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プレイングマネージャーの「板挟み」を解決する 燃え尽きる前に知っておきたいこと(全2記事)

プレイングマネージャーは“上にも横にも逃げ場がない” 弱音を吐けない状況に気づくためにできること

日本企業では、プレイヤーとして成果を出しながら同時にマネジメントも担う「プレイングマネージャー」という役割が一般化しています。一方で、その構造は業務過多や心身の疲弊、いわゆる「燃え尽き」を招きやすく、組織における大きなリスクにもなっています。

プレイングマネージャーが疲弊せず、適切にチームを導くためにはどうすればいいのでしょうか。今回は、コミュニケーションプランナー / メディアコンサルタントの松浦シゲキ氏にお話を伺いました。 日本でプレイングマネージャーが増え続ける背景、燃え尽きを防ぐセルフマネジメントの実践、そして、部下に任せる力をどう育てていくのか。現場の知見に基づいた、チームで成果を生み出すためのヒントを語っていただきます。
松浦シゲキ氏:デジタルメディアの専門家。ハフポスト日本版 創刊編集長、スマートニュース ディレクター、デジタルマーケティングカンパニーMOLTSを経て2023年に独立し、複数のデジタルメディアの支援を行う。

まずはチームの成果と自分の成果を切り離す

——なぜ日本企業ではマネージャーとプレイヤーの役割分担が曖昧になりがちで、プレイングマネージャーが多いと考えますか。

松浦シゲキ氏(以下、松浦):日本では「現場をわかっている人が信頼される」という意識が強く、マネージャーもプレイヤーの延長で評価されやすいんですよね。そのため、管理と実務を同時に抱える構造が生まれます。自分自身もそうでした。

まずは、チームの成果と自分の成果を分けて考えることが大事です。例えば、上司やメンバーに「私はチーム全体の成果を出すことを役割にしていいですか?」と一度確認してみる。言葉にして役割の境界を明確にすることが、最初の一歩になると思います。

自分の時間の使い方を3行で可視化する

——プレイングマネージャーが「燃え尽きてしまう」主な要因は何だとお考えですか。

松浦:「期待の総量」が多すぎることです。上司からは成果を、部下からはサポートを、横からは調整を求められる。どこにも逃げ場がないんです。自分もなかなか弱音を吐けなかったです。

特に危ないのは、「忙しいけど何をしているか説明できない」状態。まずは、1日の終わりに自分の時間の使い方を3行で書き出してみましょう。自分が抱え込みすぎていることに気づくだけでも、少し呼吸がしやすくなります。

再現性あるチームを育てる3つのステップ

——「自分がやったほうが早い」という考え方から脱却し、効果的に権限委譲するには何が必要でしょうか。

松浦:「任せる=手放す」ではなく、「育てる時間をつくる」と考えることです。任せる相手に「どこまで自分で判断していいか」「どこで相談してほしいか」を具体的に伝える。

例えば最初の1週間は一緒にやって、2週目は横で見守り、3週目は報告だけにする。そうやって3ステップで距離を離すと、自然と再現性が生まれます。目の前のスピードより、誰がやっても同じ成果が出る状態をつくる。そう考えると、育てる時間も投資に見えてきます。

管理職こそ“自分を整える時間”を設ける

——個人レベルでは、どのようなセルフマネジメントや心構えが重要でしょうか。

松浦:「自分のエネルギー残量を把握する」ことです。体力・睡眠・気分のどれが減っているのかを自覚していない人が多い。自分は1日の終わりに「今日いちばん疲れたのは何か」を書き出すようにしています。

もう一つは、仕事の外に視点を持つこと。趣味でも地域でも、職場以外に会話できる場を持つと、気持ちの空気が入れ替わります。結局、コンディションが整っていないと、チームにも優しくなれない。マネージャーほど意識して休むべきです。

燃え尽きそうな時は「やらないこと」を決める

——今、燃え尽きそうになっているプレイングマネージャーに、「まず、これだけはやってほしい」ということがあれば教えてください。

松浦:抱えている仕事を全部書き出して「自分じゃなくてもいいこと」を3つ探してみてください。やらないことを決めるだけでも、頭が整理されます。

そして、誰かに「5分だけ相談してもいいですか?」と声をかけてみる。助けてくださいより、相談ベースのほうが言いやすいですよね。小さな声でも外に出すと、周囲は必ず反応してくれます。立ち止まることを怖がらず、一度"自分を整える時間"を取ってほしいと思います。

管理職のコンディションもチームの資産

——ご自身がプレイングマネージャーだった時期に「これをやっておいてよかった」「これをやらずに後悔した」ことがあれば、具体的に教えてください。

松浦:よかったのは、判断理由をメモに残す習慣です。さっきから「書き出す」って何度も言ってますが(笑)、忙しい時こそ「なぜそう決めたか」を一言でも残すと、自らの行動がブレにくくなり、チーム全体の行動も定まり成果に繋がりやすくなります。

後悔しているのは、自分を後回しにしすぎたこと。チームを守るあまり、休むことも頼ることも後回しにして、結果的に判断の質を落とした時期がありました。マネージャー自身のコンディションもチームの資産です。自分もメンバーの一人として扱う意識を、もう少し早く持てばよかったと思います。


プレイングマネージャーとして成果を出し続けるために必要なのは、完璧を目指すことではなく、“自分を整え、任せ、育てる”という意識の転換です。
抱え込みすぎず、チームで成果をつくる仕組みを意識することで、組織もあなた自身もより持続的に成長していけるはずです。

ログミーBusinessでは、マネジメントキャリア形成に役立つ実践的なヒントを多数紹介しています。ぜひご覧ください。

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