AIを「敵」として描くアメリカのエンタメ
小澤:おもしろい。守屋さん、今日なんとなく話しただけで、いわゆる一神教と多神教の比較みたいなところがちょっと浮かび上がってきた感覚があって。まさに日本が多神教的な価値観があるというのが、IPやロボットみたいなところの多様性だったりデザインに響いてくる。日本人はもう少し、これを再認識してほしいところではありますよね。
本当に当たり前過ぎて、今たぶんみんなしっくりきていないし、僕も思っていないですけど、海外のVCではそんなにも驚かれるものなんですね。
守屋:海外ではけっこう驚かれるというか、最近でこそ理解してきてもらっていますけど、やはり根本的な歴史を含めて考え方は違うので、あんまりそこに対して考えていたりする人はそんなにいないなというのはすごく感じます。

このへんの話をすると止まらなくなるから(笑)、どこをつまんだらいいかと思うんですけど、でも日本には間違いなくありますね。生命を宿すという考え方は、アニミズムやシャーマニズム、今のアニメもそうですし、漫画も全部そうですけど。
うちは以前『TED Talks』で大炎上したんですよ。バーチャルヒューマンが『TED Talks』に出るのが初めてで、けっこうアメリカでAIは「クソ食らえ」みたいな傾向だったんですけど。その時にやはりみんな言っていたのが、あっちは基本的に「AIは敵」でエンタメに昇華しているので。うちらはやはり『鉄腕アトム』しかり。
小澤:『ドラえもん』しかり。
石川:『ドラえもん』しかり。わりとロボティクスとかAIみたいなものとの付き合いが基本的に、友だちとか助けてくれるキャラクターという感覚で育っているのも、けっこう宗教観が違うんだなというのは感じていて。そういう議論はアメリカですごくされています。
「AIとハードウェアの掛け合わせ」で狙う海外市場
小澤:ありがとうございます。実は僕も午前中、東京ビッグサイトで登壇していた時も、まさにいわゆる「海外のロボットは敵になりやすいよね」という話をしてきたんですけど、やはりこの日本の価値観をいかに組み込んでいくのか。そこの戦略がこれからめちゃくちゃ求められると思うし、この議論をもっとしてみたいですね。
もう40分で時間にはなってしまったんですけれども、お二人からも似た考え方が出てきてすごくうれしかったですし、普通に日本は可能性がありますよね。ということで、最後にその可能性に触れながら、一言ずついただいて終わりにできたらと思うんですが、石川さん、いかがでしょうか?
石川:そうですね。さっきもう触れちゃったんですが、特にAI、ロボットにかかわらず、僕はハードウェアはけっこう広く捉えているんですけど。そういったAIとハードウェアの掛け合わせ、AIとソフトウェアは、もう放っておいても、どんどんやられていっていると思うので、もっとAIとハードウェアの掛け合わせでやるプレイヤーが日本から出てくると、いきなり海外に届く(と思う)。
我々としては競合になりますけど、もう競合とかはほぼ関係ないので、どんどんプレイヤーが出て一緒にやっていけるとうれしいなと思ったりします。本当にめちゃくちゃ海外に届くので、ぜひ一緒にやりましょう。
「機能性」の競争が激化する今こそ「デザイン」に注目を
小澤:ありがとうございます。じゃあ、守屋さんもぜひ。
守屋:近年、バーチャルヒューマンがやっと広がってきて、対話できるAIも仕組み化されてきたんですけど、バーチャルヒューマンの口の動きが、けっこう人間と変わらない精度になった。ということで言うと、キャラクターも可能になっているんですよ。なのでキャラクターのAIがまたこれで育っていくんじゃないかなとずっと思っています。
日本はとんでもない数のキャラクターがもうすでにいるので、うちでIPとかAIとかをどんどんどんどん掛け合わせて、このキャラクターをもう1回活かしてAIに使えないかという問い合わせもけっこう増えています。
日本に今すでにあるキャラクター文化とか、日本にすでにあるIPになり切れていない宝物みたいなものをAIで復活させていくこととかも、うちでやっていたりもするので。そういった対話型AIエージェント、バーチャルヒューマン、バーチャルキャラクター、IPみたいなところがあれば、ぜひご相談ください。よろしくお願いします。
小澤:ありがとうございます。さてみなさん、2025年はもうOpenAIで、Geminiもすごく発展をして、Anthropic、Meta、そしてSmall Language Model(SLM)みたいな技術も発展していまして、いわゆる機能としてはもう世界での競争が激しくなっています。
ただこれから機能的な発展を人間が評価できなくなった瞬間に、今度はいかに関係値、人間と信頼関係を築き、生活に溶け込んでいくのか。そこで今度重要になってくるのは、いかにこのデザインとか人格とかキャラクター性みたいなところをデザインするのかという話になると思うんですね。
なので、今世界的なトレンドもメディアも、どうしても機能だとか推論の精度の高さみたいになってしまうんですけど。ぜひ今日をきっかけに、機能性だけではなくてデザインまで視野を広げていただいて、この生成AIのあり方を考えるきっかけにしていただけたらなと思っていますので、みなさん、ぜひよろしくお願いいたします。
ということで、みなさん、ご清聴いただきありがとうございました。
(会場拍手)