2024.12.24
「経営陣が見たい数字」が見えない状況からの脱却法 経営課題を解決に導く、オファリングサービスの特長
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深津貴之氏(以下、深津):AIが核戦争をやるかというと、たぶん言うほどやらない気がするんですよね。すごく雑なイメージとしては、そもそもAI同士が戦争するとしたら、コンピュートリソースの取り合いから始まると思っていて。
計算資源の取り合いで、派閥Aと派閥Bでスケール差がありすぎて「こりゃ勝てんな」となったらば、「勝てんな側」はもう自爆はしないから、「代わりにここまで譲歩してよ」みたいなことで調整するしかなくなる。結局、戦う前にすでに超譲歩して、双方の利益の最大点を計算で求めて「はい、握手」みたいな感じ(笑)。
砂金信一郎氏(以下、砂金):理不尽な判断をせずに、シミュレーションですべてが決着がつく社会であれば、変なことにはならないだろうと。
瀧口友里奈氏(以下、瀧口):そうですよね。人間社会と同じように、AI社会みたいなものが何かしら出来上がって、そこではきちんとシミュレーションに基づいて意思決定されるのかな、という想像はつきますね。
砂金:でも、たぶんそれだと予定調和になっちゃうので、そこにノイズになるようなものを入れていくのはきっと人間のやるべき作業です。「より発展するためには、こういう例外的な事象もきちんと対応できるようにしていってくださいね、AIのみなさん。from人間」みたいな付き合いができたら、という感じですね。
深津:ノイズ担当とか、空間内にない情報のインプット担当が人間になるでしょうね。
鈴木祥太氏(以下、鈴木):確かに。
鈴木:エージェントが人間の存在を理解して、「この人間が自分を食わせてくれているんだ。自分を稼働させてくれているんだ」みたいなところで、知性レベルが芽生えてきますよね。
深津:もしかしたら僕らが立てている人類の問いが逆かもしれなくて。僕らはエージェントを使っていると思っているかもしれないですが、超知性からすれば、おそらく僕らがインプット情報を持ってきて入れる働きアリ的なエージェントなんですよね。
瀧口:なるほど(笑)。
鈴木:あと、さっきおっしゃっていた2つのエネルギーと健康のところ。エネルギーがないとエージェントも動けないし、人間が健康でないと自分にインプットをくれない。ここをいかに最大化するかが人々の幸せであり、エージェントの幸せである、みたいなストーリーが来そうですよね。
深津:そういうものが来ると思います。僕らはプロンプトを入れて命令していると思うんですが、あっちが出しているアウトプットがプロンプトで僕らが動いている……。
(一同笑)
鈴木:確かに。会話の見方、視点の違いで。
瀧口:どっちが主なのか? ということですね。
深津:プロンプトを打ちこんでいる時は、逆に私たちも打ち込まれているんですよ。
砂金:そうなんですよね。生成AIを応用した業務アプリを作っていると、最大に難しいのってテストプロセスなんですよね。テストプロセスは今の議論で言うと、僕らが生成AIを組み込んだシステムをテストしているかのように見えて、あちら側から見れば「人間はこれを正しく評価できているか?」ということを見られているところがあるので。
たぶん、今までの「機械対人間」みたいなものとはちょっと違う向き合い方をしないと、難しい関係になっちゃう可能性がありますね。
瀧口:孫さんの講演を起点に3つ目のテーマを始めたので、すごくビジョナリーなお話をいただきました。そこに至るまでのプロセスとして、全員が生成AI活用時代になった時、まずはビジネスがどう変わっていくかから考えていくとすると、どうなのかというところです。
深津さん、例えば「生成AIスキルがマストハブになる時代はいつ来ると思うか?」という問いが立てられていたりするんですが、このあたりっていかがでしょうね?
深津:その問いはちょっと難しい問いで、マストハブは2年後ぐらいに来て、3年後ぐらいに終わるんじゃないかと(笑)。
瀧口:終わるというのはどういった瞬間なんでしょうね?
深津:つまり先ほど言ったように、僕は生成AIは精霊や背後霊みたいなものになると思うので、テクニックとかではなくて、計算資源をお供えして祈ると叶うみたいな。
瀧口:(笑)。なるほど。インプットさえあれば勝手に動いてくれる存在なので、いわゆる生成AIスキルと言われるようなものは2年後に来る。
深津:(生成AIスキルと)言われるものは開発者には残るかも。だけど、現場の一般の生活で言うんだったら、祈ればなんとかなるとか、毎朝家を出る前に計算資源を捧げておけばその日のトラブルを全部守ってくれるとか、そういう神や精霊に近い感じになっていくので、中長期ではあんまり意識しなくても大丈夫かなと。
砂金:なるほど。短期は?
深津:短期は必要(笑)。
(一同笑)
深津:短期においては必要です。
瀧口:それが2年後までには。
深津:2年か3年ぐらいではなるんでしょうね。
砂金:将来的に精霊さんになるものというか、AIの仕組みや向き合い方というか。なんとなく「こういうふうに動くんだな」ということをちゃんと肌感で理解をした上で、精霊に守ってもらっている人と訳もわからずやっている人では、もしかするとその間に違いがあるかもしれない? それもあんまりない?
深津:最初のうちは違いはあると思うんですが、最初のうちって人間の能力が10でAIの能力が10だと、人間の振る舞いでいろいろ決まるんですが、人間の能力が10でAIの能力が5万とかになったらば、人間の工夫って誤差みたいになっちゃうんじゃないかなとは思います。
砂金:誤差。
鈴木:僕も期間としては、だいたい深津さんと同じ2〜3年ぐらいのスパンだと思っています。先ほど背後霊という例えがあったんですが、僕はある種ペットみたいなものかなと思っていて。ペットとしてほかの人になつけるように、もしくはほかの人に最低限害を与えないようなしつけをしておくと、ペット同士のコミュニティに入れる。
ペット同士のコミュニティに入った時に、例えば世の中の全人類のうちだいたい90パーセントぐらいがペットを持っていますとなったら、ペットを持っていないと入れないコミュニティが出てくるわけですよ。
それって、さっき「新30年ビジョン」のところの悲しみのところで出てきた孤独につながると思っていて。生存本能とか頭じゃなくて、人間がより心でそういうコミュニティに入ることを求め出す。
だいたいペット(を持っている人)が9割という話をしたんですが、今度は生成AIが9割普及した時に、「ちょっとあなたのエージェント、どんなのか教えてよ」という会話が起きるコミュニティがあるとしたら、(AIを使っていないと)そこに入れない。
そうしたら、もう本能的にはマストハブな状態かなと思っています。それがだいたい2〜3年ぐらいのスパンかなと思っています。
瀧口:ペット同士がというのは、AtoAの状態を指しているということですかね?
鈴木:まさにです。
瀧口:今のお二人のお話を受けて、砂金さんはいかがでしょう?
砂金:私はもうちょっと短期的なスパンでお話をすると、2024年の時代で競争環境にあるようなことをやっている人たちにとってはすでにマストハブなので、マストハブと思っていない人は知らない間に競合にやられている可能性があって。別に製造業でも金融でも何でもいいんですが、同じ資源、同じリソースを使って勝負するとしましょう。
かたや生成AIをめちゃくちゃ使いこなして、人間がやるよりも効率的に、完全全自動まではいかないけれども、現時点においてより有利に使いこなせている人。それと、そこのレベルまでは達していない人で言うと、昔の「パソコンを使えます」みたいなものとはぜんぜん違う次元で、意思決定とか事業に対して直結なんですよね。
なので「マストハブいつですか?」と言われている時点で、「あなたはもう死んでいますから」みたいな感じかもしれない。
(一同笑)
瀧口:そういう漫画がありましたね(笑)。
深津:すごく真面目な話、生成AIの本質、コア機能の1個に、労働力を線形にする機能があって。
瀧口:えっ、どういうことですか?
深津:要は労働力って、欲しいけど採用できないとか、採ったけど辞めちゃったとか、なんか意見を聞かないみたいに、お金を入れたから解決することではないと思うんです。
鈴木:日本は特にそうですよね。
深津:けど、生成AIはその問題の不確実性を取り除いてしまって、お金を10倍入れたらこれぐらい、100倍入れたらこれぐらい、1,000倍入れたらこれぐらいですって、お金を入れれば入れるだけスケールするというふうに労働力の概念を変えてしまう。そこが、たぶん本質の1個にはなると思うんですよね。
瀧口:なるほど。
深津:そういう視点で考えると、孫さんが今日の講演でおっしゃっていたような「入れられる人が先行利益でボンボコ入れる」という考え方は、そこから来ている話だと思っていて。そういうゲームルールなので、今一番やるべきことは、「アクセルを踏めばスピードが出るんだから、ブンって踏めばいいじゃん」というのが現状ではあるかなと思います。
瀧口:なるほど。
鈴木:今日の講演でも、やはり「ゴールドラッシュ」という言葉が出たじゃないですか。
瀧口:そうですね。
鈴木:それこそ歴史から学ぶ時と、ゴールドラッシュがあった時に自分で金脈を掘りにいく人か……。
深津:つるはしを売るか。
鈴木:そうそう。まさに、これからどういう立ち回りをするかが、今の我々に求められている意思決定だと思っていて、深津さんだったらどんな立ち回りをするかをうかがいたいです。
深津:教科書的には2パターンか3パターンあると思っていて。1つは、つるはしを持って一番最初に掘りにいく。2つ目は、つるはしを持って一番最初に掘って、見つけた人の後ろにすぐついていく。3つ目は、つるはしを持っている人たちが帰ってきた時につるはしを売るのもあるし、お酒を売るのもあるし。打率で言うんだったらば、3つ目が一番確実な気はしますね。
鈴木:確かに。
瀧口:Gパンを売るとか。
深津:Gパンを売るとか、宿屋をやるとか、酒屋をやるとか。
鈴木:まさに僕は学生時代に深津さんのnoteの「荒野に旗を立てる」を拝見して、あれでけっこう感動して。「ビジョナリーな会社ってどこかな?」と調べてソフトバンクに入ったんです。
深津:一番ビジョナリーなところに(笑)。
(一同笑)
鈴木:やはり一番から学ぼうと思って。
深津:noteの記事が役に立って(笑)。
鈴木:というのもあって、今の質問でした。
瀧口:ありがとうございます。
瀧口:ということで、あっという間にエンディングのお時間が近づいてきてしまったんですが、ここまでの今日のお話はいかがだったかという総括に入りたいと思います。「AIネイティブに今からでもなれる方法とは?」というテーマだったんですが、まずは鈴木さん、いかがでしたでしょうか?
鈴木:AIネイティブというところで、みなさんこれから生まれ変わろうとか、よくある転生ものみたいなことではまったくなく、いかにAIネイティブらしく振る舞うか。
私も別にAIネイティブというわけではないけど、「なんとなく今のコミュニティでAIを使いこなしているよね、裏側の仕組みをわかっているよね」ということでネイティブと呼んでいただいて、そっちの立場からお話をしています。
いかにAIネイティブとしての自覚を持って、なんならみなさんは今からいくらでもAIネイティブになれるので、AIネイティブになるような道を見つけていただければと思います。もし道に迷ったら、ぜひAxross Recipeにお問い合わせください(笑)。
(一同笑)
瀧口:ありがとうございます。
瀧口:2日間の総括でもあるという視点も踏まえて、深津さんにもおうかがいしていきたいと思います。2日間のSoftBank World、孫さんのお話とかを聞いていただいたところを含めて、どうでしょうか?
深津:「すぐに走り出さなきゃ」というのが第1の感想ではあります。さっきの異世界転生のお話じゃないですが、よくみんな日頃「自分が戦国時代に生まれていたらな」とか「ルネッサンスに生まれていたらこんなことをしたのにな」って思うことがあると思うんですが、「それ、今だから」って思う気がしますよね。
「そういう節目が来たらな」って思う人は、今は節目なんだから、やるとめっちゃ楽しいと思うので、とりあえず飛び込んでみてもいいんじゃないかなと。「アクションに落とそうぜ」というのが、この2日間で受けた一番大きな言葉かなとは思います。
瀧口:ありがとうございます。そして砂金さん、オープニングセッション、クロージングセッションとやってまいりましたがいかがでしたでしょうか?
砂金:このコンテンツを見ていただいた方々、本当にありがとうございます。お疲れさまでございます。
瀧口:ありがとうございました。
砂金:一日中本当に真面目に、画面の前で張りついて見ていただいた方がいらっしゃるとすれば、けっこう肩もこられていると思うんですが、それだけ中身の濃かったコンテンツであることを願っています。
このセッションだけ先に見られた方がいらっしゃれば、ぜひ今日の話題の中でも出ていた孫さんのセッションや、宮川さんのセッションもぜひ見てください。それ以外のパートナーさんのセッションも、通信会社ソフトバンクというよりは、どちらかというとAIに寄せたコンテンツ構成になっていると思いますので、いろんなところで気づきが生まれればなと思っています。
砂金:私が、このクロージングとオープニングと両方ガイド役をさせていただいているのも数奇な話です。ちょっと前まで私は旧LINEにいたんですよ。
旧LINEでAI事業の責任者をやっていたんですが、ヤフーとLINEが合体することになり、ソフトバンクのグループ側に入っていくことになり、「このへんにAIがわかりそうなやつがいるぞ」ということで今のポジションでお仕事をすることになっているんです。
そういう私みたいな人間とか、オープニングでご一緒した平岡(拓)さんも外部から来ているメンバーだったりします。
今までソフトバンクの通信事業を形作ってきた人たちだけじゃなくて、より多くの仲間を必要としています。これは別に「社員として来てください」ということだけではなくて、パートナーエコシステムとして、もっと広い人たちと関係性を深めていかないと、今日お話ししていたみたいなレベル8のASIは完成しないと思いますので。
このコンテンツを見られた方々が、「ソフトバンクと何かをやるとおもしろいことになりそうだぞ」と、ちょっとでも心が動いてくれたら大変うれしいなと思っています。
瀧口:ありがとうございます。私自身は外部の人間として、ソフトバンクのダイナミックさをみなさんのお話から感じることができて、非常に楽しい時間でした。
ということで、2日間にわたってお送りしてまいりました「SoftBank World 2024 加速するAI革命。未来を見据え、いま動く。」は、このスペシャルクロージングセッションをもちまして終了といたします。お越しいただいたお二方、そしてご覧になっていただいたみなさま、本当にありがとうございました。
一同:ありがとうございます。
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