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大川陽介氏インタビュー(全2記事)

自分の「やりたいこと」に気づける2つのアプローチ WILLを言語化するフレームワーク [2/2]

WILLを「仕事の成果」につなげるには

ーーなるほど。そうして引き出したWILLを、仕事の成果につなげていくにはどうしたらいいのでしょうか?

大川:そうですね。相手のWILLを聞くのは大前提として大事ですが、そのWILLと、今の仕事としてやらないといけないMUST、もしくは本人に期待しているMUSTをつなげるコミュニケーションを意識できると、よりパフォーマンスにつながります。

個人のWILL・Can・MUSTと、組織のWILL・CAN・MUSTは別ですよね。これをつなげていくのに、モチベーション高くパフォーマンスが発揮できるつなげ方があるんです。個人のWILLと組織のMUSTを直接つなげようとすると、すごく難しい。

例えば1on1の中で、「僕は地元に帰って地域活性に貢献したいんだ」と言っている部下に、別の県のコピー機を売ってこいという営業をお願いすると、「なんか違うかもしれないし、辞めよう」となり得ますよね。WILLと仕事を直接つなぐのは難しくて、コツはCANでつなぐことなんです。

要は「地域活性したいの? いいね。じゃあ、どうやったら地域活性できるようになると思う?」という問いを立ててほしいんです。そうすると、「地域内の信頼関係を作ることがベースだと思う」「自分にしかできない、大胆な提案をしたい」「やり切らないとあの地域は変わらない」といった話が出てきます。

そこで、「じゃあ君は今、何ができるんだい?」と話をしていくわけです。すると、「売ることはできるようになりました。だけど、A先輩みたいに常に向こうから電話が掛かってくるぐらいの信頼関係はまだまだ弱いです」「大胆な課題解決ってやったことがないです」と、CANが言語化されてくる。

そうすると、「じゃあそのCANって、実は今の仕事をこうやると身につくんだよ」というのを、上司から提案してあげる。部下からしたら、アカウント営業はコピー機を売って数字を達成するゲームだと思っているかもしれない。けど、人生経験がある上司からしたら、「実はこれって、信頼関係を得ていく力が身につくし、生涯の友だちができるんだよ」とか。

「数字を作るのも大事だけど、今期1個だけ大胆な提案をしてみようか。社内のコンテストに応募して上を目指さないか?」といった話をすると、今の仕事の意味づけが変わります。

仕事は同じかもしれないけど、「これをやることで自分のWILLを実現する力が身につくんだ」と捉えられるようになる。1on1の目的はWILLを言語化してあげることだけではないので、引き出して、ちゃんとパフォーマンスを発揮させてあげるのがポイントです。

マネージャーもWILLを見つけることが大事

ーーマネージャー自身もWILLを持っていないと、部下にWILLを聞いた時にハラスメントに捉えられてしまうというお話がありましたが、マネージャー自身のWILLが揺らいでいる場合、どう部下と向き合えばいいんでしょうか?

大川:やはりまず、自分自身ですよね。ここは上司もしっかり向き合わないといけないと思います。ただ、さっきも言ったように、WILLは変わるものなので、誰もブレない軸なんかないんです。今の時点で、「実は僕はこういうことを思っているんだよね」というのを、カッコつけずにちゃんと対峙してあげるのが大事かなと思っています。

最初からカッコいいWILLを作る必要はない。僕も学生時代は「スキーがしたいです」しか言ってなくて、就活でスキーのすばらしさを語り、50社受けて47社落ちました。でも、富士ゼロックスはそれでも「おもしろい」と受け入れてくれたわけです。

どんなWILLでも、自分がやりたいことをしっかり伝えるのはめちゃくちゃ大事です。どんなに小さくても、「今はこう思っている」と言い切れる状態を作ってほしいし、「自分も今、WILLを探しているんだ。あなたも一緒に探さないか?」という感じで、上下関係ではなく、仲間としてお互いのWILLを語り合う関係性を意識してほしいなと思います。

ーー管理職だからって、WILLがしっかり固まっていないといけないとか、そういうプレッシャーを感じる必要はないということですかね。

大川:ないと思います。WILLの話をすると、「WILLが正義だ」みたいなWILL信仰がけっこうあるんですけど、ぜんぜんそんなことはないです。

大事なのは、「WILLを最大化しましょう」ではなくて、「WILLとCANとMUSTを、バランス良くポートフォリオとして持ちましょう」ということなんです。ただ今の世の中では、相対的にWILLが小さくなっちゃっている。「ちゃんとスキルをつけましょう」とか、MUSTとCANを一生懸命やることばかり言われている。たしかにMUSTとCANをしっかりやれば成果も給料も上がるので大事なんです。

けれど、相対的にWILLが小さくなっちゃうと、ズレた時にモヤッとするわけです。「あれ? 本当に自分がやりたいことはこれだったのかな?」となる。だからWILLも、(CANやMUSTと)同じぐらい大きくしておきましょうというのが、僕が言いたいことです。

「やりたいかもしれない」ぐらいのレベルでやってみる

ーーやはり最初は、MUSTやCANにフォーカスしてスキルを上げるのが大事なんでしょうか。

大川:そうですね。というのも、新入社員は「私はまだ何もできないけど、可能性を買ってください」と言って入ってくるのでWILLが大きくて、MUSTとCANが小さい状態。でもそれでは仕事にならないわけです。だから、「MUSTを大きくしましょう。それを通してCANを大きくしましょう」というやり方をするんですけど、だんだん大小が入れ替わっちゃう。時期やフェーズによって、重点をMUSTに置く時期、CANに置く時期、WILLに置く時期というのは動くと思ってほしいです。

小室哲哉さんの本を読んだのですが、小室さんは仕事を絶対に断らないそうです。ああいうアーティストはWILLで生きている人だと思い込んでいたんですけど、MUSTをひたすらやり続けていた。そして、たまにそこに自分のWILLやCANを交ぜていく。

MUSTは明確なニーズなので、それをしっかりやれば世の中から喜ばれる。それを通して自分のWILLを叶えていく。こういうことをやっていたと聞いて、やはりWILL・CAN・MUSTのバランスはめちゃくちゃ大事だと思いました。

この3つのバランスがうまく取れた時に、自分がやりたいことができて、求められて、自分の意志のとおりに動けるという状態が作れるんですね。

ーーありがとうございます。最後に読者にメッセージをお願いします。

大川:WILLは志や夢のような、意識の高いものだと思われがちなのですが、「MAYでいいじゃないか」といつもお伝えしています。「やりたい」じゃなくて、「やりたいかもしれない」「できるかもしれない」ぐらいのレベルでやってみる。

これは特に若い方におすすめです。僕は今高校生の授業もやっているんですけど、いきなり「お前のWILLは何だ?」と言うと、高校生は経験が少ないから答えられない。なのでまず、「ちょっと好きかもしれない」ということからひたすらやれと言っています。1年の半分はアクションを積み重ねて、「なんで楽しかったのか?」という話をして、そこから「実は自分って何をしたい人なのかな?」と後で言語化したりして見えてくることも多いです。

いきなり「WILLを言語化しなきゃ」と気負うよりは、MAY(かもしれない)から動いてしまったほうがいい。そして、「なんで楽しかったのかな?」「なんでつまんなかったのかな?」と振り返る習慣をつけていただくといいかなと思います。

ーー大川さん、ありがとうございました。

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