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ひろゆきだけど何か質問ある?(全4記事)

ひろゆき氏が無料ツール利用を貫く理由 「2ちゃんねる」運営で学んだ壊れにくいサービス設計

【3行要約】
・起業や新サービス開発で成功を目指すビジネスパーソンが多い一方、継続的な成長と安定運営に課題を抱えています。
・「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏は、大学時代の「暇つぶし」から始めた掲示板運営の経験を通じて独自の経営哲学を構築。
・同氏は「自分がおもしろいと思えるか」を起点とした仮説検証と、固定費を抑えた低コスト運営こそが事業継続の鍵だと提言します。

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「2ちゃんねる」を創設した理由

楓博光氏(以下、楓):じゃあ、昔の話が出てきたところで、これも質問をいただいているので聞いていきたいと思います。「なぜ大学在学中に『2ちゃんねる』を立ち上げようと思ったのですか? 当時の技術、思想的な動機を聞きたいです」。

ひろゆき氏(以下、ひろゆき):暇だったのがまず1つ。それと、当時アメリカで大学生をしていて、「あめぞう掲示板」を使ってたんですよね。「これ、自分で作れるのかな?」っていろいろ試してみたら、「あ、できちゃったじゃん」と。

そこからいろいろやっていくうちに、プログラムを作る力とサービスとして運営していく力ってまったく別物だなと気づきました。動くものができても、運用しやすいようにコードを直さないといけないし、トラブルにならないようにサーバーをどう準備するかも考えないといけないので。

当時無料サーバーを世界中で契約して回る中で、「ここが落ちたら次はここ」みたいに事前にルートを用意しておく、みたいな運用ノウハウも貯まって。

なので、どちらかというと「やったことないしおもしろそうだからやってみたらできた。じゃあ続けるか」っていう流れで、ものすごく高いモチベーションがあったというより、できちゃったから惰性で続けた、っていうほうが近いと思うんですけど。

楓:技術も、ご自身で独学で学ばれたんですね。

ひろゆき:そうですね。当時はPerlというプログラミング言語で書いていて、今でもそうです。データを保存するのってついデータベースを使いがちなんですけど、データベースって、たまにデータがぶっ壊れるんですよね。10年くらい前に某企業のOracleデータベースデータが全消失したりして、やっぱりそういうことは起こるんだなと。

あと、データベースを使うとメモリやCPUのオーバーヘッドが大きくなって、結果としてサーバーコストが高くなることもあったので、テキストファイルに書き出しておけば壊れにくいようにできる、という考え方でシステム設計をしていました。お金がない中で工夫する、というやり方みたいな。

「どうやったら安く、壊れにくく動かせるか」を考えていたので、その後にIT系の会社をやるときにも同じ発想で進めてきましたし、そこのノウハウは今でも活きているんじゃないかなと思いますけど。


“潰れない会社”の鍵は固定費を上げないこと

楓:「無料を貫くのは昔からなのか」というコメントが(笑)。

ひろゆき:そうですね。結局、会社が潰れる時ってお金がなくなった時なんですよね。逆に言うと、お金がなくならなければ会社は生き残れるので、毎月のランニングコストをいかに安くするかが、僕は大事だと思っているんですよね。

「毎月の売上を上げていけばいいんだ」と言って、売上を上げていってコストも上がっていって、売上が下がった時に赤字になって大慌て。コストが上がった会社が、そのコストを下げるのはすごく難しいので、それで潰れてしまうことがけっこうあるので、「最初からコストを上げなきゃいいじゃん」でやると、なかなか潰れにくい会社になるという。

僕が1999年、大学生の時に作った合資会社もまだあるし、2001年ぐらいに作った株式会社もまだあるので、基本的に自分の会社を潰したことはないはずなんですよね。

楓:へぇ。

ひろゆき:という感じで低コストでいつもやっております。

仮説・PDCAの起点は“自分がおもしろいか”

楓:ひろゆきさん流のサービスの作り方に関してもコメントで質問をいただいています。「サービスを当てるために、過去にひろゆきさんが実践されてきた仮説の作り方、PDCAの回し方のコツ、学生でもできそうな実践方法があれば教えてください」。

ひろゆき:まぁ、他にないことで「僕がそれを知りたい・やりたい・おもしろいと思うかどうか?」なんですよね。僕自身がおもしろくないと思うと、飽きてしまって続かなくなるのと、「あれ? これ別に僕が作らなくてもいいじゃん」「これ、あるじゃん」ってなると、飽きてしまうので、他にまず見当たらなくて「こういうものがあったら、おもしろいよね」って、自分自身が思えるかどうか。

わりと僕、自分の欲望に沿っちゃうタイプなんですよね。逆に、「世間でこれが流行っているから、これを作ったほうがいいよね」というソシャゲー系を作っている人たちって、好きか、嫌いかは、ほぼ関係ないと思うんですよね。単純に儲かる、売上の上がるものを作るけれど、僕はあまりそれはできないんですよね。そこは人の性格によるのかなと思いますけど。

“全部わかる時代”の掲示板戦略

楓:なるほどですね。実際「2ちゃんねる」の立ち上げ期は、どういうかたちで仮説を回していったんですか。

ひろゆき:当時は、企業がサイトを作って運営するというのが、そこまでなかった時代なんですよね。ネット決済とか、ネットでクレジットカード番号を入れるとか、ないよねみたいな時代で、ブログを書いている個人がサイトを作るのが普通でした。

そうすると、あんまり情報を出す人もいないんですよ。当時は、1999年とかそのへんなんですけど、日本語のインターネットサイトって、たぶん「日本語で書かれてるページはだいたい全部見たよね」っていう人がけっこういた時代だと思うんですよね。

昔って、ファミコンでも「発売されたソフトはほぼ全部触ってます」みたいな人がいっぱいいたじゃないですか。あれに近い感じです。

今は「発売されたゲームはほぼ全部やりました」って人はいないと思うんですよ。だから当時のインターネットって、「全部わかる時代」だったんですよね。新しいサイトができたら、その情報をみんなで共有するリンク集みたいなのが流行っていたし。

その中でも一番情報が出回りやすいのって、やっぱり掲示板なんですよ。誰でも書けるから。だから「情報が集まる場所」として掲示板はずっと残るだろうなと。しかも掲示板って、人が多ければ多いほど情報が増えるんですよね。じゃあ、たくさん人が来ても耐えられる仕組みにするとか、書かれたデータが消えずに残り続けるようにしておけば、利便性が上がる。そうすれば他のサービスより勝てるよね、っていう考え方です。

他のサービスをやってた人たちって、けっこう自腹で回してたんですよ。だから結局、自分の給料以上の規模にはサイトを大きくできないんですよね。

でも僕は、世界中の「無料で使えるサーバー」をひたすら契約し続ける、っていうやり方をしていたんです。だから自分の人件費を除けばコスト構造がほぼゼロだったんですよ。そうやって、ひたすら無料で規模だけ大きくしていく、っていうのをやっていたので、結果的に「日本で一番大きい掲示板になった」というのはありますね。

楓:ありがとうございます。なんやかんやで、もう残り15分ぐらいになってきてしまいました。

ひろゆき:コメントで「掲示板は、SNSの前の姿ってこと?」って書いてあるんですけど。まぁ、そんな感じですね。今はみんなSNSで情報を収集して、情報共有するように、昔は掲示板という中でやっていた時代があった感じです。


自宅サーバー学習の価値

楓:じゃあ、ここからはひろゆきさんにも質問を取り上げていっていただければと思います。目についたものでけっこうですので、お願いできますか?

ひろゆき:「自宅サーバーで複数サービスを運営していますが、電気代とメンテナンス時間を考えるとクラウドのほうが安いですよね。でも、学習になるので続けるべきですか?」という質問なんですけど。

僕も自宅サーバーで2ちゃんねるとかをやっていた時代があるんですけど。自宅サーバーでしか学べないことも、けっこうあるんですよね。

例えば「GPUをぶん回す」みたいなことをやるなら、実はまだ自宅で回したほうが安いよね、っていう状況があったりするんですよ。だから選択肢として、「これはオンプレで自前で持ったほうがいいのか」、それとも「これはクラウドでやったほうが、ランニングコストも運用も含めて安いよね」っていう比較ができるようになるんですよね。

オンプレっていう手段を持っていない人だと、「じゃあAWSとGCPどっちが安いの?」っていう比較だけになっちゃうんですよ。でも、本当は「この部分はオンプレにしておく」「ここは重要なデータだから社内に置いたほうがいいよね」みたいに、自前サーバーを含めた選択肢を作れるかどうかでぜんぜん違うんです。

だから、自前サーバーをやった経験っていうのは、サービスの管理者をやるなら持っておいたほうがいいんじゃないかなと思います。

AI競争の結末

楓:いったん僕が質問を読み上げたいと思います。「無料のツールが台頭してくるという話がありましたが、AIに関してはデータセンターの消費電力が大きく、これ以上のスケール化は直感的にも限界がありそうに思います。ひろゆきさんは、このOpenAIやGoogleなどでAI競争の価格面について、どのように帰着するとお考えですか?」。

ひろゆき:OpenAIだったり、大きな会社がひたすら投資してやっているようなものは、残り続けると思うんですけど。一般の人たちは「そこまで必要ないよね」という時代にもうなりつつあると、僕は思っていて。

例えば、ChatGPT3と4の違い。4と5の違いを体感で理解しているユーザーって、たぶん7割、8割もいないと思うんですよね。

なので、今は「とにかく超優秀なAIを作ります競争」みたいなのを各社がやっているんですけど、一方でMetaがやってるみたいな「パソコン1台で動きます」とか「スマホの中で動きます」とか、中国で作られてる「GPUなくても動くよ」みたいなモデルもあるわけじゃないですか。

そういうのが各スマホとか各ノートPCの中に入って、「いやもうこれで充分じゃん」っていう時代になってくると、わざわざ自前で巨大なデータセンターを用意して「電力がどうこう」って話じゃなくなるんですよ。需要と供給のバランスで、「そんなに能力高くなくてもこれで足りるよね」っていうものが、小さく自分のスマホの中で動く時代になるんじゃないかなと思ってます。


「ロックしないで書く」DBより軽い設計発想

楓:はい、ありがとうございます。では続きまして、ひろゆきさんから質問のピックアップをお願いします。

ひろゆき:「データベースの連携よりもJSONのAPI操作のほうがいいってこと?」。先ほどのテキストファイルで保存したほうがいいよねという話の関連だと思うんですけど。

データベースを連携させると、いろんな人が触れるようになるし、データベース側には便利なミドルウェアもたくさんあるんですよ。でも僕らがやっていたころって、そもそもサーバーのリソースが少なすぎたんですよね。

アクセスが増えると、それだけでCPUが詰まっちゃう。データベースって同時に書き込むとデータが壊れるので、「ロックして1人ずつ書く」っていう動きをするんですけど、アクセスが多すぎるとロックがずっとかかったままになっちゃって、データの出し入れもできなくなる。結果としてサービスが止まる、みたいな状態になるんですよね。

「じゃあ同じサーバーを100台並べて分散すれば処理が100倍になるよね?」っていうやり方もあるんですけど、そうするとコストがかかる。そうじゃなくて、「多少順番がズレてもいいからロックしないで書く」「多少の誤差は許容する」ってやり方にすると、かなり安く済むんですよ。ロックせずにどんどん追記していく感じですね。

それで「たまに書き込んだ順番が前後することあるけど、それはもうしょうがないよね」という誤差を認めると、コストはだいぶ下がる。だから僕らはテキストファイルでやってたんです。なので、「データベースでガチガチにやるんじゃなくてJSONでやる」っていうのは、その考え方に近いと思います。

楓:はい、ありがとうございます。

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