ITエンジニアを目指す学生のためのテックカンファレンス「技育祭 2025【春】」より、アクセンチュア株式会社 マスター・テクノロジー・アーキテクト 水上廣敏氏の「エンジニア占い」をお届けします。5つのタイプ別の強みを活かす働き方のイメージや、それぞれが陥りがちな注意点を紹介します。
タイプ診断は前編から。 Sタイプ:チームワークを重視するスクラムマスター
水上廣敏氏(以下、水上):では、5つのタイプを1つずつ解説しますので、自分が(当てはまるものが)多かったところを中心に聞いていただければなと思います。一番多いものが複数ある場合は両方ということで。
実は(質問の選択肢の)「S」「A」「B」「C」「D」は、各タイプの頭文字からとっています。まず「S」からいきますね。

「S」はスクラムマスター(Scrum Master)かなと思って「S」にしました。要は、チームワークが大事。「みんなで物事を進めていきたい」という人かなと思います。いかにチームで成果を出すか、その中でどういう役回りで仕事をしたらいいかを気にするような人が「S」に多かったんじゃないでしょうか。
なので、一点集中で何かにこだわるよりは、幅広くゼネラリスト的な知識で活躍できるタイプなのかもなと思います。
キャリアの一例で言いますと、いろいろな開発案件をこなす中で、下に人がついてくるでしょう。そうすると、小さなチームリードみたいなところから始まって、スクラムマスターみたいなかたちで、スクラム全体を任される立場になります。
ゆくゆくは大きな……大きいかどうかはわからないけど、プロジェクト全体を管理する責任者になっていく人がこのタイプかもしれないですね。
なので、チームの管理とか、「この人はどこを活かしたらいいか?」みたいなことを気にしたりとか。あとお客さんとか、ほかのチームと調整することが得意な人が多いかもしれません。
注意点が1個あって、まだ先の話かもしれないですけど、そういう管理をやり出すと、エンジニアの大事な部分である技術を、少し置いてけぼりにしがちになります。そうならないように注意しましょうというのが、この「タイプS」の人なんじゃないかなと。
Aタイプ:職人気質なアーキテクト
次は「A」が一番多かった人。これはアーキテクチャ(Architecture)、アーキテクト(Architect)の「A」タイプにしました。

とにかく作ることが好きな人が多いと思うんですが、なおかつ、作るものにこだわりたい。せっかく作るなら美しくありたい。技術でとがっていたい、みたいな人が多いんじゃないかなと思います。
こういう人はどんなキャリアを歩んでいくかを勝手に予想すると、やはりエンジニアですからね。コーディングをたくさんして過ごしていくと思いますが、「自分が作るものはせめて美しく」みたいなところから入っていく。
自分のみならず、やはり「周りが作るものも美しくしていかないと気が済まない」みたいになっちゃう人が多いのかなと思いますね。
プロジェクト全体の技術面を支える立場になっていく人も多いでしょうし、そうすると、僕もそうですけども、アーキテクトという役割を期待されるようになると思います。
こういう人はやはり技術力が高いでしょうから、「ちょっと、難しいところをお願い」みたいな感じで任されることも多いです。そうやって頼られる存在になっていき、「みんなに頼られるのも悪くないかな」みたいな。
僕は永遠の課題だと思っているんですが、「いかにプロジェクト全体で品質を高くしていくか」に取り組む人がアーキテクトタイプなんじゃないでしょうか。
このタイプの注意点は、さっきと逆かもしれないですけど、技術にのめり込んでいき、「研究、研究」みたいな感じで集中しちゃいがちだと思います。
そういうことも大事ですけども、やはり、「いかに実際の開発現場で技術を活かすのか」に注意すべきかなと思います。
Bタイプ:ビジネスやサービスの仕組みに注目
次、「タイプB」の人ですね。これはビジネスとかサービスが気になる人だと思います。なので、「作る」ことそのものというより、「これは何のために作るのか?」ということを気にするタイプの人が多いんじゃないでしょうか。

ITと言っても、ビジネスの課題を解決する道具でしかないので、課題のほうを中心に考えたくなる人かと思います。なので、エンジニアとして過ごしていく一方で、ビジネスとかサービスの勉強を深めていく人が多いんじゃないでしょうか。
技術的な要素を押さえることも大事ですけども、ビジネスの要素を押さえている人って、エンジニアの現場ではとても重要です。
いわゆるビヘイビアドリブンな開発って言うんでしょうか。この先のビジネスに何が起こるかを前もって準備する発想ができるわけですから、理想的な開発をする上では不可欠な人かと思っています。
一方で注意点なんですが、エンジニアがベースにあり、ビジネスコンサルタントではない。ものづくりを大切にする中で、いかにビジネス課題をクリアしていくかの発想を忘れないようにしていただきたいです。
Cタイプ:課題解決が得意なコンサルタント
時間もなくなってきたので次にいきますね。「C」はコンサルティングとエンジニアリングを掛け合わせた人。エンジニアリングとはいえ、やはりコンサルティングの領域も非常に大事になります。

「理詰めで話しちゃう」みたいな設問もあったと思いますけど、こういう人はロジカルな頭脳派の方も多いんじゃないかと思います。なのでエンジニアリングの力とコンサルティングの能力を同時に発揮するという、これはこれで非常に大事なことだと僕は思っています。
お客さんの課題を自分なりに理解し、エンジニアリングの力も含めて、どういったかたちでお客さんの課題をコンサルティングしていくか、という方向性で育っていく人かなと。
一方で、外からの目線で「いや、これはああしたほうがいい、こうがいい」しか言わない、いわゆる評論家になってしまうことが注意点ですね。やはりエンジニアですから自分で手を動かし、行動することが大切なので、それを忘れないように過ごしましょうというのがコンサルティングタイプです。
Dタイプ:見た目や使い勝手が気になるデザイナー
最後の「D」はデザイン(Design)。エンジニアといってもやはりUI/UXエンジニアもいると思いますので、そういう人がこのタイプに合っているんじゃないかなと思います。

とにかく見た目が大事、使い勝手が大事、「何とかビリティ」ならユーザビリティが一番大事! みたいな人が多いのではないでしょうか。
さっきも言いましたが、UI/UXとか、使い勝手良く作ることも大事です。そういうことを大切にするようなUI/UXエンジニアはこのタイプになるんじゃないかなと思います。
注意点ですが、僕はいいと思うんですけども、見た目が大事な人は「エモがどう」とかにうるさくなりすぎないことが大事です。

時間がないのではしょりますが、私の場合はどのタイプだったのかというと、全部を持っていますね。何十年もこの業界にいて、「タイプS」の時代もあれば「タイプA」の時代もありました。最近はまた「A」が多いのかもしれませんけども、いろんなところを大事にしながら生きてきたかなと思います。
みなさんも、自分が「B」だった、「A」だっただけじゃなくて、この先の人生でどれを大事にするのかが、キャリアの各段階で移り変わっていく人も多いと思います。ぜひ、そういったことも考えながら過ごしていただけるといいんじゃないかなと。
エンジニアの働き方は多種多様
というわけで、この「S」「A」「B」「C」でまとめてきましたけども、どうでしたか。「しっくり来るな」っていう人もいれば、「何だかよくわからん」みたいな人もいたかもしれませんが、1つの参考にしていただけたらうれしいです。

自分が当てはまらなかったタイプでも、逆に言えばその領域で活躍する人がいるわけです。さっき言ったとおり、将来、そういった領域を好きになる可能性もあるというところも意識していただけるとおもしろいんじゃないかなと思います。
こう言ったら元も子もないんですが、一言でエンジニアと言っても表現しきれません。今回は無理やり5つのパターンにまとめましたが、(スライドを示して)これは僕の周りの「エンジニアってこういう人がいるよね」というものを思いつく限り挙げてみたものです。
なので、みなさんが想像するような「いわゆるエンジニア」もいれば、そうでもないような人たちもいるんじゃないかなと。
自分がどのタイプのエンジニアかを知るだけではなく、将来はどの領域のエンジニアで活躍していくのか、みなさんはさまざまな選択ができる状況にあると思います。
ぜひ、自分の得意なところ、あるいは伸ばしていったほうがいい領域について、今回の5つのパターンを参考にして考えていただけるとうれしいです。
さまざまな領域でエンジニアが活躍できる環境
就活されている人もいれば、まだまだこれからの方もいらっしゃるかもしれませんけども、学年関係なく、アクセンチュアからの情報をお届けするサイトがございますので、ぜひサイトにアクセスして登録いただけたらなと思います。
(チャット欄の反応を見て)「アクセンチュアはゴリゴリの営業マンのイメージが強い」。あっ、そうなんですね。ちょっと時間がないからアレですけど、さっきも言いましたが、アクセンチュアでは、さまざまなタイプのエンジニアが日々活躍しています。
いわゆるコンサルタントの上流からエンジニアが開発する開発フェーズもあり、その後に運用フェーズもあり、みたいに1社で全部担当しているので。
だからエンジニアはエンジニアリングもしますし、コンサルティングもするんですね。なのでさまざま領域やフェーズでエンジニアが活躍しています。答えになっていたかな。
というわけで、短い時間でしたがありがとうございました。またどこかでお会いできることがあれば、ぜひよろしくお願いします。以上です。