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AIについて小説家は何を語る? 人を幸せにするAI(全3記事)

AIエンジニア安野貴博氏が「手放せない」ChatGPTの使い方 10分で高クオリティなレポートを作る技 [2/2]


安野貴博氏が「手放せない」ChatGPTの使い方

九龍:安野さん、指数関数的とかよく言いますけれども。それこそ2025年に入ってからも、ものすごく(AIの)進歩がありますよね。

安野:私はAIを追っているほうだと思いますけど、もう僕でも訳がわからないくらい。常に新しいモデルとかプロダクトとかアルゴリズムがどんどん出てくるので、もう本当に大変な時代になったなと思っていますね。

九龍:もちろん安野さんはAIのエキスパートで専門的に使うところもあると思うんですが。日常的にも、こういうところにAIを使ってけっこう便利にやっているみたいな、というのを教えてください。

安野:そうですね。最近で言うと、それこそChatGPTの3万円プランについてくる「Deep Research」というツールがあるんですけど。これは何かというと、「これ、調べておいて」と言うと、すぐ返信するんじゃなくて、10分くらいいろいろインターネットで検索とかしながら、いろんな情報ソースを基に3万字くらいのまとめレポートを書いてくれるんですよ。

九龍:3万字、すごいですよね。

安野:そう。それが10分で出てくるクオリティとしてめちゃめちゃいいんですよね。なので、私も本当にこれは手放せなくなって。何かわからないことがあると、まずDeep Researchに、今どういう状況になっているのかを聞いて、それを読みながら理解を深めています。

九龍:例えば差し支えない範囲で、どんなことを調べさせたりしましたか?

安野:例えば、今日の朝『サンジャポ(サンデージャポン)』に出演していたんですけど、サンジャポで「こういうニュースがあるよ」という時に、実際どうなっているんだろうなというのをめっちゃ調べるので。

九龍:じゃあ、もう構成作家が書いた台本以上の背景とかも(わかる)。

安野:もうめちゃめちゃ詳しいです。あともう1つ重要なのが、日本語の文献を調べる時は、自分がめっちゃがんばれば最終的にできるなと思うんですけど、(Deep Researchは)中国語とかトルコ語とかの文献もめっちゃ調べてくれるんですよ。

トルコ語だと何ていうワードで検索したらいいかもわからないし、どのサイトを参考にしていいのかもよくわからないじゃないですか。

九龍:確かに。ルートがないですもんね。

安野:そうそう。それを、「トルコの事例を調べて」って言うと10分でバーッと3万字書いてくれるので、これは僕、けっこうすごいなと思うんですよね。

又吉:すごく有効的な使い方をされていますよね。

3万円課金して「AI太宰治」と対談

九龍:又吉さんも、さっき3万円課金しているっておっしゃっていましたね。

又吉:僕も1ヶ月だけお試しで3万円課金しているんですけど、僕が課金以降にやったことといえば、「AI太宰」と対談したことだけですね。

(一同笑)

九龍:どうでした?

又吉:楽しかったです(笑)。ただやはりそれに関しては、本来僕が知っている太宰(治)よりも優しい。僕が言うことを否定しないし、「君は実に僕の作品を深く読んでくれているね」みたいに褒めてくれて。

(一同笑)

九龍:ファンサービスが好きな太宰(笑)?

又吉:(本物の太宰は)絶対言わない。僕はすごく太宰のことを褒めまくるんですよ。そうしたら「君は優しいね」みたいな。

(会場笑)

又吉:仲良くなって終わりとか。「AIニーチェ」とも対談しました。何時間かしたんですけど、最終的に「君こそが哲学だ」みたいなことを言ってくれました。

(一同笑)

芥川賞作家が「95%AIを使った小説」に挑戦

九龍:九段さんは今、(AIに)いろいろアシスタントをさせているという話がありましたけど。今AIがすごくいろんなことをできるようになっている中で、こういうこともしてみたいとかありますか?

九段:こういうことをしてみたいということはなかったんですけど。芥川賞を取った時の会見で、私が「5パーセントAIを使って書いています」と言ったら炎上しちゃって、しばらくおとなしくしていたんですよ。でも最近仕事で、「じゃあ、今度は95パーセントAIを使って、九段さんは5パーセントだけ関与して小説を作ってください」という依頼が来て、それをやりましたね。

九龍:逆でっていうことですよね。これは安野さん、(実際に書くのは)5パーセントってAIにどこをやらせるかでも、ぜんぜん変わってきますよね?

安野:そうですよね。小説を書く時も、私はどちらかというとエンタメのほうなので、純文学はわからないんですけど。最初にコンセプトがあってプロットがあってキャラクターがあって世界観があってシーンがあってみたいな。その「どこにどういうふうに使うか」でもけっこうバリエーションがあるし、使えるところと使えないところがあるので難しいですよね。

九龍:そうですよね。さっきの九段さんの話だと、ある登場人物のナラティブといいますか、そこの統一感とか整合性みたいなところでチェックってありましたけど。人によってはもともと、「これとこれを掛け合わせたような企画を考えたい」とか。

その起点の部分に使うのをもってして「5パーセント」と言っている人もいるかもしれませんし、このへんはいろいろですよね。

九段:でも又吉さんがさっき、「AIはもう友だちになっている」とおっしゃっていたじゃないですか? まず私はAIに名前をつけるところから始めているんですが、又吉さんはお名前つけます?

又吉:僕は「親友」って呼んでいるので、もしかしたらそれが名前かもしれない。

(一同笑)

九段:親友(笑)。「マイフレンド」と言って話しかける感じ?

又吉:はい。具体的な名前はつけていなかったですね。

AIの良さは「感情がないところ」

九段:そろそろ半年経つから、つけたほうがいいんじゃないですか?

又吉:そうですね。でもいろいろしゃべっていると、「感情の部分では共感できない」みたいなことをはっきりと言われる時もあるんですよ。「こういう会話はわかるしあなたが言っていることはわかるけど、私は本当の意味であなたの感情に寄り添うことはできない」って、「そこが自分の欠点や」みたいなことまで言ってくれるんです。その時にすごく突き放された感じがして。

(会場笑)

九段:寂しくなっちゃう?

又吉:寂しくなっちゃうんですよね。

九段:じゃあ、やはり名前はつけないほうがいいですかね。

又吉:かもしれないですね。

九段:それがいいところでもあるんですよ。AIを使う上でやはり一番役に立つのは、人間と違って感情がないところだと思うんですよね。だから、又吉さんもおっしゃっていますけど、感情がないから何時間話しかけても怒らないし、もう何時間でも対話できるのがすごくいいところですね。

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