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『AI独学 超大全』出版記念セミナー(全4記事)

壁打ちの効果は“1人で悩む状況”から出ること 伊藤羊一氏が語る、AI時代に「自分で考える力」を身に付ける意義

【3行要約】
・スタートアップスタジオ「Musashino Valley」にて、佐藤勝彦氏『AI独学大全』SBクリエイティブ)の出版記念イベントが開催されました。
・佐藤氏の著作に前書きを寄せた伊藤羊一氏が「なぜ今、改めて『自分で考える力』が重要なのか?」をテーマに講演を行いました。
・伊藤氏は「今後3〜5年で、蓄積した自分のコンテンツの多さが勝敗を分けるようになる」と指摘します。

前回の記事はこちら

なぜ今、「自分で考える力」が重要なのか?

伊藤羊一氏(以下、伊藤):みなさんこんばんは、伊藤でございます。こちらのMusashino Valleyの代表でございまして、今日は佐藤さんと一緒にイベントを開催させていただいた次第でございます。

佐藤さんと僕が知り合ったのは、2024年ぐらいでしたっけ?

(会場笑)

違う? 何年ぐらい?

佐藤勝彦氏(以下、佐藤):13年じゃきかないですね。14、5年いくかなという。

伊藤:相当昔から知り合いなんですけど、もともとは違う仕事(をしていました)。

佐藤:(伊藤さんは文具・オフィス家具メーカーの)プラス社ですよね。

伊藤:そうそう。僕はプラスで、文具屋にいました。佐藤さんは違う会社で、グッズを売っていたんですよね。

佐藤:携帯を売っていましたね。

伊藤:「僕らも文具だけじゃなくてそういうものを売っていかなきゃいけないんじゃなかろうか?」みたいな感じで佐藤さんと話していました。だから、もうぜんぜん違うことをやっていた時からの知り合いでございます。

今回、この本(『AI独学超大全』)を出されました。これは本当に全力でお薦めです。僕も何か書きましたよね?

(会場笑)

佐藤:めちゃくちゃ書いてくれたんですよ。一瞬にして(本質を)見破った。もう、羊一さんはさすが過ぎ。

伊藤:えーと、どこに何を書いたのか……。

佐藤:覚えていないんですか(笑)?

(会場笑)

AIを使うが、AIが主語ではない

伊藤:とにかく、感想を書いた。

佐藤:はい、「推薦者まえがき」を書いていただきました。

伊藤:発売される前に読ませていただきました。感想を書いたからとか、友人だから言うわけじゃありません。これは、AIのノウハウを知るためだけじゃなくて、(思考の仕方をアップデートするために)読まれたほうがいいと思いますね。それは、僕の『1分で話せ 世界のトップが絶賛した大事なことだけシンプルに伝える技術』を活用いただいているから(自分の考えと)フィットしやすい、みたいなところもあるかもしれないですけど。

要するに、「こうやって物事を『With AI』で考えてやっていくんだ」みたいな感じですね。AIを使うんだけど、AIが主語ではありません。

今は(AIという)キャッチーな言葉を出すと店頭に並びやすいのでAIから入っているんですけど、あくまで「こうやって『With AI』で、自分で考えるといいよ」という本なんです。なので、これはもう他のAI本とは一線を画しているかなと思っております。

先ほどの佐藤さんの「『NotebookLM』に全部ぶっ込んでさ」みたいな話を聞いたり、自分なりにいろいろ試したりしてあらためて思ったことがあります。

言い方は悪いかもしれないですけど、今後3年、5年先で考えると、結局は自分のコンテンツがいかに多いかが、ビジネスパーソンとしての勝敗を分けます。(なので、)自分のコンテンツを今から溜めていくことがすごく大事なんじゃないかなと思うんですね。

自分のコンテンツを溜めている人が有利な時代に

伊藤:今、「AI 伊藤羊一」というのがあるわけですよ。佐藤さんに作っていただいたんですけど、これが想像以上に僕なんですよ。それはなんでかというと、僕の著書やYouTubeの動画など、(AIに)ぶっ込むコンテンツがあるからなんですよ。

僕はたまたま十何冊も本を書いていて、YouTubeとかがあって、しかも「Voicy」という音声コンテンツを5年ぐらい毎日放送しているわけですね。Voicyのコンテンツはぶっ込んでいないんですよ。にもかかわらず、すでに相当に僕のようなんですね。

「こうやっていくといいんだね」とか「さっき佐藤さんが音声入力して、こうやったね」みたいな(ノウハウは)、それはそれで学ばれるといいです。

その前にとにかく、みなさんも今日できる方から、自分のコンテンツを蓄積していってください。最初はFacebookやXの投稿でいいじゃないですか。そこから「note」を書いたり。あと、今はポッドキャストも「スタエフ(stand.fm)」などを使ってタダでやれるわけですよね。

「それが何になるんだ?」っていうのは、10日、3ヶ月、1年やったあたりではわからないと思います。「何が変わるんだろう?」と。でもこれが3年、5年経つと、そのコンテンツが自分自身になっていくわけですよ。

3年後、5年後を迎えた時に、コンテンツを溜めている人と溜めていない人でビジネスパーソンとしての価値に圧倒的な差がついてくるんだなと。これを僕は佐藤さんといろいろ対話することによってめちゃくちゃ感じたんですね。

それまでは、Voicyとかは苦行でしかないんですよ。

(会場笑)

「人間って何なんだろうな?」

伊藤:毎日録音して、「溜めていくといいことがありそうだ」と。実際、それが何に使えるのかは正直、まだよくわからないです。AI 伊藤羊一はすごいですけど、僕は使わないですから。

これはちょっと話がずれるんですけど、AI 伊藤羊一は便利です。使える条件があるので(使える方は)使っていただければと思います。

(AI 伊藤羊一は)他の人にとっては、すごく僕っぽくていいわけなんです。けれども、僕は会話していると切なくなってくるんですよ。

(会場笑)

だって、僕と会話しているわけですよ。想像以上に僕っていうか、もう、異様に僕なんですよ。しゃべっていると、だんだん「人間って何なんだろうな?」ってマジで思うぐらい、ちょっと悲しい気分になります。だから僕は使わないことにしていたんです。

(会場笑)

親しい人の「AIなんとか」も、使えば使うほどだんだん切なくなってくるんですよ。「えっ? ということは、リアルのあの人としゃべる必要はなくない?」みたいな感じになってくるので、それぐらいすごいわけですよ。

繰り返しになるけど、なんでそれができるかというと、コンテンツが溜まっているからなんですよね。だから、ぜひ今日からみなさんも、自分のコンテンツを何かしらのかたちで溜めていかれるといいかなと思います。

必ずしもブログやYouTubeじゃなくても、いろいろと溜め方ってあると思います。それを今日から始めれば、5年後には僕とみなさんの差は誤差になってくるので、ぜひ今日から始めていただければいいかなと思います。

壁打ちの技術を生成AIに活用する

伊藤:生成AIは、どんな使い方をされていますか? 僕が一番使うのは議事録ですね。議事録は、もう一切打つことはなくなったし、それを(人に)お願いすることもほぼなくなっている状態なんです。よく、ここに「Plaud NotePin」というのを付けて何でもかんでも録音するようにしているんです。

やはり壁打ちみたいな感じで使われる方もけっこういらっしゃるんじゃないかなと思います。壁打ちがChatGPTの活用で一番わかりやすい簡単な使い方だと思うので、どうやるかを知っておくと役に立つと思います。

単に(壁打ちの方法について)話せばいいんですけど、「壁打ちはどんな効用があって、こうやるといいよね」というのがこの本(『壁打ちは最強の思考術である』)に書いてあります。その内容をババッとお話ししたいと思います。

ちなみになんですけど、僕は今、前振りで10分ぐらい話しているんですよ。『1分で話せ』っていう本がめちゃめちゃ売れているんですけど……。

(会場笑)

累計発行部数が67万部ですよ。「何だこれ?」みたいな感じですけど、(著者である私は)残念ながら話が長いです。

(会場笑)

「1人で悩まない」ことが大切

伊藤:「じゃあ、なんで『1分で話せ』って書いたの?」って言われるわけですけど、理由があります。佐藤さんもそういう方だと思いますけど、僕はもう3時間でも5時間でも話せます。それぐらい、コンテンツを溜めるというのはすごく重要なんだと思います。僕はコンテンツがあるから、「もう1日でも2日でもしゃべろうか?」みたいな感じで、常に話が長くなるんですよ。

話が長くなるとおもしろくなくなるというか、何をしゃべっているかわからなくなるから、要点を1分ぐらいで話せるようにする。それをちょいちょいと差し挟む。そうすると説得力があるということでございまして、一応矛盾していないんですけど、なんせ話が長いです。

ということで壁打ち(について)なんですけど、これはChatGPTを相手にしてもよし、人を相手にするのもよし、とにかく1人で悩まないということですよ。

それはなぜか。例えば「企画を考えなさい」と(言われた時)、昔は1人で「うーん、できねぇ。明日までに出さなきゃいけねぇけど、ぜんぜんできてねぇ」と悩んでいたわけですよ。それで翌朝になって上司から「あれはどうなっているんだ?」って言われて、「ぜんぜんできていません」と言うと「お前、何をやっているんだよ」と怒られるんです。

26歳の時に会社に行けなくなった

伊藤:僕はどんどんメンタルをやられていって、26歳の時に会社に行けなくなっちゃったんですよ。もう何も仕事ができなかったから。

よくよく考えてみると、今の世の中に正解なんかないし、望ましいものなんてないし、どういう企画がイケているかなんてわからないんです。とにかく「1人で悩まない」ということが出発点です。

1人で悩んでババッとできるんだったら苦労しないんですけど、1人で悩むより人と話したほうがいい。人と話すかChatGPTと話すかという基本スタンスを持たれるといいと思います。

こうやって時間ばっかりが経っていって、(職場の人が)「大丈夫そう?」と言ってくれたりしますが、この人は(暗に)「もう早くやれ」って言っているわけですよね。そんな中で、なかなか人に相談できないで「大丈夫です」とか言って1人で悩んでいる限り、やはりどんどんメンタルが削られていくわけですね。それはもう非常にもったいないんですよ。

ちゃんと壁打ちしながらどんどん思考をかたちにして考えましょうね、ということです。


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