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SoftBank World 2025 特別講演(全4記事)

社員1人あたり1,000本のAIを持つ未来へ ソフトバンク孫正義氏が明かす「千手観音プロジェクト」の挑戦 [2/2]

エージェントの進化により変化する人間の役割

先ほど言いましたように、エージェントの能力は、もうすでにあらゆる分野の博士号を超えました。聞いてわからないことはほとんどない状況になりました。

中には、AIの限界としてハルシネーション、幻覚のことを言う人がいますが、それはもう一時的な、些細な問題だと捉えていただきたいと思います。もうそんなものは、時間の経過とともにどんどん減っていきます。

人間だって、勝手な思い込みや記憶違いはしょっちゅうあるわけです。そういうものはどんどん超えていく。エージェントが自ら思考してプログラミングするようになりますから、会社の中の情報処理部門のプログラマーがプログラムする時代は、もう目の前で終わろうとしています。



我々のグループの中でも、いかにプログラミングを人間の作業からAIのエージェントに置き換えるかという目標を掲げて、ベンチマークを設定しています。30パーセント、50パーセント、100パーセント、そして最終的には社員がプログラミング、コーディングをやらないと決めています。そのために今、プロセスを走らせています。



さまざまなリサーチや交渉事やステップは全部エージェント化します。全員の社員にエージェントを1,000本以上持たせると、先ほどから言っているとおりです。

月40円で24時間稼働する“知的労働者”

そうするとどのくらい費用がかかるんだということですが、エージェントは人間と比べて、生産性で少なくとも4倍以上。時間数で4倍以上です。

コストですが、我々グループはOpenAIに、年間で日本円で4,500億円払うという契約を交わしています。今その手続きの準備中です。

1エージェントあたりに換算すると月40円ぐらいになります。月40円でエージェントが自ら記憶したり交渉したりアクションを起こしたりするわけですから、ものすごく安いですね。



アメリカ、あるいは中国はもうすでに80パーセント以上が会社の中で生成AIを使いまくっているのですが、日本はまだ20数パーセントだったと思います。大変遅れています。30年ぐらい前までの日本は、最先端の機器を一番使いたがることで有名だったのですが、どうも最近は遅れております。

どうしても新しいものに対して知識人が保守的な見方をして、斜め上から見る見方のコメントも多いのですが、それは社会全体が少し年を取ってきてるからかなぁという気もするんですよね。やはり新しいものにどんどんチャレンジすべきだと私は思います。

1,000の手と目を持つ「千手観音プロジェクト」

先ほどから繰り返し、社員1人あたり1,000本以上のエージェントを持つと申し上げています。イメージでどんなものかなぁと思って、それこそChatGPTに相談したら、千手観音の銅像の絵が浮かびました。

1,000本の手があって、その手に1個ずつ目がついている。1,000の手と1,000の目がついている。世の中の困っている人、病気をしている人、悩んでいる人、何か問題が起きている人を助けていく。千手観音は、人々を幸せにするということです。

我々は社員一人ひとりが、千手観音になるんだ。社内では千手観音プロジェクトと呼んでいます。スーパーサイヤ人のようなスーパー人間、スーパーヒューマンになっていく。あらゆる戦略の立案、プログラミング、事業計画、交渉、開発、全部をやっていく。



しかもそれは、常時オンです。今までは、我々が思い立った時にプロンプトで問い合わせたり、音声で問い合わせたりしていました。こっちが申し込んだ時だけ何かを聞いていたんですね。

この会場で聞いてみたいと思います。ほぼ毎日ChatGPT、あるいはその他の生成AIを使っているという人は手を挙げてほしい。

(会場挙手)

おぉ、さすがですね。ここに来ている方は優秀だと思いますよ。8割ぐらいの人が手を挙げました。すごいですね。やっぱり進んでいる人たちが今日会場に来ているんですね。

でもみなさん1日何回使ってますか? 3回とか5回とか。「いや、20回以上はいってるぞ」という人はおそらく少ないと思いますね。

でもね、これからは常時オンなんです。聞いた時だけ答えるのではなくて、常に一緒に参加している。一緒に聞いている。一緒に学んでいる。



しかも、生涯記憶なんです。今までに交渉したこと、今までに会議したこと、今までに会話をしたことを全部覚えている。しかもみなさんの子どもや孫は3歳~5歳の時から触れ合うようになるので、子どもが病気した時、悩んだ時、勉強を覚えようとした時、それを生涯で覚えているということになります。

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