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学生エンジニアの生存戦略 〜Rubyの父が語るキャリアのヒント〜(全3記事)

「普通でないこと」がライバルを減らす Rubyの父が語る最強のキャリア生存戦略 [2/2]

成果を上げ、広報し、知名度を上げて成功につなげる

なんか途中をだいぶ省略したので、なかなかそう簡単に話はいかないんですけど(笑)。まぁ、何らかの成果を上げると。もし成果を上げることができたのであれば、でも成果があっても誰も知らなければ、知名度が上がらないんですよね。そうすると、アウトプットをする。

ブログを書くかもしれないし、カンファレンスで発表するかもしれないし、なんかいろいろ外に出ていく必要がある。自分が作って、すばらしい技術を持っていても、他の人が誰も知らなかったら、それはネームドにならないんですね。なので成果を上げ、広報し、知名度を上げて、そして成功につながる。

成功するか見切りをつけるか―Rubyが世に出るまでの13年

とはいえ、成功の保証はないんですよ(笑)。「これをすれば絶対に成功します!」とか言いたいんですけど、そんなのはありえないんですよね。どうするかというと、どこかの地点で見切りを付けてピボットするということに、方向転換するってことですね。これもね、難しくて、つまり、成果が上がるまで時間がかかることって、けっこうあるんですよね。

Rubyの場合だと、作り始めてからインターネット公開するまででも3年。インターネットで公開してから、世間的に「Rubyっていうのがあって、すごく使える!」というふうな話題になるまで10年近くかかっていますね。だから合計すると13年とか、それぐらいかかっているんですよね(笑)。そのどこかの時点で、「いや、これは見込みがないな」とピボットしていたらRubyはなかったわけなので。

まぁ、諦めずに続けることも重要なんですが。逆にね、本当に芽がないのに10年、20年がんばる人もいて、それはやはりどこかでピボットしたほうが良かったかもしれないなって、あとから思うという、まぁ、難しいところだよね。これはね、人生の重要な判断なので、よくよく考えてする必要があると思います。

ピボットを繰り返すことで成功確率を高める

ただ、ピボットしてもいいことがあって。つまり、そのピボットするまでに、成果を上げるために、モチベーションを持って学んできたもの、知識、それから得たスキルというのが無駄にならないんですね。次回に挑戦する時に役に立つ。そうすると、次回の再挑戦のハードルが下がって、そうやって失敗しても繰り返すことによって、繰り返すことへのハードルというのは、どんどん下がっていくんですね。

そして繰り返すことで成功確率が高まります。簡単な算数ですけども、例えば何かチャレンジをしたとしても50パーセントしか成功しない。成功するか・失敗するかは半々であるという非常にシンプルなモデルで確率を計算すると。5回繰り返すと、0.5の5乗なので0.03125ですね。5回やって5回とも失敗する確率って3パーセントしかないんですね。

つまり、5回やれば97パーセントは何らかの成功を得られる確率が高い、可能性が高い。まぁ、半々だったらね。もしそれが半々以上だったら、もっと高い確率で成功することができるかもしれない。

重要なのは、死なないことですよね。つまり、もう立ち直れないぐらいのダメージを受けない程度のところでピボットするっていうのが、大事なところと思います。

成功確率を高める3つのスキル―言語能力・英語力・継続力

さらに成功確率を高めるために、みなさんにおすすめしたいスキルが3つあります。これですね、言語能力、英語力、継続力ですね。

言語能力というのは、論理的に考えて表現する能力だと思ってください。情緒的なものはね、あまり関係ないので(笑)。論理でいきましょう。例えば需要、こんなところにニーズがあるので、これを生み出せたら成功するかもしれないということを見いだしていて。でも、それをぼんやりと思っているだけではなくて、ちゃんと言葉にして表現するというのが言語能力ですよね。

それから、そういうものがあるよということを人々に伝える言語能力ですよね。それから、仲間を集める。「こんなふうにすれば成功すると思うから、一緒にやらない?」というふうなことを、相手を説得したり、相手に情報を伝えたりとか、そういうための言語能力ですね。これらは全部言語能力なんですね。

ChatGPTで言語能力を鍛える―怒らない、飽きない相手との対話

さらに、わりと特にエンジニア系には、伝えるのがあまり得意じゃないという人がいるんですよね。

だけど、言語能力は鍛えられます。なので、これは成功にすごく直結するので。コミュニケーションを避けていると、成功はだんだん遠ざかるので、やはり鍛えたほうがいいと思います。例えば読書することによって鍛えられますし、それから対話、あるいは議論することによっても鍛えられます。

最近は、「ChatGPT」と対話することによって、対話型AIってやつは、ちゃんと話さないとちゃんと答えてくれないんですよね。いい加減なことを言うと、いい加減なことを答えるんですよ。しかも、いいところというのは、変なことを聞いたからって怒らないんですよね。

そうやって繰り返し、繰り返し文章表現をして、AIに対して文章表現をして、それが返ってきて。そういうピンポンをすることによって、言語能力が鍛えられたという人の話を聞いたことがあります。ということは、実際に人間相手に対話して鍛えるっていうのももちろんありですし。昔の世代、私たちの世代はそうするしかなかったんですけれども。

現代では、怒らない、飽きないChatGPTによって、言語能力を鍛えることもまた可能であるというふうに思います。

英語力で世界10倍のオーディエンスにリーチする

次は英語能力ですね。特にIT関係はそうなんですけれども、新しい情報が生まれるところは英語が多いんですね。もちろん英語ネイティブの国、イギリスであるとかアメリカであるとかもそうですけれども。それ以外のヨーロッパであったり、アフリカであったり。まぁ、共通言語というのは、ほぼ英語なんですよね。そうすると、例えば英語ができるかどうかによって、その情報収集能力がだいぶ変わってくるんですよね。

なので、自分で何もかも理解する必要はないんです。英語で書いてある文章がわかればいいので。例えばGoogle翻訳であるとか、ChatGPTの翻訳機能であるとかを経由してもいいので、英語で書いてある情報をいち早く入手することができる能力ですね。

それから、英語をしゃべるIT人口というのは日本語だけしゃべるIT人口の、おそらく10倍じゃ効かないぐらいいるんですね。100倍まではいかないかもしれないけど。そうすると、情報を伝える。例えば「私が、こんなにすばらしいソフトウェアを作りました!」とか、「こんなすばらしいプロダクトを作りました」っていうことを発信する時に、日本語で発信したら、日本語がわかる人しか聞かないんですよね。

なんだけど、それを英語でも発信したら、その10倍以上の人が聞くわけですよね。そうすると、その人たちがみんな耳を傾けてくれるかもしれないですね。より広いオーディエンスがいれば、より成功確率が高まるということだと思います。


(次回につづく)

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