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ひろゆきだけど何か質問ある?(全5記事)

生成AI時代に差をつける思考法とは? ひろゆき氏が語る「真のエンジニア像」

ひろゆき氏が、技育祭2024【春】で生成AIの活用と将来性について語りました。現状のChatGPTは情報ソースを開示しないため使用を控えめにしていると明かし、大規模言語モデル(LLM)の業界動向や無料化の可能性についても独自の見解を示しました。また、AIに代替されないエンジニア像も提言しています。

ChatGPTのソース非表示で検索エンジン重視

司会者:これもチャットで質問をいただいています。「生成AIは、ふだんどんな使い方をしていますか? 特に開発面でおすすめの使い方があれば教えてください」とのことです。

ひろゆき氏(以下、ひろゆき):開発で生成AIを使うことは、ほぼないんですよね。

司会者:そうなんですね。

ひろゆき:基本的にはコードの修正ばかりなので。新しいものを書くというのでいくと、SEさんの思想にもよるんですけど、僕は仕様の最初の設計ってすごく大事だと思っていて。現状でいくとデータベースでどうやってテーブル分けをするかというので、テーブル分けをトチると、そのあとデータベースで負荷がメチャクチャかかるんですよね。

例えばIDの部分のテーブルを作って、ログインする時にIDのところを見る。でもそのあとにユーザー名を出すためにそのID、パスというテーブルと、そのユーザー情報テーブルを別に分けたりする人がいるんですけど。でもユーザー名というのは、ログインした瞬間に表示するんだったら、もうこれをセットにしておけば、ここのテーブルをくっつけなくても、ここだけで読めるというのがあって。

じゃあ自分のサービスの場合、ユーザー名も出してポイントも出すとかがあるんだったら、ポイントとユーザー名はこっちのテーブルにしちゃったほうがいいよね。要はテーブルをつないで膨大なメモリを取るぐらいだったら、こっちのテーブルを多くしちゃったほうが、結果としては全体としてのサイトのメモリも小さくなるよね、みたいな。テーブル設計って、けっこう重要だったりするんですよね。

それが最初のユーザーが1,000人、2,000人とかだったら、ぜんぜん関係ないんですけど。ユーザー数が1万人とか10万人とかになると、今度はデータベースをどう分割するかという話になって、(そうすると)分割する時にメチャクチャ面倒くさいし、分割しないでやろうとすると、すごくお金がかかったりするんですよね。

なので、そこの最初の設計をわりときちんとやらないと、あとからものすごいコストに変わってくるので。なので、最初の開発の「こんな感じの仕様でお願い」というのを「ChatGPT」に投げちゃうのは、テストで何かを作るんだったらいいんですけど。そのデータベース仕様をサービスのあとから途中で変えるって、すごく面倒くさいので、そこは逆に僕はChatGPTを信用していないですね。

司会者:へー。でも開発以外だと普通に使われているんですか?

ひろゆき:何か文章とかを書く時に、チョロッと使ったりすることはあるんですけど、僕はあまり使わないんですよね。結局ChatGPTが正解を出すよりも、ググって誰か人間が書いているものを見たほうがよっぽど効率がいいというのがあったりして。フワッと何かを知りたいとかであれば、たぶんChatGPTでいいと思うんですけど。

昔のChatGPTって、ちゃんとソースのURLをくれたんですよね。「その判断をしたURLを教えてください」というと「ここのサイトにあります」というのがあったんですけど、最近出さなくなっちゃったんですよ。訴訟対策だと思うんですけど。

要はURLを出しちゃうと、どこから情報を抜いたかというのがバレちゃう。なので、そこで訴訟対策のために、どこから情報を抜いたかをわからなくしちゃっているんですけど。

そのせいで、ChatGPTが書いている情報が正しいのかどうかを確認する術がすぐに手に入らなくなっちゃって。それだったら自分でググって「こういうサイトでこういう人が書いているんだ。じゃあ事実だな」とか、というのがわかるというのがあったりするので、あまり僕は使わなくなっちゃいましたね。

司会者:「これはけっこう意外」みたいな意見も、チャットで来ていますね。

ひろゆき:やはりソースのURLを出さないとかは勘弁してくれよと思うので。なので、たぶん「Bard」も出さないんじゃないかな。Microsoftの「Bing」にくっついているやつも……、Bingは出すか。でもなんか僕が聞いた話だと、わりといい情報が出なくて、なんか違うURLが出たりするとか。

そこらへんが結局、どのAI系もそうなんですけど、どこからデータを取っているというのがバレると訴訟で、すごいお金を払わなきゃいけないというのがあるので、基本はもうURLを出さなくなっちゃったんですよね。なので、なんか使いづらいなと思っています。

AIに代替されない真のエンジニア像

司会者:なるほどです。この関連で、これもチャットでもらっているのですが、「生成AIの登場などで将来エンジニアの仕事がなくなるという見方もあるようですが、ひろゆきさんはどう思われますか?」。これはたぶんみんな気になっていると思うんですよね。

ひろゆき:いやぁー。絵を描く人ってAdobeの「Photoshop」を使うとか「Illustrator」を使うとかがあると思うんですけど。

じゃあその、例えば「人の形に切り抜く」とかを、ステッキのボタンをポチッと押すと、切り抜くみたいなのを自動でやってくれるわけですけど、ああいう便利なソフトウェアの機能が付いたからといって、イラストをやる人がいなくなるのかというと、いなくならないじゃないですか。イラストを描く人が、より便利になりましたよねという話で。

なので、エンジニアとしてより便利な機能がいっぱい付いた開発環境が育ちますよ、という話とプログラマーがいなくなるというのは、ぜんぜん違う話だなと思うんですけど。

なぜ、ぜんぜん違う話をゴチャゴチャにするんだろうという。ガチでプログラムをやっている人で、「AIが普及して俺の仕事がなくなるかも」と言っている人を聞いたことがないんですよね。エンジニアじゃない人とか、エンジニアになろうとする人が、なんか「AIでプログラムがなくなるかも」みたいなことを言うと思うんですけど。

やはりエンジニア側としては、なんかツールができて便利、みたいな。ある程度仕様がわかったら、これは俺が書かなくてもバーッとやってくれて、チョコチョコ直すだけでいいから便利というだけで、プログラム需要がなくなるみたいな話を、ガチエンジニアでしている人をあまり聞かないです。なので、みんなそう思うんだろうというのが、すごく不思議なんですよね。

なので、AdobeのIllustratorとか、Photoshopとか、Macromediaはもうないか。あるいはGIMPのような絵を描くソフトウェアが、一切世の中からなくなったら、さすがにAIはすごいなと思うんですけど。でもやはり人がモノを作るとか、こういうのが楽しいよね、おもしろいよね、みたいな部分って必ず残るので。

なので、AIでエンジニアが絶滅みたいなのはないんじゃないかなとは思います。ただ、コーダーは減ると思います。

司会者:なるほどです。コーダーというのは、ちなみにどういうニュアンスですか?

ひろゆき:なんかSIerとかに勤めていて、「この仕様で、こういうかたちのコードを書いてください」という人。

どういうふうにしたら、このプログラムは速くなるんだろう、メモリが少なくなるんだろうとか、
なんかユーザーに合わせて使いやすいだろうとかという、試行錯誤をするのではなく、言われた通りにろくでもない仕様を、ひたすらコードを書くだけのお仕事。

これもエンジニアの仕事の中には含まれているんですけど(笑)。その部分はたぶんChatGPT的なものにどんどん代用されて、人は減っていくんじゃないかなと思うんです。

司会者:とのことです。このへんは、みなさんへのヒントが非常にありそうな気はしますね。

ひろゆき:なのでコーダーをやるのは、なるべく控えたほうがいいんじゃないかなとは思います。

経験から語る大学院進学の判断基準

司会者:ありがとうございます。じゃあなんか、随時ひろゆきさんも拾っていただければと思います。

ひろゆき:はい。じゃあ「情報系の大学の1年生です。私は大学院に行く基準は研究したい分野があるかどうかだと思っていますが、ひろゆきさんだったらどのような基準で判断しますか?」。

僕は続けられるかどうかですね。たぶんなんか就職に有利だからこういうところに行こうという人もぜんぜんいると思うんですけど。それで続けられるんだったら、いいと思うんですけど、僕は興味のないものはできないんですよね。

なので、大学は心理学に行ったんですけど、たぶん心理学以外だったら続けるのは無理だっただろうなという気はしているので。なので、自分の興味が向いて、これは続けられるよねというものを選んだほうが続けやすいんじゃないかなと思います。

興味がないものでもできますという人も、たまにいるんですけど、そういうタイプの人は、別にどこに行ってもいいんじゃないかなとは思います。

ハッカソンでは主導権を握って後悔しない開発

司会者:ありがとうございます。じゃあ次は僕からいきたいと思います。「来月ハッカソンに挑戦します。初めてのチーム開発なんですが、チーム開発のポイント、気をつけるべきポイントなどがあれば教えてください」とのことです。

ひろゆき:うーん。なんだろうな。チームメンバーによるんですよね。メンバーによって自分がリードを取るべきなのか、リードを任せるべきなのかで、立ち回り方がだいぶ違うんですけど。実力のある人でも、変な奴にリーダーを任せちゃうと、その結果、間違った方向に進んでしまって、あとで完成しないみたいなパターンもあったりするので。

そこらの間違った奴をリーダーにしないというのが見抜けるかどうかですけど、そこを見抜けるんだったら、もう自分がリーダーになっちゃったほうがいいと思うんです。なので、たぶん僕は口がうまいので、だいたいそういうところでも、それなりのリードポジションに近いところに行っちゃうんですよね。

要は間違った人をリーダーにして、間違ったかたちで進んでしまって、それで「タイムアップです」ってなっちゃうと、もう「何しに来たんだろう」ってなっちゃうじゃないですか。なので、なるべくリーダーに近いポジションにいたほうが後悔は少ない。要はプロジェクト自体が失敗したとしても、自分のベストを尽くして失敗しているのであれば「しょうがないよね。実力不足だよね」ってなるので。

なんか、誰かをリーダーにして「いや、その仕様だと、あとで詰まるぞ」みたいになっていって「はい、詰まりました」「できませんでした」ってなると、「こいつのせいで俺は負けた。あの時にこう言っていれば、ひょっとしたらそれは回避できたかも」とか、自分がリーダーのポジションを取っていたら回避できたかもという後悔をするのは、あまり好きではないので、という感じです。

大規模言語モデルの将来性とAI開発の投資対効果

司会者:はい。今後は順番に、僕がピックするのと、ひろゆきさんがピックするものでいきましょう。

ひろゆき:はい。

司会者:ちなみにみなさん、コメントで金額を書いてくれていますけど、スパチャじゃないんで。

ひろゆき:(笑)。

司会者:金額を書いても、ひろゆきさんには入りませんからね(笑)。

ひろゆき:じゃあ質問ですね。「最近AIとWebで、どちらに力を入れて勉強するべきかを悩んでいるのですが、どちらがいいのでしょうか?」。僕は、AIはすごく役に立つし、勉強するというか知っておくべきだとは思うんですけど。ただ、AIの勉強をガチでやるのは、AI開発者になるわけでないのであれば、あまり意味がないなと思っているんですよね。

「OpenAIのChatGPTはすごい」と言われているんですけど。(ChatGPT)4oが出たぐらいの時に、僕が「ひょっとしたらOpenAIは潰れるかも」という話をチョロッとしたことがあると思うんですけど。ここではしていないかな。なんでその話をしたかというと、大規模言語モデル(LLM)を作るのにメチャクチャお金がかかるんですよね。

確かChatGPTのサーバー群だけで1,000億円とかしていたと思うんですけど。そこまで大きいものを作ったにもかかわらず、わりと小さいサイズでそんなにお金をかけていないものでも、ソコソコの性能が出ちゃうよねというのが、わりとチョコチョコ出たりしているんですよね。Facebook社(現:Meta社)が作っている「Llama」だったり。

さらに最近、なんかLLMのモデルの中でどういう言語処理をしているかというアルゴリズムをこっそり引き抜いちゃうような質問をする、ということを、セキュリティホールじゃないんですけど、そこの穴を突いた人の論文が発表されていたんですけど。

そういうかたちで、わりとLLMのアルゴリズムも引っこ抜けちゃうことがわかってくると、1,000億円レベルで投資をしたとしても、実際にはそこまで回収できなくて、100億円ぐらいで作ったものがそれなりに普及してしまうというパターンがけっこうあり得るんじゃないかなと思っていて。

今だとOpenAIのChatGPTに毎月サブスクして、お金を払ってみんな使うのがほとんどだと思うんですけど、じゃあそれなりに小さいAIのモデルで、スマホとかに入ってそれなりのことができるよねとなっちゃうと、別にサブスク代を払う必要がないですよね。そのレベル最高峰を目指したいとかであれば、それはOpenAIにお金を払うことになると思うんですけど。

そうじゃなくて、何かちょっとしたことをCopilotみたいなものでやってもらいますとかであれば、(無料になるのも)時間の問題で、別にオープンソースでやっているものでもいけるよねということになってしまう気がするんですよね。そう考えると、どの言語モデルがいいのかとか、どれが流行りなのかとか(は関係なくて)。

ChatGPTに特化したかたちで、何かいろいろとChatGPTを使ったサービスとかというのを作っている人もいると思うんですけど、その(無料の)ビジネス体系が公開するのは、けっこう早いんじゃないかなと思っているんですよね。

今の人だとわかりづらいかもしれないんですけど、昔のデータベースって有料のOracleのようなものを買ってお金を払うのが当たり前だったんですね。今でもごく一部でOracleを使うのもありますけれども。

たいていは別に無料のもの、例えば「MariaDB」とかでいいじゃん、という時代になっちゃったと思うんです。という感じで、ソフトウェアとかってある程度無料のものができたら、それで十分だよねというので普及しちゃうということがあるんですよね。

FreeBSDやLinuxって、もともとはUNIXの有料OSと同じようなことを(無料あるいは安価に)しようということで生まれたものなので。なので、なんかそこらの大規模言語モデル、LLMも無料のものが生まれて、それがどんどん開発されて改良されていく。だから「すごく高いお金を払わなくてもいけるんじゃね?」ということになるんじゃないかなと思っています。

なので、AI開発者になるとかでないのであれば、AI情報みたいなものをメチャクチャ追い続けてWebの知識がありません、みたいになるぐらいだったら、普通にWebのプログラミングもできるし、AIを多少はわかっているけど最近のトレンドはググる、くらいでいいんじゃないかなと思っていたりします。


(次回へつづく)

※本記事の内容は「技育祭2024【春】」を実施した2024年3月16日〜17日当時のものです。

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