100年後も残る、日本発の技術を目指して
久代:作った当初はここまでの展開を想定していらっしゃったんですか?
中城:もっと大きなことまで想定していたんですけど。やっぱり時間的には思っていたより3~4倍ぐらいかかっていますが、だいぶ想定どおりに来ているかもしれないですね。
野田:僕、2009年ごろは、3Dがもっと発展するんだろうなって思ってたんですよ。でも逆にVTuberとか、それこそソシャゲって2Dが動いてますもんね。
中城:そうですね。最初のきっかけも、「このままでは3Dばっかりになっちゃうんじゃないか」という怖さがあって。
野田:なるほど。3Dって若干、リアルすぎてかわいさがなくなっちゃったりするじゃないですか。
中城:やっぱりイラストを立体にすると、粘土でこねたものにする感じなので、ぜんぜん違う表現になってしまうところがあって。
野田:違いますよね。2Dが動くだけでも、「このアニメが動いてるんだ~」ってなりますもんね。
中城:そうですね。Live2Dだとイラストをそのまま動かしていくので、少なくとも正面に関しては100パーセント、イラストの再現ができるので、魅力が損なわれずに動かせることがキーになっているかなと思っています。いろんな事業をやっている状況で、海外のユーザーが過半数という。
野田:あ、そうなんですね。
中城:創業時から世界中で使ってもらえるような、輸出できる技術を作りたくて、ここ数年で過半数を超えてきています。未踏で育てていただいて20周年ということで、100年後も残る日本初の世界標準技術を目指して取り組んでいる状況です。
野田:Live2Dはどう進化していくんですか?
久代:まだまだこれからの展望も考えてらっしゃるってことですもんね。
中城:そうですね。日本から世界標準の技術ってあまり出ていないんで、本当に「2Dグラフィックスといえば、Live2D」という、世界中の誰もが知っているぐらいまで目指したいなと思っています。
野田クリスタル氏、VTuberデビュー?

久代:さあ、ここからは注目技術を紹介していただきましょう。パソコンの準備が整ったようです。(舞台に)入りますかね。お! これは!
(会場笑)
野田:非常に、僕みたいなのがいますけどね。
久代:2Dでこちらを睨んでいますね。
中城:iPhoneの前に立っていただくと、カメラが撮影してますんで。そこで表情とかを変えていただくと、豊かな表情になるので、見ながら確認してもらえればと思います。
久代:あれ?
中城:ちょっと険しい顔になってますね。
野田:俺だってわかってるのかな?
(会場笑)
久代:ずーっと睨んでますね。
野田:こいつと睨み合いしてるんですよ。なんで自分自身と対面でメンチ切り合わないといけないんですか。
中城:(機材調整に入り)すいません。
久代:今日のために、この野田さん2Dを作ったんですか?
中城:そうですね。
野田:え、これ欲しいんだけど! VTuberとして活動できるじゃないですか。
久代:けっこうイケメンですよ。いい感じ。
野田:VTuberでやろっかなぁ~。
久代:あ、動いた動いた! あ、見てる。
(イラストの野田クリスタルの表情が変わる)

(会場笑)
久代:あ、すごいすごい! 眉毛が動いて、眉間にしわが寄って……。横向いた。反対向いた。
野田:え! VTuberデビューじゃん!
久代:すご~い。
動きに合わせてイラストがリアルタイムで変化

中城:こんなのも。(画面に筋肉質なボディが登場)
久代:変なマッチョが出てきました。
野田:マッチョはみんな変でしょ。
(会場笑)
久代:いやいや(笑)。
中城:顔を上げていただくと、腕が上がる。
久代:おお~、ムキムキポーズ。
野田:本当だ! ダブルバイセプス(正面から両腕の上腕二頭筋を見せるポーズ)じゃないですか。
(一同笑)
久代:専門用語。すごい。
中城:横まではなかなか……。まぁ、作りこめば。
久代:でも顔は横向いたりしますね。
中城:よかったら、ぜひ使ってください。
久代:すご~い。これ、顔のコンディション悪い時とか。
(腕を激しく上下に振る2Dの野田クリスタル)
(会場笑)
野田:いいなぁ~。
中城:無課金みたいな服になってる。
野田:課金しないと。初期装備ですよ。
(会場笑)
2Dイラストに命を吹き込む技術
野田:えぇ~! これ、こういうのがサクッとできるようになるってことですか?
中城:サクッとっていうより、クリエイターさんが一生懸命作っていく必要があるんで、イラストを描く人やモデリングする人と一緒に作っていくことが多いんですが。
久代:すごい。じゃあもっと作りこんで、いろんな表情を読み込んだりとか。
中城:そうですね。幅広く動いたりとか、衣服を追加したりとか。
久代:えぇ~。おもしろい。
野田:これ、このまま「にじさんじ」とか「ホロライブ」に使われないかなぁ……。
久代:もったいなくて、何かに使いたいですよね。すてきな技術をありがとうございました。
中城:ありがとうございました。