2024.12.24
「経営陣が見たい数字」が見えない状況からの脱却法 経営課題を解決に導く、オファリングサービスの特長
シンプルフォーム株式会社 小間 洋和氏ピッチ(全1記事)
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司会者:小間さん、よろしいでしょうか。
小間洋和氏(以下、小間):はい、お願いします。
司会者:持ち時間は6分間です。それではよろしくお願いします。
小間:金融犯罪に立ち向かう技術的挑戦について、シンプルフォームの小間がお話しさせていただきます。
さっそくですが、「マネー・ローンダリング」という言葉を聞いたことがあるという方はいらっしゃいますでしょうか? ありがとうございます。詐欺師がみなさまのお金を騙し取って、バレないように懐に入れるために、彼らは口座を悪用しています。
このように、間接的にお金を自分のところに入れることによって、犯罪収益を隠匿している。これがマネー・ローンダリングです。よく「マネロン」とも言われるんですが、今、国際的に大きな問題になっています。日本も例外ではありません。
例えばコロナの補助金詐欺。あとは最近ですと、SNSで闇バイトを募る。その裏側にはマネロンが隠れています。この記事もマネロンについて報じているんですが、注目いただきたいのは法人口座が悪用されているというところです。
なぜかと言うと、個人口座と違って100万円、1,000万円、何億円というお金を動かすことができますので、これが狙われるとリスクがすごく大きいんです。
このマネロンは、なんと世界で200兆円も行われています。これはすごくインパクトの大きい数字で、良い世界を作るために回していくべきお金だったはずなんですが、悪い人たちの手に渡って、私利私欲のために使われてしまっている。このことが私はどうしても許せないです。
これを技術の力で解決したいと思って、私はこのシンプルフォームでCTOを始めました。
小間:シンプルフォームは、金融機関さんを始めとする法人の審査を行なっているお客さまに対して、法人の詐欺のリスクをいち早く正確にお届けするプロダクトを作り、ご提供している会社です。
それを支える技術戦略についてですが、世の中には500万社法人があります。この一つひとつに対してリスクを評価していくんです。つまり、500万社の二値分類をしようという、技術的な問いに置き換えられるわけです。
じゃあ、どうやってやるのか。ポイントはデータ中心の戦略です。というのも、私は14年間AIの研究開発をしていたんですが、歴史が証明しています。この10年間勝ち続けてきた企業というのは、自分たちの独自のデータを大切に蓄積、育ててきた会社さんです。私たちもデータの強さを信じています。
ファーストステップとして、法人を知る「軸」を強化してきました。どういうことかと言うと、例えば70キログラムの人がいて、これが小学生だったら明らかに肥満ですが、別に180センチメートルの男の人だったら普通ですよね。考えていただきたいんですが、同じようなことが法人の世界でも起きています。
例えば1億円を動かしている口座があった。これが怪しいかと言うと、AWSさんやNewsPicksさんだったら自然と言いますか、むしろ少ないぐらいだと思うんです。これが2週間前に設立された、たった1人でやっているWeb開発企業だったら、ちょっとおかしいですよね。このように、法人の軸をいかにリッチに揃えていくのかが審査の鍵を握っています。
Web上のありとあらゆる法人のデータを集めるデータ基盤作り、そしてここがポイントなんですけれども、Webにまだ上がっていないような現実世界のデータを、自らの足を使って収集するデータ収集の基盤作り。私たちはこれをやっています。これによってデータの蓄積を加速度的にアップしています。
そして2つ目なんですが、攻めのセキュリティです。これは何かと言うと、ISMSの取得はもちろんのこと、それを運用に回していく専用のチームを立ち上げ、能動的に脆弱性診断、リスクアセスメントを愚直にやってまいりました。
その結果、お客さまから信頼をいただいて、プライベートデータを連携していただくまでになりました。苦節2年間、この信頼の蓄積も私たちの強みの1つだと思っています。
小間:このようにして3種類のプラチナデータを集めて、圧倒的なデータの量で審査をアップデートし、ありがたいことに、みずほ銀行さまに当社の金融審査のサービスをご利用いただくまでになりました。新しい審査に向けて、技術の研究開発はさらに洗練を続けています。
そして組織なんですが、私たちの事業を成立させるためには、SaaS開発、AI、データ、そしてシステムインテグレーションの4つが連動していなければなりませんが、私たちのエンジニアチームには多種多様のバックボーンのエンジニアが入っています。
こうなってくると、考え方の癖にちょっと違いが出てきたり、カルチャーに違いが出てくる。これは当たり前のことだと思うんですが、これが難しくもあり、チーム開発の醍醐味だと思うんですね。
みんなが同じ方向を目指していけるように、シンプルフォームが標榜している「超主体性」「底なしに謙虚」「長長期目線」といった企業ワードをエンジニアリングカルチャーガイドに落とし込んで、みんなでシェアしたり。
あとは、審査ってなかなか手触り感のないような領域だと思うんですが、手触り感豊かに開発できるように、ドメインの勉強会などをしました。このようにしてチームが一丸となって前に進めるようにし、ありがたいことにエンジニア総勢25名、創業5年で今までに退職者が出ていないという、私も本当に現場のメンバーに感謝しています。
最後に、CTOとしてカルチャーを大切にする強い組織を作り続ける。そして実は私たちは、恐らくこれから大きな社会の闇と戦っていくことになると思います。実はちょっと怖いです。ですが、立ち上がって誰かがやり遂げなければなりません。私はここに技術経営をもって立ち向かっていこうと考えています。シンプルフォームでした。ありがとうございます。
(会場拍手)
司会者:小間さん、ありがとうございました。どうですか? 準備してきたことはすべて出しきれましたか?
小間:はい。
司会者:アクション込みですばらしいプレゼンだったと思います。さぁ、それでは質問タイムにまいりましょう。質問のある審査員の方は手を挙げてお知らせください。あ、すぐに挙がりました。澤山さん、お願いいたします。
澤山陽平氏(以下、澤山):プレゼンありがとうございました。ベンチャーキャピタルも金融機関なので、KYCのあたりは日に日に厳しくなっているなと感じます。
その中で特に感じるのが、これは国内だけの話ではなく、例えば少し前にロシアの話があった時には一気にいろいろと深まりましたし、世界的な規制の変化によってもどんどん影響を受けている。
犯罪、特に金融犯罪に関しては国境を余裕で超えてくるんですが、国内だけじゃなくて世界的な基準や動きがあります。その中で、データの基盤のところをどういうふうに集めていくのか、分析をどういうふうにしていくのか。
日本だけではなくて、そのあたりの技術的なところや、刻々と変わり得るものに対して対応する上で、何か心がけてることはあるんでしょうか?
小間:ありがとうございます。まず、500万社というのは実は国内の法人の数なんです。これを完全に知るということを、まず第1ステップとしてやろうとしています。
海外の法人データを集めているかというと、今は完全には集められていないのが現実です。次のセカンドステップが、まさにそういったところであると考えていまして、次のステップで考えていきたいと思っています。
澤山:最初のところで言っていた、「こういう動きをするとおかしい」みたいなところは、国を超えても使い回せていくようなものなんですかね?
小間:ありがとうございます。例えばWebサイトがちょっと不自然な構成になっているとか、こういったところは日本国内の話に閉じずに、海外でも横展開できるような不自然さだと考えていまして、おっしゃるような性質が十分にあるかなと思っています。
澤山:ありがとうございます。
司会者:澤山さん、ありがとうございました。他に質問はございますでしょうか? 小野さん、お願いいたします。
小野和俊氏(以下、小野):プレゼンありがとうございました。我々もクレディセゾンなんですが、お世話になってるみたいで(笑)、平素はありがとうございます。先ほどのプレゼンの中で、25人の開発者がいて、(創業してから)5年間で1人も辞めてないという話があって、すばらしいことだと思うんですよ。
というのが、やっぱりエンジニアを採用できるかどうかもあるけど、リテンションできるかどうかは、スタートアップにとってもそうじゃない会社にとってもすごく大事なので、とても成果が出てるなと思うんです。リテンションの秘訣について、なぜ辞めないのか、どういうこだわりや工夫があるのかを教えてもらっていいですか?
小間:ありがとうございます。よく社外の方から言っていただくのが、「ビジネスサイドとめっちゃ仲良いね」ということです。実は私たちは出社を前提としたオフィスの作り方をしていまして、定期的にと言いますか、日常でチームの垣根を超えて毎日会話をしている文化作りがなされています。
そのようなところが数字にも表れているんじゃないかなとも思うんですが、一番の秘訣はみんな仲良くなるというところですかね。
小野:わかりました、ありがとうございます。実際に事業に携わっている人と、開発サイドの人がよく交流することは、おっしゃるようにすごくリテンションにつながるなと思いました。ありがとうございます。
小間:ありがとうございます。
司会者:小野さん、ありがとうございました。その他、いかがでしょう? 藤本さん、お願いします。
藤本真樹氏(以下、藤本):ちょいまじめっぽいご質問で恐縮ですという感じなんですが。こういった事業の難しいところというか、大事なところって、ある種のリスクマネジメント。
当然、9割上手くいっても1割上手くいかないとか、force positive to negativeに対しての精度とか、あるいはビジネスリスクのジャッジ云々と、研究開発の技術がすごく密に結びつく事業だと思います。そういう意味では、CTOの方の果たす役割はすごく大事だなと思っているんです。
いわゆるビジネスリスクと技術のバランスの取り方とか、そこに対する小間さんの考え方、スタンスをおうかがいできればなと思いました。
小間:はい、ありがとうございます。まず、リスクマネジメントに関してなんですが、お客さまにご利用いただく際は、ちゃんと責任分解の考え方をご理解して使っていただいてます。
つまりどういうことかというと、私たちのサービスがお出ししているのは、あくまで法人を詳細に調べて出しているリスクの推奨される結果、判断です。それをもって、金融機関のみなさまに実際にご判断をいただく。そのご判断の責任はお客さまに持っていただくというふうに、今はしております。
ただ、そうは言っても、最後の責任の部分がいつまで経ってもはがれないのかと言うと、実は次のビジネスとして1つの種になり得るかなと考えています。
いわゆるBPO、SaaSといいますか、判断するためにはもうちょっと深掘りして調査する必要があるんです。この部分もBPOとして巻き取って、全体としてそもそもお客さまに判断を委ねなくて済むところまで、次のビジネスのアイデアとして考えて、今はCEOと話しているような状況でございます。
小野:ありがとうございます。以上です。
司会者:以上で質疑応答は終了です。(ピッチのファイナリストの)2人目でございました。小間さん、どうもありがとうございました。
小間:ありがとうございました。
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