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日本のeスポーツシーンが1兆円規模になるには - 新世代のスターたちが形成する産業を知る(全4記事)

日本のeスポーツ市場が1兆円規模になる鍵は? 業界関係者が語る、企業参入・プレイヤー人口・チーム経営に潜む課題

【3行要約】
・eスポーツ市場は知名度向上したものの、1兆円規模への成長には多くの課題が残されています。
・業界専門家らは企業参入促進とPCプレイヤー基盤拡大が急務と指摘。
・市場拡大には企業価値100億円級チームを複数育成し、M&Aとスタートアップ成長の両パターンで業界全体を底上げすることが必要であると語りました。

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eスポーツ市場の拡大には参入企業の増加が不可欠

おりぴぴ氏(以下、おりぴぴ):そんなeスポーツ市場の最前線で大きくしていこうと動いていらっしゃるみなさんなんですが、eスポーツ市場をもっと大きくするために今できることであったり「ここ足りていないな」とか、「こういったところをみなさんにご協力いただきたいな」というところは何かありすか。じゃあ、中野さんから。

中野サガット氏(以下、中野):足りていないもの。そうですね。コロナとかいろいろあって少しずれてきているとは思うんですけれども、eスポーツ元年は2018年と言われています。

eスポーツという言葉の知名度はだいぶ上がってきたと思うんですけども、結局市場を大きくするというところで言うと、企業も含め投資家の方もそうですが、やっぱりそのお金という部分をもっと大きくしていかないといけないと思うので、中小も含め、ありとあらゆるところにもっと参入してもらわないといけないなと思いますね。

そのためにはやっぱり参入することによってどういうメリットがあるのかという部分をより具体的にイメージしてもらわないといけないと思います。

先ほどの話と少し重なるかもしれませんが、スポンサーになっている企業は、商品やサービスを通じて、10代〜20代の若者層に直接訴求できる会社が中心です。ただ一方で、最近では人材不足も大きな課題となっていて、特に若手人材の確保に悩んでいる企業が多い状況です。

そうした人材関連の企業がeスポーツに関心を持ち始めている印象が個人的にはあるので、今後はそうした領域にもっと訴求していくことが大事だと思っています。そこが足りないのかなって思いますね。

おりぴぴ:なるほど。ありがとうございます。

“好き”を“競技”に変える鍵はPCプレイヤーの裾野拡大

おりぴぴ:mittiiiさん、もうちょっとプレイヤーとして、中から見ることもできるかなって思うんですけれども。実際にプレイをしていく中で、eスポーツ市場、もうちょっとこういうところあったらいいなぁとか、逆にこうじゃないと廃れていっちゃうんじゃないかとか、なんかあったりしますか。

mittiii氏(以下、mittiii):そうですね。これはもう僕の会社でやっているメインのことでもあるんですけど。純粋にeスポーツというのならば、スポーツとしてゲームをするユーザーを圧倒的に増やさないといけないよなぁとは思っていて。

eスポーツを何と定義するかはもう本当に人それぞれでぜんぜんいいと思っていて、純粋にゲームがめっちゃ好きという人は多いと思うんですけど、本当にそれをスポーツとしてやっている人はやっぱりまだまだ足りていないよねって思っています。

プレイステーションとか、最近だとSwitchとかでゲームする人もすごく多いんですけど。eスポーツって呼ばれているゲームって、8割以上がパソコンで行われているゲームなんですね。

据え置き機でゲームするユーザーが日本にはすごく多いので、もっと、よりeスポーツとして、パソコンで競技的にユーザーがプレイする、そしてそのユーザーの人口を爆発的に増やしていくというところが本当に大切かなと思っています。

自分も配信者なんですけど、配信者が影響して「パソコン買いました」みたいな人がすごく増えたと思うんですね。いろいろな要素でパソコンを買ってゲームするユーザーはどんどん増えてきているので、この調子で自分の会社でもやろうとしてることがあるんです。「PCバン」というパソコンが大量に並んでいるカフェ。韓国とかだと1万店舗とかあって、中国だともう10倍、10万店舗とかあるんですけど。自分も、渋谷に100坪くらいのところで出すんですけど。

自分の課題は、そういう場所を作って、どんどんどんどんユーザー数増やしていくことだと思っているので、本当にユーザー数というところに僕は着目していて、足りないと思っています。

おりぴぴ:なるほど。確かに最近は高田馬場とかにもeスポーツカフェとかたくさんありますけど常に満員で予約取らないと座れないというところがすごく多いですよね。


eスポーツ市場を1兆円規模に成長させるには?

おりぴぴ:やっぱりそれだけそういうところが求められているのは実際あるのかなぁと感じます。高島さんから見ていかがでしょうか? 

高島稜氏(以下、高島):はい。まずeスポーツマーケット、近年の業界のモメンタムはものすごくいいなと思っています。すごく勢いもあるし、ユーザーの定着率や熱狂度みたいなものも、ものすごく足りているなとは思っているんですけれども。

今日の大テーマとして「マーケット1兆円にするには」みたいなところが書いてありましたよね。たぶんテーマを考えた人は、日本のマーケットだけで1兆円という定義で書いていたんだと思うんですけど。

よく同業の人間の間では、「少なくともとりあえず100億円ぐらいの企業価値のチームを10個ぐらい並列で作らないといけないよね」みたいな話をしています。

eスポーツとかスポーツのマーケットって、一つの会社が勝ちきったらマーケットがでかくなるわけじゃないので、それなりの事業基盤を持っているようなeスポーツチームが10チームぐらい生まれないといけないなと思っています。

その中ですごく課題だなと思っているのは、eスポーツには経営のケイパビリティがすごく求められてしまうようになってきた点です。

他のtoCやデジタル系のtoCのサービスやIP系とかと比較されることがすごく多いと思うんですが。やっぱり他のVTuberやアニメIPと比べると、eスポーツって打席数を担保できないというか……バンバン打席数と打率を上げていって伸びていくよねというモデルを描きづらくて。

要するにeスポーツって大会の数が年間で決まっているし、一回負けたら次は3ヶ月後とか半年後までブランド価値を上げられないので。どうしても少ない打席の中で、勝った時の事業に対して係数がかかる状態を作らないといけない。事業ポートフォリオを広くしないと、係数かけた時にあまりインパクトがないということがめちゃくちゃ起こるので。そうすると成長率足りないよね、みたいな。

スタートアップだったら、toCとかでもやっぱりバーティカルにいこうぜみたいな、もともとリーンな感じでやっていこうみたいな雰囲気がある中で、eスポーツってけっこう縦にやれないからこそ横に広くやんないといけない。そうすると当たり前ですが資金体力や経営の能力などすごく高いものが求められてしまうので。

けっこう最近のeスポーツ市場の課題は、各eスポーツチームによってかなり能力に差が出てきたなぁと思っています。持てる事業の幅とかにすごく差が出てきて、縦にだけやっているチームはけっこう苦しくなってきているなというのはすごく感じるところです。

じゃあ企業価値100億円のチームを10個作りにいこうとする時に、たぶんすべてがスタートアップからの始まりじゃないなぁとは思っていて。

半分ぐらいは事業会社がM&Aしてから大きくするとか。ほかのtoCのサービスと掛け合わせたかたちで、M&Aした後にeスポーツチームのブランドにいろいろな事業を集約させていくポートフォリオで作る、大きい資本を持っている会社初のeスポーツチームと、スタートアップの中からロールアップしてスノーボールしてすごく大きくしていくなeスポーツチームの2種類で10チームぐらいが日本に生まれるのがすごく大事かなと思っています。

売上30億円~40億円ぐらいあるチームが10チーム発生するだけで、一気に興行としてのレベルが上がって、それがマーケットの規模感にも直接インパクトを出すんじゃないかなとは思っています。

上位チームと下位チームに広がる“成長格差” 

おりぴぴ:なるほど。現状、そういったチームは何チームくらいあるんでしょう。肌感でも大丈夫なんですけども。

高島:50億円から150億円ぐらいのチームがたぶん日本には3~4チームいます。その面々はたぶんもっと上を目指していける力があると思っているんですけど。

やっぱり50億円のバリエーションの下が1、0億円とか数億円程度で止まっちゃっているみたいな、ここに大きなギャップがあるなというところに課題感がある感じ。

日本でプロeスポーツチームとしてちゃんと法人でやっているチームってたぶん20~30チームあるんですけど、たぶんそのほとんどが売上2億円未満ぐらい。本当に片手で数えられるぐらいのチームが一気にどんどんでかくなっていっている。こういうギャップが開き始めているのが、マーケット的にはけっこう問題だなと思っています。

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