【3行要約】 ・ログミーBusinessアンバサダーの株式会社明治クッカー代表取締役 西原亮氏の新刊
『コンサル時代に教わった 仕事ができる上司の当たり前』(ダイヤモンド社)が2026年4月26日に発売されました。
・西原氏が執筆の背景や、書籍のテーマを「上司」にした理由について解説。
・書籍の内容から、言語化のルールや部下を指導する際の考え方など、現場ですぐに役立つ具体的なテクニックを紹介します。

上司にまつわる誤解を解きたかった
——新刊で印象的なフレーズが「マネジメントとは性格ではなく技術」というものです。西原さんがそのように考えるようになったきっかけについて教えてください。
西原亮氏(以下、西原):私は今から13年前に会社を継いで、経営者の立場になりました。そうすると、自分の中で「部下に言うべきことを言わなきゃいけない」みたいなプレッシャーがのしかかってきて、結果的に自分自身が持続可能じゃなくなってしまった時期があったんですよね。
——「持続可能ではない」というのは、精神的な余裕がなくなったということでしょうか。
西原:そうですね。書籍やSNSでも、「上司はこうあらなければいけない」「冷徹でなければいけない」みたいな意見ってけっこう多いんですね。これが「上司になると大変そう」「管理職は罰ゲームだ」と世の中で言われる要因になっていると思うんです。

でも、結局は人と人とのコミュニケーションなんですよね。人にはそれぞれ特性があります。親しみやすさがある人、寡黙な人、しゃべりが上手い人。それなのに一律で「冷徹であれ」と考えちゃうと、自分の良さが消えて、無理がきてしまう。
そういうところも踏まえると、やはりまずは持続可能な上司になるって、めちゃめちゃ大事だなと思ったんです。
「性格を変えてまで」とか「人間性を否定してまで」じゃなくて、等身大の自分で「これだけはやらないでください。これはやってください」というものを(書籍として)51個の「当たり前」にまとめることで、自分も持続可能になりました。
だから、「上司って大変なもんなんだよ」「経営者はつらくて当たり前なんだ」みたいなものをぶち壊したいなと思って、「マネジメントとは性格ではなく技術」をキーワードとしてセットしたという思いがあります。
自分の“理想の上司像”に囚われ、苦しんだ過去
——西原さんが持続可能でなくなっていた時は、具体的には現場で何が起きていたのでしょうか。
西原:僕の背景から言うと、コンサル時代は「1を言えば10を理解する」人たちが周りにいたんです。でも牛乳屋を継いでみると、初めて仕事をする主婦のスタッフさんから、70歳を超えた高齢のスタッフさんまで、レベル感がめちゃめちゃ多様だったんですね。
その多様な人たちをどうマネジメントするかと考えた時、自分の中に「あるべき像」を持ちすぎてしまって、いつの間にかマネジメントが「監視」になってしまったんです。不足しているところだけをフォーカスするようになったりとか。だんだんね、感情が死んでいくような体験をしていって。
結果的に、周りからしても違和感が出てくるんです。「機械的だ」みたいに見られて、(部下が)相談もできないような環境になってしまったんですね。
——そこから「マネジメントは性格ではなく技術だ」という考え方に至ったことで、心境や姿勢にどんな変化がありましたか。
西原:けっこう大きく変わりましたね。「技術である」っていうふうにすると、まず、毎日がトライアンドエラーになります。「この技術を向上させる」とか、伝え方を改善することでマネジメント力が上がるみたいな。
世の中ではよく「マネジメント力」と言っているけど、ほとんどの人たちは「冷徹でなければいけない」みたいな、人格を変えることで終わっちゃうんです。僕はマネジメントを技術として捉えて、うまくいった成功事例と失敗事例を自分の中にログとして残すようにしたんです。「このタイミングではこういう言い方をしないようにしよう」みたいなことですね。
そうすると「来週はこういうチャレンジをしよう」って、前向きになるんですよ。PDCAがちゃんと回るんですね。マネジメントがつらいものであるという前提から解放されると、「鍛える」観点になるんです。これはマインド面ですが、けっこう前向きになれました。
——確かに。テクニックだと考えれば個人の資質と切り離せます。
西原:そうなんです。等身大の自分が技術を身につけていく。『ドラクエ』で言うと(装備が)「こんぼう」から「はがねのつるぎ」になるみたいなことですよね(笑)。
部下に対応することで学びをもらっている、検証している感覚になるので、めちゃめちゃ良い。技術っていう発想に転換するのはそういうことかな。