【3行要約】
・戸塚俊介氏は新卒で地方ホームセンターへ入社後、マイナビやリクルートなど8社への転職を重ね、年収を240万円から1,000万円まで上げた「転職のプロ」として知られています。
・今回は戸塚氏に、若手世代がキャリア戦略で考えるべきポイントや、転職を成功させるために意識すべきポイントについて聞きました。
・戸塚氏は“スキルは与えられるのではなく身につくもの”と語り、スキルアップを目的とした転職の危険性について指摘します。
年収を“いかに早く上げるか”を意識していた
——戸塚さんは2007年に新卒で地方ホームセンターへ入社後、マイナビやリクルートなど8社への転職を重ね、年収を240万円から1,000万円まで上げた「転職のプロ」として有名です。まず、何が転職のモチベーションになったのかについて教えていただけますか。
戸塚俊介(以下、戸塚):新卒の時点で「30歳までに年収1,000万円を達成する」という目標設定を掲げていたので、それが一番大きかったですね。ここは本当に人それぞれだと思うんですけど、僕は年収を上げるだけではなく“いかに早く上げていくのか”を目標にキャリア戦略を組んでいきました。
——若い世代のビジネスパーソンは、目標自体がわからない方も多いと思います。自分なりの目標を見つけるにはどう考えればよいのでしょうか。
戸塚:僕はお金持ちになりたいなと思って今までのキャリアを歩んできたので、自分がどうなりたいかを考えることが一番大事だと思うんです。
なおかつ、それを“リアルに”考えるというのが大事です。最終的にじゃなくても、1~2年後にも今日とまったく同じことをしていたいのか。「来年の今日、何をしていますか」っていうことをとことん考えて、逆算して、どんな道筋を歩むべきなのかを考えていけばいいんじゃないかと思います。
転職活動に不安がなかった理由
——すごくバカみたいな質問なんですけど、最初の転職の時に不安はありませんでしたか。戸塚さんの場合は、ホームセンターから人材会社への転職ということで、いわゆる異業種転職だと思いますが。
戸塚:もちろん不安がまったくなかったわけではないんですけど、とにかく場数を踏むことでだんだんと慣れていきました。
というのも、ホームセンターで働いている期間も、常に転職活動をしていたんです。「今の状態だったら面接で何を聞かれるのかな」とか「転職先の企業では、どんなことが求められるのかな」ということを把握するために、実際に面接に行っていました。
だから、日々の仕事の中でも「今だったらどこの会社にいけるのかな」とか、「今だったらどんな会社からスカウトもらえるのかな」といったことを考えながら働いていたんです。そんな状況だったので、「よし、転職活動するぞ。でも、何をしたらいいかわかんない。不安だ」みたいな感情は湧かなかったというのが、当時の自分のリアルな実感ですね。
“落ちまくった”最初の転職
——やはり、日々の業務の中での成長実感みたいなものが転職活動の自信になっていったんでしょうか。
戸塚:というより、転職活動の不安というものは、転職活動をし続けること、面接などの経験を重ねることで解消されていくと思うんです。
当時の自分を振り返ると、やっぱり、面接に落ちまくるわけですよ(笑)。普通に考えて地方のホームセンターの小売りの若手店員さんが、いわゆる大手企業にいきなり転職をしたくてもなかなか決まりません。それは当たり前だと思うんです。
でも、その時に「なんで落ちたのかな」とか「仮にどんなスキルがあったら受かったのかな」とか「今の自分は、この部分はできていないんだな」みたいな振り返りをすることで、最終的には「実力がなかったんだな」という結論に至ります。
じゃあ、それを身につけましょうということで、今の仕事をよりがんばって、力をつけていきました。そうやって成長することで、同時に転職活動に対する不安もなくなっていきました。だから、最初から自信があったわけではないんです。(相手に)求められている、自分にないものを増やしていったというほうが正しいですね。
異業種でも活きた「目標の達成意識」
——なるほど。「転職のプロ」として知られている戸塚さんでも、最初の転職に至るまでにはそんなトライアンドエラーがあったというのは、すごく驚きです。
戸塚:それはそうですよ(笑)。僕は短大卒なので、むしろキャリアの観点ではちょっとマイナスぐらいのスタートだと思うんです。
——最初の職場で培ったスキルや経験が活きたという経験はありますか。
戸塚:僕の場合はホームセンターの販売員から、人材会社の営業みたいな部門に転職したので、まったく畑が違うんですよね。
なので「ホームセンターでのこの経験を活かして……」みたいなものはそんなになくて、学び直しに近いかたちでした。それこそ、ホームセンターの店員さんをやっていたら、名刺交換をするシーンもないわけですよ(笑)。
——なるほど。
戸塚:スーツを着ることもないし、パソコンで作業する時間もあまりありませんでした。本当に、ほぼ0から(スキルを)組み直した感じでしたね。本当に第二新卒のポテンシャル採用みたいな転職だったんで(笑)。あんまり「前職のここが活きたな」とかそういうのは正直なかった感じです。
あるとすれば、「成果を達成しよう」みたいな、目標に対する達成意識は活きたと思います。私自身が当時から、売上に対する意識を強く持っていたタイプだったんです。やっぱりホームセンターなんで、毎日の売上もわかりますし、自分の部門の売上がいくらなのかとか、(評価のポイントは)そこでしかないので。転職した後も数字を追う意識はすごくあったと思います。
「売上にどれだけ貢献できるか」が重要
——異業種転職を目指している方にはすごく参考になるトピックですね。共通する評価ポイントを探すことが重要なんでしょうか。
戸塚:共通点を探すことも良いですが、はっきり言えば「売上にどれだけ貢献できるか」がすべてだと思います。要は、「あなたに対してこれだけの年収を払うことに対して、どれだけの成果を出してくれるんですか」という問いに対する答えを持つ。
その意識を持てるかどうかは、たぶんすべての転職において役立つというか、基本のキになる気がします。
——逆に、スキルを次で活かせると思ったけど、うまくいかなかったパターンはありますか。
戸塚:何かしらのかたちで活きていたとは思いますね。基本的に、できないことをできるようにしていくというか、僕は「仕事で嫌だなと思うことをなくしていく」みたいなことを目標に、日々の仕事をやっていたんです。「今のやり方が本当に正しいのか?」とか、そういうことは考えてましたけどね。