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「日本AI戦略の未来」~グローバルAI競争下での日本の戦略的ポジショニング~(全3記事)

AI時代は企業の“発注力”が重要に 松尾豊氏とデジタル大臣・平将明氏が語る日本企業の勝ち筋 [1/2]

【3行要約】
・東大教授の松尾豊氏は「AI発注力講座」を立ち上げ、企業担当者向けに世界のAI活用事例や発注先の見極め方、プロジェクト管理法を教える構想を明らかにしました。
・松尾氏は「企業がAIに投資し、スタートアップとの連携や海外展開を進めることで日本は同じ土俵で戦える状況に近づいている」と、AI競争力向上に期待を示しています。
・また、製造業文化の確実性重視から脱却し、AIのPDCA的思考を取り入れ、リーダー層のAI理解を深めることが日本企業の競争力強化につながると提言します。

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松尾研の「AI発注力講座」

平将明氏(以下、平):あとは、松尾さんがやっているようなAIの教育が今、各国で展開されている。そういったどんどん生まれているローカルで活躍する人材を、日本としては松尾さんにがんばってやってもらうとか。

あとはさっきお話を聞いたけど、経団連みたいなところの「どうAIを発注していいのかどうか?」ということをやられると言っていたから、それはもうぜひやっていただいたらと思いますけど。

松尾豊氏(以下、松尾):そうですね。松尾研(東京大学松尾・岩澤研究室)で今、講義をたくさんやっていて、2024年の1年間で2万7,000人に教えました。2025年は7万人の予定なんですけども、秋からは新しい講義で、AI発注力講座をやろうと思っているんですね。

これはたぶん、スタートアップのみなさんとかに直結すると思うんですけど、大企業の方にお話に行くじゃないですか。そうするとやはり大企業の担当者の方は、あんまり技術のことをわかっておられないので、いろいろ教えないといけない。そうすると、自分は真面目に説明していても、ほかの人が適当なことを言ってだまされちゃうとか、そういうことが多いんですよね。

日本の大企業はけっこう予算もあるし内部留保も多くて、AIをどういうふうに使って自社の価値につなげるかがわかれば、もっと投資して発展していけるはずなんですけども。

(課題の)1つは、世界中の事例をあんまり知らないことですね。なので、世界中の事例で、「こういうのがあるよ」と教えてあげて、自社にどれが当てはまるかを想像してもらう。

次に、それをどうやって実現するかという時に、誰にいくらで頼んだらいいのか、どんなところをチェックしないといけないのかの目星を付けてもらう。

発注先の技術力を把握する力を養う

松尾:例えばAIの場合だと、訓練データとテストデータがあります。訓練データのパフォーマンスを見せられても、わかっている人だったら、「これ、おかしいよね」「それは精度が出て当たり前だよね」とすぐ言えます。でも、それがわかっていないと「すごいですね」みたいな話になっちゃうんですよね。

木嵜綾奈氏(以下、木嵜):はい。

松尾:なのでそういう適切な突っ込みポイントをわかって、相手の技術力をきちんと把握して、どこにいくらぐらいで頼んだらいいのかをわかってもらう。

あと、頼んだ後のシステムの組み込みとかAIの開発の場合だと、やはりなかなかうまくいかない。データの性質が悪いとかで、方向転換も多いんですよね。そういったプロジェクトマネジメントの仕方も伝えようとしている。

そういうことがちゃんと起こると、企業の方が企業内で予算を取ってAIをスタートアップ等にお願いして、それで自社のコスト削減とか付加価値につなげて利益が上がって、その担当者の方がちゃんと出世する。役員になって、経営者になるみたいなことがだんだん起こってくると、「これ、どんどんやっていこうよ」みたいな動きが広がってくるので、日本全体がもっと進んでくる。

京都も大企業とかいい会社がいっぱいありますけども、やはりAIとかデジタルは積極的に取り組まないんだろうと市場から見られちゃっているわけですよね。だから株価も、いろんな面で非常に足元を見られているというか、馬鹿にされているところがあると思うんだけども。

そうやって、日本の企業も本当に変わっていく、これから成長していくんだという姿を見せられると、僕は(状況が)ぜんぜん変わってくると思うんですね。

AI教育を海外に展開

松尾:それからもう1個は、今、松尾研の講義もASEANとかアフリカに展開していて、AIの人材育成を現地にも展開しようとしている。そこでもやはり地元の企業をAIでエンパワーして、また地元でもスタートアップを生み出してというローカル経済を強くするような仕組みとして、今、松尾研のエコシステムを展開しようとしています。

そういうのも、ソフトコンテンツの輸出の意味合いで非常に引き合いが強いですし、今USAID(United States Agency for International Development アメリカ合衆国国際開発庁)が引いた中で、なかなかみんな困っているんですよね。

木嵜:そうですね。

松尾:なので、そこに対して展開していく。そうすると、日本のスタートアップと現地の人材の交流もできますし、日本の企業が自然なかたちでASEANとかアフリカで展開していける。

そういうふうにうまくやると、本当に日本でAI、デジタルをちゃんと進め、それをASEANとかインド、アフリカに提供して、1つの大きな勢力を作っていけるかもしれない状況に来ていると思いますね。

:松尾研の授業には石破総理も赤澤(亮正)大臣も私も……中谷(元)防衛大臣もいたかな。

松尾:そうですね。

:1回お邪魔して、2時間ぐらいの授業を受けてきました。

木嵜:2時間で。

:3時間はやっていましたよね。

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