兄弟創業者との関係と役割分担について
司会者:橘さま、ありがとうございました。ということで、大トリの出番だったんですが、いかがだったですか?
橘:せっかくの舞台を楽しもうと思ってやりました。
司会者:さすが、堂々と。ありがとうございます。それでは、これより質疑応答のお時間とさせていただきます。質問のある審査員の方は、挙手をお願いいたします。では、山﨑さま、お願いします。
山﨑賢氏(以下、山崎):ありがとうございました。今日は5人、全員が緊張していなくてすごいですよね。
司会者:そうですね。
山﨑:いいプレゼンだったと思います。ありがとうございます。ご兄弟で創業されているということなので、わりとウェットな関係性の中でやっているのかなと勝手に想像するんですけれども。CTOとしての橘大雅さんの役割と、お兄さんか弟さんかわからないですけど、CEOの方との役割分担がどのあたりのラインにあるのかが知りたいというのが1つと。
あとは、開発組織が配下にあると思うんですけど、実際にテクニカルなところを主導しているのが、開発チームの中にテックリード的な存在がいるのか。それとも橘さん自身が先導を切ってテクニカルなところをリードしているのかを教えてください。
橘:ありがとうございます。まず、これを世界に垂れ流していいのかわからないですが、兄弟仲はけっこう付かず離れずで、(会社以外の場では)年に1回しか会わないです。けっこうドライで、お互いの専門分野をリスペクトしていて、「本当に大事なことを淡々とやろう」という信頼関係の上でやれているかなと思います。
兄弟だからこそされる無茶ぶりもあるかと思いますが、それも兄弟の特権と思って、がんばってやっています。
対話AIは自分自身でやり切ると決めた
橘:自分自身が(開発の技術的な部分を)先導していたかに関しては、まず、対話AIを作っていく。ここは絶対に自分自身でやり切ると決めていました。
まず、コンパウンドスタートアップから転換をするにあたり、経営者である以上、結局は結果で証明するしかない。それがコケれば、誰も評価してくれない。だからこそ、自分自身で責任を取って作り、売上を作っていく。
今はマルチプロダクト化を進めていくにあたり、あえてプロダクトはコンパウンドと違って、一個一個をしっかり強くして、一球入魂で作っていく。だからこそ、一個一個のプロダクトはあえて権限委譲して、基盤の対話AIを活かしつつ、プロダクトの課題を解決するように委譲しているかたちになります。
司会者:しっかりさらけ出してくれました。ありがとうございます。では、濵さま、お願いします。
濵真一氏(以下、濵):発表ありがとうございました。さっきの回答にもちょっと含まれていたと思うんですけども。いわゆるコンパウンド戦略からAIに転換していって、会社、メンバーや開発組織がそこに適応しながらAIプロダクトを進めていく中で、CTOとしてどうリードしたか。
自身もリードしていた既存の事業がある中で、AIに転換する中で、振る舞いも変えていかないといけない部分もあったのかなと思ったんですけど、どのようなことをされたか教えていただけますか。
ピープルサクセス実現のためにAIに注力
橘:さっき言ってしまったので、何かひねり出しているんですけど。ちょっと回答になっているのかはわかりませんが、会社のパーパスは「ピープルサクセス」、働く人の成功を支援すること。決してコンパウンドと紐づいているわけではない。
なので、ピープルサクセスを実現するための、今はまさに生成AIにベットするべきだというメッセージはやってきましたし、自分自身が開発をリードすることで、失敗したら自分が責任を持つ。そうすることで、結果的にみなさんがついてきてくれましたし、恐らく1年目よりも2年目のほうが士気が高く、一体感のあるチームとなっていると思っています。
司会者:ありがとうございます。それでは最後に藤本さま、いかがでしょうか?
藤本真樹氏(以下、藤本):1人ずつ聞くみたいな流れかな。ありがとうございます。時間があったら2つ聞きたいという感じなんですけど、1個目はすごくソリッドで、初の海外でベトナムを選ばれた理由に個人的にも興味があるんですが、そこからおうかがいして大丈夫ですか。
橘:2点ありまして、過去の日本のスタートアップの歴史を学んでいくと、チャレンジしなかったから、グローバルで勝てなかったわけでは決してない。ある種、今のテックの中心地のアメリカや中国に、物量ではどう考えても勝てない。じゃあどうやって戦略的に勝っていくか。それは東南アジアだという決定が1つ。
そしてグループ入りした会社がベトナムに現地法人を有していまして、そこを拠点としてセールスを始める。一から始めるよりも、はるかに時間を稼げるという理由もあって、ベトナムから開始しました。
日本発グローバルプロダクトへの熱い思い
藤本:ありがとうございます。時間はちょいあれですが、あともう1個が真逆で、めっちゃ抽象度の高いところで、技術と経営の好循環が本当にできたらCTO的には「もう何も言うことはないよね」みたいな話だと思うし。
このあたりをおうかがいしたらすごく長いと思うんですけど、もう一歩だけ踏み込んで、何かお話ししていただければという意味で。
これは、できたらでいいんですけど、橘さんの中で、「自分の中で、CTOとして良い循環が生み出せたな」みたいなところか。あるいは「次、これができたら、ちょっとすげぇな」と思っているところとか。そのどちらかでいいので、何かお話をおうかがいできればと思いました。
橘:ありがとうございます。自分の人生の悲願は、日本からグローバルプロダクトを作ること。これだけを考えてこの10年を生きてきたので、最低でもそこは成し遂げたい。
やはり1プロダクトが成功するだけじゃなくて、当然、偉大なSaaS企業・BtoB企業は複数のプロダクトを成功させてきたので、グローバルプロダクト+マルチプロダクト。ARR(年間経常収益)100億円を稼げるプロダクトを、当たり前のように毎年作っていく。そんなことを実現していきたいなと思っています。
司会者:ありがとうございました。以上で質疑応答は終了となります。橘さま、ありがとうございました。
橘:ありがとうございました。
(会場拍手)
(※1)出典