若手世代によくある転職の勘違い
——Xなどを拝見していると「DMで転職に関する相談を受けた」というようなポストもされていますが、若手世代の転職の失敗例で、最近よく聞くパターンにはどんなものがありますか。
戸塚:失敗例ですか。なんだか、最近の若い世代はスキルを求めて転職しようとしている傾向があると思います。「会社は学校じゃない」という言葉があるように、やっぱり会社は仕事を習う場所ではない(笑)。
スキルを得ることを優先してしまうと、仕事で成果を出すことが二の次になってしまう。これは順番が逆だと思っていて、基本的にはスキルはどこかで得るものではなく、仕事で成果を出す経験の中で、勝手に身についていくものだと思うんですよ。「会社を成長させるために自分が貢献できることをやる」っていうのが大事だと思うんです。
——成長意欲があるようにも聞こえますが、難しいですね。
戸塚:そうなんですよ。一見すると成長意欲があるようで、実は受け身の姿勢だったりするんです。
要は「自分の成長が一番で、会社のことはそんなに考えていない」みたいな方が増えている印象ですね。そういう姿勢だと、「私に何を与えてくれるんですか」みたいな、自分本位の転職活動になってしまう。
会社からすると「いやいや、逆に、あなたに何ができるの?」ということなので、お互いにミスマッチというか、あまり良い結果を生まない転職になっていくパターンはわりと目にしますね。
「成長実感がない」という転職理由の危険性
戸塚:あと最近の20代で多いパターンでは、転職理由として「成長実感がない」というものを挙げる人が多いと思います。
——確かによく聞く気がします。
戸塚:会社自体はすごくホワイトで、残業も少ないし、社員同士の仲も悪くない。ただ言われたことを淡々とやっていればそこそこの給料をもらえて、不平不満もない。ただ一方で、それ以上(の明確なキャリアのイメージが)ないというか。
だから「なんだか、このままでいいんだっけ」って悩む人はわりと多いのかなと思うんです。でも、それで転職しようと思っても、言われたことしかやってきてないのでスキルがなく、転職できないんですよね。少なくとも、キャリアアップのための転職は難しくなってしまう。
(それを防ぐためには)与えられた機会の中でがんばることももちろん大切なんですけど、それ以上に、自分で仕事の機会を作らないと、ずっとぬるま湯の中にいるというか、「次、どうしたらいいんだっけ」のような状態になり続けてしまいます。
かつてのリクルートの社訓の「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」じゃないですけど、ああいうかたちの積極的な働き方は引き続き大事なんじゃないかなとは思いますね。
——(リクルートの企業文化の)「お前は何がしたいの?」みたいなことですね。
戸塚:そうですね(笑)。基本的に、受け身で待ってる人たちが多いんで。自分でどんどんやっていかないと、それこそAIに仕事を取られちゃう時代がやってきていると思います。
20代のうちに身につけておくべきスキル
——今の質問と関連して、転職を見据えて、20代のうちに身につけておくべきスキルとか経験はなんでしょうか。
戸塚:基本的に、何かしらの売上を作る力だったら何でもいいと思っています(笑)。というか、それ以外にないですって感じですね。自分はどんなことができて、さらに、どれぐらい売上につながることなのかを説明できる力を持っていること。それに尽きますよね。
やっぱり、基本的に会社は売上を作れる人にお金を払うわけですから、売上を作れる人になることが一番大事なスキルですよね。
——なるほど。それは今までの戸塚さまのキャリアの中で、職場が変わっても共通する考え方のポイントなんでしょうか。
戸塚:そうですね。基本的には数字に対する意識と、数字に対する達成をするアクションと、それに対して試行錯誤ができることですね。
副業での経験をキャリアに活かす
——続いての質問ですが、もし戸塚さまがZ世代などの若手社員だったとしたら、どういったキャリア戦略を考えますか。
戸塚:在籍している会社の状況など、いろんな前提があるのでなんとも言えませんが、副業はするでしょうね。お金を稼ぎながら自分のブランディングにもつながります。その経験を本業にも還元させて、本業でキャリアアップしていく、みたいなやり方です。でも、ちょっと一般的ではないと思いますね(笑)。20代全員に響くやり方かと言えば、そうじゃないと思うんです。
オーソドックスにいくんだったら、目の前の仕事をとにかくやりきるということを地道にやり続けましょうっていうことですかね。
——昨今は副業を解禁する会社も多いですけど、正直、普及しきっていないというか。意外とやっている人が少ない印象があります。
戸塚:できないんですよね。たぶん。稼げない。
(一同笑)
難しいんだと思うんです。なので、普及してないというよりは、できる人とできない人にわかれているんだろうなぁっていう印象はありますね。
——もし若い世代に副業をおすすめするとしたら、今の仕事と関連することから始めればいいでしょうか。
戸塚:そうでしょうね。“自分がやりたいこと”ではなく、自分ができることをやるっていうのが大事だと思うんで。要はお金をもらって仕事をするわけなので、クライアントに発注してもらえるような仕事をしなきゃいけない。そうすると、やっぱり今の仕事でやってることのほうが絶対にかたちになりやすいと思います。
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