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この人、未踏だったんだ(全4記事)

「絵が動いたら楽だなと思って」 『ウゴウゴルーガ』作者が語る、ITを駆使した制作秘話 [1/2]

お笑い芸人の野田クリスタル氏とフリーアナウンサーの久代萌美氏が、エンターテインメント分野で活躍する未踏修了生を紹介。4名の未踏修了生の座談会で、未踏に採択されるメリットや、未踏を目指す技術者・クリエイターへのメッセージを語ります。

東京2020パラリンピック開会式に“光の振付師”として参加

久代萌美氏(以下、久代):では、ここからは、先ほどご紹介した青木さんと髙橋さんにも再び登場してもらおうと思います。お三方そろったところで、ここからはトークセッションをお送りしていきます。

その前に、実はこちらのお三方以外にも未踏修了生にはすごい方がたくさんいらっしゃいますので、そんなレジェンド的な未踏生を紹介していきたいと思います。まずはこちらをご覧ください。

さあ、今ご覧いただいているこちらの技術、すべてそうなんですけれども。どうですか? 野田さん。

野田クリスタル氏(以下、野田):ど、どれですか?

久代:なんかもう見たことないものがすごくたくさんありますけど。この光の、照明技術ですね。

野田:この光っているものすべてですか?

久代:そうなんです、照明技術なんですよ。こちらは未踏修了生の藤本実さんが設立したmplusplus株式会社の、音・映像・光を同期させたパフォーマンスとなっております。

野田:見たことある気がします。確か、そういうことをやってる人と共演したことがありますね。振ったら光るやつとかを持ってる人がいました。

久代:ライブとかでもたまに目撃するかもしれません。

野田:ありますよね? それか。

久代:自らもダンサーである藤本さんは、2009年度に「身体表現を拡張するウェラブル大量フルカラーLEDモジュール制御システムの開発」というテーマで未踏事業に採択され、ライブパフォーマンスの新しい表現を切り開くシステム開発、舞台演出を行っていらっしゃいます。東京2020パラリンピック開会式には光の振付師として参加。

野田:光の振付師……。

久代:さらにはアメリカの人気番組『アメリカズ・ゴット・タレント』にも出演するなど、海外でも活躍されているんですね。

野田:動きと連動してるんすかね。芸人とかも使い出すかもしんないっすね。

久代:ネタの時とか使ってたら。

野田:「もうええわ!」のツッコミで手がめっちゃ光ったらおもしろいっすよね。

『ルパン三世』作者、モンキー・パンチ氏も未踏クリエイター

久代:(笑)。未来のお笑いですね。さあ、他にも未踏修了生、こんな方がいます。誰もが知っているあの方もそうなんですけれど、野田さん、誰だと思いますか?

野田:誰もが知っている? え、まさか、さんまさんってことですか?

久代:(笑)。

野田:未踏だったのかなぁ?

久代:さんまさん未踏……ギリギリ出てないですね。ネットニュースになっちゃいますね(笑)。違うんです。じゃあヒント、いいですか。この方なんです。「ふ~じこちゃ~ん」。

野田:え、どっちだ? 声優さんのほうのパターンもあるぞ。

久代:いろいろありますね。『ルパン三世』でおなじみ!

野田:『ルパン三世』でおなじみなのは、ルパンですよ。

(会場笑)

久代:ルパン三世もギリギリ未踏は出てないんですけど。

野田:次元? 次元大介が未踏だったんですか?

久代:次元も未踏ではない!(笑)。 正解は、モンキー・パンチさんです。

野田:あぁ! 作者でございましたか。

久代:そうなんです。モンキー・パンチさんも実は未踏出身なんです。

2006年度の未踏修了生で「創作者の意図を最大限に生かす立体マンガエディタ/ビューワー開発」というテーマで未踏事業に採択されています。立体マンガの実現を目的としたソフトウェア開発に参画されたんですよ。

野田:え、モンキー・パンチさんってそういう人だったんだ。

久代:だから、マンガのIT化の先駆けになった方ですよね。

野田:昔からそういうことをやってた人なんですね。ぜんぜん言わなかったですね。

久代:などなど、未踏修了生の方は本当にたくさんいらっしゃいます。そして、他にはこんな方も。ご存じですか?

野田:うるまでるびさん。

久代:はい。「使いやすさを極めた先進的なアニメーションソフトウェアの開発」で、2005年上期未踏本体に採択されたクリエイターユニット、うるまでるびさん。

野田:ユニットなんですね。

久代:この方、みなさんご存じ『ウゴウゴルーガ』や『おしりかじり虫』などキャラクター制作を中心に、アニメーション、イラストレーション楽曲制作、アート作品、アプリ制作など、メディアを超えて作品を発表されていらっしゃる方です。

野田:えぇ〜っ! このキャラクターを作ったっていうことですか?

久代:そういうことですよね。イラストレーション、『おしりかじり虫』も。

野田:僕、ちっちゃい頃に『ウゴウゴルーガ』が好きすぎて。

久代:好きそう(笑)。

野田:はい、超好きだったんですよ。

久代:世界観がおもしろいですよね。そして今日はなんと、このうるまでるびさんが会場にお越しくださっております。

野田:えっ!

久代:サプライズゲストです。ということで、登場していただきましょう。うるまでるびのうるまさんです。どうぞ~。

(会場拍手)

「絵が動いたら楽だなと思って」

久代:よろしくお願いします。では、お座りください。うるまさんまで来ちゃいました。

野田:サプライズですね。

久代:そうなんです。今日はこの4名を交えてトークをしていきたいと思います。ではですね、あらためまして、クリエイターユニット、うるまでるびのうるまさんです。よろしくお願いいたします。

うるま氏(以下、うるま):よろしくお願いします。

(会場拍手)

久代:さあ、ということで、うるまさんと未踏との関わりについて教えていただけますでしょうか。

うるま:えーっと、アニメを作るのめんどくさいんで。

野田:うん、めんどくさいです。言っちゃうんですね。

うるま:(笑)。描いていて、動いたら楽だなって思ったんで、そういうものを作ろうと思ったんですね。

野田:めんどくさいから、楽な方法を探そうとしたんですね。

うるま:そうそう。できたんですよ。2年かかって。

野田:楽な方法がですか?

うるま:ええ。それでその後、別のところで助成をいただいて、商品化したんです。だけど、うちに開発者がいないのでやめたんですけどね。開発者がいない会社は、未踏はやめたほうがいいと思います。

(一同笑)

野田:これ、吉本興業は大丈夫でしょうか? 開発者がいないと思うんです。いるのかな?

(会場笑)

うるま:開発者がいないと、なんかの度にこう「はい、50万円」「はい、100万円」とか言われるんで。

野田:要は、外部発注になりますもんね。

うるま:そうするとなかなかうまくいかないですよね。

海外に向けたアニメ作品を構想中

久代:なるほどね。吉本には髙橋さんがいますよ。うるまさん、現在はどのような活動をされていらっしゃるんですか?

うるま:海外のアニメーションを作りたいと思って、いろいろトライしてるんですけど、なかなかうまくいってないんですけどね。

野田:全部言ってくれますね。

久代:(笑)。

うるま:もうね、うまくいかないんですよ。

野田:それは、海外の需要がないんですか?

うるま:なんでしょうね? 作るのが遅いのかな。

野田:海外が?

うるま:いやいや、僕が(笑)。

野田:ああ……あぁって言っちゃいましたけども。

(会場笑)

うるま:そうなんですよ。

久代:でもやりたいことは、構想はたくさん頭の中で……。

うるま:そうそう、やりたいことはいっぱいあるんです。

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