【3行要約】 ・キャリアビジョンを問われる「Willハラスメント」に悩む若手ビジネスパーソンは多く、「やりたいことがない」という悩みが深刻化しています。
・ポジウィル株式会社 代表取締役の金井芽衣氏は「目標は忘れないこと」が重要で、まずはできるだけ短期間で実現できる行動に落とし込むことが重要だと語ります。
・転職を考える際も「仕事は手段」という視点を持ち、人生で大切にしたいものを軸に選択することで、本当に自分が求めるキャリアが見えてくると提言します。
前回の記事はこちら 上司に「あなたのWillは?」と聞き返していた
——先ほどは「まずはCANを増やそう」というお話でしたが、続いてはWillにつながる目標設定についてお話を伺えればと思います。
自分のWillがわからず、上司との1on1をWillハラスメントのように感じて悩んでいる方もいると思います。そんな方は1on1の際、どう対処すればよいでしょうか?
金井芽衣氏(以下、金井):私はちょっと性格がひねくれているので「そんなに言ってくるなら、あなたのWillはなんですか?」って聞きますよ。
(一同笑)
金井:前職の時はそれこそ面談で「Willはあるのか」と聞かれることもありました。上司に「じゃあ、あなたのWillは何ですか」と聞き返すと、けっこう適当なことを言われることもあったんですよ。だから私は「もっと考えたほうがいいんじゃないですか?」って言っていました。
「(私が)納得できる答えを言えるんですか? 言えないでしょう! だったら考えてください」って。生意気だったので(笑)。
だから、そもそも「Willがなきゃいけないんですか?」と思いますし、それよりも目標があるかないかが最低限な気がします。
自分起点だった目標が変わっていった
——大きなWillよりも前に、その手前ですね。
金井:はい。例えば私、社会人2年目の24~25歳ぐらいまでは「『芽衣さんみたいになりたい』って思われるような人になりたい」って言っていたんですよ。
——いわゆるロールモデルになりたかった。
金井:そうです、そうです。それを自分のWill・Can・Mustを掲げて置いていた時に、後輩にも何人かそう言ってくれる人が出てきて、達成してきたなって思ったんです。
でも、それって結局は「自分に憧れてほしい」っていう、ただの自分起点の感情だったんですよ。それがだんだん恥ずかしくなって。そうじゃなくて、お客さんが求めている価値をどこまで提供できるとか、期待を超えるような仕事をするだとか。そうやって目標が変わっていったんですよね。
「すごいって言われたい」からの脱却
——目標が変わってWillになっていったっていうところを、もうちょっと具体的におうかがいできますか。
金井:段階的なものだと思っていて。まずレベル1は「自分がすごいって言われたい」みたいな。レベル2は、「お客さんからちゃんと感謝されて『あなたが担当で良かった』って言われたい」。レベル3でいくと、「自分が育てたメンバーがちゃんと目標を達成してMVPを取ってほしい」。
そこからさらに上がって、レベル4では「事業部の中で100人~200人を巻き込んで、自分で始めたプロジェクトを推進して成功させたい」。みたいな感じで、どんどん変わっていったんですよね。
——お話を聞いていると、内向きだった視点がどんどん外部に向かっていますね。
金井:そうですね。自分の欲がどこに向いているかと、その規模がどう拡大しているかはけっこう大事な気がします。巻き込める人数が増えていけば増えていくほど、横軸(自分のやりたいこと)も伸びて、縦軸(目標の規模)も上がっていくイメージですかね。そうやって、どんどんWillに変わっていった感じでした。
目標は短い期間でできる行動に落とし込む
——視点を変えてみることが、Willを見つける第一歩になるかもしれないですね。とはいえ、目標を見つけるにしても、みなさん日々の業務で手一杯だと思うんです。そんな中で目標を見つけるためには、どのような考え方が有効でしょうか。
金井:ちょうど昨日、メンバーと話していて。その子は26歳なんですけど、「30歳になった時に、どういう状態になっていたいのか」を聞いたんです。その時に返ってきた答えが「それ、来年の目標じゃない?」というものだったんです。そのくらい、人って自然と自分に甘くなってしまうんですよね。
緊張感を持たないといけない目標を設定して、そのためにどんなスケジュールで何をやっていかなきゃいけないのかを落とし込まないと、ぬるくなるんです。
なので「叶ったらいいな」みたいな状態は、できるだけ短い期間で叶えられる目標に落とし込むことをおすすめします。
夢って遠いじゃないですか。私は野球に詳しくないですけど、大谷翔平さんって、大きな目標を現実的なステップに落とし込む力がすごいんだろうなと思っているんです。昔だったらメジャーリーグで二刀流として活躍して、MVPを受賞するなんて誰もが無理だと思った。でも、それを実現するために何をしたらいいのかを日々の行動ベースで落とし込んでいるんだと思うんです。