【3行要約】・eスポーツ市場は急成長を続けているが、上位チーム以外の収益化や業界全体の持続的発展には課題が山積しています。
・業界関係者は「上位3〜4社以下は厳しい状況」と指摘し、営業力不足が業界の根本的課題だと分析しています。
・投資家や企業は資金提供・営業支援・M&Aなど多角的なアプローチでeスポーツ市場参入を図るべきだと語りました。
前回の記事はこちら 営業力の強化が業界の急所
おりぴぴ氏(以下、おりぴぴ):魅力的なチームやプレイヤーはたくさんいる中で、もうそういう差が生まれているということですが、その差を埋めていくために、例えば中野さんだったらどうしたいなとか、どういった企業に参入していただきたいなとかありますか。
中野サガット氏(以下、中野):上位3~4社以下はけっこう厳しい状況で、うちもその中に入っています。もしかしたらもっと下かもしれないですけれども、それぐらいの規模ではやっています。
やっぱりスポンサーを集めていく作業はどうしても必要になってくるし、eスポーツチームを維持するために他の事業でマネタイズして、それをチームに入れるという多角経営をしていかないといけないかなとは思います。
一方でeスポーツ単体で見ると、スポンサーとなる企業をもっと獲得していかないといけないという部分では、やっぱりPR・アプローチ、どんどん営業という部分。、業界全体に営業が弱いんじゃないかなって、客観的に見て思っています。うちも含めてなんですけれども。
なので、そこに関しては広告代理店とか、いわゆるプロを入れてテコ入れしていくのが一番いいんじゃないのかなぁと(思います)。自社に対してもそう思っていますし、客観的に、全体でそういう動きにしていくのが業界の活性化になるんじゃないかなと思っていますね。
今まで入ってきている業種の中でも、会社としては参入していないところ、様子見しているところはあると思いますが、潜在的なニーズはありますし、だいたい様子見していると思うので、そこが本格的に今年、来年、どんどん入ってくるのではないかなと。あとはもう本当、きっかけだけだと思っています。
影響力は“購買”も“就職”も動かす
おりぴぴ:正直、今の若者に向けて、製品、サービス、就職先などをアピールするには、YouTuberやインフルエンサー、eスポーツプレイヤーがものすごく相性がいいと私は思っているんですけれども。やっぱりそうですよね? mittiiiさん!……(笑)。
mittiii氏(以下、mittiii):まぁ、そうですね。実例で自分のインフルエンス能力に対してこういう出来事があったというところでお話しすると、要はマーケでやると、何個売れたとかが難しいんですが、それこそ僕の動画を見て「パソコンを買いました」みたいな話は、うれしい意味でもう何百回見たんだっていう……いろいろな人が自分が要因で買ってくれたりしていますし。
それこそ「お前に『働け』と言われて就職決まったよ」みたいな子もいて(笑)。なんか自分には影響力が多少あるんだろうなというのもすごく感じています。
僕は、チームの経営に関しては何もわからないのであれなんですけど。やっぱり自社としてのブランドにパワーがあると思っています。自分みたいな人間を使わずしてり商品売ったり、そういうところをマーケできるチームは、今ある程度存在していて、そこはすごくポジティブに見ています。
僕は、ストリーマーというコンテンツを作っていますが、僕はそんなにストリーマーが好きじゃないんです。プロゲーミングチームにどんどんストリーマーが所属している今の状況は本当に良くないと思っています。どんどんストリーマーがいらなくなるように、ぜひとも自分たちの立場を危うくしてほしいなってすごくeスポーツチームには思っています。
女性プレイヤーの活躍が市場の持続成長を支える鍵
おりぴぴ:ありがとうございます。そうですね。自分自身もゲームをプレイするのですが、私自身が女性というところで、もう一つ、できればぜひこういったところeスポーツ市場にがんばっていただきたいなと思うところでは、女性シーンの成長も私目線からはあります。
私の肌感なのでアンオフィシャルですが、け生き延びる、長く愛されるかどうかって、けっこう女性プレイヤーもたくさんいるかどうかにも左右されるんじゃないかなと思っています。
実際最近は、女性プレイヤーもすごく増えてきていると思います。私自身、女性限定の大会を3年運営してきた中で女性もすごく熱くプレイできるeスポーツシーンになってきてはいるんですが、まだまだ小さいというところで。
まだまだ男性の中に参入しにくいところだったりなど、課題があるとは思っています。女性もすごくがんばっているeスポーツシーンではあるので、そういったところでサポートいただけるところがあったらいいなぁとは思っています。
M&Aがチームの収益力を押し上げる起点に
おりぴぴ:今までたくさんお話しいただいているとは思いますが、あらためてそこの収益源を増やしていくにはというところを一応テーマに置いているんですけれども。せっかくこれだけの企業の方々だったり、この事業に興味持っている方に来ていただいていると思うので、何かご一緒できるようなことがあったりするのかなというところで最後に何か一言ございましたら。
高島稜氏(以下、高島):僕はeスポーツチームの収益源のためには、どっかのタイミングで一気にM&Aにいかないといけないなと思っています。
eスポーツにはブランドがあって、小さな事業でもそこに係数掛け合わせられることはすごく多いだろうなと思っているからこそ、やっぱり日本のeスポーツチームもどっかのタイミングでM&Aをガンガン進めていくという方向性にいかないといけないなとは思っています。
eスポーツは“体感”してこそスポーツになる
おりぴぴ:ありがとうございます。お二人からも最後によかったら、みなさんにeスポーツ市場に興味を持っていただけるような一言をお願いします。
mittiii:はい。僕は、もともとサッカーを14~15年くらいやっていて、高校を辞めて、ゲームをしたくて家出して、友だちの家に泊めてもらって、ドロップアウトして。そこからすぐ通信(高校)に通って大学に行ってプロゲーマーになったという、なんかすごい謎のキャリアなんですけど。
やっぱり、ゲームをスポーツとして捉えるというそのレイヤーの変わり方で、一気にeスポーツの解像度が変わってくるんですね。スポーツといえど、ゲームとして捉えている人もまだまだいると思うので、eスポーツのイベントや大会に足を運んでもらえたら、これが本当にスポーツとして成り立つんだということをわかってもらえると思います。
“次の日本一”を育てたい
おりぴぴ:ありがとうございます。中野さんも最後に一言よかったら。
中野:そうですね、自分は昔日本一になりましたし、この業界で仕事し始めた6年前にもラスベガスの大会に行って、優勝したことがあるので、実質日本一と世界一の両方になっているので、自分はもういいんですよ。
今は自分もチームをやっていて 、チームの中から日本一や世界一の人間を生み出したいという思いだけでやっています。
やっぱり運営するには当然資金も必要で、正直、約7年間やり続けてきて、いろいろな紆余曲折あって、実際に運営母体も今月になって変わったばかりだったりするので、そういった部分でもより安定して一緒にやっていける企業さんを常に探しています。
さっきM&Aの話もありましたが、M&Aだけじゃなくて大きなスポンサーとか、資金的な部分とか、営業的な支援とか、いろいろな関わり方があると思います。業界全体がどんどん活性化するために、形は違えど一緒に組めるところを見つけるためにぜひいろんな方と出会いたいなぁと思っています。
今日のこの場がきっかけになったらうれしいなと思っていて、今日出演の4時間前におりぴぴさんから電話があったのも何かの縁だと思いますので(笑)。この業界を少しでも盛り上げたいという思いは誰よりも強いと、実は思ってはいるので、何かしらご一緒できればなぁと思っています。よろしくお願いします。ありがとうございます。
おりぴぴ:ありがとうございます。長らくご清聴いただきありがとうございました。eスポーツ市場についてでした。ありがとうございます。
(会場拍手)