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SoftBank World 2025 特別講演 対談(全1記事)

孫正義×サム・アルトマンが描くAIエージェント時代 「Stargate」で始まる次の産業革命 [1/2]

【3行要約】
・AI技術の急速な発展が注目される一方で、5年後・10年後の具体的な変化や仕事への影響について不安を抱くビジネスパーソンが増えています。
・OpenAIのAltman氏は現在のエージェント時代から次世代インターフェース革命への移行期にあると指摘し、医療・教育分野での劇的な変化を予測しています。
・組織は歴史的な技術革新の教訓を活かし、AIツールの活用スキル習得と新たな価値創造の仕組み構築を急ぐ必要があります。
※ 英語での対談の同時通訳を書き起こしたものです。内容および解釈については英語原⽂が優先されます。

AIの進化と人間の創造性

孫正義氏(以下、孫):おはようございます。最近、AIがものすごく進化をしています。「人間がまだAIよりも賢い」「AIには、こんな限界がある」「あんな限界がある」と思っている人も多いと思います。

例えば、その1つとして「クリエイティビティは、人間に残されたすばらしい機能の1つだ」と言う人がいますね。

もちろん計算能力だとか、物を知っているとか、相談できるという機能については、最近だいぶその見方が変わってきていると思いますが、動画の世界とか、物語の世界、芸術の世界まで、AIが一気に進化してきております。



私は近い将来、AIが人々のいろいろな感情を理解し、理解するだけではなく、自らが感情や意識に相当するようなものを持ち始めると信じております。

今日は、このあと私もプレゼンしますが、その前の30分間はOpenAIのSamと、これから対談することになっております。ぜひ、一緒に聞いていただきたいと思います。よろしくお願いします。Hey,Sam.

第一世代からエージェント時代へ

Sam Altman氏(以下、アルトマン):Hello.Hey,MASA.

孫:さて、AIエージェントの最新の動きについてどう思いますか? そして、あなたのビジョンは?

アルトマン:まずは、ここにお招きいただき、ありがとうございます。あなたは私たちにとって最高のビジョナリーの1人であり、最も深く信頼できるパートナーであり、友人でもあります。これからエージェントについてお話ししますが、もしあなたが私たちやコンピュート(計算能力・計算資源)、そしてAIを信じてくれていなければ、こうしてここでお話しすることも、この地点までたどり着くこともできなかったでしょう。心から感謝しています。

AIの第一世代、ChatGPTに象徴される初期の時代は、何でも質問すれば答えてくれるものでした。そして今、エージェントの登場によって、AIはあなたのために実際の作業をこなせるようになりました。コードを書き、調査レポートを作成し、知的労働の一部を代行し、インターネットも自在に使いこなします。まさに驚くべき進化です。

私たちはまだ、この変化の全貌を完全には理解できていないでしょう。それでも、自然な言葉でコンピュータに曖昧で複雑な作業を指示すれば、それを理解して実行してくれる、その結果もたらされる生産性と可能性は、世界に計り知れないインパクトを与えると信じています。


「Stargate」プロジェクトのビジョン

孫:すばらしいですね。では、「Stargate」についてはどうですか? 2025年1月にトランプ大統領とともに発表しましたね。そのビジョンは?

アルトマン:あれは、私たちが共有するビジョンであり、すばらしいパートナーシップの成果です。私たちは、世界で最も大規模かつ高効率なコンピュータをいかに構築するかを探っています。プロジェクトは順調に進んでおり、現在も共に大規模な取り組みを進めています。

まずは10ギガワット規模のコンピュートを実現することが目標で、それが成功すればさらに拡大していく計画です。

その中でも、あなたが主導している新しいデータセンター技術は、私にとって非常にワクワクする取り組みです。

将来、10ギガワットをはるかに超える規模へと拡大していくには、新たな技術や建設手法、そして革新的なアプローチが不可欠です。そうして、世界が求める十分なコンピュートを提供できれば、AI革命は最大限のポジティブな影響をもたらすことができると私は確信しています。

なぜコンピュート拡大は止まらないのか

孫:一部の人は「効果は逓減する」「そこまで大きなコンピュートは必要ない」と言います。それでもあなたはコンピュートの規模拡大に強気で、スケーリング法則は依然として有効だと考えているのですね。

アルトマン:理由は2つあります。第一に、スケーリング法則は長く有効であり、その先には私たちを大きく前進させるすばらしい新たな研究が見えていること、そしてより優れたモデルを作り続けられることです。

第二に、AIのコストを下げれば下げるほど、使いたい人は増えるということです。もしコストを10分の1にできれば、利用は30倍に膨らむかもしれません。世界における知能の需要は途方もなく大きく、この流れの中でさらに拡大し続けるでしょう。

次世代AIインターフェースの可能性

孫:では、AIインターフェースについてはどうですか? かつてはキーボードがあって、その後にスマートフォンが登場しました。新しいAIインターフェースはどんなものになるのでしょうか?

アルトマン:おっしゃるとおり、これまでコンピュータのインターフェース革命は、実質的に2回しかありませんでした。

かつてはコマンドラインがあり、さらにその前にはパンチカードのような仕組みもありましたが、大衆市場を変えたのは、キーボード、マウス、モニターと、その後のタッチスクリーン式スマートフォンでした。AIが登場するまでは、それが最適だったのです。

しかし今では、私たちを本当に理解し、複雑なタスクを代行し、状況の変化を把握し、代理人のように行動できるシステムが存在します。人と代わりにコミュニケーションを取り、情報を取捨選択することさえできる、そんな存在です。

そうなると、まったく新しい形が想像できますし、現状のハードウェアはそうしたやり取りに適していないと感じます。だからこそ、あなたやジョニー・アイブ氏(ジョナサン・アイブ氏)と「次に何を作るべきか」という話を以前から重ねてきました。 これは非常にワクワクする課題であり、うまく形にできるかどうか、ぜひ挑戦してみたいと思っています。


5年後・10年後・30年後の未来像

孫:では、ビジョンについてお聞きします。5年後にはAGIが確実に実現していると思いますが、それは最終目標ではありません。

10年後、そして30年後には、スーパーインテリジェンス、人工超知能が登場しているでしょう。30年後には私はもういないかもしれませんが、あなたはまだ若い。そこでお尋ねします。5年後、10年後、30年後、それぞれの未来をどのように描いていますか?

アルトマン:それは非常に難しい質問ですね。まず、5年後には現在の私たちには不可能なことを実行できるシステムが登場していると思います。

10年後には、科学の進歩や経済成長のスピードが今とはまったく違う姿を見せ、驚くほど加速しているはずです。

社会の変化は比較的ゆるやかでも、技術や科学の能力は飛躍的に向上し、あらゆる分野で自己改善のループが大きな役割を果たすようになると考えます。30年後については……正直、まったく予測ができません。あまりにも難しすぎます。

ロボットがロボットを作る時代へ

孫:あなたでも30年後は想像するのが難しいのですね。ですが、確実に言えるのは、30年後にはスーパーインテリジェンスに“できないこと”を想像するほうが難しくなっているだろう、ということです。スーパーインテリジェンスはロボットと結びつき、物を動かし、生産まで行えるようになっているはずです。

私も、そしてあなたも、将来のロボット産業を信じていますが、ロボットについてはどう考えていますか?

アルトマン:とてもワクワクしています。ロボットは自己改善ループの1つです。数百万台のロボットを作ることができれば、それらが数十億台のロボットを作り出せる。十分な数のロボットがあれば、世界により多くの物質的豊かさを生み出せます。

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