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なぜ、タレントマネジメントとサクセッションプランは形骸化するのか? 「後継者が育たない」「人が見えない」組織の共通点(全3記事)

本当の意味の「適所適材」を叶える組織開発のヒント タレントマネジメントで実現するプロ集団づくり

【3行要約】
・経営戦略と人事戦略の統合は重要とされているが、多くの日本企業では組織開発が軽視されているという課題があります。
・いすゞ自動車のCHRO有沢氏は「現在は人的資本経営への注目が高まり、タレントマネジメントの重要性が増している」と指摘。
・企業は適材適所から適所適材への転換を図り、システムを活用した戦略的な人材配置と組織開発を進めるべきだと提言します。

前回の記事はこちら

経営戦略と人事戦略は必ず同一の目線で見る

有沢正人氏:今までの話を駆け足でしてきましたけど、まとめます。私がCHROとして目指しているのは、まずいすゞはIXというのがあって、これは何かというと長期のミッションとか、いわゆるバリューとか、パーパスとかと言われるものなんですね。これを2030年までに、売上6兆円を目指すと。

数量的なものだけではなくて、「地球の『運ぶ』を創造する」というのがあるんですけど、これはIDといって中期計画なんですね。この中で「地球の『運ぶ』を創造する」ということをコアバリューとか、ビジョンとか、ミッションとともに、このIDを作っていきたい。

そこからバックキャストしたら「じゃあ、今は何をしなきゃいけないのか?」を基本的に人事のほうで落とし込んで考えていきます。だから経営戦略と人事戦略は必ず、連動していないです。本当の意味では同じなんですが、同一の目線で見なきゃいけないということが大事で「じゃあ、それを人事的にどうするか?」というと。

いすゞIDって「地球の『運ぶ』を創造する」は、例えば人的資本経営とかグローバル視点から見ると「『運ぶ』を創造する」「『運ぶ』を支える」。こういった人たちの仕事っていうのは、機能軸で生産、設計、開発、営業とかそういった機能ですね。ファンクションの軸もあるし、それを刺すような人材戦略とか人事制度があるし。

ここを基本的にちゃんと整備して「仕事と組織が何か?」。人のことはみんなよく話すんですけど、組織のことを話すのって日本の会社って、ものすごく苦手です。昨日もある大学の先生と話したんですけど、タレントマネジメントをやりながら、オーガニゼーション・デベロップメント。今本当に組織開発をする人は少ないんです。

だからそれがわかっている人事の方ってものすごく少ないので、みなさんぜひ、将来組織開発をご経験というか選んでいただければなと思います。そうすると、目指すは何かというと、いすゞの中でいすゞの提供価値の変革とか、拡大に向けて、人材のグローバル化とか。

これは事実的な、冒頭に申し上げたタレントデベロップメントで、タレントマネジメントシステムを使いながら、この事実的な最長投資を支援していくことと。そもそもプロの集団で、マネジメントのプロ、経営のプロ、現場のプロ。このいずれも全部すばらしいプロです。このプロに、みなさん従業員の方々になっていただくのは大事です。これを、2026年までに一応いすゞの中でやろうとしています。

タレントマネジメントをやりながら「組織開発」をできる人が少ない

有沢:まず仕事の設定ですね。ジョブって、ジョブ型に移行するかどうか非常に議論しているところなんですけど、一緒になってUDトラックスという、ボルボから買わせていただいたこの会社が、IPシステムというジョブ型を入れています。

こことどうやって合わせるかは、今議論しているところです。それと適材適所ではなくて、適所適材。今流行り言葉みたいに言われているんですけど、本当の意味の適所適材は、先ほど言ったタレントマネジメントシステムがないと、なかなかできません。公正な評価と報酬ですね。「公平」じゃないですよ? 公平というのは僕の嫌いな言葉なんです。

「公平」というと、悪平等とか、そういったことにも結びつくので、公正。フェアであることの評価と報酬を作ることが大事です。私が入る2025年に入ったんですけど、その前からいすゞはスタートしました。全社に2025年から展開しているんですけど、正直なかなか進んでいません。

人事としては、本当に私は謝り侍みたいにライブ配信で課長全員に謝ったとか、そんなことをけっこうやっているんです。やはり現場にいて、エンゲージメントサーベイとかで声を聞いたら、その声を打ち返す基本的施策を打たなかったら、現場はあっという間にやる気をなくします。「なんだ。人事とか言ってもぜんぜん聞いてくれないじゃん」ってなっちゃうので。

やはり声を聞いたら活かすことは、ものすごく大事です。いすゞグループでは管理職と全体に向けて、この4月からUDトラックスって、ふだんグループ企業間全体で人事制度を展開すると。これに必要なのが、先ほどから申し上げているタレントマネジメントシステムと、これを統合するサクセッションプランですね。

これを基本的に展開すると、M&Aとかいろんなことをやられても、必ずどこかうまくいきます。「うまくいくはずだ」と思っていますので、ぜひ参考にしていただければと思います。(スライドを示して)いすゞの人事戦略と経営戦略の未来ということで、ごちゃごちゃと書いてあるので、わかりにくいかもしれませんけど。

人財と、集団と、基盤で考えた時に、基盤のところを、タレントマネジメントシステムを使えってよく言われるんですけど、そうじゃないんですよ。人財の一番上が実は一番大事で、そこにタレントマネジメントシステムを使うと。人財ポートフォリオとか、エンゲージメントの向上とか、こういったところが大事です。

今の現状がAs Isとすると、To Beのあるべき姿は、いすゞは「グローバルな変化に迅速に対応し『運ぶを創造』していくプロ集団」と言っているんですけど。タレントマネジメントシステムを使ったプロフェッショナル集団を作ることと、挑戦する組織って何かというと、要するに、いろんな意見が出る状態にしないと、先ほど言ったイノベーションは起きないんですよ。

ダイバーシティが何のためにあるかというと、健全なコンフリクトを生み出して、そこに「意見の衝突を求めることを目指します」ということが大事。これを経営戦略と連動させることを、我々人事がやっています。

CHROとして目指すもの

有沢:最後のページになるんですけど、経営戦略と、事業戦略と、人事戦略の、この3つが一体化してこの中に人事戦略があるということですね。CHROは「More Effective」という言葉を書いたんですけど、左下を見ていただくと、これはもう誤解を恐れずに言いましょう。人事担当者の方が聞いていたらごめんなさい。

一般的に人事担当役員というと、先ほど申し上げた「効率化を目指して、ヘッドカウントで考えて、どうしても人件費を削減する」っていうかたちでいますね。よく新聞でも出ます。だからインプルーブ、改善になります。でもCHROは、そもそも戦略で経営ですから何を目指すかというと、経営戦略と人事戦略が基本的に統合されているということ。ここを目指します。

なのでCHROは、More Effective。投資対効果を目指します。費用対効果ではありません。ここを目指すところなので、イノベーションとかクリエーション、新しいものを作ることが大事ですね。だから、今私がやっていることって経営に近い立場で新任制度をどうやって浸透させていくかということと。

困り事を聞いて、それを打ち返すということです。聞く力はHRBPとして高めてきたんですけど、これに答えることをやらないと、何か施策を打たないと、現場はあっという間に人事に対して信用をなくします。

それを支えるためのタレントマネジメントシステムです。誰でも使えるタレントマネジメントシステムと、今言ったサクセッションプランをやって、ちゃんと将来が経営にとって見えるようにすることがものすごい大事です。駆け足で、お話しさせていただきました。何かあったらぜひ、ご質問いただければと思います。みなさん、ご清聴ありがとうございました。

「異動希望」は6〜7割叶えることをKPIに


司会者:有沢さま、貴重なお話ありがとうございました。私自身も人事の責任者をやっていますので、非常に学びも多く、聞きたいこともたくさんあります。リアルで視聴いただいている方からもたくさんご質問が来ています。

まずご質問いただいているのが、人事異動の希望制度です。「まずは希望から始めていく」というお話だったと思うんですけど、この方の質問は前異動者。半年とか1年に1回異動があると思うんですけど、そのうちの「自分の希望で異動した人の割合が、高ければ高いほどいいんじゃないか?」とお考えだそうなんです。

今までの有沢さんのご経験で「異動者における希望の実現度」。これって何かKPIとして見られてきたことありますか?

有沢:目標はだいたい6割から7割を置いていました。全員の異動の希望を聞くというのは無理なんですよ。第5希望まで聞いても拾えない人はいます。だけど6割、7割ぐらいは、第5希望まで基本的にどこかに異動させてあげないと、やはり「言っても無駄じゃん」ってなっちゃいます。

なので、だいたいラインとして6割、7割。あとは経営の意思として「こういう異動希望が出ているけど、この人はコーポレート人材で経営企画室に異動させたい」とか「人事をやらせたい」って、あるじゃないですか。そういった人は、残りの3割ぐらい。あとは異動の希望は、誰でも聞く。聞く機会は基本的に全員に、与えるって言ったら失礼な言い方ですけど、これは大事だと思います。

司会者:じゃあまずは全員に必ず聞いた上で、6割から7割はそれが叶えらえると。

有沢:だからなるべく第5希望まで聞いてあげることが、大事なんですね。

司会者:ちなみに、この希望を聞いた6割、7割のイメージって、この職種っていう話と、あとは時期のお話もあったと思うんですけど、この時期ってどのぐらいを想定されているんですか?

有沢:時期は大規模な異動の時が一番なので、年に2回。前の会社は4月、10月。今の会社は4月なので、年に1回ですね。少なくとも年1回か2回ぐらいの時ですから、基本的に全部叶えるのは大変なんですよ。

前の会社だと異動希望を出すと、異動希望をした先方の本部長に、その人のデータが全部いくようにしてあるんですね。システムでいくようにしている。

司会者:「あなたの部署に行きたい人は……」みたいな。

有沢:「こんな人が来ています」と。固有名詞がきて、こういった内容が全部行くので。なんかよくコマーシャルで「え!? こんな人がうちに!?」ってなっちゃって(笑)。まさにあれです。

それで問い合わせがあって、「有沢さん、本当にこの人がうちに希望をしているの!?」って言われて。「嘘ついてもしょうがないし。ちゃんとシステムでいったでしょ? タレントマネジメントシステムで」って言ったら「いや、ほしいな」って本部長同士で話し合いが始まるんですよ。人事が介在しないでいいんですよ。

「お宅の〇〇さん、うちを希望しているみたいだけど」って。「そうみたいだな。行かせてやろうかなと思っているんだけど。でもそうすると後任がいないんだよ」ってなると。

「じゃあ、後任って、どこそこの〇〇さんとかは? 彼がいいって言っているから彼に聞いてみるか」って言うと、本部長同士で異動の話がされるので、人事がめちゃくちゃ楽なんです。だからタレントマネジメントを入れると、人事が本当に戦略的な仕事に専念できるんです。

人事担当者が組織開発を学ぶヒント

司会者:もう1つちょっと違う切り口で。役員の方の育成ですね。選抜の育成がありましたが、先ほどマーケティングの役員の方がしばかれるっていう場面があったと思うんですけど。もちろん、あれは裏側ではその専門の知識をプロフェッショナルとして持っていてほしいということがあったんですけど。

これは例えば外部の教育機関、例えば大学院に通うとか、博士号を取るとか、こういうのも有効ですか?

有沢:もちろん有効です。逆にこういう研修を受けてから大学院に行く人がいるんですよ。

役員で「有沢さん、ビジネススクールに行きたいんだけど、いいかな?」と聞かれて、「どうぞ、お好きに」と言いました。それで前の会社は基本的に在宅勤務、テレワークだったので「仕事に支障がなければ、行っていいですよ」って。だいたいそういったところとかって夜間とか土日なので「その時間を使って行ってください」と。

「時間はあげるけど、お金はあげられません」って言って。私は冷たいので「金はない!」って言って威張ります。だから「いいですよ、行ってください」って。こういう研修を受けると、役員のモチベーションに火がつくんですよ。だからそれを自律的に火をつけるための仕組みという感じですかね。

司会者:ありがとうございます。ちょっと最後に1問。

最後のほうに言及いただきましたけど、やはりタレントマネジメントだけではなくて人的資本、そして組織開発を進めようと思った場合に「どんなことから始めたらいいか?」も、そうなんですけど、まず「(どんなこと)を学んだらいいか?」。「人事担当者、人事責任者は何から学んだらいいか?」というところをぜひ。

有沢:組織開発の講演ってあまりないんですよ。組織開発がわかっていらっしゃる人事の方や専門的にやっていらっしゃる方もあまりいないので。まずは組織開発の本を読むこと。いろんな本が出ています。神戸大学の金井(壽宏)先生とか、学習院大学の守島(基博)先生とか。

こういった方々の本を読むことと、そういった方々は「組織開発の講座を取ったほうがいい」って言います。いろんなところでやっている、グロービスとかがあるので。そういったところを取ったほうがいいです。

中では正直それほど学べないです。要するに「箱をどうやって作るか?」っていうことなので。箱の議論って、人の議論はできても、箱の議論ができない人が圧倒的に今は多いです。この箱の議論ができるようにするには、自分でレベルアップをするしかない。欧米とかにはそういったインスティチューションというのかな。箱を教える機関があるんですよ。

ところが日本には、残念ながらほとんどないです。今言ったような大学にしかないので。先生方の講演に行くとか、アーカイブを見たりとか。YouTubeとかで「組織開発」ってやるとたぶん出てくるので、そういったものや本で学ばれたり。私はリアルで、その講座を受けたほうがいいと思います。

司会者:有沢さん自身も受けられて、今は教えられる立場でもありますもんね。

有沢:そうですね。僕はMBAに行きました。そのMBAで、アメリカで散々、組織開発をやらされました。日本ではまだHRのHもない時代だったので、もう衝撃を受けました。「そうか。人のことをやるには、まずオーガニゼーション・デベロップメントが必要なんだな」とわかりました。

別に僕はどこかからお金をもらっているわけじゃないですし、MBAに行く必要はないと思いますけど、そういったものに近しい講座とかを受けられることが望ましいかなと思います。

司会者:有沢さん、ありがとうございました。

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