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堀内都喜子氏インタビュー(全3記事)

休みが取りにくい職場の“制度と空気”の課題 フィンランドに学ぶ、ワークライフバランス改善の第一歩

【3行要約】
・ワークライフバランスが優れた働き方で知られる国、フィンランドを長年取材されているライター、翻訳家の堀内都喜子氏に、日本における持続可能な働き方のヒントを聞きました。
・堀内氏によれば、フィンランドでは「お互いさま」の意識と休暇を前提とした業務設計により、長期休暇が実現されています。
・日本企業でも定時を守る習慣や業務の属人化防止、心理的安全性の確保などの小さな工夫から、休暇を取りやすい職場文化を作る第一歩ではないかと提言します。

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4週間の夏休みは当たり前の文化

——フィンランド流の働き方といえば、有休や長期休暇の取りやすさも有名です。

堀内都喜子氏(以下、堀内):フィンランドはきっちり有休を取りますし、夏休みも長いです。それは日本人がフィンランド企業と仕事をしていて難しいところかもしれないですね。フィンランドはみなさん平気で夏休みを4週間取りますから。その4週間は、(取引先が)いないわけですよ。

——(笑)。

堀内:その間はどうにもできないので、そこは日本人が慣れないといけないところではありますね。

休みを取る時も、(社員同士で)できるだけ被って取らないようにするのは最低限やっています。だから、もうこの時期(1月後半)から夏休みの予定を組み立て始めるんですよ(笑)。誰が最初に希望のところを取るかは、内部で微妙に、こう……。

——そこは社内政治が(笑)。

堀内:すり合わせをやって(笑)。でも、それがあるおかげで夏休みも4週間休める。メールでも「○月×日まで私はいません。代わりに緊急のことがあったらこの人に連絡してください」という自動返信の設定もやっておきますし、事前に取引先の人とかに「○月はいません」という感じで伝えます。

育休とか夏休みは、ある程度は前もって計画できることではあるので(むしろ)やりやすいかなと思いますね。それってお互いさまなんですよ。自分も休むし、代わりになってくれる人もその分を休むという。

“休暇を取るのはお互いさま”という意識が休みやすさを生む

堀内:休暇を取ると心苦しいところもあるじゃないですか。だけど、そうやってお互いに取っていれば取りやすくなります。それってすごく大事で。今の時代は介護とかもあって誰もが休む可能性はあるわけですよね。

——確かに。休みは発生するものだという前提に立つ。

堀内:その雰囲気だと思うんですよ。以前、とある大手フィンランド企業の日本支社にいた人に聞いた話なのですが、(フィンランド本社と)同じように休みを取っていいのに、みなさんが取らないから休めない雰囲気がすごくあったそうです。

——へえ。支社の制度的には取っていいわけですよね。

堀内:いいんですよ。空気って大きくて。取っていいのに取りづらい、「取らないのが前提」みたいな感じの空気があったそうです。でも、その後にフィンランド本社に行ったら周りが当たり前のように取っていくから「じゃあ、自分も取らないと損だな」と思って取りやすくなったと言っていたんです。日本支社も決して日本人だけではないんですけども、そういう雰囲気がすごくあったと言っていましたね。

あと、佐賀県庁の人から聞いたんですけど、今、県庁はすごく男性の育休を推奨していて、もう取るのを当たり前にしたらしいんですよ。逆に取らない場合は理由を管理職が人事に説明しないといけないようにしたんですね。そうしたら取得率が一気に伸びたそうです。

だから、発想の転換も必要だとは思います。それは個人でできることじゃなくて、休んでも大丈夫な組織を作っておく(ことが大切)ということですよね。

働き方改革は組織と設計から考える

——さすがに日本企業では夏休みの長期取得などは難しいかと思うんですけども、フィンランド流の働き方を取り入れる小さなアクションを挙げていただくとしたら、どういったものになりますか。

堀内:例えば、定時を極力守る方向でやってみるというのは1つ。日本でも産休・育休を取った後とか、育児中の人とかって時短勤務してたりしても意外に効率良く働いてて、本当に成果を出している人もたくさんいると思うんですよね。

終わりを決めれば、強制的に優先順位をつけてやらないといけなくなります。なんとなくダラダラとやってしまう部分も、なきにしもあらずですよね。そういうところをみなさんで徹底していけば、できるようになるんじゃないかなと思います。

あとは、長期休みもみんなが取れば怖くないというのがあると思うので(笑)。

——確かに。日本人は余計にそうかもしれないですね。

堀内:そうですね。できるだけやってみることが大事です。ただ「絶対これをやれば」というものはなくて、職種や会社の文化によっていろいろと違ってもいいと思います。

だから「これが無駄なんじゃないか」「これ、もうちょっと改善できるんじゃないか」というのを言いやすい雰囲気を作るのがやっぱり大事だと思うんですよ。

よく心理的安全性とか言いますけど、職場で率直に提案とか、話し合いをしていく。「これって本当に必要なの?」とか「これ、すごく徒労感があるんだけど」というのをできるだけなくしていくのが大事だと思いますね。

心理的安全性とコミュニケーションの工夫

——フィンランドの管理職の方が行っている、周囲が意見を言いやすくする工夫はありますか。

堀内:それは職場を挙げて力を入れています。(例えば)年に何回か、業務改善のための話し合いを設けています。言いづらいものは少人数のグループを作ったり、テーマを決めて話したり、良いと思ったものは、とりあえずみなさんでやってみる、とか。

「効果がないなと思えばやめればいい」という感じで、けっこう気軽にやっています。私の知り合いの職場とかでも、みなさんで歩いてミーティングをしてみようとか(笑)。

あとオンライン会議も45分で絶対終わらせて、45分1コマにするとか。それを超えないようにして、残りの15分に次のための準備ができるようにする、とか。とにかくみんなで共通認識をもち、誰もが提案していくことが大事だと思います。だから、絶対にこれだけはやってくださいというものはないけれども、意見を言いやすい仕組みを作っていくことは大切ですね。

休むことを前提にした仕事の組み立てが重要

——フィンランド流の働き方から学べる、ワークライフバランス改善につながるような工夫はありますか。

堀内:フィンランドでは、常に誰かが休むことを前提にして仕事を組み立てています。それは夏休みかもしれないし、育休かもしれないし、急に家族の具合が悪くなったのかもしれない。何があっても最低限は回っていくようにしていかないといけないんです。

だから、仕事が属人化するのは避けないといけません。例え誰かが休んだとしても(仕事が)回るように、代わりに誰がその仕事ができるのかを明確化しておく。

仕事内容をある程度は把握しておいて、今進行中のことや、ふだんどんなふうに仕事をしているかをお互いに共有しておくんです。常日頃シェアする必要はないですけれども、データベースにアクセスできるようにしておくとか。

ただ、言っても忘れちゃうこともあるので(笑)。ある程度は文章化しておくとか、わかるようにしておくのは大事ですよね。

自らからスキルを学ぶ姿勢が大前提の働き方

——業務をシェアする上では、メンバーのスキルの差もあると思います。その点はどのように対処しているのでしょうか。

堀内:フィンランドでは、できるだけ教え合ってスキルを伸ばしていこうというところはありますね。あとは自己研鑽。仕事に必要だと思えば、職場が「じゃあ、この部分は就業時間中に勉強していいですよ」と支援したりもするんです。研修で学んでいくこともありますし。ただ、お互いから学ぶことが大前提ではありますよね。

——確かに、業務をシェアすること自体が新しい視点の発見にもなりそうですね。

堀内:そうですね。あとは、フィンランドの場合は上層部が自動的に昇進させるというよりも、「もっとお給料をもらいたい」とか「上の立場にいきたい」と思ったら、自分でアピールしていくことが必要なんですよね。

——日本でいう「辞令 ○○課に異動」みたいな感じではない、と。

堀内:そうそう。自分でキャリアを作っていかないといけない。だから、必要だと思えば(スキルアップのための努力を)やらざるを得ないところはありますね。

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