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AIエージェントは「友だち」か「執事」か? 人格をどう作り人間との関係をどうつくるか(全3記事)

AIは「執事」から「友だち」に進化する時代 バーチャルヒューマン「imma」生みの親が語る、AIエージェントの未来 [1/2]

【3行要約】
・生成AIの進化により機能性の競争が激化する中、AIエージェントと人間の関係性をどう構築するかという新たな課題が浮上しています。
・バーチャルヒューマン「imma」を制作した守屋氏とAIロボット「Mi-Mo」開発者の石川氏は、単なる命令実行者ではない関係性の重要性を強調。
・両専門家は、AIエージェントのデザインにおいて「かわいすぎず怖すぎない」バランスや、人間型にこだわらない形態を提案しています。

AIの人格をどう作るか? 人間との関係性は?

小澤健祐氏(以下、小澤):「AIエージェントは『友だち』か『執事』か? 人格をどう作り人間との関係をどうつくるか」ということで、今の生成AIとかAIエージェントの一歩先のお話を、みなさんとさせていただけたらなと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

(会場拍手)

小澤:ほどよい拍手をありがとうございます。では、ちょっと背景のお話をさせていただきます。今、OpenAIとかAnthropic、Metaとか、さまざまな企業がこの生成AIの領域でもモデル作りをやっているんですけれども。

とはいえ、どうしても機能性の戦いに陥ってしまっていて、いわゆる人間との信頼関係を作ったり、恋愛をしたり、あとは友だちになっていくみたいな関係性の議論は実は世界であまりされていないんじゃないかなと思っています。

今日は守屋さんと石川さんをお招きしているんですけれども。このお二人はまさにAIと人間の関係みたいなところを、バーチャルな領域とロボットの領域でやっていらっしゃるので、今日はみなさんに、何か新しい視点を持ってもらえるようなきっかけになればいいかなと思っています。2人ともよろしくお願いします。もうマイクを持っていただいていいですよ。

(会場笑)

守屋貴行氏(以下、守屋):よろしくお願いします。

石川佑樹氏(以下、石川):お願いします。

小澤:最後のセッションなので、いくらでも延びていいらしいです。

(会場笑)

小澤:みなさんが新幹線を逃すぐらいの感じでいけたらなと思います。

さて、本日モデレーターを務めさせていただきます、「おざけん」と申します。ふだんは本を出していて、8月は『AIエージェントの教科書』という書籍を出させていただくんですが、本を通した発信とか。あとはAICX協会というAIエージェントの協会の代表理事をしていまして、来週も5,000人規模のAIエージェントのカンファレンスをやらせていただく予定です。

スライドに入れていないんですが、「AI Agent Day(2025 Summer)」というカンファレンスですので、もしよかったら調べてみていただけたらと思います。

あとはたぶん日本で一番AI領域で登壇しているかなと思います。今週だけで23回登壇、今日はこの後、テレビ朝日に戻って夜9時から『アベプラ(ABEMA Prime)』の生放送に安藤美姫さんと一緒に出ます。YouTubeでも生配信が見られるかと思いますので、よかったら『アベプラ』をご覧いただけたらなと思います。

いろんな場所でAIに関する発信をしている人間ですので、よかったら応援してください。よろしくお願いします。

(会場拍手)

バーチャルヒューマン「imma」を生み出した守屋貴行氏

小澤:じゃあ、僕の(新宿)ゴールデン街飲み友の守屋さん、よかったら自己紹介をお願いします。

守屋:(ゴールデン街飲み友のことは)言わないって言っていたのに(笑)。株式会社Awwと書いて、「アウ」と読みます。代表取締役の守屋と申します。これは簡単な自己紹介をすればいいんですかね。

この画像で言うと一番左下に記載されている、「imma」という女の子がいるんですけども。すべて3DCGとAIで生成された女の子、バーチャルヒューマンという定義をして作っています。

このバーチャルヒューマンのimmaという女の子が注目を浴びているんですけども、それ以外にも数十体、公開していないものを含めると20~30体ぐらいあるのかな……を制作して、AIで対話できる仕組みを作っております。

うちはLLMの研究もしていたんですけども、基本的にはAIエージェントとして対話できるパイプラインを作っていて、さまざまなLLMとガッチャンコできるインターフェイスを中心としてバーチャルヒューマンを提供しています。

なので、次のページにある、こういった対話できるバーチャルヒューマン対話エージェントというものを展開している会社です。簡単ですけれども、よろしくお願いいたします。

小澤:よろしくお願いします。すごいですよ、みなさん。(immaは大阪・関西)万博の開会式に出て、あと最近ブランドのキャラクターとかもやっていたりするんですよね?

守屋:はい、ファッションブランドCOACHの店頭で、1ヶ月、2ヶ月間ぐらい対話エージェントを(やっていました)。

小澤:すごいですね、あのCOACHですよ。店頭にCOACH(の服を)着ているimmaちゃんが……。

守屋:COACHのファッションアンバサダーみたいなかたちで、COACHのプロダクトについてちゃんと返答ができる対話エージェントを作って、実装して、店頭に並べて、(お客さんと)対話していただくみたいなことをやっていました。よろしくお願いします。

メルカリで生成AI担当役員を務めた石川佑樹氏が起業

小澤:まさに日本のバーチャルヒューマン領域の最前線にいらっしゃるのが守屋さんかなと思いますので、みなさんぜひ覚えておいていただけたらと思います。

石川さんも、(自己紹介を)ぜひお願いします。

石川:あらためまして、Jizaiの代表の石川と申します。僕のキャリアとしては、直近までメルカリが7年ほどと長くて、メルカリの中で主に新規事業の担当役員と、AIの担当役員をやっていました。その前はライブ配信の「ツイキャス」で、基本的にずっとtoCのプロダクトをやってきているかたちです。

僕はソフトウェアとかソフトのエンジニアをやりながらビジネスを作ることをやってきたんですけども。今回、2024年にJizaiという会社を作って、AIとハードウェア、ロボットとか、そういったところに新しくチャレンジしています。

次のスライドがJizaiでやっていることですね。AIを全部やっていますというところで、AIのソフトウェアからハードウェアまで、ロボット作りとかも含めてなんでもやる会社ということを今進めています。次のスライド、あったかな?

僕らのミッションとしては、僕の好きなことと得意なことを掛け合わせているんですけども。僕は新しい技術をいじくるのがすごく好きで、今回はAIとロボットなんですけど、それ以外もバーチャルヒューマンみたいな技術も好きですし、XRとかそういうのも好きです。得意なのは、メルカリでずっとやってきた社会実装。

その2つを一生やりたいということでチームを作って、できれば会社として世界に届けたいというところで、今回Jizaiという会社を作ってやっています。まだ1年ぐらいの駆け出しなんですけど、よろしくお願いします。

海外に挑戦するなら「ハードウェアかエンタメ」

小澤:よろしくお願いします。ちなみに1個だけ聞きたい。後で動画も見せていただくので、みなさんもイメージが湧くかなと思うんですけど、ハードをやった理由が一番不思議だなと思っていて。

任天堂は確かにちょっとハード要素があるかもしれないとしても、そこからめちゃくちゃソフトウェア領域だったわけじゃないですか。そこから今、ロボティクスとかハードウェアの領域にガッツリ入ったきっかけみたいなところをかるく聞きたくて。

石川:そうですね、大きく2つあります。AIの順当進化の先に、絶対フィジカルがあるよねというので、NVIDIAのジェンスン(・フアン)とかも言っていて、徐々にそっちに入ってきているかなと思うんですけど、まずそれが1つ。

あとはやはり海外ですね。この10年、いろんな会社がチャレンジしてきたかなと思うんですけど。

僕は日本人で日本で育って、日本でキャリアを築いてきたという人間が海外にチャレンジすることを雑に考えると、「ハードウェアかエンタメ、この2つでもういくしかないんちゃうか?」というので、ハードウェアなんだと。これはまさにエンタメなんですよ。

「執事」から「友だち」へ…AIはどう進化する?

小澤:IPの領域もしくはハードウェアということで、まさにもう日本の戦略を担っている2人とも言えるのかなと思います(笑)。石川さん、ありがとうございます。

さて、本日は「AIエージェントは『友だち』か『執事』か? 人格をどう作り人間との関係をどうつくるか」というテーマでございます。じゃあ、お二人に冒頭でみなさんとの前提のすり合わせみたいなところでも聞いてみたいなと思うんですが。私は冒頭で、いわゆる機能性だけではなくて、その他の要素が重要だよねという話をさせていただきました。

今このAIの領域はやはり、執事とか奴隷とか部下とか秘書みたいなかたちで、どうしても機能性みたいなところばかりがすごく重視されてしまっているような気がしています。このあたりを今のAI領域の課題として聞いてみたいんですが。守屋さん、いかがですか?

守屋:機能としてではなく、というところですね。課題を挙げたらもう数え切れないぐらいあるんですけども、最終的には僕らはIPエンターテインメント、要はバーチャルヒューマンと本当に友だちというか。

背景をちょっと話すと、僕らはもともと映像とか映画のプロデューサーをやっていたんです。こういったバーチャルヒューマンを作る前は、わりと世界観とかストーリーテリングとか、そっちばっかり作っていて、キャラクターをやっているわけじゃなかったんです。

さっき石川さんが話していたみたいに、僕もグローバルでやりたいなというのはずっと思っていて、グローバルでビジネスをやるには、IPか食かしかなかったんですね。特にIPに注力して、もともとゲームの開発とか3DCGを使って『ファイナルファンタジー』とかのモデリングをやっていたので、これを活かしたIPはできないかなというので作ったのがバーチャルヒューマンです。

このバーチャルヒューマンは、そもそも静止画との合成とか動画での生成しかできていなかったんですが。AIで会話ができるようになってから、社内でけっこういろんな人がいろんな会話をするんですけども、やはりまだ友だちというよりは……執事としてはもう実現できている。AIはこっちからオーダーしたことに対しては答えてくれるので、自由に会話することはできるんですけど。

今研究しているのは、友だちは、こっちがお願いしたことをやってくれないことも含めて友だちじゃないですか。だからその部分が気持ちいいか気持ち悪いかというインタラクションのデザインをするのが一番ハードルが高くて、その部分をひたすら繰り返して研究しているという。

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