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「良い会議」のためにやっていること・やめたこと(全3記事)

会議の生産性を高める“最初の1分”の問いかけ ファシリテーションよりも重要な、たった一言の確認事項

会議が長引いたり、決まったはずのことが動かなかったりするのは、参加者の意識が低いからでも、進行役のスキルが足りないからでもありません。その停滞を引き起こしている真の原因は、会議の「設計」そのものにあります。会議を単なる時間の消費ではなく、次のアクションを加速させる「判断の場」に変えるためには、どのような工夫が必要なのでしょうか。そこで今回は「良い会議を作るためにやっていること・やめたこと」をテーマに、ログミーBusinessアンバサダーのみなさんにインタビューを行いました。

第1回は、コミュニケーションプランナー / メディアコンサルタントの松浦シゲキ氏です。数々のメディア運営支援を行ってきた実体験から導き出された会議術を紹介します。
松浦シゲキ氏:デジタルメディアの専門家。ハフポスト日本版 創刊編集長、スマートニュース ディレクター、デジタルマーケティングカンパニーMOLTSを経て2023年に独立し、複数のデジタルメディアの支援を行う。

誰に発言を求めるかを事前にすべて決めておく

——会議の運営において、かつてやっていたが「やめたこと」はありますか?

松浦シゲキ氏(以下、松浦):議事進行の途中で、不特定多数に「ふわっと」意見を求めることをやめました。

もちろん、すべての議題が終わった後に「何かありますか?」と確認する時間は設けています。そこは変えていません。やめたのは、議論の途中で「みなさん、どう思いますか?」と場に投げるような問いかけです。

以前はそれを「参加感」のつもりでやっていました。でも実際には、限られた時間の中で論点がぼやけたり、発言が拡散して収拾がつかなくなることのほうが多かった。

代わりに始めたのは、誰に発言を求めるかを事前にすべて決めておくことです。「この話題はAさんに振る」「あの議題はBさんに確認する」と、議題ごとに役割分担をあらかじめ設計してから会議に臨む。すると、振られた側も準備ができるし、関係のない議題では聞くことに集中できる。全員に均等に話させるよりも、必要な判断に必要な人が声を出せる構造にするほうが、結果として全員にとって意味のある時間になりました。

「誰が・何を・いつまでに」を一人ずつ確認する

——会議に関する「失敗エピソード」を教えてください。

松浦:メディアの立ち上げ期に、「全員が納得した」はずの会議がありました。方針を共有し、各自のアクションも決めた。空気もよかった。ところが翌週、ほとんど何も動いていなかった。

原因を探ると、納得していたのは「方向性」であって、「自分が何をやるか」ではなかったんです。会議中は大きな絵に共感して前向きになるのですが、席に戻ると「で、自分は何から手をつければ?」となる。合意と実行の間に、翻訳のステップが抜けていた。

この失敗から学んだのは、会議のゴールは「納得」ではなく「判断」だということ。方向性に共感してもらうことと、明日の行動が具体的に決まることは、まったく別の成果物です。以来、会議の最後には必ず「誰が・何を・いつまでに」を一人ずつ確認するようにしています。面倒に見えますが、翌週のやり直し会議がなくなるので、結果的にはずっと効率がいいです。

——会議を生産的にするための工夫・習慣はありますか?

松浦:2つあります。

1つ目は、「この会議で決めること」と「共有だけで済むこと」を事前に分けておくこと。共有事項は会議前にテキストで送っておけば、会議中は質疑だけで済みます。多くの会議が長引くのは、決める場なのか、報告を聞く場なのかが曖昧なまま始まるからで、ここを仕分けるだけでかなり変わります。

2つ目は、プロジェクトの最初の1回だけはオフラインで極力集まること。オンライン会議は効率的ですが、関係者全員の「前提」を一度に揃えるのはオフラインのほうが圧倒的に早い。表情や間合いから伝わる文脈の量が、テキストやオンラインとはまるで違います。

最初の1回でそこを揃えてしまえば、2回目以降のオンライン定例がまるで別物になる。これはあれこれと会議進行をやってきた身からして、そしてコロナでなにもかもオンラインになった経験も踏まえて、最も確信を持っている習慣です。

「決めること」が明確になれば会議は半分完成している

——発言が出ない・意見が偏る場面での場の動かし方はありますか?

松浦:「そもそも論」で議論を巻き戻すことがよくあります。

議論が進む中で、参加者の何人かが違和感を持っていても、それを言語化する前に話がどんどん明後日の方向に行ってしまうことがある。意見が偏る時も同じで、たいていは議論の起点が変な方向に転がり始めていることが原因です。

そういう時は場を止めて、「そもそも何のためにこれをやっているんでしたっけ」という話をします。一度スタートに戻ることで、ずれた前提をリセットして、全体を引き戻す。前提がずれたまま議論を続けても、出てくる結論は使えないものになりがちなので、遠回りに見えてもこのほうが結果的に早い。

沈黙については、あまり気にしません。待つべき時は待ちます。それでも意見が出てこなかったら、補助線を引くような意見を添える、というくらいでいいのではないでしょうか。沈黙は必ずしも関心のなさではなく、考えている途中であることも多いので。

——会議を上手に進めたいと思っている若手・リーダー層へのアドバイスをお願いします。

松浦:「この会議、何を決める場ですか?」と、最初の1分で確認することをお勧めします。

会議がうまくいかない時、原因は進行の巧拙よりも、ゴールの不在であることがほとんどです。アジェンダがあっても、それが「話すこと」の一覧なのか「決めること」の一覧なのかで、会議の質はまったく変わります。

もしあなたが会議を主催する立場なら、「今日これだけは決めて終わりたい」を1つ書いて、冒頭で共有してみてください。それだけで、参加者の聞き方が変わります。「なんとなく聞いている」から「この判断に関係する情報を拾おう」に切り替わる。

もし参加者の立場でも、遠慮せず「今日のゴールって何でしたっけ?」と聞いてみてほしい。その質問は会議の邪魔ではなく、全員にとっての軌道修正になります。良い会議は、特別なファシリテーション技術がなくても、「決めること」が明確になった瞬間に半分完成しています。

——松浦さん、ありがとうございました!



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