【3行要約】 ・スタートアップスタジオ「Musashino Valley」にて、佐藤勝彦氏の著書
『AI独学超大全』(SBクリエイティブ)の出版記念イベントが開催されました。
・ 佐藤氏によれば、AIは複数のアイデアを生成できるのに、多くの人は1パターンの出力で満足してしまい、真の可能性を引き出せていません。
・同氏は、これからのビジネスパーソンにはAIリーダブルな資料の作成スキルなど、AIと効果的に協働するためのコミュニケーション能力が求められると指摘します。
前回の記事はこちら AIエージェントで仕事はどう変わるのか
伊藤羊一氏(以下、伊藤):要するにChatGPTとかは、聞いたら答える優秀な部下なんだけど、それがエージェントになると、すっげぇ優秀な部下。
佐藤勝彦氏(以下、佐藤):自律した会社が出来上がっている感覚。ボスが1人いて、下に部下がいて。コンサルで言うと、アソシエイト。朝までがんばって調べ尽くしますよね。
「調べ尽くしたか?」って言ったら、ここでボスが「創業融資と事業(計画)書の書き方の完全ガイドがあります」となるので、(チャット欄に入力する)「生成AIを武器にした、明日から1億円儲かるビジネスを考えたいと思うので、30個ぐらいのネタをください」。堕落コースはこんな感じですね。
そうするともう、この調べ尽くしてきた中と、日本政策金融公庫を口説き落とすだけのネタを抽象化して考えてくれると。
伊藤:わかりやすく言えば、コンサルティング会社で言うアソシエイトは要らなくなるみたいな?
佐藤:究極。
伊藤:究極ね。
佐藤:仕事のやり方が変わる。
本当にやりたいことが求められる時代になる
伊藤:要らなくなるって言うと語弊があるかな。パートナーみたいな人は必要なんですよね?
佐藤:必要。ここのやはり人は問いを立てる能力がめちゃくちゃ大事なので。
伊藤:2026年以降も、ここが進化してくる?
佐藤:めちゃくちゃヤバいことになる。GeminiもClaudeもChatGPTも、偏差値160ぐらいが当たり前のモンスターIQになってしまう。
伊藤:そんな中で、私たちはどうすればいいのでしょう?
佐藤:だから僕は最近、土の香りが恋しくてですね。やはり畑を耕して生きていこうと。
(会場笑)
僕、『風の谷のナウシカ』をまた見たくなって。やはり根源的なものの欲求に真顔で寄り添っていかないと。
伊藤:いや、そうだよね。より「あなたは何者?」「何をしたいの?」っていう。もちろんこれは使えるようになって、いろいろな細かい仕事はやってもらうとして。どんどん簡単にできるようになってくる。一方で、「お前は本当に何がしたいのか?」っていう……。
佐藤:そうそう、宮崎駿なんですよ(笑)。
問いを立てる能力が重要に
伊藤:それを突き詰める。それをコンテンツに残して、またぶっ込み続けるということが重要っていう。
佐藤:重要。結局、これも先ほどからお伝えしているとおり、「日本政策金融公庫という言葉が出ます?」っていう話。「資金調達をしたいんだよ」の一言じゃないんですよ。奥まったところまで問いを立てる能力、聞く能力。そこの語彙力。
僕がよく人から評価をいただく時に、「佐藤さんは営業だから、形容詞がめっちゃ出るよね」と。「音声入力するには、形容詞が出ることがめちゃくちゃ重要なんだと思う、」ということを言われました。形容詞って、営業だからなんですかね?
伊藤:いや、使っているからじゃないですか? 使わないと、「なんかヤベェ」「すげぇ」とかしか言わないので。
(会場笑)
佐藤:いい出力が出ないから、自分で言い方を工夫した結果として、めっちゃ形容詞が出るようになった?
伊藤:そうそう、それはあると思うんですよ。
佐藤:でも、否定はできないな。確かにそのとおりですね。だからやはり、対話が大事ですね。
伊藤:そうか、そういうことね。
“完成品を生成して終わり”の人が多い
佐藤:そういうことですね。僕の講義を受けると、これがすご過ぎて、一撃で満足しちゃうんですよ、「これをやったら、もう完成じゃん」「あとは何をやるんですか、佐藤さん?」っていうところで止まる方が多いんです。

「えっ、そうですか? じゃあ、あと何パターン作れます?」って。4パターンでも5パターンでも作れるのに、1パターンで満足する方が非常に多いんですよね。だから、判別ができないっていうこともあるのかもしれない。めちゃくちゃいいものを見ていないんですかね? とも思いました。
伊藤:さっきおっしゃっていましたけど、佐藤塾は今、3期目でしたっけ? 今、みなさんはおそらく、どこで申し込んだらいいんだろうって感じていらっしゃると思いますが……。
佐藤:(笑)。今日のAI議事録の一番下までスクロールすれば、もう否が応でもPR記事が載っていますので(笑)。僕のところに来てもらえれば大丈夫ですけども。
今回(書籍を)書いた目的は、「独学の本ですよ」と。だから、考えていただきたいのは、「佐藤さんに聞かないといけない」だったら独学の本の魅力が伝わっていない。僕は自分で学ぶやり方を2,000円で提供したんですよ。だって僕には先生がいませんからね。誰からも教えてもらっていません。
まずは興味を持つことから
佐藤:「どうやって自分で見抜いているんですか? わかりやすくしているんですか?」(という質問に)は、NotebookLMにさっき「Googleスプレッドシート、すげぇ」って言ったわけですから、今日帰ったらやるべきは、Geminiのソースをたくさん入れるんですよ。
それも全部入れたら、過去の2年間のGeminiの話になっちゃいますよね。そうじゃない。この24時間の間のニュースをこの中に入れる。がんばってやってもらって、純米大吟醸の法則で磨いたソースでアウトプットを生成することが大事です。
伊藤:なるほど。
佐藤:玄米を入れたところとて、磨く作業が大変ですよっていう話なので、最初から磨き倒してください。だから面倒くさいですよ。
24時間の中で、どうやらGeminiのGoogleスプレッドシートでAI関数がプレスリリースされたはずだ。「じゃあ、どうします?」っていう。「Google検索します? 何を検索します?」「どうすればいいんだろう?」っていうので、もうハテナマークで指が止まる方だと、やはりここからは進まないですよね。
「じゃあ、『note』を見よう」とか、「YouTubeで誰かがネタを投稿しているんじゃないか?」とか、「佐藤さんのXで最新ニュースが出ているんじゃないか?」とか、「じゃあ、(そこに詳しい)インフルエンサーって誰だろう?」とか、追求する。やはり、探究心とか興味関心が湧かない方は止まってしまうと思うんです。なのですごく平たく言うと、興味を持ちましょうっていうところが最初かなと。
伊藤:まぁ、そうですね。
AIが読みやすい資料を残す
佐藤:だって、すげぇと思いません? 今までどれだけの人が「あそこ、困っていました」っていう話だから、お金もかからないんですよ。無料でできちゃう。
伊藤:じゃあ、いずれにせよ、今日帰ってからのみなさんのタスクは、NotebookLMにこれをぶっ込むところから始まると。
佐藤:さらにもう1段階。Geminiでも、Googleスプレッドシートの24時間以内のネタ。そこまでこだわっていれば。
伊藤:ネタ。あと、それから未来のために自分のコンテンツを作り続ける。
佐藤:作り続ける。これは僕はAIリーダブルという言い方をしていて。「AIアカデミア」の中で第1期の方にも切々と説いたんですけども、実はPDFとかPowerPointとかExcelだけを残していても駄目なんです。
なぜならば、特に日本の中小企業の現場においては、AIが読みやすい形式じゃない可能性が極めて高いんです。プレゼン(資料)でも、よく写真だらけのビジュアルとか、コピペでグラフを貼りつけているだけとか、なんかWebサイトからこれを貼りつけて、あれを貼りつけて、みたいなやつとか。
AIもわかるんですけど、わかりやすいかと言われればわかりにくい性質のものなので、実は僕(のデータ)みたいにテキストがダラダラあったほうがわかりやすいんです。「これをヒューマンリーダブルか、AIリーダブルかの二分にして考えてください」ってお伝えするんですね。AIリーダブルのほうがけっこうできていなかったですね。
伊藤:要は、テキストでダラダラということですね。
佐藤:はい。まずはテキストにすることです。僕のPCの中にはバックアップも含めてそれが1万個入っているっていう状態が、差を生んでいませんかっていうことです。
※本記事にはAmazonアソシエイトのリンクを含みます。記事内のリンクから商品を購入されると、当サイトに収益が発生する場合があります。