2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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村上和彰氏:こんにちは、村上でございます。タイトルを見て、皆さんどんな話が聞けるのかと、どのような期待をお持ちかわからないですけど。立場としては大学で教育・研究に携わっていますけれども、本日は九州大学における事例紹介というものではなく、もうひとつの肩書である「公益財団法人九州先端科学技術研究所」がこの1年間で立ち上げた、3つのクラウドサービスについてご紹介します。
その中でなぜAWSを選択したのか、そういったところも含めてご紹介できればと思っております。本日の資料については、まとめサイトにもたぶんアップロードされると思うんですけども、(スライドにある)この3つのところ(http://www.workshopcloud.org/ , http://www.laboratorycloud.org/ , http://www.bodic.org/ )にもアップロードする予定ですので、もしご興味のある方はご覧いただければと思います。
それでは、今日の講演に入ります。実は本日(2014年11月6日)、プレスリリースを行いました。今日3番目にお話ししますけども、「BODIC.org」という3番目のクラウドサービスを本日から運用開始しましたので、プレスリリースを出しております。詳細は後ほど説明させていただきます。
その前にまず、皆さんにお聞きしたいことがあるんですけども、この本、『How Google Works』をご存じの方はいらっしゃいますでしょうか? のっけから(アマゾンの)ライバル企業のグーグルさんの本なんですが、これは結構評判で、グーグルがどういうふうにビジネスをやってきたかが書いてあります。
この本が最近ではおすすめだと思うんですが、1年ほど前に読んだのはこの本、『ジェフ・ベゾス 果てなき野望』です。これが非常に、アマゾンがどういうふうな生い立ちでできたのかを知る上で勉強になりました。ジェフ・ベゾスさんの個性も非常に強烈なんですが、会社としての面白みもこの本からかなり勉強させていただきました。
今日の話の口火は……グーグルがどういうふうに成長してきたのか、その組織論、経営論が『How Google Works』で紹介されていますが、この中で言っていることは、「スマートクリエイティブ」というものをいかに集めてきて、いかに辞めさせないようにするか。
シリコンバレーですと(人が)どんどん辞めていくんですが、いかに辞めさせないようにするか。彼らがいかに、グーグルにとって質のいいプロダクトを生み出していけるか、そのための環境をどう作っていくかということについて、切々と書かれております。今日は、スマートクリエイティブから話を始めたいと思っています。
この本の中で、スマートクリエイティブの定義がいくつか出ています。重要なところは(スライドに)赤字で書かれていますが、ひとつはビジネスセンスがある。2番目が、高度な専門知識を持っている。3番目が、当然ながらクリエイティブである。4番目としては、それをプロダクトとして実現する力がある。ここらへんを言っているわけです。
黒字のほうは、一般的に言われるどのような社員を採りたいかというところです。グーグルにおいては、赤字のほうが非常に重要です。
ここでもうひとつ質問ですが、皆さんの職場にスマートクリエイティブはどの程度いますか、という……まあ、今のを見るとハードルが高いかもしれませんけども(笑)、先ほどの定義でいうスマートクリエイティブがどのくらいいるか。
これはないと思いますが、全員がスマートクリエイティブであるという職場(会場に挙手を促す)……ないですね(笑)。半数以上。……これもないですか? 半数にはいかないけど、それなりにいるというところ。……ありがとうございます。(アマゾンの)小島さんのところがそうですか。ぱらぱらいるって感じかな……少ないですね。
1人か2人程度だったらいるという(会社は)? ……はい、ありがとうございます。まったくいない。……あっ、結構多いですね(笑)。わかりました。
半分くらいは「ぱらぱらいる」、「1人か2人」もいるかなという感じでしたけど、あなたの職場はスマートクリエイティブにふさわしい環境ですか? そう思ってらっしゃる方。……はい。そう思わない。……多数、大半はそうですね。その他・わからないという方もいらっしゃると思いますけども。
ということは今のご回答を見ると、まったくいないところもありますけど、半数くらいは「1人以上いる」と。でも、スマートクリエイティブのための環境としてふさわしいかというと、ちょっとクエスチョンマークがついているのかなと思います。
本日のお題なんですが、『AWS上に「共創」環境を創る!』というのがテーマです。「共創」、共に創造する。いろんなところで最近使われています。
この共創環境とは何かひとことで言うと、今ご紹介しましたスマートクリエイティブのための仕事部屋。仕事部屋というのは別に物理的なものじゃなくてよくて、AWS上ですからバーチャルな環境ということになります。そういった環境を、我々としては用意できたらいいなと考えています。
これはいろんな分野、AWSのアプリケーションは先ほどのアマゾンさんのセッションでもご紹介がありましたけど、いろんなアプリケーションが考えられます。
分野としても当然ながらいくつかあるんですが、ここでは我々が今やっています3つのサービス、1番目が「ものづくり」、2番目が「学習・教育・研究」、3番目がデータ分析関係ということで「データ収集・蓄積・解析・活用」、この3つの分野で現在サービスを提供しております。先ほど紹介しましたBODIC.orgは右下(データ収集・蓄積・解析・活用)になります。
それぞれに対応したサービスの固有名詞が出ていますが、「wCloud」「Lab.Cloud」「BODIC.org」という名前で提供しております。これはサービスというよりも、クラウドイノベーションという言葉を使ってます。クラウドイノベーション。先ほどのアマゾンさんの話でも「カイゼンとイノベーション」というのがございましたけども、イノベーションのための仕掛けというふうに考えています。
そのクラウドイノベーションとは何ですか? これが本日のキーワード2つ目です。クラウドイノベーションはあまり聞かない言葉かもしれません。そもそも、クラウドとは何かというところからお話をしないといけない。実はこのクラウドは、2つの意味を掛けています。「クラウド × クラウド」ということです。
最初のクラウドは、今日のAWS Cloud Roadshowのクラウド(CLOUD)です。これについては今さらご紹介することはないかと思います。これによって、先ほどの事例紹介にもありましたけども、もともとオンプレミス(自社運用)で「所有」していたものをクラウドでもって「使用」するということで、ひとつの大きな効果としましてはコスト削減というものがあったわけです。
もちろん、コストは導入コストだけでなく保守・運用もありますし、さらにはプロダクトをマーケットに出すまでのTime to marketを短くするという意味でのコスト削減にもなります。
何を言ってるかというと、計算需要というのはオンデマンドで変わってきます。季節変動があります。先ほどの2月14日のお話(クックパッドに1年で1番アクセスがあるのが2月14日のバレンタイン時期であるという話)にもありましたけど、2月14日は非常に需要が高くても、それに合わせてシステムは構築できない。でも2月14日にはワッと計算能力を増やしたいわけですね。
モノの開発も同じで季節変動があるわけで、あるときには非常に集中して計算資源を使える。そのときにクラウドの資源を使うことによってTime to marketを小さくする。
でも、クラウドのメリットというのはコスト削減だけではない。すでにお使いの方は感じてらっしゃるかもしれない。私は、大きなメリットは「共用」だと思っています。クラウドというものを介して、いろんな人たちがリソースを共用する。リソースだけではなく、中にあるコンテンツ、データを共用する。これが非常に大きなポイントだと考えています。
ですから、コンテンツに関してプライベートな「使用」(use)から、みんなで使うパブリックなuseに変わってきている。これがある意味で仕事のやり方、明日のビジネスのやり方を変えてきているのではないか。
ということで、クラウド × クラウドの最初のクラウド(CLOUD)は、クラウドコンピューティング。もうひとつのクラウドは何ですか? これは、大衆・群衆の「CROWD」。先ほどパブリックに共用すると言いましたが、パブリックの場合はこれまでの社内とか小さなコミュニティじゃなくて、ワールドワイドに広がっていく。
後で例をお話ししますけれども、数万数十万、あるいは百万一千万規模でつながっていく。
いくつかのサービスの例がありますけども、ご承知のところでいきますと、クラウドファンディング、クラウドソーシングと呼ばれるサービスがあります。
ご承知かと思いますが、何らかのプロダクトを作りたい。でもお金がない。このプロダクトを作るのに例えば1,000万円集めたい。クラウドファンディングでもって、世界中からお金を集める。あるいは何か物を作りたい。人手が足りません。私はデジタルはわかるけどアナログはわかりません。ソフトができません。で、人を集める。これがクラウドソーシングですね。こういったことができる。
これはもうひとつの雲のほうのCLOUDでなくてもできるんですけども、それでいろんなものを共用することによって、人が集まってくる。その人が集まってお金を出しあう。あるいはスキルを出しあう。そういう形になっている。これが明日のビジネススタイルです。
ですから、雲のCLOUDと大衆のCROWDを掛け合わせることによって可能になるのが、この「共創」、ともにつくる。まさしくオープンイノベーションということです。オープン。今日のキーワードに「オープン」はかなり付きます。
このことを、私はクラウドイノベーションと……日本語って便利で、雲のCLOUDも大衆のCROWDもカタカナにすると一緒ですので、両方合わせてクラウドイノベーションとカタカナで表記しています。これが、我々が(サービスを)3つ提供しているクラウドイノベーションの定義でございます。
では今から、3つのクラウドイノベーションに共通するキーワード4つを……一部は共通して一部は共通してませんけど、非常に重要なキーワード4つをご紹介します。
まず、クラウドイノベーションを可能にした仕掛けですね。「オープンツールレポジトリ」「オープンエデュケーション」「オープンデータ」そして「ビッグデータ」。ビッグデータって言葉は先ほどの第3のプラットフォームにもありました。これは皆さん、よくご存知かと思います。
オープンツールレポジトリ、オープンエデュケーション、オープンデータ、これはまだ馴染みがないかもしれません。オープンツールレポジトリについては私の造語でございますので、これから紹介させていただきます。3つには「オープン」という言葉がついております。違うのは「ツールレポジトリ」「エデュケーション」「データ」です。オープンデータとビッグデータは「データ」が共通しています。
まず、オープンツールレポジトリから紹介させていただきます。何を言っているのか。似たような概念としては常にクラウドの上でSaaS(サース)、Software as a Service というものが提供されているわけですけども、今のSaaSというのは例えばアマゾン、AWSのマーケットプレイスに行くといろんなSaaSがありますので、自分で必要と思うサービスを購入することができるようになっていると思います。
ここではものづくり、あるいは教育に特化してるんですけども、誰でも有償・無償でツールを提供し利用できるような場を、ひとつの場として用意しようと。
要するに開発者は、有名なツールベンダーでなくても個人レベルでも結構ですから、自分のツールをレポジトリに出す。利用者はそのレポジトリの中から自分のニーズに合ったツールを選んで、それを即使えるようになる。これをオープンツールレポジトリと呼んでいます。
これはwCloud、Lab.Cloudの2つに共通している機能で、最後のBODIC.orgは近日このツールレポジトリ機能も提供します。
これはLab.Cloudで提供しているツール一覧ですけども、まだそんなに多くはございませんが、こういったツールをレポジトリとして用意しています。レポジトリのイメージはどういったものかというと、要はアマゾンのAMI(Amazon Machine Image)インスタンスを立ち上げるときに、ツール込みで立ち上げるのと同じようになっていて、
こういうふうなリストがありまして、自分の好きなツールのチェックボックスにチェックを入れて、あとはインスタンスを立ち上げる。というようなやり方で、簡単にツールを立ち上げることができる。
要するに、AWSのマーケットプレイスでSaaSを買うというのも、あれはあれで非常に便利なんですけども、もっと簡便に会員にツールをセレクトして、しかもすぐに起動することができる。
で、課金は時間単位の課金もありますし、あるいはBYOL(Bring Your Own License)という形でライセンスをまるごと買って使うこともあるんですけど、アカウントひとつでいろんな課金タイプに応じて、ツールの利用料を我々としては払わなくちゃならないということですが、ユーザーは払うことができる。
これは、AWSだからできたものでございます。いろんな意味で、これはAWSの機能を使わせていただきましたが、最終的にはAMIという概念でもって、いろんなタイプのインスタンスを立ち上げることができる。
先ほどのところ(スライド)では出てませんでしたが、すべての異なるインスタンスのタイプをセレクトして、そのときの計算処理に応じて、非常に急いでやりたいときにはかなり大きめのインスタンスでやりますし、そうでもないときには小さめのインスタンスを選ぶ。そういったことが自由にできる。
そうなると当然料金は違います。同じツールでも異なる料金で支払う。ユーザーのコスト、それから必要としているパフォーマンス。コストパフォーマンスのトレードオフでもって、ツールとインスタンスを選ぶ。ツールにつきましては、同じエリアでも異なるベンダーさんのツールを用意しておりますので、いろんなニーズに応えることができるかと思います。
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