2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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加治慶光氏(以下、加治):この会の主旨を少しご説明させていただきたいと思います。その前に私の自己紹介ですけれども、いろいろな仕事をしています。広告代理店に行ったり、コカ・コーラ、タイム・ワーナー、ソニーピクチャーズ、日産自動車、それから、東京オリンピックの招致委員会、総理大臣官邸の国際広報室というところに勤めて1年ほど前にアクセンチュアに入社いたしました。
今日いらっしゃっているゲストのお三方、川田さんは日産自動車で関係がございましたし、夏野さんはタイム・ワーナーの頃にちょうどドコモとお仕事をしたり、猪子さんはオリンピックの招致のときにもお世話になりました。
なんでこういうキャリアになっているかというと、車と映画と日本とスポーツが好きだということでございまして。なんでアクセンチュアかというと、過去のキャリアを繋げると、それなりに仕事になるということでアクセンチュアを総理大臣官邸のあとの仕事に選んでいます。
「大事なのはいろいろな方と繋がるとキャリアが開けていくということ」だと実際に私自身も経験しています。今、皆さんのそばに座っている方が新しいキャリアのドアを開けてくれる人物かもしれない。
いろいろな方とリンクすると、いろんな方と繋がる。そういう機会を提供したいというのが今回の企画の骨子になります。人と繋がること、あるいは場所と繋がること、この場所も1964年には、かつてオリンピックがここで開催されました。
しかし、2020年の五輪に関しては、また全く違うものになるはずです。そんな過去と未来を繋ぐ意味でも、この場所を選んだということでございます。そして、皆さまのそういう繋がりが変革とイノベーションに繋がっていけばと思っております。
加治:それでは、本日のゲストのお三方をお招きしたいと思います。プログラマー、エンジニア、数学者、建築課、CGアニメーター、ウェブデザイナー、グラフィックデザイナーなど、スペシャリストから構成されているウルトラテクノロジスト集団チームラボを創業され、アート、サイエンス、テクノロジーの境界線を曖昧にしながら活動、活躍されているチームラボ代表、猪子寿之さんです。
そして、もうひとり。開発ユニットAR三兄弟の長男であり、自身の興味から出発したソフトに加え、コカ・コーラ、日産など、ナショナルクライアント、バンプ・オブ・チキンなどのミュージシャン、森本千絵などのアーティストと共同した作品などを開発、発明内容の幅広い川田十夢さんです。
そして最後にNTTドコモにて、iモード、おサイフケータイなど多くのサービスを立ち上げ、現在は慶應大学の特別招聘教授のほかKADOKAWA・DWANGO、トランス・コスモス、セガサミーホールディングス、ぴあ、グリーなどの取締役を兼任。2014年より東京オリンピック、パラリンピック競技大会組織委員会参与など、政府機関等のブレーンとしても活躍する慶慶應義塾大学政策・メディア研究科特別招聘教授の夏野剛さんです。
本日はよろしくお願いします。今回のテーマは『2020年以降のデジタル・ビジネスフィールド』というようなことなのですけれど、簡単な自己紹介を交えていただきながら、最近皆さんが感じられていること、こんなふうに思っていることというのを少しご紹介いただければと思います。では、夏野さんからいってみましょうか。
夏野剛氏(以下、夏野): 皆さん、こんにちは。2010年に日本という国は人口のピークを迎えました。1憶2800万人。今現在、すでに100万人減っています。100万人というと石川県、1個分ですね。石川県とか富山県がちょうど100万人なんですよ。この人口減少の問題って「別に人口が減ったって、1人当たりの生産性を高めれば問題ないでしょ」みたいな悠長なことをいっている場合じゃないんです。
今までやっていたことのやり方。これは国レベルでいうと政策とか、教育とか、法制度とかのルールですね。市場のルールとかになりますけど、これは民間企業で言えば成長戦略ですよ、会社の成長戦略。会社というのは、成長しないと今の規模を守れないんですよね。
なぜなら、少しずつこれからインフレになってくるので、そうすると成長しないということは、縮小することになる。会社のレベルでいうと今までとは違うことをやらなければいけない。
つまり2010年を境に、社会も会社もあらゆる場面で、2020年以降に生きていく人間は全て去年と同じことをやっていてはいけないという状況になっているんです。つまり、新しい価値を生み出さないとパイは増えないんです。
今までは同じことをやっていれば、とりあえずパイが増えていったから成長できた。これが20世紀型の日本経済のあり方です。
この人口減少の問題が国全体の問題で個人には関係ないという話ではなくて、われわれがどういうふうに生活していくか、これから皆さんがどういうふうにキャリアをつくっていくかということを考えたときに、ものすごく重い問題として考えなければいけない。
これから、どこで結婚するのか、どこで子育てするのか、どこで働くのかといっても、日本国内というのは閉塞していくということなんですよね。だから20世紀型の過去からの延長線上をバンバン生き延びていくビジネスのやり方は、もうグローバルにいくしかない。海外に行くしかない。だって広がっているのは海外だから。
国内を中心に生きていくのだったら、去年と同じことをやっていたら駄目。10年前と同じ組織を持っている会社なんて終わってしまう。過去の経験にしがみついている経営者なんて早く追い出す。
加治:ありがとうございます。のっけから非常に的確かつ深刻な問題提起だったと思いますが、われわれはこれからの時代を一体どういうふうに生きていくのか。非常にチャレンジングな課題をいただいたと思います。それでは猪子さんよろしいですか。
猪子寿之氏(以下、猪子):こんにちは。チームラボの猪子です。僕は今、お台場の科学未来館で展覧会をやっているので来てください。
加治:ドラえもんは超えたんだもんね。
猪子:そう、ウォーホルも超えた。
加治:すごいですね!
猪子:来てくれた人が30万人超えて、できれば50万にいきたいんで、今はルーブル展とかやっているんですけど、勝てればばいいなと思っているので、来てください。ちょっとあまりに何を言っているのかわからないかもしれないですけど、うちの会社はデジタルでアートをつくったり、遊園地みたいなアトラクションをつくったりして、アトラクションとアートを集めた『チームラボ踊るアート展と未来の遊園地。学ぶ未来の遊園地』っていうのを日本科学未来館でやっています。「とにかく来てくれ」という話で、20作品ぐらいあるんですけど、3月から新しい作品をまたつくったんですね。
加治:昨日から六本木ヒルズでも……?
猪子:六本木ヒルズでも池の上で花火をやっているので、六本木に行ったら見て欲しいんですけど、とにかくお台場に来てほしいということですね。でも六本木ヒルズでも花火をやっています。花火にぜひ行ってください。花火はただ六本木ヒルズに行けば見れるので。
これは「Floating Flower Garden」という新しい作品で、生きている本物の花で、よく見たら根っこが出ているんですけど、空気中から水分を吸って生きられる花ばかりを選んでいるんですね。
空間に生きている花が埋まっているんですけど、人が近づいていくと花が上がっていって、自分中心に半球状のドームの空間ができて中に入って行ける。もちろん中に進むと後ろのほうは埋まっていって、半球状のドーム空間以外は全部花で埋もれているというようなものです。
普通、花畑は平面なんですけど、これはもう空間ギューギューなので香りの密度は、気分がよくなくなるぐらい強いですね。トイレの芳香剤を直接嗅いでいるような感じです。もうなかなかこれはもうできないと思うので、世界中でも今すごくバズっていて、主要な世界のアートとかクリエイティブ系のメディアのほぼ全部に出て、ランキングも3位とか2位とか入りまくっています。
5月10日までやっているので、遊園地は子どもがすごく楽しめるので、子どもを連れてきてもいいし、落としたい女の子がいたら、この空間に連れて来て、先に自分が入って、あとから女の子が入ってくると花で埋まって見えないですけど、段々近づくと花がバーッと見えて、もっと近づくと1個の空間、離れてもふたりきりになるから、必ず落ちるので。
加治:場所はどちらにあるんですか。
猪子:お台場の日本科学未来館のチームラボ展に3月から新しく作品を加えたんですね。1個。7階なんですけど、ぜひ見に来てください。
加治:じゃあ川田さんお願いします。
川田十夢氏(以下、川田):じゃあ僕もバズっている事例を。僕は東京都の調布市というところだけでバズっているんですけれど。
加治:何かお二人は、よくコンペでご一緒になるってさっきおっしゃっていて。
川田:猪子さんとはテレビの番組で、まさに2020年というテーマでプレゼン対決をして、2回やって2回とも負けているんですよね。あんまり会いたくないんですけど、僕も調布市でバズっている。
(会場笑)
新ネタがあるのでお見せしたいと思いますが、僕はAR三兄弟という開発ユニットをやっていて、この間、テレビ番組をつくりまして、僕はテクノロジー、猪子さんはアート領域でチームラボっていうのは、最前線の世界でやっているんですけど、僕はお茶の間を拡張したいなと思っています。
テレビ番組とかをつくったりしているんです。これは気に入っているネタで『コントロール西岡』っていうネタですが、これはマジでコントローラーをつくったんですけど、これをご覧ください。
往年の東京ラブストーリーっていうね。どこにテクノロジーがあるのか。実はガチなコントローラーを、この手首の動きとコントローラーを同期させるということをやっているんです。
見てみないとわからないけど、コントローラーがグイって動いたのがわかりますか。あれをできるようにするテクノロジーです。一部だけ超笑っているけどね。
東京都における勝負師みたいなことですけど、ガチでつくったんですよね。ちょっと未来に行きすぎてわからないと思うんですけど、これも見てもらったらわかると思います。
これは『東京ラブストーリー2015』というネタで、これは何をやっているかって言うと、役者の代わりにドローンを飛ばして、東京ラブストーリーを演じるっていうネタです。これはカンチですね。これはリカですね。可愛いなあ、思い出すなあ。これ第1話の一番いいところですよ。
これ演技しているのがわかりますか? この名シーンをドローンで、プログラムでやっているんですよ。プログラムでカンチとリカの動きを再現するって、これ絶対モラルないとやらないでしょう。普段は絶対やらないテクノロジーの使い方ということで、自己紹介とさせてもらいます。川田と申します、よろしくお願いします。
加治:ありがとうございました。ドローンの恋心ということでしたね。ドローンがさっきの花畑にいたらどうなるんでしょうかね。ぜひ行ってみていただきたいと思います。
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