【3行要約】
・プロダクトマネジメントの知識はあっても組織での実践は難しく、多くのPMが「孤軍奮闘」状態に陥っているという現実が広がっています。
・アンドエル株式会社COOの野口大貴氏は、組織の抵抗には惰性・労力・感情・心理的反発という4つの理由があると指摘しています。
・PMは正論だけでなく組織の心理を理解し、経営陣を巻き込みながら具体的な道筋を示すことで、プロダクトマネジメントを組織に浸透させられます。
経営陣を巻き込み、組織の未来を切り拓くために
司会者:「孤軍奮闘PMへ——経営陣を巻き込み、組織の未来を切り拓くための『覚悟と実践知』」と題しまして、アンドエル株式会社 野口大貴さまよりご講演いただきます。野口さま、よろしくお願いいたします。
野口大貴氏(以下、野口):よろしくお願いします。
(会場拍手)
野口:「孤軍奮闘PMへ」ということで、お話をさせていただければなと思います。今日は1日、みなさんお疲れだと思うんですけれども、これでこの後はお酒を飲めますし、あと次は東京が控えていて、これでpmconfが終わりということじゃなくて、次回にもつながっていくと思いますので、しっかりそういうところにつながるようなお話ができればなというふうに思っております。
あらためまして、私は野口と申します。今、アンドエルという会社でCOOをやっております。大阪府の貝塚市というところの南のほうの出身で、大阪のスタートアップやプロダクト開発を本当に盛り上げていきたいと、関西のほうを盛り上げていきたいなと思っていたので、このような機会をいただけて本当にありがたく思っています。
私はキャリアとしては、最初はWebマーケティングや採用などをやっておりまして、そこから前職がRettyというグルメサービスの会社に転職をしまして、まずWebディレクターみたいなところから、プロダクトマネージャーを経て、執行役員VPoPとしてプロダクト組織を管掌しておりました。だいたいPM10名ぐらい、開発全体で50~60名ぐらいみたいな感じの組織でしたね。
当時、pmconf 2021のところでもPM評価のお話をさせていただいたりしました。今、アンドエルを共同創業して3期目というかたちでございます。Xをちょっと書いているんですけれども、こちらで今日のセッション資料は流しておりますので、ぜひそちらも見ていただけたらなと思います。
簡単に会社の紹介をさせてください。我々はアンドエルというヘルスケアの会社でございまして、みなさまに健康になっていただいて安堵を得ていただきたいなと、安心していただきたいなと、そういう思いを込めた社名でございます。
サービスとしては、法人向けの健康サービスですね。従業員の福利厚生だったり産業保健の領域で展開をしておりまして、福利厚生としてはオンライン診療やカウンセリングが受けられる。
あとはストレスチェックとか、そのあたりのサポートができるというサービスを今年(2025年)から展開しておりまして、今100社を突破したというところなんですけれども、本当にこれからというところですので、がんばって伸ばしていきたいなというところでございます。
少人数組織の1人PM、周囲に理解されない孤軍奮闘PM…
野口:「孤軍奮闘PM」というところで、今回題を打ってやっていければなというふうに思っていまして。本当にpmconfも、何年も私も参加させていただいておりますが。
そのおかげでプロダクトマネージャーの数みたいなところも増えていますし、PMが何人もいて、しっかりプロダクトマネジメントを当たり前のようにできる、そんな会社さんも本当に増えてきて、すばらしいなと思っているところではあるんですけれども。
一方で、まだ少数のPM、もしくはなかなか同僚とかもいなくて、そんな中、組織の壁に挑み続けているという、そういう孤軍奮闘PMの方もいらっしゃるんじゃないかなと思っております。

この中でA、Bを書いているんですけど、まず、「少人数の組織で、本当に1人PMをやっています」という方はいらっしゃいますか? お、ちらほら。ありがとうございます。私もアンドエルを創業した時は代表と2人だったので、本当に1人PMだったなというところですけど。
もう1つ。「大きな組織だけど、あんまりプロダクトマネジメントの理解がなくて、ちょっと孤軍奮闘せざるを得ないね。けっこう厳しい戦いをがんばっている」という方はいらっしゃいますか? あんまりいないですね(笑)。
プロダクトマネジメントが浸透してきているのは非常にいいなとは思うんですけど、そこの理解がうまくされないみたいなところとか、そこに対して悩んでいる人の相談とかも私はけっこう受けたりしていまして。そのあたりをサポートしたいなというところで、今回お話しさせてもらいます。
こういうケースがあるかなと思っていまして。例えばですけど、「思いついたアイデアをそのまま検証なく開発しちゃう」とか、「ジリ貧のKPIを追い続けてしまって、ちゃんと構造とかビジネスモデルを変えにいく必要があるけど、組織に理解してもらえない」とか。
あとは、「PMのスキルアップのために壁打ちしてもらえる上司・先輩がいない。なので、なかなか成長できない」みたいな悩みがあったりすると思います。
今日もpmconfで、たくさんプロダクトマネジメントについての学びあるお話が本当にたくさんあったかなと思うんですけれども。やはり知識を知っていること・事例を知っていることと、実際実践できること、組織でそれを適用して成果を出すことって、乖離がけっこうあるなと思っています。
プロジェクトマネジメントの「知識」はあっても「実践」できない現状
野口:特に苦しいケースだと、まだ始めたてで経験が足らないとか。実績が足らず信頼度が低いみたいな時は、特に組織の適用がなかなか難しいと。PMとして「プロダクトマネジメントはこうやるべきだ」というところがあって、その知識は知っているけど適用できないケースがあるかなと思っています。
そういうところに対して、PMのスキルを実際どう組織に適用・浸透していくか、組織を変えていくかみたいなところです。そこからプロダクト、事業を成功するために一歩を踏み出せるような、未来に挑むきっかけになるようなお話ができたらなと思っております。
「PMとしてやりたいこと・あるべき動きが、『こういうふうにやりたい』というのがあるけれども、それが理解されない・伝わらない。組織とか上司がなかなか変わってくれない」みたいな悩みを抱えたことがある人も、けっこういるんじゃないかなと思っています。
そういう時に、「なんでみんなわかってくれへんねん! 絶対これが合っているのになんでやねん!」みたいな思いを抱えるシーンもあると思うんですけど。
正論をぶつけられる側も、やる気がない、変わりたい意思がないわけではないケースもあるかなと思います。
上司や同僚が抵抗する理由
野口:これは
『なぜ人と組織は変われないのか ハーバード流自己変革の理論と実践』という本から引用しておりますが、リーダーとか組織のメンバーが変革を成し遂げることを妨げている要因として、意思がないというところではなくて、本人がやりたいと望んでいることと、実際に実行できることの大きな溝がある。
例えばディスカバリーとして、「こういうのが理想だ」とか「こういう開発が理想だ」というふうにあったとしても、「それはわかるけど、どうやってやればいいんだろうね」みたいなふうな、溝が起こっているケースがあるかなと思っております。
実際、上司とか同僚が受け入れたくない理由として、いろんな抵抗があるというお話が
『「変化を嫌う人」を動かす 魅力的な提案が受け入れられない4つの理由』という本には書いてありまして、抵抗といっても4つあります。「惰性」「労力」「感情」「心理的反発」というふうに紹介をされています。

惰性でいうと、やはり会社の今までの方針があるので、そこから変わろうとするのがなかなか難しいとか、労力ですね。新しい変化を実行するためには、必要な努力、コストがかかる。時間もかかるし、コストもかかるのでやりたくないというところもあるかなと。
あと、感情ですね。新しい施策として良さそうではあるけれども、「なんか嫌だな」と、なんか否定的な感じになってしまうケース。あとは、変化させられることに対する心理的反発。「今まで自分が間違っていたの?」「これ、説得されているのか?」みたいな、そこのプライドみたいなものに対しての心理的反発。こういうケースがあるんじゃないかなと思っております。