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金井芽衣氏インタビュー(全3記事)

キャリア選択を恋愛に例えてみると Willハラや転職の悩みを防ぐ“働き方の指針作り” [2/2]

いつの間にか“想像できなかった自分”になっていく

——大谷選手と言えば、彼が高校生の時に作った「マンダラチャート」が有名ですね。

金井:そうそう。結局、なぜ夢が叶わないかって、忘れるからなんですよ。その夢を夢で終わらせないで、目標にブレイクダウンして一歩一歩進めていけるかが大事な気がしますね。というか、夢を目標に落とし込めた時点でほとんど叶っているようなものだと思います。

——目標を忘れないようにする。でもこれって、意外とできていない方が多いですよね。

金井:私が20代の時は毎年、年初に決めた目標をケータイの待ち受け画面にしていました。

——へぇ〜、すごい。

金井:目標を達成したら潰していくんですけど、そうすると1年でやろうと思ったものが3ヶ月ぐらいで終わるんですよ。いや、本当に(笑)。不思議なもので、ふだんから見ていると覚えているっていう感じです。

会社を経営していて思いますけど、人を動かすほうが大変じゃないですか。自分で決めた目標を自分でやることって、めっちゃ簡単なんですよ。やるだけだから。ねぇ?

(一同笑)

たぶん、自分1人でできることをやるのが一番簡単なんです。そうやって始めるだけでも、ぜんぜん想像しえない自分になっていくと思いますね。

やりたいことがないから転職したいという悩み

——目標を見つけることが大事なんですね。そうすると、「今の会社でやりたいことがないから転職したい」という相談も多いのではないでしょうか?

金井:とても多いですね。

——転職において、Willや目標が明確でないまま放置してしまうとリスクになってしまうんでしょうか。

金井:リスクというか、転職を繰り返すようになってしまう人はけっこういる気がします。なので、現職でがんばったほうがいい人にはそう言いますし、実際に弊社のサービスを受けた結果、転職を止める方も多いです。「今の会社も別に悪くないんじゃないかな」って気がつくパターンですね。

例えば……彼氏と付き合っていて、別に欠点がたくさんあるわけじゃないけれど、ふと「本当にこの人と結婚していいのか?」と不安になってしまう人っていると思うんですよ。それで合コンに行ったりする中で(笑)、「いや、私の彼氏ってすごく良い人じゃないか!」と思って帰宅する、みたいなイメージです。

なので、自分の現状をちゃんと考えて転職活動をして、内定も出たんだけど、その上で今の会社の良い部分に気づいて思い直す人がけっこう多いです。

現状を細かく言語化できていない人が多い

——現職でやりがいとか、それこそWill的なものを見つける時にはどういったアドバイスをされていますか。

金井:(状況を)整理するんですよね。「どうして今の会社を辞めたいんだっけ」みたいな話とか、全部をメリット・デメリットで聞くようにしています。

今の会社の事業やサービスはどうか。組織やカルチャーはどうか。仕事内容はどうか、といった感じで、「何が辞めたい理由なのか」から軸を決めていくんですよ。

「なんとなく嫌だな」って思っていることを言語化していくと、ボトルネックになっているものがわかる。逆に、(嫌だと思っていたことが)実は大したことがなかったりもします。なので、そこはちゃんと整理しているとかわかる部分でもあるかもしれないですよね。

——ということは、あまり現状を細かく言語化できていない方が多い。

金井:いや、たくさんいますよ。

——勝手なイメージですけど、30代中盤とか後半くらいの方って、一定のキャリアがある分、迷われている方が多いのではないかなと感じます。

金井:いますね。30代後半になると、やりたいことがわからないというよりも、「どうしていったらいいかわからない」と相談される方がけっこう多いんですけど。

どんなライフスタイルを大切にしたいのか

——なるほど。そういった方がキャリアの軸を見つけるためには、どのような行動をすればいいのでしょうか。

金井:けっこう人によるんですけど、最近で言えば男女問わず、ライフステージで変わる方が多いですね。例えば男性の方で仕事が中心の生活だったけれど、結婚や育児をきっかけにして、「家族との時間を取れない会社でいいのか」とか。

私が支援した女性の方だと、めちゃくちゃ仕事ができる外資系企業の方がいました。転職活動をしても高額なオファーがたくさん出るような方です。高いオファーがもらえるって、本人からすれば期待されていてうれしいじゃないですか。

でもその方がなぜ相談に来たのかというと、4~5年ほど不妊治療をしていたんです。ライフワークバランスというか、子どもが欲しいんだけど、今の会社だとストレスがすごく強いし、入院も何度かしていると。

そこが原点だよねとなった時に、私は「高いオファーは期待の裏返しだから、1,000万円のオファーが出たとしたら、1,000万円分働かなきゃいけない」という話をしたんです。

「年収3,000万円の遊び人に口説かれている感じ」

金井:未経験分野でハードワークする会社にチャレンジしてもいいんだけど、キャリアに迷っている原因が子どもだとしたら、「もし3年後に子どもがいなくて、『あの時、不妊治療をしておけばよかった』って思わないですか」って伝えたんです。

——おぉ……そうですよね。

金井:その方も「思います」って言って。私は「3年後に、オファーが出た会社でバリバリ活躍している自分と、1回キャリアブレイクが入るかもしれないけど、不妊治療をがんばって子どもができて、育児が落ち着いてからキャリアを積み直すという新しいステージの自分の、どちらがいいですか」って言った時に、やっぱり後者だったんです。それなら(求める方向に)踏み切らないとだめなんじゃないかという話をしました。

ただ、魅力的な会社に口説かれていた人なので、「それがしんどい」と言っていて。だから私は、「あなたは『安定した家庭を築きたい』って言っているのに、イケメンで高身長で、年収3,000万円の遊び人に口説かれている感じだよ」って話をして。

——うーん、わかりやすい。危ない。

(一同笑)

金井:本人としては「この切り札を捨ててもいいのかな?」って思うかもしれません。だけど、求めるものが安定した家庭を築くことなら、「年収はそこまで高くないかもしれないけれど、家庭を大事にしてくれて真面目に仕事をする人」のほうがいいですよね。その2択みたいなイメージだと思うよって話をして、すごく納得してくれましたね。

——いわゆるWillとか「やりたいことは何か」みたいに聞かれると、どうしても仕事を軸に考えてしまいますけど、自分の人生とか、生活に求めるものも含めて考える必要があるんですね。

金井:そう思いますね。そのほうが選択肢が見えやすくなる。結局は仕事ってただの手段でしかないので、目的化しちゃうといろいろなことがわからなくなっちゃうんですよね。

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