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株式会社カナリー CTO中山 太雅氏 ピッチ(全1記事)

二重のサーバー管理やバグ発生が組織の負担に… 開発現場の課題解決に挑んだCTOの“2つの戦い” [1/2]

【3行要約】
・次世代CTOが集結するピッチコンテスト「Startup CTO of the Year 2025」にて、スタートアップの最前線で活躍する5名のCTOが自身の取り組みについて紹介します。
・不動産賃貸領域のDXを進めるカナリーでは、技術的負債が成長の妨げとなっており、その解消が急務となっていました。
・CTOの中山太雅氏は「執行力」を武器に、サーバー移行や顧客管理システムの改善など、複数の課題に取り組み成果を上げています。

不動産・賃貸領域のDXに挑む

司会者:持ち時間は6分間でございます。それでは、よろしくお願いいたします。

中山太雅氏(以下、中山):過去を乗り越えて未来へ。不動産業界にもっといい「当たり前」を届けたい。カナリーの中山が発表します。

みなさん、一度くらいはお引越しをされたことがあるでしょうか。お部屋を探す時、「あれ? 関西のこと、わからないな」とか、「もう募集終了?」とか、「これ、うちの洗濯機は入るのかな?」とか、そんな不便があるんじゃないでしょうか。

仲介会社の方からすると、「これ、どうやって対応したらいいのかな?」とか、「対応するのを忘れていた」とか、「明日は何をすればいいんだっけ?」とか、お部屋探しをサポートするのは大変です。カナリーは、こんな不便や大変を解消すべく、不動産賃貸領域全体のDXを行っています。

課題となっていた二重のサーバー

中山:ところで私は、中途入社で創業者CTOではありません。当時、カナリーは技術的なリーダーシップが不足していました。しかし、これは言い換えてみると、難題へ挑戦し、私が貢献できることもあるなと思い、ジョインを決意しました。

そんな私にとって挑戦とは、「技術的負債との戦い」と「未来への身支度」でした。技術的負債との2つの大きな戦い。1戦目は、式年遷宮が頓挫したサーバー移行の完遂です。当時、サーバーが二重に存在してしまっており、認知負荷が増大し、二重のメンテナンス、二重の監視が発生していました。

「こんな状態では、いいものづくりはできないよ。これはもう終わらそうぜ」と心に決めました。移行途中で塩漬けになってしまっていたのは、合意形成ができていなかったためです。そこで、あらためてPdMや経営陣と対話して、合意形成を行ってプロジェクトを立ち上げました。

お部屋探しのアプリは主力の事業でしたので、CVR悪化はご法度。そして物量も多かったので、負荷テスト・ABテストを行いながら、インターフェースは極力変えずに移行しました。そして、さまざまな困難を乗り越えて、1年半をかけて執念で完遂しました。何事も最後までやり切ることが重要です。その後、サービスは順調に成長しています。

繁忙期中の解約0件を達成

中山:2戦目。拡大で歪みの生じた顧客管理システムの立て直しです。

繁忙期のとある日、急遽ミーティングがセットされました。ドキドキ。「バグやパフォーマンスの問題で、心証が非常に悪化しています。大手顧客を含めて予断を許さない状況です」「これはまずい。どらさん(中山)、何とかして」。

ということで、私は「繁忙期にお客さまにご迷惑をおかけするわけにはいかない」と心に決め、チームを越えて「プロジェクト・テセウス」を発足しました。緊急時だったので意思決定はトップダウン。とにかく結果を出すことを最優先にアサインを行って、新規開発は最低限にして外部品質を担保。

そして、繁忙期に新たなバグを仕込むことは何としても避けたかったので、プルリクは私自身もすべてレビューする方針で進めました。そして、問題をヒアリング、カテゴライズして優先順位付け。「鎮めるフェーズ」「気付けるフェーズ」「整うフェーズ」として進めました。

鎮めるフェーズでは、バグやパフォーマンスの問題を大小含めて30件以上を修正。気付けるフェーズでは、問題を顧客から指摘されるよりも前にエンジニアが気付けるケースが2倍に。整うフェーズでは、アーキテクチャ・コードの構造的な問題を特定しました。これは現在対応中になります。そして、数々の武功を打ち立て、繁忙期中のチャーン(解約)0件を達成しました。

そして戦だけではなく、未来への身支度も行ってきました。組織体制の整備と、生産力の維持・増強です。複数チーム・プロダクトを下支えするため、プラットフォームチームを新設。そして、チームメンバーの役割と責務を整理して、チーム拡大と評価の礎としました。

採用強化や従業員エンゲージメント向上の施策を推進

中山:また、技術的負債の返済とプロダクト改善のための施策をバランス良く行うには、生産力の維持と増強が必要でした。維持について、カナリーで働きたい気持ちを高める「プロジェクト・千」を発足。上・横・下のアプローチで包括的に検討し、さまざまな施策を行いました。

増強に関しては、採用に全社的に注力。私自身も前線に立って、面談・面接を行ってアトラクト。結果的に、年18人のすばらしいメンバーにジョインしていただきました。

最後に、これからのカナリーと私についてお話しさせてください。これまで、技術的負債やバグやパフォーマンスの問題と向き合ってきました。これまで、険しい道のりを一緒に歩んできたメンバーに、あらためて感謝を伝えたいと思います。本当にいつもありがとうございます。

ビジョナリーかつ執行力があるCTOを目指して

中山:カナリーには負債の返済だけではなくて、ものづくり自体に本当に一生懸命なメンバーがたくさんいるんだということを、ぜひみなさんに知っていただきたいと思います。そして、これからは未来へ向かっていきたいと思っています。

これからカナリーは、データを軸にしたプラットフォームへと進化していきます。詳細・即時にデータを連携し、理想の生活に合ったお部屋探しと、おとり物件の削減を実現します。そして、そのデータと処理をAIへとつなげていきます。人間の能力を拡張・サポートして、業務を圧倒的に効率化します。

振り返ってみると、私の強みは執行力だと思います。これからは、事業を成長させる技術的投資家であると同時に、いざとなれば戦場に出馬する一騎当千の武将でありたい。言い換えてみると、スティーブ・ジョブズのように、ビジョナリーなのに執行力があるCTOになりたいと思っています。

そして、カナリーの未来を支え、実現します。そんな私と、カナリーのみんなが作り出す未来を、ぜひ応援してください。ありがとうございました。

(会場拍手)

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