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松浦シゲキ氏に聞く情報整理と業務効率化のコツ(全2記事)

“わからないことの放置”で心も身体も老けていく 柔軟な思考力を養うインプット術のヒント [2/2]

苦手な仕事こそ後回しにしない

——仕事のやり方という点では、松浦さんは2023年にフリーランスとして独立されました。独立後、仕事のやり方に変化はありましたか?

松浦:誰かに言われて仕事をしているわけではないので、良くも悪くも、自分がすべてを判断することになります。正社員であれば、何かしら大きなミッションがあって、そこに応じて仕事をしていくじゃないですか。フリーランスは自分で決めていかなければいけないので、自己判断力に磨きがかかるのはいい点だと思います。でも、つらくなる時があるのもわかります。

——苦手な仕事など、気が進まない仕事はどのように効率的に進めていますか?

松浦:嫌いなものは先に片付けるという意識で、朝一のタスクの中に放り込んでしまいます。後回しにしがちで、面倒くさいなと思いながらそのままになっていることもたまにありますが、最終的に「ごめんなさい、できませんでした」と言うくらいなら、早めにギブアップしたほうがいいです。

例えば、私は書き仕事や資料制作などの、いわゆるクリエイティブな仕事に自信がないので、モチベーションは上がらないですね。だから朝の時間を使って、2時間くらいで一気に仕上げるようにしています。

——スケジューリングの段階で、処理できるように組んでおくのですね。

松浦:そうです。例えば家に家具が届いたら、もう問答無用で建てちゃいます。「プラモデルを買ったはいいけど、いつまでも組み立てずに放置してしまう」みたいなことってありますよね。作るとか組み立てるといった作業は後回しにすると、そのまま放置してどんどんモチベーションが落ちるので、ほかの仕事を後ろにしても問題ないならその場で組み立てるようにしています。

小さくても差別化できるような仕事をする

——会社勤めのほうが良かったなと感じるポイントを挙げるとすれば、どういった点でしょうか?

松浦:会社の規模にもよりますが、会社はチーム戦なので大きなお仕事ができます。もちろん個人で大きな仕事をしている人もいますが、結局チームで仕事をしたほうが大きな仕事ができる人のほうが多いと思います。個人で仕事をしていると、個人のキャパシティ以上のものにはならない。だから、もっと大きな仕事をしたいなと思うと、やはり会社員かなと思う時はありますね。

自分がどこでモチベーションを感じて喜ぶかというと、根っこが“数字人間”なので、「クライアントさんの数字が上がるならこうしたほうがいい」と考えて実行していくことが自分の成績になるし、それがモチベーションになります。デスクワーク系の仕事は、脳みそが衰えない限りずっと前線で戦える。そのプライドやモチベーションを保てるような設計が大事なんじゃないでしょうか。

——モチベーションの上がる仕事を請けるには、やはり専門性を獲得していくことが大切なのでしょうか。

松浦:「専門性って何よ?」という話もありますが、自分はジェネラリストなので、何かに特化した専門性は言うほどないと思うんですよね。それよりも、小さいことの積み重ねをいかに早く進められるかのほうがよっぽど大事だと思います。

この人に頼んだら「プラス1」してくれる、という部分があるかどうか。それはスピードだったり企画力だったり、小さい差別化の部分です。例えば即レスでもいい。「めちゃめちゃレスが早いな」とか、「積極的に手を挙げますね」とか、何でもいいと思います。小さいところからでもアウトプットに参加していくことが大事です。

“わからないまま放置”はストレスになる

——業務効率化のスキルが向上すると、メンタル面にもいい影響があるかと思います。松浦さんご自身がポジティブな変化を感じた事例はありますか?

松浦:これはあくまで個人の感想ですが、仕事は結局、判断の連続だと思っています。判断を効率化するには、元の情報量がたくさんあることが大事です。「1足す1は?」と聞かれて「2」と脊髄反射で答えられるように、情報量がたくさんあれば、判断を効率化できるんです。

もちろん、事実が変わることもあるのでチューニングは必要ですが、脳で考えずにパッと送れるようになるのが大事です。そうしたほうが、なんというか、人として老けないと思います。

——人として老けない?

松浦:“わからないままにしておく”ことって、ストレスなんですよね。判断を拒否すればストレスは溜まらないかもしれませんが、わからないものをわからないままの状況は、その人の心身に負荷をかけている。そうすると、人は精神的にも肉体的にも老けると思います。

——老けるというのは、考えが凝り固まるということですか?

松浦:まさにそうですね。それが精神的な老害化かなと思っています。私も年齢を重ねてきて、周りの同世代を見ていると“柔軟に判断して前に進めていくこと”が大事なんだなと思うんですよ。

一生変わらないことは楽ですが、そうなるとたぶん老いる。人が住まなくなった家はあっという間に朽ち果ててしまうことと同じです。ちゃんと意識してインプットやアウトプットをやれていると、そういう意味では老けないんだなと思いました。

情報過多ではなく、わからないままにするのが問題

——世の中には情報に溺れる人もいれば、使いこなす人もいます。両者の差はどこにあると思いますか?

松浦:人はなぜ水に溺れると思いますか?

——泳ぎ方を知らないからでしょうか。

松浦:そのとおりです。泳ぎ方を知らないから溺れる。つまり、わからないことをわからないままにしてしまうのが原因ではないでしょうか。

水深4,000メートルの海でも、泳ぎ方を知っていたら溺れません。でも泳ぎ方を知らなければ、水深1メートルでも溺れて亡くなります。水の量、つまり情報量の話ではなく、方法論の話です。「その方法をわかって理解しているか?」ということを、どんな場面でもやれているか、やれていないかだけの話だと思います。

——日々の仕事の、ちょっとした疑問点を解決していくということですね。

松浦:そうです。わからないままで放置している人は、何でもかんでも溺れると思います。「情報過多」と言いますが、それはわからないままにしているからですよ。積まれた「わからない」が山ほどあるから「大変だ。目の前にわからないことがたくさんある」っていう状態になるのが怖いと感じてしまうんです。適切に情報処理しているんだったら、どんと来いですよ。

「世の中のすべてがわかる」なんておこがましい話ですけど、一つひとつ、ちょっとしたことでもいいから「わかる」を増やしていく積み重ねが大事だと思っています。

——情報の入手が容易になった分、その情報をどう活かすかのスキルを身につけている人とそうない人とでは、仕事のパフォーマンスにますます差がついてしまうのかもしれませんね。本日は貴重なお話をありがとうございました。

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