本的に毎日予定を入れているし、マイペースだから自分の予定が崩れるのが嫌なんですよね。

あとは飲み会の幹事はZ世代に任せてしまえばいいと思います。承認欲求が強いので、仕事を任せてもらうことや、褒められることで喜びを感じるんです。

失敗してもいいから仕事を“任せきる”

——泉澤さんの会社では、どんなふうに仕事を任せているんですか?

泉澤:「こういうプロジェクトを推進してくれる人?」と聞いて、みんな手を挙げてきてくれる感じです。もちろんやってみてできなかったり、向いていないこともあると思いますが、「やってみたけど失敗した」というのは別にOKとしています。

——やってみてできなさそうだと思ったら、上司が巻き取ったり、ほかの担当者に変えるんですか?

泉澤:いや、それはなしですね。基本的に失敗させます。もちろん任せるほうも怖さはありますが、そういう修羅場をくぐらんと人間力が上がらないので。そこに対しての失敗は、別に何かとがめることはないので。「やりたいって手を挙げたんやったら、最後までやってね」と渡しています。

——積極的に手をあげてくれるのはすごいですね。どうしたら、そんなふうに社員のやる気をアップさせられるのでしょうか。

泉澤:もちろん昇進・昇格とか、定性面もうちはしっかり評価しているので、そういうのをやればやるほど評価するというところですね。あとふだんから「能力が伸びれば伸びるほど自分に還元されるよね」という話もしています。

採用では、人生でどんなことを重視しているかや、仕事の重要度の比重を測っていて、よりスキルアップしたいという人を採用しています。うちはそういった採用基準や人材の要件も明確なので、最近はAI面接を導入しようかなと検討しているところです。

——採用時に「人生で何を大事にしているのか?」というところを見極めることで、入社後のギャップが起きないようにしているんですね。泉澤さん、ありがとうございました。

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