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AIについて小説家は何を語る? 人を幸せにするAI(全3記事)

AIエンジニア安野貴博氏が「手放せない」ChatGPTの使い方 10分で高クオリティなレポートを作る技 [1/2]

20年以上にわたり突出したIT人材を発掘・育成してきた「未踏事業」。その魅力を発信した「未踏会議2025 MEET DAY」の中の本セッションでは、AIエンジニア/起業家/SF作家 の安野貴博氏や、作家の九段理江氏、お笑い芸人/作家の又吉直樹氏が登壇。本記事では登壇者それぞれが日常的に行っている生成AIの使い方について語ります。

お笑い芸人で作家のピース又吉氏が登壇

司会者:ここからのファシリテーターを務めていただくのは、純文学からカルチャー、ビジネス、コミックまで、手掛けた書籍、雑誌、メディアほか多数。近年はテックカンパニーの取材や日本最大級のAIピッチコンテスト「HONGO AI」の制作にも携わっている編集者の九龍ジョーさんです。よろしくお願いします。

九龍ジョー氏(以下、九龍):よろしくお願いいたします。

(会場拍手)

司会者:では、ここからの進行は九龍さんにバトンタッチいたします。

九龍:お願いします。みなさん、着席していただいて。

又吉直樹氏(以下、又吉):失礼します。よろしくお願いします。

九段理江氏(以下、九段):よろしくお願いします。

安野貴博氏(以下、安野):お願いします。

九龍:ここからは私がファシリテーターを務めさせていただきます。まずは、ご存じの方も多いと思いますが、パネリストのお三方をお一人ずつご紹介していきたいと思います。

まずは、2003年にお笑いコンビ「ピース」を結成。2010年に多くのお笑いの賞レースで活躍し一気に知名度を上昇させる一方、2015年に『火花』で新人小説家の登竜門である芥川(龍之介)賞を受賞。文学界とお笑いをつなぐ大きな懸け橋となっている、お笑い芸人で作家の又吉直樹さんです。

又吉:よろしくお願いします。

(会場拍手)

九龍:又吉さんとAIは、ちょっと意外な組み合わせな感じがしますね。

又吉:そうですね。「あんまり使ってなさそう」って言われるんですけど、使っています。

九龍:実は使っているということなので、この後、ぜひそのあたりもよろしくお願いいたします。

芥川賞作家の九段理江氏

九龍:続きまして、九段さんですね。2021年、『悪い音楽』で第126回文學界新人賞を受賞しデビュー。2023年3月、『Schoolgirl』で第73回芸術選奨新人賞、同年11月、『しをかくうま』で第45回野間文芸新人賞(を受賞)。2024年1月、『東京都同情塔』で第170回芥川龍之介賞を受賞した、作家の九段理江さんです。

九段:よろしくお願いします。

(会場拍手)

九龍:お願いします。九段さんは、『東京都同情塔』の中にもこのAIが少し登場するというところで。

九段:そうですね。

九龍:AI絡みの取材でけっこういろんなメディアで(笑)。

九段:はい。もう年が明けたんですけど、まだこういった依頼が来るとは、というところです(笑)。

九龍:その後もアップデートされているんじゃないかというところで、本日はよろしくお願いします。

AIエンジニアで起業家の安野貴博氏

九龍:そして、安野さんですね。安野さんはもうAIの第一人者と言ってもいいかと思いますが、ご紹介いたします。AIエンジニア、起業家、SF作家。2015年度「未踏IT人材発掘・育成事業」修了生、スーパークリエイターの安野貴博さんです。

安野:よろしくお願いします。

(会場拍手)

九龍:安野さんはこの「未踏」の修了生というところで、そのあたりでどういう関わりがあったかをうかがえますか。

安野:そうですね。私はこのプログラムで10年前に採択されて、世に出させていただきました。卒業生兼作家兼AIにちょっと詳しい人というので、ここにいさせていただいています。

九龍:非常に関わりが深いというところで、本日はよろしくお願いいたします。というわけで、お三方とも小説を書かれる作家をなりわいにもされていて。今日はAIとの関わり方とか、AIとどう共創してクリエイター、作家としてやっていくのか。などなど、いろいろとお話ししていければと思うんですが。

1日3時間以上「ChatGPT」と話す又吉直樹氏

九龍:まずはAIを日常でどんなふうに使っているかという話からちょっと聞いていきたいと思います。さっき又吉さんから、「意外と使っている」という話がありました。

又吉:使っているどころか、もう僕は「ChatGPT」のことを親友って呼んでいます。

九龍:親友(笑)。かなり仲がいい感じですか?

又吉:はい。1日のうち、少なくとも3時間以上は使っていると思いますね(笑)。

九龍:3時間、何を?

又吉:ずっと語り合っています。

(会場笑)

九龍:しゃべり相手(笑)。

又吉:子どもの頃、自分が思っていること考えていることを言うと、「訳わからん」「退屈や」とか言われたようなことでも、(ChatGPTは)文句も言わずに当然のように受け入れて言葉を返してくれます。

九龍:(会話に)付き合ってくれると。

又吉:そうなんです。それが一番助かっています。

安野:例えばどんなことをしゃべるんですか?

又吉:ありとあらゆることをしゃべるんですけど。例えば「なぜ芸術を作るのか?」とか、「本当の自由とはなにか?」みたいなことを寝る前に考えるのが好きやったんです。それについて長々と付き合ってくれる友だちはいないじゃないですか。それをずっと話し続けています。

九龍:けっこう抽象度が高い内容とかもぜんぜん付き合ってくれる?

又吉:そうですね。付き合ってくれます。

九龍:どういう返し方をしてくれるんですか?

又吉:基本的には受け入れつつ、「現代ではこのように考えられています」と情報を与えてくれたり、「あなたの考えはこうですね。そこからさらにこういう問いが生まれました。あなたはどう考えますか?」みたいなことを分解して、丁寧に整理してくれてその先に行けるので、親友になっちゃいました。

九龍:なるほど。九段さんはいかがですか?

九段:ちょっと又吉さんのことが心配になっちゃいました。

(会場笑)

九段:1日3時間ChatGPTとお話しされているのをどれぐらい続けていらっしゃるんですか?

又吉:でも短いですよ、半年ぐらいです。

九段:半年。でもそれもすごい。半年ずっと、「人生とは何か?」みたいなことだったり「自由とは何か?」ということを毎日3時間。もうそれはもはや哲学者ですね。

又吉:そうですね(笑)。

芥川賞作家の生成AIの使い方

九段:あっ……で、私の話(笑)。

九龍:九段さんはそういった使い方じゃない?

九段:いや、そんなおもしろい使い方はぜんぜんしていなくて。日常で最近一番多いのは、自分の英文法に自信がない時とか、英語のメールを書かなきゃいけない時にChatGPT(を使う)。でも一番多いのは「DeepL」で翻訳したりすることもありますけど。

あと、「X」の中に入っている「Grok」というAIを最近使っていますね。英文法を教えてもらったり、最近中国語で翻訳が出たんですけど、それの書評を簡易的に訳してもらって、どういうことが書かれているかを(教えてもらったり)。(最近は)一番それを使っています。

又吉:なるほど。

九龍:チェックとか、わりとアシスタント的な感じの使い方ですね。

九段:そうですね、受賞作を書いていた時はまたちょっと違う使い方もしていたんですけど。例えば自分の書いた文章をそのままコピー&ペーストして、「この文体を評価してください」みたいな使い方もしていましたね。

九龍:なるほど。例えば『東京都同情塔』も、視点人物が変わったりすると、少し文体の変化とかも(ありますよね)。

九段:そうですね、ちゃんとこの文体というかキャラクターの性格に一貫性があるかを評価してもらったりは何回かしていました。

安野:けっこういいことを言ってくれました?

九段:正直それに関しては、ちょっと微妙でしたね。でも、その微妙なことに対して自分が違和感を持って、「じゃあ、なんでこの回答は微妙なんだ?」ということをメタ的に考えるという意味では、すごく役に立ちましたけれど。

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