お知らせ
お知らせ
CLOSE

「管理職は罰ゲーム」は本当か?(全5記事)

“完璧な管理職”を目指すよりも重要なこと 越川慎司氏が教える、企業のトップ5%のリーダーに共通する価値観

「管理職なんて罰ゲームだ」という声を耳にしたことはありませんか。責任ばかりが重くなり、やりがいある仕事から遠ざかる立場だと捉えられてしまうことも少なくありません。 しかし実際には、マネジメントはチームの成長を後押しし、組織の生産性を高めるための創造的な仕事です。昨今はマネジメントに対する誤解や先入観によって、その本質が見失われているのかもしれません。

今回は、株式会社クロスリバー代表取締役社長の越川慎司氏にお話を伺いました。クロスリバー社の独自調査や支援実績などから裏打ちされた、マネジメントやチーム運営に活かせる具体的なスキルと実践のヒントを語っていただきます。

前回の記事はこちら

越川慎司氏:株式会社クロスリバー代表取締役社長。著書に『世界の一流は「休日」に何をしているのか 年収が上がる週末の過ごし方』(クロスメディアパブリッシング)ほか。

プレイングマネージャーやハラスメントなど課題が山積

——「管理職は罰ゲーム」という風潮が生まれる背景には、どのような要因があると考えますか? また、この風潮をどう捉えていらっしゃいますか?

越川慎司氏(以下、越川):働き方改革で一般社員の残業は抑制されましたが、その結果、管理職の労働時間が2019年比で17%も増加(クロスリバー調べ)している現実があります。特に日本は他国に比べてプレイングマネージャーの比率が高く、日中はプレーヤーとして働き、夜中や休日にマネジメント業務をこなすという過酷な状況です。

加えて、○○ハラスメントへの過度な恐れから、部下への適切な指導すらできない。上からは無理難題を課せられ、下からは突き上げられる。この状況では確かに「罰ゲーム」に感じるのも無理はありません。

ただし、「自分軸キャリア」を構築する上での“選択肢の一つ”として管理職は外せないものだと思っていますよ。

“偶然のチャンス”をつかむ確率が上がる

——ご自身のキャリア戦略において、マネジメント経験をどのように位置づけていますか?

越川
:選択肢を増やして自分で決めるのが「自分軸キャリア」です。マネジメント経験は選択肢と自己決定権を広げる上で重要な機会です。3回の転職と起業を経験して分かったのは、キャリアの8割は偶然で決まること(クランボルツ教授の理論)。だから10年後の完璧なプランなんて不要で、目の前にあるチャンスに自分軸でアンテナを張ることが重要です。

私も作家になるなんてまったく予想していませんでした。マネジメント経験があることで、起業時のチームビルディングや、コンサルティング時のクライアントの組織理解が格段に深まりました。経験の幅が広がれば、それだけ偶然のチャンスをつかむ確率も高くなります。

——マネジメント業務を通じて得られた、最も価値のあるスキルや気づきは何ですか? また、それは現在どのように活かされていますか?

越川:最も価値があったのは「多様な人材を活かす力」ですね。815社の組織改革を支援する中で痛感するのは、組織は同じタイプの人ばかりでは成長しないということです。

マネジメント経験を通じて、異なる価値観や強みを持つ人たちをいかに組み合わせて成果を出すかを学べました。これは起業時にも転職時にも、どんな環境でも活かせるスキルですね。

完璧な管理職を目指すよりも行動量が重要

——管理職として直面した課題と、それをどのように乗り越えたか、具体的なエピソードを教えてください。

越川:私が成果の出ないチームを任された時のことです。メンバーは優秀なのに、なぜか結果が出ない。最初は戦略や仕組みの問題だと思っていましたが、よく観察すると、みんなが「会社軸」で動いていることに気づきました。

「上司に評価されるため」の行動ばかりで自分軸がない。そこで一人ひとりと面談し、「君が本当にやりたいことは何?」と聞き続けました。自分軸が見つかった瞬間、彼らの行動量が劇的に変わったんです。結果、半年後にはトップチームになりました。

——これからマネジメントに挑戦する方、または現在悩んでいる管理職の方へのアドバイスをお願いします。

越川:完璧なマネジメントを目指して悩むより、まず行動量を増やしてください。私が支援した企業のトップ5%のリーダーたちに共通するのは、とにかく打席に立つ回数が多いこと。

部下との1on1、新しい会議手法の導入、他部署との連携など、「これだ!」と思ったらすぐに試す。失敗しても学びがあるから、次の成功確率が上がります。

組織軸と自分軸の接点を見つける

——専門性を深めるキャリア戦略において、組織やチームとの関わり方をどのように工夫されていますか?

越川:我々クロスリバーが2.3万人の調査をしたところ、一日の稼働時間のうち76%は他人の協力が必要な仕事をしていたんです。

専門性を深めながらも、常に「自分の専門性が組織にどう貢献できるのか」のアンテナを張り続けることが重要です。私の支援経験では、トップ5%社員は組織軸と自分軸の接点を見つけるのが上手いのです。

例えば、自分のスキルを活かした社内勉強会を企画したり、他部署の困りごとを専門性で解決したり。組織全体を俯瞰して価値提供する点では管理職と同じですね。だから将来的にマネジメントに移行する時も、その経験が活かせると思うのです。

——マネジメント経験を積まずに影響力を発揮し、成果を上げるために意識していることがあれば教えてください。

越川:影響力の源泉は「この人に任せれば間違いない」という信頼の積み重ねです。私が転職を重ねても毎回評価されたのは、専門性だけでなく「行動量の多さ」でした。成功確率が5%でも「これは自分軸に合う」と思ったら即行動。20回トライすれば成功確率は64%になる計算です。

重要なのは、自分の専門性を使って他人を成功させること。後輩の相談に乗る、困っている同僚をサポートする、新しいアイデアを積極的に提案する。権限がなくても、価値提供を続けていれば自然と影響力が生まれます。そして、その経験は将来どんなキャリアを選択しても必ず活かせる財産になります。

——将来的にマネジメント職への転換を検討する場合、どのような準備や心構えが必要だと考えますか?

越川:準備としては、今のうちから「人を育てる経験」を積むこと。後輩指導でもプロジェクトリーダーでも何でもいい。そして重要なのは、完璧を目指さないこと。キャリアの8割は偶然で決まるんです。マネジメントに興味を持ったその瞬間が、すでに準備の始まり。アンテナを張って、関連する情報や機会をつかんだらすぐ行動する。その積み重ねが成功を引き寄せます。

マネジメント職とプレイヤー職のどちらを選ぶべきか

——マネジメント職とプレイヤー職、それぞれの魅力をどのように捉えていますか?

越川:どちらも「選択肢を増やす」という観点では同じですよ。プレイヤー職は専門性を深めることで市場価値を高められる。一方、マネジメント職は人や組織を動かすスキルが身につく。私自身、両方を経験したから起業もコンサルティングもできています。

重要なのは「どちらが正解か」ではなく、「今の自分軸に合うのはどちらか」です。815社の支援で分かったのは、自分軸で選択した人はどちらの道でも成功するということ。選んだ道を成功にしている、という方が正しいかな。

逆に、他人軸で選んだ人はどちらを選んでも苦しんでいる。まずは自分の価値観を明確にして、それに基づいて判断することが何より大切ですね。

——キャリア選択を行う上で、最も重要視している判断基準は何ですか?

越川:「10年後の自分」とかを描く必要は必ずしもないと思ってます。私だって無かった。10年前に累計120万部の作家になるなんてまったく想像していませんでした。キャリアの8割は偶然で決まるんですから。

大切なのは、目の前の選択が自分の価値観に合っているか、そしてその選択によって新しい経験や学びが得られるかです。成功確率が低くても、「これだ!」と自分軸で感じたら挑戦する。

失敗しても学びがあるし、行動量を増やすことで偶然のチャンスに出会える確率も上がります。完璧な判断より、自分軸での迅速な行動が重要だと考えています。

トップ5%のビジネスパーソンに共通するアクション

——同じような立場でキャリアに悩む読者の方へ、判断のヒントになるメッセージをお願いします。

越川
:完璧な判断を求めて悩み続けるより、まず行動してください。私が17万人のキャリア支援をして確信しているのは、「動きながら考える」人が最も成功するということです。トップ5%の人たちは、成功確率5%でも自分軸で「これだ!」と思ったら即行動。マネジメントかプレイヤーかで悩んでいるなら、まず興味のある方向に小さく一歩踏み出してみる。

社内でリーダー的な役割を引き受けてみる、専門性を活かした提案をしてみる、何でもいいんです。行動量の多さが成功を引き寄せます。キャリアに正解はありませんが、自分軸で動き続けていれば必ず道は開けますよ。


小さな挑戦を積み重ね、自分軸でキャリアの選択肢を広げていくことで、偶然のチャンスをつかむ確率も高まります。
一歩を踏み出す行動量こそが、あなた自身と組織の未来を大きく変える力になるはずです。
ログミーBusinessではマネジメントスキルをはじめ、キャリア形成やチームづくりに役立つ記事を数多く掲載しています。ぜひ他の記事もご覧ください。

※この記事にはプロモーションが含まれています。

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
スピーカーフォローや記事のブックマークなど、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

すでに会員の方はこちらからログイン

または

名刺アプリ「Eightをご利用中の方は
こちらを読み込むだけで、すぐに記事が読めます!

スマホで読み込んで
ログインまたは登録作業をスキップ

名刺アプリ「Eight」をご利用中の方は

デジタル名刺で
ログインまたは会員登録

ボタンをタップするだけで

すぐに記事が読めます!

関連タグ:

この記事のスピーカー

同じログの記事

この記事をブックマークすると、同じログの新着記事をマイページでお知らせします

コミュニティ情報

Brand Topics

Brand Topics

人気の記事

    新着イベント

      ログミーBusinessに
      記事掲載しませんか?

      イベント・インタビュー・対談 etc.

      “編集しない編集”で、
      スピーカーの「意図をそのまま」お届け!