AI×個人開発で麻雀アプリを作って見えたこと　実務とは違う“筋肉”が鍛えられたわけ [1/2]

テーマは「自分自身のプロダクトを持ってみる」

小西裕真氏：初めに、自己紹介から始めさせてください。私は小西裕真と申します。ふだんはタイミーというスポットワークのサービスで、プロダクトマネージャーを務めております。生まれは兵庫県で、今は大阪に住んでいます。PMカンファレンスへの登壇が大阪で叶うのは、本当にうれしいなと思いながらこの場に立っております。



今日お話しする内容なんですが、タイトルにあるとおり、「プロダクトマネージャーとしての成長の機会を作る」と、「AIをそれに活用できる」というところでやっていこうと思っています。



アンケートを採りたいんですけど、「そこそこAIを使っているよ」「使ったことがあるよ」という方は手を挙げてもらってもいいですか。そうですね、ほぼ（手が挙がっていますね）。

「エンジニアリングのバックグラウンドがあるよ」という方はどれくらいいますか？　半分強ぐらい。ありがとうございます。エンジニアリングの経験がある人にも学びになる部分と、ない人でも個人開発ができるよというところに触れようと思っています。

PMカンファレンスは「未来に挑め」というテーマですが、今日、自分がお話しするのは、「自分自身のプロダクトを持ってみる」という挑戦。これが自分の挑んだことであり、みなさんにも提案したいことになるかなと思います。1回やってみましょう。

PMの成長は語り尽くせないほど広く、終わりが見えにくい

「成長課題」と銘打っていますが、本当にプロダクトマネージャーのキャリアや責務って議論しても、し尽くせないような話ですし、枠組みなんかもたくさんあります。本当に壮大な話で、「いつ自分が十分な状態になるんだろうな」みたいなことを思いながら、自分自身はプロダクトマネージャーの仕事をしております。



プロジェクト、プロダクト、ないしはチームが変わるごとに、本当にやるべきことが変わって、求められるものが変わるという、そんなお仕事かなと認識しています。それゆえにプロダクトマネージャー自身も、たくさん変化したり成長したりするのが必要だと思います。

一方で、成長や変化をしていかなきゃいけないという時に、お仕事をきちんとこなしていれば必要な成長が自ずと身につくのかというと、そういうわけではないと思っています。いろんな課題があって成長を実現するのが難しいからこそ、機会を作るということに価値があると考えています。

成長を阻む「3つの壁」

「3つの壁」と言っていますが、現実問題として、実務で関わることができる意思決定の範囲や、影響度には限界があると思います。例えば、ジュニアがいきなりプロダクトビジョンや事業戦略を描けるわけじゃないですし、機会が限られているとも思います。

また、組織が大きくなると、分業、分業となっていって、個人でカバーする範囲が小さくなり、知見が得にくくなったり、経験を積みにくくなるところもあると思います。

あと、専門性はそれぞれの範囲を担うみたいに定義している中で、当然、書籍やデータ分析で調べることは当然できますが、じゃあそれが実務で耐え得るレベルでできるのかというと、そういうわけでもないかなと思います。



そういったところから、自分が置かれている環境で、十分身につけたいものを身につけられるんだろうかとか、将来求められるであろう、ないしは自分がなりたいであろう姿になるための経験値を積めるんだろうかというと、そうじゃないよなと（思います）。ということで、自ら機会を作るのは、成長にとって意味があると思うんですというのが私の主張です。

提案したいソリューションは「AIで個人開発してみる」

そんな中、1つソリューションとして提案をしたいのが、「AIで自分がサービス、プロダクトを作ってみませんか？」というものです。当たり前の話ですが、個人開発、「個人」とまで言っているので、全部自分で決めて、全部自分でやることが必要になります。

一般的なお仕事は、フェーズにも依ると思いますが、やはり誰かが立ち上げてくれたプロダクトや上位の戦略があって、それに基づいて自分が担当していったり、ある程度分担して、こういうところまでは自分がやって、このへんはよろしくというものだと思います。

個人開発は、そもそもどんなドメインで、誰のために、どんなものを作るんだ、そもそもそれを何のためにやるんだみたいなところも、自分で考えて決めます。決められるとも言えるし、決める必要があるとも言えるし、開発はもちろん、デザインや、それをどう届けるかみたいなところも、自分で担当する必要があります。

それがうまくいこうがいかなかろうが、自分がアウトプットを出しているんだから、それが結果ですというのを突きつけられる。そういう営みが、個人開発というものかなと思っています。けっこうシビアな表現をしているのですが、失敗しても特にリスクもないので、成長の機会として使うには、この上ない遊び場かなと思います。

AIで個人開発のハードルは下がっている

また、全部やると言うと、しんどそうに聞こえると思いますが、タイトルにもあるとおり、AIの力でだいぶやれるようになっていますよ、というのがお勧めしている理由の1つです。

（スライドに）「Before AI」と書いていますが、やはりAIの力でプログラムが書かれるまでは、本当に作れる人がアイデアを実現できる風潮だっだと思います。ただ、最近はそうではないと。アイデアがあって、作ってみたいなという人が、AIを使ってとりあえず作ってみて、完成するところまで進めることもできます。



というふうに、ハードルは下がっている。完成するまでの時間もコストも下がっている。実装以外についても、AIの力を借りて出し続けられる時代なので、個人で物を作るハードルは随分下がってきている状況だと思います。

「何を作り、何を学んだか」の具体例

ここから、じゃあ私がどんなものをどういうふうに作って、そこから何を学んだのかというところに移っていこうと思います。私の趣味は麻雀で、麻雀がすごく好きすぎて、初学者が麻雀を学べるアプリを作ってみました。

モバイルの実装の経験がなかったので、モバイルアプリをやってみたいなと思ったのと、自分でプロダクトを所有したり、自分でひととおりのプロセスをやることも、やはり学びになるのではないかなということで、こういうアプリを作りました。



（スライドの）左は、「今、テンパイしているけど何待ちなの？」みたいな話だったり、右は点数計算で、役とかを答えるような問題になっています。こういうものを作ったのですが、何をきっかけに作ったのかをお話ししていきます。