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小室淑恵氏インタビュー(全3記事)

部下の「成長したいからもっと働きたい」発言は危険信号 「よく残業する上司」の前だけでされる部下の行動 [2/2]

ビジネス人生の85パーセントは長時間労働できない

——より深掘りしておうかがいしますが、成長を生むハードワークと、人生を削る働きすぎの一番大きな違いはどこにあるのでしょうか。

小室:人生で長時間労働ができる時期というのは、ビジネス人生の中のたった15パーセントしかありません。今20代ぐらいの方たちは親と自分の年齢が離れているので、子どもの育児が一段落する頃にはもう親の介護が始まってしまいます。

私たち50代ぐらいの人間は、その間に長時間労働し放題の時期が挟まる世代でしたが、今の20〜30代の方たちにはその時期がないまま親の介護が始まるのです。

男性も、育休取得や子どもの受験、不登校などで、お子さんが小学校3・4年生ぐらいから、未就学児の保育時期よりも難しい子育て問題に直面します。そんなビジネスパーソンの人生をイメージした時に、上司として考えるべきことがあります。

 目の前の部下が自分の部下でいる数年の時期だけ長時間かけて成果を出してくれればいい、と考えるならば、本人の「長時間労働をしたい」という言葉に乗っかって仕事をさせることもできます。

しかし、上司としてぜひ考えていただきたいのは、その人の残り85パーセントの時期です。今、時間外労働を前提で仕事のやり方を覚えた場合、残り85パーセントの時期をどう過ごしていくのか。それを考えて、今の仕事のやり方を教えてあげることが重要です。

残りの85パーセントの時期に時間外労働という武器を奪われると、「こんなの本来の自分じゃない」「残業できない自分が成長なんてできるわけない」と悲壮感を抱いたり、「自分は周囲にお荷物な存在なんだ」と考えたりします。自分が成長できないサイクルに入っているのは、愛するはずの子どもや親のせいだ、と育児や介護に、必要以上に辛い感情を抱きながら仕事を続けることになるのです。

時間以外のリソースを使い切らせ、持続可能な働き方を教える

——ビジネス人生において、「時間外労働ができない時期が当然ある」ということを前提に働き方を考える必要があるんですね。

小室:そうですね。ではどういう状態であればよいのかというと、本人が残り85パーセントの時期も成長し続けられるような仕事の進め方のスキルを身につけながら成果を出す、そのスタイルを身につけてもらうことです。時間以外のリソースを徹底的に自分で使いこなすのです。例えば、AIの使いこなし方を自己研鑽の中で徹底的に投資したり、業務の中で経験を積ませたりします。

完璧主義で、後輩に仕事を任せずに自分で最初から最後まで作るタイプの人がいます。そういう人には「あなたは必ず資料の中身の重要な部分を作ったら、最後の体裁を整える部分は後輩に渡しなさい」と指導します。完璧主義のその人にとってはとても嫌なことですが、「それがあなたが今後85パーセントの時期も、プレゼンに間に合わせながら重要な内容を考え、資料を仕上げていく連携の仕方なんだよ」と教えてあげるのです。

アジェンダ出しをAIに投げて3分で戻してもらい、自分が必要な内容を入れたら後輩に渡して体裁を作ってもらう。そうすると、自分で2日ぐらいかけていたものが3時間ぐらいでできます。こういう仕事の仕方が、あなたが残り85パーセントの時期も成長を続けられるスキルだよ、と。

本人には慣れない仕事の仕方ですし、こだわりとの戦いなので、ほっといたらそうはなりませんが、きちっとアドバイスをして、持続可能で再現可能な仕事の仕方に持っていくのは必要な投資かなと思います。

AI時代は「量をこなす」より「学び続ける余白」が重要

——20代で自分に使える時間がたくさんある方だと、できる限りの時間を仕事に使って成長したいと考える方も多いと思いますが、長期的な視点で、短時間で成果を上げるやり方を身につけておく必要があるんですね。

小室:はい。というのも、私たち50代ぐらいの世代では、20代の頃に何回も同じ仕事をやることで身についたスキルがあったんですね。脳みそが瞬時にコンピューターのように答えを出せるまで、反復して案件をこなすことが重要だったんです。

私も新卒で入社した資生堂の営業時代に、マスカラの商品番号を12桁全部覚えていたりしました(笑)。でも、それは今、まったく覚える必要がないんですね。機械にバーコードを読み込ませれば一瞬で出てきますから。

今は、時間外労働ができる時期にめちゃくちゃ長時間労働したからといって、情報の変化が早い現代に、その後40年ずっと使えるスキルは1つもないですよね。誰もが3年ぐらいでスキルが切り替わっていってしまう。こういう時代では、時間外労働ができる時期にがむしゃらに何かをやるのではなく、その後の40年も常に学び続けることが重要です。

AIも、覚えたと思ったら次のAIが出てきますよね。ですから、完璧じゃなくていいから学び続けることが重要。時間内で仕事を終えて、学びのための余白を常に持っておく。興味を持ったものを学び続ける人のほうが、85パーセントの時期も含めてずっと活躍できると思います。

——長時間労働ではなく、勉強に時間を使うことが将来への投資になるということですね。

小室:まさにそうだと思います。

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