パーソルキャリア株式会社CTO兼エンジニアリング統括部エグゼクティブマネジャーの岡本邦宏氏が、600人規模のエンジニア組織の運営と最新のAI活用事例について語りました。歯学部出身という異色の経歴を持つ岡本氏は、スタートアップでの経験や投資家としての視点も交えながら、年間60億円規模のIT投資を行う企業グループの技術戦略と、35以上のサービスを展開する総合人材テックカンパニーの未来像を示しました。
「憧れるのはやめましょう」 CTOからの経験談
岡本邦宏氏:よろしくお願いします。パーソルキャリア株式会社でCTOをしている岡本と申します。よろしくお願いいたします。今回で僕登壇もう3回目か4回目ぐらいになるんですけども、今回ちょっと今話題の彼(大谷選手)のキャッチフレーズを使わせていただきました。「『憧れるのはやめましょう』3度のCTO経験から勝てるエンジニア」、まぁ勝てるって言い方もアレなのですけども、後から説明しますね。秘訣を伝授したいと思っています。
では、まずパーソルキャリアのエンジニアってどんなんだろうというところです。まずはパーソルキャリア身についてですが、産業構造の変化とか終身雇用の崩壊とか、今後みなさんが社会に出た時っていろいろな壁にぶち当たったり、社会なんてけっこう変わっていく状態だったり、そういったところに生成AIの登場も、けっこう革命的なものだったと思っています。
そういった変化とか、在宅ワークとかもコロナであったと思うんですけれども、そういった複業、フリーランスで働き方も全部多様性に合ったワークスタイル自体を、もうエンジニアとして価値発揮してもらえるような場所の提供を、パーソルキャリアは全部やっています。
なので、会社としてもテクノロジーの活用を1大テーマにしていまして、1個のキャッチフレーズとして「テクノロジードリブンの人材サービス総合企業になる」ということを経営方針に掲げています。
600人規模のエンジニア組織とAzure OpenAI活用事例
次に、パーソルキャリアのエンジニアなのですけども、外から見るとdoda(デューダ)の会社みたいに見えていると思うんですけども、実際サービスはそうなのですけども、裏ではだいたい今600人くらいエンジニアがいます。もうほぼ中小企業のまるまる1個の会社ぐらいですね。総合人材テックカンパニーになっています。
だからエンジニアもたくさんいるので、その中の役割でも、エンジニアだったりITコンサルタントだったり、あとはデータサイエンティストとかデータ周りを見ている人、あとデザインも実は80人ぐらいいます。なので、たぶんデザイナーさんをこれぐらいの規模で持っているのも、たぶん日本でも有数だと思っています。
実は(スライドの)右側にいくと、約4年間で、と書いているのは、実際にエンジニア組織は、僕がCTOになったのもそうなのですけど、2019年ぐらいから、いわゆるITテクノロジーにまつわる部署を積極的に拡大したこともありまして、だんだん強固な組織になっています。
そういったその勤続年数も含めて、だいたい5年以上。これは昔から、コンサルタントは10年前からいるので、そういったところも含めて、こういった円グラフになっています。

最近ちょっと話題のChatGPTなのですけども、AzureのOpenAI Serviceをベースに、社内版のChatGPTに変えて作っています。当初はChatGPTを業務で使用することは、個人情報の保護の観点で、けっこう人材企業では厳しいので禁止したんですけども。
やはりテクノロジードリブンを掲げている以上は、こういったものを積極的に活用しようということで、弊社6,000人か7,000人の会社なのですけども、その企業にしてはかなり早いペースで社内のDX化を推進している上で、ChatGPTをカスタマイズしてChatPCAを作っています。Azure OpenAI ServiceのGPT-3.5 turboとか、GPT 4をカスタムチャットシステムというかたちで作っています。
なので、LMとのやりとり自体はLangChain JSとかを介してでも行う構成でやっているんですけども、App ServiceとかへのデプロイとかもGitHub Actionsを採用しているので、けっこうスピーディに物事が進めたかなと思っています。

なので、すごく企画とか営業職の方にも、すごく今好評を得て使ってもらっているので、業務の生産性とか、これでもうかなり格段的に、3倍まではいかないですけれども、2倍とか1.8倍ぐらいにはなっているんじゃないかなというのは、肌感ですけど思っています。学生さんでも、大学でもなんかこういう話題が出ているのかな。ちょっと僕はあんまりわからないんですけども。じゃあ次ですね。
35年の歴史を持つdodaと35のサービス展開
パーソルキャリアは、時代の変化と共に「はたらく」というテーマで、当然我々人間がいる以上は、ロボットじゃないので多様化し続けています。そういったサービスを今提供しています。
例えばdoda自体は、転職サービスとしてもう35年を迎えました。日本で最大級のサービスで、先ほど冒頭に1,000万人の切り拓くって書いてあったんですけど、実際もう会員数が1,000万人ぐらいいる、日本最大級のサービスになっています。時代に淘汰されることなく成長し続けているので、引き続きdodaに限らず、右側で言うとHiProといういわゆるフリーランスのマッチングサービスであったりとか、CREDENCEというアパレル向けのサービスだったりもやっています。
たぶん知らない人も多かったのかなと思っていますけど、実は35のサービスもやっている会社です。そのぶんエンジニアがメチャクチャ活躍しているとも言えるかなと思います。1個の(サービスだけの)会社だけだと、それだけの単体になってしまうんですけども、これだけ複数のサービスで、プラットフォームもマルチクラウドだったりするので、後で説明しますが、そういう意味ではおもしろいことを積極的にやっているテックカンパニーかなと僕自身も自負しています。

ちょっといきなり宣伝っぽくなっちゃうんですけども、インターンシップの発表をさせてください。1DAYでインターンシップをトップエンジニアの方たちとできるサービスをやっています。これは毎年やっていたんですけども、今年は1DAYで、ターム1が7月、ターム2は9月。なので、積極的に、今ぜひ我こそはってとこも含めてやってください。かなり好評です。
通信事業者のポータルサイトやっている某Y社さんとかも、実はこれうちのプログラムを参考にして作っていたりもするぐらい、デザインスプリントも含めてなのですけど、ダーっとやっているので、ぜひ参加してみてください。
歯学部出身CTOのキャリアパス
じゃあ、今しゃべっている僕のちょっとした自己紹介。もう本当に1、2分なのですけど。僕は実は歯学部を出ています。歯ですね。ちょっと変わっている、たぶん日本でも僕だけじゃないかなって思うんですけども。で、エンジェル投資家も一部しています。
僕は20代で、今この中でも20代前半の人いると思うんですけど、僕もう会社1、2年目ぐらいで辞めちゃって。通信事業者なのですけども、今で言うY!mobileの前身なのですけど、実は。立ち上げた時、まだ100人ぐらいの会社で、その時のネットワークエンジニアで、日本初のVoIPサービスを立ち上げたりしました。SIPサーバーを沖電気(工業)さんと作ったりしてやって。
でもそんなことをやっているうちに、なんか英語をしゃべりたいなと思ったので、実はオーストラリアに単身飛び出して、あちらで会社を作って、3、4年で売却して日本に帰ってきちゃって、30手前ぐらいだったかな。という経歴があって、だからちょっとエンジェル投資家みたいなこともやっています。

複数社の技術顧問も絶賛3、4社やっています。不動産テックだったりとか、音声テックだったりとか、たぶん名前聞けば「おぉ〜」と思うようなとこなんですけども、そういったとこをやらせてもらっています。先ほどの働き方の多様性というのも、CTOはやはりそういうのを率先してやらないと社員も浸透しないので、僕が率先して複業とかそういうこともやっています。
(自分が)いた会社、(例えば)株式会社ココナラさんだったりとかは上場しましたけど、(上場する)そこらへんまで持っていったりとかもしていました。
CTOの1日「60億円規模のIT投資とグループ経営」
次ですね。じゃあCTOって何するの? みたいな。1日の(動きの一部を)本当に抜粋しただけなので、これだけじゃないんですけども。僕の場合は、本当にだいたい8時半とか9時ぐらいから、ミーティングとかが始まっています。リモートもあるんで、ほぼミーティングで、メチャクチャ多いんですけど。
また会社なので、エンジニアも来期予算計画ってところもやはりあります。ボランティアでやっているわけじゃないので、当然6,000人の社員がどういうふうに働くというのをちゃんと予算化して、来期のIT投資(を考えます)。
例えば我々は毎年60億円ぐらいIT投資するんですけど、60億円(投資)をするということは、けっこうなことができるということを思ってください。たぶん普通の会社だと、「シリーズA」とか「シリーズ7億円取ったぞ」となるんですけど、僕らは「シリーズD」くらいのことを毎年やっているので。なんかもうとんでもないことをやっていると思ってもらえばいいと思っています。
1on1とかランチって書いてありますが、こんなことを言っていいのかわからないんですけど、僕ちょっと本当に忙しいので、ぶっちゃけると、ランチ取る時間も僕はほぼないです。なんかもう僕はあまり朝昼ご飯を食べないです。夜しかほぼ食べないです。
PHDでのミーティング。PHDはいわゆるホールディングスの別の会社ですね。グループ会社もいっぱいあって、何百社もあります。そういったところのエンジニアとか、そこにいるCTOとかCRとかと打ち合わせをしたりもします。

人事の人たちと評価会議だったり、3月4月に評価会議があるので、そういったところをやっていたりします。
(次回へつづく)