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「良い会議」のためにやっていること・やめたこと(全3記事)

発言が出ない会議を防ぐ“ラスト5分”の質問術 「実は言いたかったこと」を放置しない進行のテクニック

会議が長引いたり、決まったはずのことが動かなかったりするのは、参加者の意識が低いからでも、進行役のスキルが足りないからでもありません。その停滞を引き起こしている真の原因は、会議の「設計」そのものにあります。会議を単なる時間の消費ではなく、次のアクションを加速させる「判断の場」に変えるためには、どのような工夫が必要なのでしょうか。そこで今回は「良い会議をつくるためにやっていること・やめたこと」をテーマに、ログミーBusinessアンバサダーのみなさんにインタビューを行いました。

第3回は、組織論のスペシャリストとしても知られる仲山進也氏です。
仲山進也氏:仲山考材株式会社 代表取締役/楽天グループ株式会社 楽天大学学長。著書に『組織で自分らしく成果を上げる25のトレーニング ネコトレ』ほか。

定例会議の意味が薄れる“サインの一言”

——会議の運営において、かつてやっていたが「やめたこと」はありますか?

仲山進也氏(以下、仲山):「プロジェクトの定例会議」を主宰するのをやめました。

チームビルディング視点でお話しします。ぼくが楽天に入ったのは、社員約20名の創業期でした。当時は全員が現場にいて、「今、ちょっといい?」「あの件どうする?」「今日これやっていい?」と随時、声をかけ合っていました。

通路ですれ違いざまに、開発の人へ「さっきお客さんから電話で、こんなエラーが出たと言われたんですけど」と相談すると、「ちょっと見てみますね。あ、バグでした。今、直しておきました。教えてくれてありがとう」みたいな「立ち話での会議」が日常でした。意思疎通は速くて、実行もスピード感がありました。

ところが組織が大きくなってくると、そうはいかなくなります。プロジェクトの関係者が増え、席も離れているし、通路でばったり会うことも難しくなる。関係者が集まって話す機会をつくればいいのですが、だんだんみんな業務が増え、会議も増えていき、スケジュールが埋まってきて日程調整に手間がかかるようになっていきます。そこで事前にスケジュールを合わせやすくする工夫として「毎週木曜日の13時」のような「定例会議」が始まるわけです。

でも定例会議というのは、プロジェクトの進み具合によって、そのうち「特に話すことがないタイミング」が出てきます。「何のために集まっているのか」が少しずつ薄れていく。そしていつしか「集まること」が目的化し始める。

その瞬間を現すサインがあります。最も役職の高い人が冒頭で言う「今日って何の件だっけ?」という発言です。その瞬間から、その会議体はゆるやかに当事者意識を持つ人が減り、熱が下がり、死んでいくのです。すべての定例会議がそうだとは言えないですけど、少なくともプロジェクトを立ち上げるシーンにおける定例会議はそういうものだなと。

それに気づいてから、「期限のない定例会議」を主宰するのをやめました。会議は「必要がある時に、必要な人が集まって、立ち話をする」のが本来の姿。スケジュールを合わせるのが難しくなった時は、「この先、3ヵ月だけ定例でやってみましょうか」のように期限を定めて、集まる必要性を見直せる工夫をすることが大事だと思っています。

——会議に関する「失敗エピソード」を教えてください。

仲山:自分が主宰する定例会議で、忙しさにかまけて準備の時間が取れず、「今日って何の件でしたっけ?」と自分で言ってしまったことです。以後、さっきお話ししたように「プロジェクトの定例会議」を主宰するのをやめたのでした。

心理的安全性を醸成する「ザッソウ(雑な相談)」という習慣

——会議を生産的にするための工夫・習慣はありますか?

仲山:チームビルディングの文脈で、「心理的安全性」というキーワードを聞いたことあると思います。「恐れや不安なく、思っていることを言い合える関係性」のことですが、「心理的安全性が大事」と知っていても、「どうすれば生み出せるのか」をわかっている人は意外と少ないのが現状な気がしています。

というわけで、心理的安全性を高める1つのヒントが、「ザッソウ(雑な相談)」です。

「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)からザッソウ(雑な相談)へ」と提唱している倉貫義人さんの『ザッソウ 結果を出すチームの習慣 ホウレンソウに代わる「雑談+相談』という本があります。ぼくが「心理的安全性を高めるためのバイブル」だと思っている本です。

「報連相が大事」というのは、みんなだいたい新卒研修で習いますが、このITツールが普及したご時世だと、情報共有ルールをちゃんと決めておけば「俺は聞いてない!」という問題は起こらずに済みます。「あなたが見てないだけですよね」と言えるので。つまり、報告と連絡にかかる時間コストや手間コストは減っているので、余裕ができた時間でやるといいのが「相談」。相談は未来のことをすり合わせるためのコミュニケーションだから重要なのです。

ただ、相談には「意外とハードルが高い問題」があります。どういうことかというと、上司が「いつでも気軽に相談してね」と言っていたとしても、いざ相談しようと思ったら「めっちゃ忙しそう」とか、「なんか機嫌悪そう」とか、「もっと考えてから持って来い、と言われないように作り込まねば」と思っているうちにタイミングを逃す、などです。

ただ、相談を受ける側からすると、「ご相談が」と言われて見たら、2秒で「ないわー」と思うような提案で、しかも分厚い資料がついている。「もっと早く相談してくれたら、方向性のチューニングができて、このムダな時間が発生しなくて済んだのに」と思う。そんなことが起こりがちです。

そこで、「相談は雑でいいから早いうちにキャッチボールを一往復することが大事」という考え方を共有できていると、生産性が上がるよね、というのが「ザッソウ(雑な相談)」です。

倉貫さんの会社(ソニックガーデン)は、コロナ禍になる5年ほど前から「全員リモートワーク」を実践していて、リモートでも心理的安全性の高い関係性をつくるための試行錯誤をしてきています。その結果、「ザッソウ」が共通言語になっているので、チャットで「今、ザッソウいいですか?」「いいよ」とか「いま手が離せないから15時だったらいいよ」というやりとりが行なわれています。「ザッソウは大事なもの」という価値基準も共有されているので、お互いにザッソウの優先順位を高くできるわけです。

会議の最後の5分で“埋もれた意見”を拾う

——発言が出ない・意見が偏る場面での場の動かし方はありますか?

仲山:おすすめしているのが、会議の最後の5分を「チームビルディング的ふりかえり」の時間にすることです。やることはシンプルで、「今日の会議で、話そうと思ったけど話さなかった、あるいは話せなかったことって、ある?」と問いかけて、一人ひとりに一言ずつ話してもらいます。

この時間が機能し始めると、「こんなアイデアがあったんですけど、流れを邪魔するかなと思って言わなかった」とか「まだ自信がないから、このアイデアを言えなかった」というようなコメントが出てきます。

「そんなふうに思ってたんだ。次から遠慮しないでいいからどんどん言ってよ」とか「え、そのアイデア、めっちゃよくない?」となったり、「進行役が途中で『今、考えてて言いそびれたことある人いますか?』と一言入れるだけで変わるよね」という気づきが共有されたりします。参加者同士で場の改善が自走し始めるのです。

心理的安全性というのは、誰かが施策を打って一発で生み出されるものではありません。誰かが何かを言った時に周りがどうリアクションするかの積み重ねで、「ここまでは言っても大丈夫」というラインが少しずつ共有されていくものです。この5分の「チームビルディング的ふりかえり」をやるだけで、関係性が大きく変わっていきます。

ふだんの関係性づくりが良い会議につながっていく

——会議を上手に進めたいと思っている若手・リーダー層へのアドバイスをお願いします。

仲山:「良い会議にしたい」と思った時、最初に手をつけがちなのは、アジェンダの整備だったり、スムーズな進行を促すファシリテーションのテクニックだったりします。それらが無意味だとは思いませんが、まず試してほしいのは、職場で日常的に「ザッソウできる関係性をつくること」です。完成度の低い段階で「ちょっとこれ、まだ雑なんですけど相談いいですか」と声をかけられる相手が一人でも増えると、仕事の進み方が変わり始めます。

そして、もし会議をファシリテートする立場になったなら、最後の5分を「チームビルディング的ふりかえり」に使ってみてください。「話せなかったことを話せる場」が繰り返されることで、少しずつ「ここまでは言っていい」という共通認識が積み重なっていきます。それができるようになったら、あなたは「周りから頼りにされる存在」になっているはずです!

——仲山さん、ありがとうございました!



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