2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
リンクをコピー
記事をブックマーク
濱口秀司氏(以下、濱口):こんにちは、よろしくお願いします。
プレゼンの前に、僕はガンガン大阪弁でいきますんで、よろしくお願いします。
今日KOKUYOさんに呼んでいただいて、名前は濱口と申します。1時間いただいてお話したい内容が3つあります。
もちろん1つめがイノベーションの方法ですね。どうやってイノベーションを起こすのかと。
2番目が、日本人とつなげようと思います。日本人とイノベーションとどんな関係があるのかと。日本人はイノベーションが得意なのか、不得意なのか。これ2点目ですね。
3番目ですね。もし得意であればより強くするために、もし不得意であれば克服するために何をしなきゃいけないのかと、この3点をお話していこうと思います。
プラス、せっかくお時間をいただいていているので、自己紹介とか、何でこんなものがなかったんだみたいな背景の話もさせていただこうと思います。よろしいでしょうか? ぶっちゃけ、結局何が言いたいかと言うと。この1時間で。結論先に言っちゃいます。
まず言いたいこと。実はイノベーション力において、日本人は本来最強であると。「日本人イノベーション最強論」を今からしゃべっていきます。これ本邦初公開です。今年何回か言おうかと思ってるんですけれども、今回は一番目ですね。
ただし2つのハードルを克服すれば、と。「2つのことを克服すれば世界最強になれる」。これが僕の持論ですね。
2つというのは後で詳しく説明しますけれども、1つがフレームワークです。物事をどう捉えるかというフレームワーク。簡単に言っちゃうと、日本人は小さく捉えすぎていると。これが1つめですね。
もう1つ、マネジメント。イノベーションというのは非常に難しいです。後で申し上げますけれども、不確実性を伴ってやってくるので、経営者から見ると分析しにくいと。これをいかにマネジメントするかと。
でもこの2つを乗り越えれば、実はイノベーションに最も近い民族が日本人であると。もちろんこの中で日本人でない方がおられたら、後で殴りかかってこないでくださいね(笑)。
まず自己紹介からいきます。濱口秀司、一体何者ぞやと。人にはそれぞれ得意な仕事分野がございます。
今日はちょっと違った見せ方をしようと思っていまして、こんな数字が書いてあります。
これって一体何でしょうか? なぞかけじゃないんですけれども。
0から1を作るのが得意な人がいます? 全く何も無いところから、発想を豊かにですね。こういうのが得意な人もいますね。会社でこういう方も必要ですよね。加えて、今度は出来上がった新しいものをとにかく立ち上げると。こういうのが得意な人もいますよね。立ち上げ屋みたいな。それをガガッと大きくすると。こういう方もいますよね、ビジネスマンで。
そして、例えば1万になったものを保持すると。1万が9千にならないようにがっちり保持すると。こういう方もいますよね。その1万を少しずつでも伸ばしていく。こういう仕事も必要ですよね。会社の中で、これ全部そろわないと回らないです。どの仕事も重要です。
こういう見方ですね。もちろん、これ1万を下げていく人もいると思うんですけれども、今日はその話はしないようにします。
私はこの0、1、10です。新しく作る、0から全く何もないところから発想して、問題を解決するというのは非常に得意ですね。それから立ち上げも得意です。大きくするところはやったことはあるんですけれども、そんなに得意じゃないです。自白すると、これが僕のキャラクターですね。
0、1、10というのは一体何なのかというのを、少しだけ自慢をさせてください。
1つめが、USBフラッシュドライブです。これは掛け値なしに全くゼロから、このUSBにフラッシュをつけてドライバーで認識させるというものを作ったのは僕ですね。
99年に思いついて、2000年にイスラエルの会社に作らせています。これは大成功してますね。多分5年間で0から250ミリオンぐらい売ってますね。ミリオンっていうの個数ですね。ユニット。皆さん使っておられますよね。
少し昔の話になるんですけれども、皆さんイントラネットを使ってますよね。日本で最初にイントラネットを作ったのはサイボウズっていう会社、ご存知です? サイボウズの高須賀がパナソニックにいる時に、高塚と僕が作ってるんですね。日本初のイントラネットを、商用イントラネットは私たちが作っていますね。全然グラフィックデザイナーでも、プログラマーでもないんですけれども、当時プチッと押すボタンのデザインまで僕やりましたね。これがまた0、1ですね。
それから皆さん、イオンドライヤーみたいな。これもだいぶスタンダードになってますよね。これの一番最初を作ったのが僕です。マーケティングで、松下電工からイオンドライヤーっていうのが出ている時に、髪の毛が描いてあって、イオンドライヤーを使ったときと使ってないときっていうのが、ダイエーとかあちこちで写真に載ってたんですけれども、あの電子顕微鏡をとったのが僕です。
それとかですね、こういう商品だけじゃなくて、積層板。積層板事業で、劇的にある工場の生産性を上げています。プロが入って生産性を50パーセント上げたいのに15億円かかるといったものを、6千万円で3ヶ月で1.5倍にしたりですとかね、こういうこともやりますね。0、1ですね。
それから、これ面白いケースです。日本では知られていないんですけれども、アメリカではもうミラクルと呼ばれているんですけれども。コールマンっていう会社ご存知です? アウトドアの。1995年、気が狂ったんです、あいつら。で、売上が伸びないと。我々のブランドというのは過酷な環境から人間を守るというブランドだと。よし、それを室内に持ち込もうと。
室内で人間を守るといったら何かというと、火災報知機だと。火災報知機を作ったこともないのに、アメリカの企業なんで、人を雇ってきて作り始めようとしてZibaに来たんですね。その時僕が参画して、何が起きたかと言うと、ちょっとしたトリックをしたんです。これデザインで売れたんじゃないんですね。ぶっちゃけ言うと、何をやったかというと、部屋ベースのコンセプト出したんです。
それまでは、火災報知機というのは、店に行くとドバーといっぱい並んでて、5ドルから300ドルで、「でも俺の命を守るから5ドルは安すぎる」みたいな。「でも300ドルは多いな」みたいなので適当に選ぶっていう市場だったのに、部屋別のコンセプトにしたんですね。これは例えばキッチン用です。寝室用です。例えば、スモークデテクター(煙報知機)が壊れて店に来たときに、「あ、寝室のが壊れている。買おう」と。
新しい家に移ったと。うちはベッドルームが3つだから3つ買おうと。子供が生まれた。子供用にこれを買おうと。一瞬で判断できるようにしたんですね。
これ何が起きたかというと、これは伝説なんですけども、1年目でマーケットシェアが何パーセントになったと思います? 多分いろんな事業をされてると思うんですけれども。初年度、全くゼロ。そして、コールマンのブランドが39パーセント、市場の4割を一気に取ったんですね。これが業界でえらいことになってしまって、ナンバーワンのファーストアラート、それからサンビームがぐちゃぐちゃに入って買収劇が起きて、98年にコールマンはこの事業を手放して、ファーストアラートが買収したことによってまたナンバーワンに戻ったと、こういうやつですね。これも僕がやっていますね。
それからフェデックス。たまたまなんですけれども3日前、アメリカの雑誌のファストカンパニー。アメリカのことをよく知っている方はそういうビジネスの関係のおもしろい記事が書いてある雑誌なんですけれども。
2010年からフェデックスのブランドが劇的に上がってるんですね、ブランド価値が。それのケーススタディが書いてある本があって、そのケーススタディーは僕がやったやつです。時間があれば、またこの後に説明しますけれども、こういうこともやっています。ブランド価値を高めることも。これもいっぱい賞を取りましたね。
この箱なんですけれども、ついこの間オープンにしていいって言われたんで出しますけれども、カークランドというブランドがあるんですね。で、石鹸売ってたんですよ。全然売れなくて、あるトリックをかましたんです。これは実はパッケージを、見せ方を変えたんですね。
日本だとちょっとわかりにくいんですけれども、実は箱買いをしたり、それを例えば自分の倉庫に並べたり、そういういろんな使い方をする人に向けて、実は箱を変えることによって、売り出し時点から、このパッケージを変えただけで、売上がコンスタントに50パーセント増しになったという事例ですね。こういうことをいろいろやってます。
それから銀行の事例もあります。銀行で、預金高を1ヶ月で240パーセント上げました。
USBのフラッシュドライブを1つのイノベーションと、あの程度のものを数えるのであれば、多分僕は220個以上作ってると思います、この手のやつを。
これ自慢しているわけじゃなくて、何が言いたいかというと、やり方があります。これ天才じゃないし、まぐれあたりじゃないです。だんだん上手くなってるんですけど、やり方に沿ってやってて、再現性があります。これが、今日皆さんにお伝えしたいことですね。やればできると、学べばできるということです。よろしいでしょうか。
やり方をご説明する前に、ちょっと物事には背景っていうのがありますので、ちょっとバックグラウンドの話をしていこうと思います。何をやってきたかっていうよりも、なぜこんなプロセスに行き着いたのかという、そのお話なので、紹介したいと思います。
最初、働き始めたのはパナソニックなんですね。研究所に入ってたんですね。で、会社で何が起きてるのかなあって研究しながらずーっと2年くらい見てたんです。2年間、いろんな会議に出たりした後に、あるダイアグラムを描いたんですね。それは会社のプロセスを分析したんです。一体何が起きているんだろう、会社の中で。難しい話を除いて、遠くから見たときに何が起きているかと。
研究開発しますよね。それから商品開発しますよね。もしくは部署で、今度組織をどうするかディスカッションしますよね。あの会社買うか買わないかってディスカッションしますよね。で、そこに共通のプロセスがあるという発見をしたんですね。
それは、こういう形です。4段階です。コンセプトを作る。次に、そのコンセプトを実現する戦略を作る。次に、戦略はもちろん1つじゃなくて3つぐらいあったほうがいいですよね。魅力的で実行可能な戦略がA、B、Cあったほうが楽しいですよね。「Aいこうかな、Bいこうかな」「Bいったらこんなことが起きるしな」「Aいったらこういうことが起きるしな」って悩みながら最後に選ぶと。選んで初めて、executionで実行すると。実はこの4段階があるということに気が付いたんですね。
どんな時でも、いきなりexecutionには行かないですよね。例えば実験する時に、試験管いきなり振らないですよね。何かコンセプトがある。組織替えも、いきなり朝来て組織替えはしないですよね。何かコンセプトを考える。この4段階があるんじゃないかなあと。
で、これに対して、こういう実はプロファイルを載せてみたんですね。「degree of freedom」と。自由度。自由度どんだけあるのと。こんな形になってるはずなんです、自由度は。
例えば、コンセプト作ってくれよと言われたら、最初何やってもいいわけですね。何やっても。
例えばもと松下電工、照明事業やってて、照明事業で困ったことになったと、利益が上がらないと。「何かやってくれ、濱口」と。何やってもいいわけですよね。新商品作ってもいいし。例えばチャネルを変えてもいいし、流通の方法を変えてもいい。何をやってもいいわけです。
だから、照明というコンストレイントが入っても、制約条件が入っても、実は自由は360度すごい高いんです。ただ、コンセプトを作った最後の段階では、自由度は下がってないといけないですね、この辺りまで。
そして、戦略を作ると。A、B、Cって決まってくると下がりますよね。選ぶと下がりますよね。日々のexecutionはどんどん下がると。ビジネスっていうのは、自由度をガンガン下げていく、こういう作業なんだなっていうことに気が付いたんです。当たり前ですよね。
いきなりexecutionで、チームに「よきにはからえ!」って投げれないわけで、何か制約条件をつけていくと、こういうパターンだということに気が付いたわけです。
で、ずっと観察して会議を見ていると、もしくはディスカッションを見たり、研究開発だとか見ていると、もう1個プロファイルが見えたんですね。これ何かというと、「どんだけ人、もの、金をかけちゃってんの」と。「どんだけ頑張ってんの」っていうプロファイルですね。これ逆っぽいんです。逆っぽい。
どういうことかというと、executionではすごい頑張ってるのに、会社の中で「いや、戦略意思決定は大切である」って言ってるんだけど2時間ぐらいで決めてたりとか、「戦略を作るのは鍵である」って言ってるのに、戦略会議入ってもよくわかんない会議してたりとか。「コンセプトを作るのが大切だ」って、一番上流だから言ってるのに。
例えばウォシュレットの開発やってるときに、TOTOさんのウォシュレット、INAXさんのウォシュレット、そして我々のウォシュレット。で、性能表が書いてあって、「あ、抜けてるこれ。入れてみよ」って、これがコンセプト開発なんですね。これ何かおかしいですよね。
当時笑ってギャグで言ってたのは、「これ、タイタニック号の上で、皆で一生懸命きれいな音楽を聞いたり、机並べて美味しいご飯食べてるけれども、船は氷山にぶつかっていってる」と。こういう状態に近いプロファイルだというのが発見だったわけですね。
考えたわけです。「おかしい」と。「何がおかしいか」と最初思ったのは、役員さんとか、上の人がアホじゃないかと。大切なことに時間をかけないで、決まっちゃってることに頑張ってるなと。こういうのはディスカッションすると全然違うんですよ。やっぱり悩んでるんですね。考えてるんですよね。
で、発見がこれです。「ツールが無い」と。「方法論は無い」っちゅうのが発見です。
どういうことかというと、例えば右端のほうで「濱口、カスタマーサービスの仕組み作ってくれよ」と言われたら、僕は無限に時間使いますよね。本屋に行って勉強して、会議を毎日開いて、これ無限に時間使えるんです。executionフェーズでは。
ところが、コンセプトを作る段階になった時に、実はツールが無いんですよ。これ会場でやってもすぐわかると思いますけど、僕今マイク持ってますね。このマイクをイノベイティブに変えてくださいって皆さんに渡しますよね。5分だけ考えてくださいって言うと、5分は皆さんすごく有効に使えるはずです。自分なりのやり方とか、直感とか、過去のやり方を使って、例えばノートの上に5分間は有効に使えるんですよ。で、それはすごくいいブレストだとか考え方だと思いますね。
ところが、僕が1週間皆さんに時間をお渡しすると、段々失速します。水曜日ぐらいにリサーチをしないといけないだったり、文房具屋に行ってこようと、チェックしようと、もしくはコンペティターの商品を買ってみようとか。
もしくは金曜日くらいになると、「いや、もうちょっとインスピレーションが欲しいから上野動物園に行ってパンダ見たい」みたいな。もう失速すると。これが、実はツールが無い証拠ですね。
で、もっと過酷にしようと思えば、365日、1年間お渡ししますと。1年後に会いましょうって言ったら、本当に365日きっちりと考え続けられるか。頭を有効に使えるかって、使えないですよね。
これ何を意味しているかというと、方法が無いということです。これに気が付いたのが、入社3年目です。で、このチャートで見て、「いや、意思決定は結構適当に決めとるし、戦略っていうのは、なんかMBAの本見てもマイケル・ポーターの分類の仕方しか書いてないし、どうやって作ったらいいかわかんないし、コンセプト? 誰が作ってるんだろう」と。で、これを1個1個片付けて方法論にしようというのを決めて、これが僕の20年以上のビジネス人生を左右してますね。
結論から言うと、もう全部作りました。これ嘘ですね(笑)。decisionに関しは、decisionマネージメントっていう、すごいいいものがあって、それをチューンしただけです。ただ、戦略作りとコンセプト作りは全部自分で作りましたね。
ただ、僕は大学の先生じゃないんで、全部ビジネスケースです。で、数えたことはないんですけれども、400台まで数えてやめたんですけれども、全部リアルなビジネスのプロジェクトを使いながら、この手法論を確立していきました。
パナソニックの中でもやりましたし、Zibaでもやった。Zibaに行った理由っていうのは、あそこでアメリカの企業をモルモットにして戦略を作ろうと。戦略方法論を作ろうというために行きましたね。これが僕のバックグラウンドですね。
まとめますと、方法論にフォーカスする。僕は天才じゃないです。全部方法論です。2番目、でも僕大学の先生じゃないんで、ビジネスフォーカスです。本当にリアルなビジネスをやっています、いつも。3番目が机上の空論じゃないです。本当にイノベーションを作っています。
先ほどの規模で言えば120個。言えないのもいっぱいありますけれども、皆さんが使っているものの中で、3つか4つは間違いなく僕が作ったのを使っています。USBをのぞいてですね。こういうのが僕ですね。
1を10にするのもすごくおもしろい話なんですけれども、今日はイノベーションということなんで0から1をつくるお話をさせてもらおうと思います。
先ほどのチャートで言うと、一番端のところですね。ものすごく自由度が高いところから、何か新しい方向性を見つけると。この部分のお話をしたいと思います。
2024.11.13
週3日働いて年収2,000万稼ぐ元印刷屋のおじさん 好きなことだけして楽に稼ぐ3つのパターン
2024.11.11
自分の「本質的な才能」が見つかる一番簡単な質問 他者から「すごい」と思われても意外と気づかないのが才能
2024.11.13
“退職者が出た時の会社の対応”を従業員は見ている 離職防止策の前に見つめ直したい、部下との向き合い方
2024.11.12
自分の人生にプラスに働く「イライラ」は才能 自分の強みや才能につながる“良いイライラ”を見分けるポイント
2023.03.21
民間宇宙開発で高まる「飛行機とロケットの衝突」の危機...どうやって回避する?
2024.11.11
気づいたら借金、倒産して身ぐるみを剥がされる経営者 起業に「立派な動機」を求められる恐ろしさ
2024.11.11
「退職代行」を使われた管理職の本音と葛藤 メディアで話題、利用者が右肩上がり…企業が置かれている現状とは
2024.11.18
20名の会社でGoogleの採用を真似するのはもったいない 人手不足の時代における「脱能力主義」のヒント
2024.11.12
先週まで元気だったのに、突然辞める「びっくり退職」 退職代行サービスの影響も?上司と部下の“すれ違い”が起きる原因
2024.11.14
よってたかってハイリスクのビジネスモデルに仕立て上げるステークホルダー 「社会的理由」が求められる時代の起業戦略