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松浦シゲキ氏に聞く情報整理と業務効率化のコツ(全2記事)

“わからないことの放置”で心も身体も老けていく 柔軟な思考力を養うインプット術のヒント [1/2]

【3行要約】
・仕事の専門性が高まるほど強烈なバイアスがかかり、視野が狭くなるという問題が多くのビジネスパーソンに起きています。
・メディアコンサルタントの松浦シゲキ氏は読書や異業種の習い事など、意図的に「ノイズ」を取り入れる重要性を説いています。
・同氏は情報過多に溺れないためにはインプット時間を確保し、「わかる」を積み重ねる習慣を身につけるべきだと提言します。

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メディアコンサルタントがウクレレ教室に通う理由

——Googleの20パーセントルールのように、業務とは直接関係のない行動が新たな価値を生むことがあります。松浦さんは、何か業務とは関係のないインプットを行っていますか?

松浦シゲキ氏(以下、松浦):自分は20パーセントルールに関して、「ノイズ」という言い方をしています。自分の欲しいと思っている情報とは関係ないものが、ちゃんと入ってくる状況を持っておいたほうがいいと思っている派です。なので、習い事をします。例えば、自分の仕事とはぜんぜん関係ないウクレレの習い事に行って、知らない主婦の方々とお話をするとか。

——意識的にそのような時間を作るのは大変ではないでしょうか?

松浦:無理やりにでも作るようにしたほうがいいと思います。それは飲み屋巡りでもスポーツでもかまわない。人それぞれだと思います。

自分はゴルフを最近始めたのですが、始めた理由も「ゴルフのクラスターは(自分の理解と)ちょっと違うな」と思ったからです。仕事をしていると、どうしてもその世界の価値観に染まってしまい強烈なバイアスがかかります。そのバイアスを取っ払うためには、自分とはぜんぜん違う社会的なクラスターとの接点をどれぐらい持てるかがすごく大事なんです。

仕事のアウトプットの幅が広がる

——そのような経験が、仕事のヒントになったことはありますか?

松浦:具体的に言うのは難しいのですが、抽象的な話で言えば、いろんな業界を知っていたほうが広い視野で判断ができるかなと思います。

企画のバリエーションにおいても、特定のジャンルだけでやっていると思考の瞬発力が鈍るというか。井の中の蛙になりかけるな、と感じることが若い時からありました。特定の趣味サークルだけで遊んでいるせいで価値観が固定されてしまうのはよろしくないなと。

世の中にはさまざまな価値観の方々がいらっしゃいます。特に私のようにメディアビジネスをやっている人は、いろんな価値観の方々に対してサービスや情報を提供するわけですから、その先のユーザーのことをたくさん知るべきです。

これはメディアに限らず、どんなサービスでも同じです。自分の興味範囲外も含めて触れているほうが、仕事のアウトプットのバリエーションが増えるだろうなと。なんというか、“信じている”に近いのですが、私はそう思っています。

月30冊の読書量を生む、インプット時間のスケジューリング

——多様な情報に触れるという意味では、読書もあると思います。松浦さんは過去のインタビューで、月に30冊も読書されるとお話しされていました。現在もその習慣は続けられていますか?

松浦:30冊までいくかはわかりませんが、ビジネス書だろうが何だろうが読んでいます。

——20代、30代のビジネスパーソンだと、忙しくてなかなかインプットの時間をつくれない方もいると思います。多忙な中でもインプットを続けるにはどうしたらいいか、アドバイスをいただけますか?

松浦:ありきたりなことを言うと、インプットがないと絶対にアウトプットが枯れてしまいます。自分のタスク量を把握した上で、インプットの時間を何でもいいから作るべきです。それは読書でも漫画でも映画でも何でもいいんです。

——スケジュールの段階でその時間を作ってしまうのですね。

松浦:そうです。すべてをアウトプットに費やすのも時と場合によってはありますが、「ちゃんとインプットの時間を持てていますか?」という話です。

少なくともテキストメディアで仕事をしているならテキストのインプットを、映像メディアなら映像のインプットをしておくべきです。いろいろな情報に触れる経験を読み重ねることで、さまざまな人の方法論を知り、後々に活かせることがあるはずです。

上司との交渉もスケジュール術のひとつ

——松浦さんも20代から30代の頃、忙しくてインプットできないと悩まれた時期はありましたか?

松浦:というよりも、少なくとも30代半ばぐらいまではインプットのほうが圧倒的に優先でした(笑)。仕事をまじめにやり始めたのが30代半ばぐらいからいきなり忙しくなった印象ですね。

そうなってすぐに「インプットがないと枯れる」と思ったので、むしろそれに気づいてからのほうが読書量が増えたかもしれません。もともと多趣味でメモ魔みたいなところがあったので、それがそのまま仕事にはまってきた感じです。

——当時、真夜中まで仕事が入るようなことはありませんでしたか?

松浦:いや、当然ありましたよ(笑)。時と場合によってはありましたが、どちらかというと外部要因のほうが多かったです。「これをこの時までにやらなきゃいけない」といきなり積まれて、「そんなのできるわけないだろう」と思いながら、しょうがないからやるとか。

自分の作業量を把握して、ちゃんと上司と交渉してスケジューリングができるかどうかも大事です。今時のマネジメントは、そこをやらないと若手が壊れてしまいますからね。

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