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株式会社ハイヤールー 葛岡 宏祐氏ピッチ(全1記事)

「中卒」という学歴コンプレックスを原動力に起業 人材不足なエンジニア採用の課題解決に挑む次世代スタートアップ

新しい未来の実装に挑むエンジニアのためのピッチコンテストStartup CTO of the year 2024。スタートアップCTOによるピッチコンテストを実施し、事業成長に連動した技術戦略を実現する経営インパクトや組織開発力などを評価指標に、2024年最も輝いたCTOの挑戦を讃えました。本記事では、株式会社ハイヤールー 代表取締役である葛岡宏祐氏の6分間のプレゼンテーションの模様をお届けします。

コンプレックスだった「中卒」という学歴

司会者:それでは葛岡さん、持ち時間は6分間です。どうぞよろしくお願いいたします。

葛岡宏祐氏(以下、葛岡):こんにちは。株式会社ハイヤールーです。我々ハイヤールーは、「日本をもう一度、『モノづくり』で一番へ。」をミッションに掲げている、設立約4年のスタートアップです。

私はこれまで、スタートアップやメガベンチャーでエンジニアとしてキャリアを積んできましたが、ある大きなコンプレックスがありました。それは中卒という私の学歴です。

中学卒業後、自分の手で物を作りたいという思いからエンジニアを志し、英語、数学、コンピューターサイエンスをすべて独学しました。「さぁ、いざ転職」と意気込み、会社に応募しようとしたその時に気づきました。私には応募する資格がないという現実です。

企業は私が数年間死に物狂いで身に着けたスキルではなく、私を学歴で評価していました。私はラッキーでした。なぜなら、私の真のスキルに向き合ってくれるスタートアップと出会えたからです。ですが、正当な評価がされていないエンジニアはまだたくさんいます。この現実を変えたい。そんな思いが、後の事業のきっかけとなりました。

この問題の根幹にはエンジニアの採用手法があります。日本では多くの場合、エンジニア採用においても応募時に書類の提出を行います。そして過半数以上の候補者がここで落ちてしまいます。私もその1人でした。

一方で海外を見てみると、コーディング試験を通したスキル中心のプロセスであることがわかります。書類の提出は最後に行い、その後、採用の意思決定がくだされます。なので、私も実際にBigTechの選考を受けることができました。

一方で、国内でもエンジニア採用で重視する点は、技術力とコミュニケーション能力です。

ですが実態は学歴、職歴といったバイアスによって評価をしてしまい、結果、ミスマッチが生じています。このミスマッチですが、エンジニアを採用する企業の8割以上が経験しており、1件あたりにかかる費用は数百万円にも上ります。

BigTech水準の採用を誰でも行える「HireRoo」とは

葛岡:この社会の損失を解決したい。そんな思いで始めたのが、BigTech水準の採用を誰でも行えるコーディング試験サービスの「HireRoo」です。

デモをご覧ください。まずは試験の作成です。試験の作成は簡単、2クリックで完了。もう問題をイチから考える必要はありません。

リンクを受け取った候補者はオンラインで受験を開始します。一次選考の足切りとして、アルゴリズムの問題を解くコーディング課題や、実務システムを開発する実戦形式の課題。さらにAWS、GCPを用いたシステム設計の課題まで、さまざまな観点で候補者を評価します。

結果はこのように、定量的に可視化されます。さらに成果物に至るまでの過程や、Google、ChatGPTの履歴などもすべて後から参照が可能です。

続いて二次面接です。二次面接は候補者とコミュニケーションを取りながら、ペアプログラミングやシステム設計を行います。こうすることで一次選考では見られない、ソフト面のスキルの評価が可能となります。最後に結果をまとめ、選考は終了です。

これが実現できるのは、我々自身がエンジニアとして非常に高いドメイン知識を持ち、かつ高い技術力を持ち合わせているためです。そうすることでプロダクトを通し、お客さまに最大限の価値を届けています。


例えばこちらのオンラインIDEやシステム設計の描画ツールは、弊社が独自でイチから開発したものになっています。そうすることで、受験時の候補者の細かなシグナルをすべて拾い、より高精度なスキルの可視化が実現できます。

エンジニア採用の深刻な課題の1つ「人材不足」を解決

葛岡:我々は組織文化として、何より原理原則を順守しています。必要であればツールは使うだけでなく作ることもできる。そんなモノづくりの集団です。

その他、技術コミュニティの貢献や技術発信にも積極的です。過去にはアドベントカレンダーの実施や、数百名規模の勉強会を何度も開催してきました。そして、なんとこれはすべて、たった5名の少数精鋭のエンジニアによるものです。

組織の高い生産性を実現する背景にあるのが、弊社自慢の開発基盤です。コードはすべてモノレポで管理されており、開発、検証、リリースまでが、すべてCI/CDによって自動化されています。そうすることで高い生産性を実現し、お客さまに最速最短で価値を提供します。

このソリューションですが、ご好評をいただいており、スタートアップやメガベンチャー企業を中心に、現在は約150社ほどの企業さまにご導入いただいております。MRR(月次経常収益)、選考数は、いずれも順調に推移しております。

今後の展望としては、コーディング試験から母集団形成とソリューションを展開していきます。このソリューションですが、私のように学歴、職歴のないエンジニアに輝く機会を与え、企業の採用につなげる。そうすることで、エンジニア採用の深刻な課題の1つである人材不足を解決します。

今後も我々はスキル可視化を軸に、選考プロセスから母集団形成、そして教育育成、社内人材評価へとソリューションを展開していきます。そうすることでエンジニアの力を最大限に引き出し、この国をもう一度モノづくりで一番にします。

日本をもう一度モノづくりで一番の国へ

葛岡:最後に、我々のミッションに隠された思いをお話しさせてください。私の肩書きはCTOではなく、CEOです。今日、私がCEOとして登壇しているのには理由があります。

私はモノづくりの国の日本が、もう一度モノづくりで一番になるためには、プロダクトバックグラウンドがあるエンジニア出身の起業家が、もっともっと増えるべきだと考えています。

背景として、このようにBigTechの創業者はプロダクトバックグラウンドが非常に多い一方、日本ではまだまだエンジニア出身の起業家が大成功したという事例は少ないのが現状です。我々ハイヤールーはモノづくりの集団です。そんな我々ハイヤールー、モノづくりの集団が打席に入り、フルスイングし、成功し、そして轍を作ります。

その轍をたどり、エンジニア出身の起業家がもっと増え、エンジニアの次のキャリアに転職と同じくらい起業という選択肢が身近に現れる。そんな未来を私は夢見ています。そうしてその先には、日本がもう一度モノづくりで一番になる未来があると私は信じています。

日本をもう一度、「モノづくり」で一番へ。Japan as No.1,again.株式会社ハイヤールーでした。ご清聴ありがとうございました。

(会場拍手)

司会者:葛岡さん、ありがとうございました。ご自身の経験から強い思いが伝わってまいりました。

ハード面だけでなく、ソフト面も必ず評価に加える

司会者:さぁ、それでは質問タイムにまいりましょう。質問のある審査員の方はどうぞ。挙手をお願いいたします。小野さんですかね。お願いいたします。

小野和俊氏(以下、小野):プレゼンありがとうございました。おっしゃるとおり、学歴とかでアンコンシャスバイアス的に見ちゃうというのは、すごく問題だと思うんですよね。

我々のチームにも、中学・高校の6年間、ある事情で1ヶ月しか学校に行けなかったけど、めちゃくちゃ家に籠って研究していて、すごく優秀なプログラマーになった人がいたりとか、けっこう多様な人がいるんです。

「学歴とかでフィルターしちゃいけないことには、気をつけないといけないよね」と言える一方で、逆にコーディングだけで見ちゃいけないところもあるじゃないですか。

例えばコードが書ける技術やスキルは大事なんだけれども、その人が入るとすごくチームが和むことに強みがある人とか。そういう、違う強みを持っているスペシャリストの人を認めていくべきだと思うんですよね。コーディングで見ているがゆえに、そっちばかり見ちゃうようなバイアスをどうクリアするのか。

先ほど面談が最後にあるとありましたが、例えば学歴でフィルターされたらその先に行けないのと同じように、もちろんコードが一番大事ではあるんだけれども、コードじゃない強みがフィルタされちゃう問題があると思うんです。そこは何か対処されていることはあったりしますか?

葛岡:ありがとうございます。まず、我々の現在のソリューションはどうしてもスキルキーのものになるんですが、大前提、我々のテストを受けていただいたあとにカルチャーマッチは自社で必ず見ていただくようにしております。

今後の展開としては、さまざまな企業さんがあると思うんですが、それこそBigTechとかで実践している行動面接などを用いて、カルチャーマッチの最大公約数みたいなものを取っていく。例えばリーダーシップ、能動性とか、そういったところに行きつくのかなと思っていて。

まだできないんですが、最終的には我々のサービスの中で、そういった点もスコアリングに反映させる。そんなことを考えております。

小野:ありがとうございます。そうしたら、コードのレベルで一定程度いかないと、それ以外が見られないということじゃなくて、最終的にはそれ以外のところも見て、会社によってどこにウェイトを置くのかはカスタマイズできたり、そんな感じになっていくイメージですかね。

葛岡:そうです。どうしても今は「どれぐらいコードを書けるか」がスコアリングに多く反映されてしまうんですが、我々が実現したい世界観としては、「採用後にこの人がどのくらい活躍するのか」という相関性を出すようなスキルのスコアリングを出したいんですね。なので、そういったソフト面も必ず評価に加える予定です。

小野:わかりました。ありがとうございます。

司会者:ありがとうございました。

日本のトラディショナルな企業への導入も視野に

司会者:塚田さん、お願いいたします。

塚田朗弘氏(以下、塚田):プレゼンありがとうございました。今のお話にもあったソフト面のところとかは、私もAmazon AWSとして面接する中で、日々すごく向き合っているところですので、ぜひ一度お話したいなと思いました。

葛岡:よろしくお願いします。

塚田:あとは、すでに150社導入ということで、メガベンチャーやテックカンパニーとすごく相性がいいイメージはすぐにでもつくんです。日本の市場として、これからそうじゃないトラディショナルなところもあるのかなと聞いていて思ったりして。

そこをどう捉えていたり、あとは今後そこに対するインフルエンスをどうしていくのか、何か考えていることがあったら教えてください。日本でトラディショナルじゃなくて、グローバルのテックカンパニーへ広げていくのかとか、そういうところが聞きたかったです。

葛岡:ありがとうございます。今、メインでお使いいただいているお客さまは、まさにそういったスタートアップやテックカンパニーになるんです。ただ、今後のロードマップとしては間違いなく、そういった大きい企業さんにも導入していただくことは視野には入れています。

目先の2、3年ではスタートアップを中心にやっていくんですが、今後まさに課題になっていくなと私が思っているのは、海外人材を国内のスタートアップやテック企業もどんどん入れていると思うんですよね。

まずはそこをしっかり解決して、その先にこれからDXとかを進めていくような企業さんに対して、DX人材の見極めといった点でソリューションを提供していくことを計画しています。

司会者:ありがとうございました。

今後のエンジニアに間違いなく求められるスキル

司会者:さぁ、その他はよろしいでしょうか。藤本さん。

藤本真樹氏(以下、藤本):まだ時間が大丈夫でしたらという感じですが、2つありまして。1個がすごく個人的な味なんですが、最近コードを書いていて何を思うかって、マジで書く量が減っているなというか。

つらつら書いても、「手で書いたのは半分ぐらいか」みたいな感じ。それは進んでいくと思うんですが、その分違うところに頭を使うし。普通のサービスを作るのとは、ちょっとずつ違う能力を求められるから、そういう変化に応じてどういうアプローチを考えていらっしゃいますか? これはちょっと個人的な興味です。

あと、2つ目がミッション。すごく素敵なミッションだと思うんですが、今はそうなるように、それを支援するサービスを提供していきますというアプローチだと思うんです。

ただ、「別に自分たちの会社が、日本で一番のモノづくりの会社になればいいじゃん」というのもアプローチとしてあると思うんですが、そっちはあり得ます? 何か考えていらっしゃいます? そこに対する思いをいただけたらなと思います。お願いします。

葛岡:ありがとうございます。まず1つ目のところとしては、今は生成AIによってどんどんコードを書く量が減っているかなと思っているんですが、先ほどのデモの中にあったとおり、我々のサービスの中でも生成AIを用いたりするんですよね。

なので、今後間違いなくエンジニアに求められるスキルは、ただコードを書くというよりかは、AIとかも使いながら、いかに効率良くコードを書けるかだと思っています。そういったところをしっかりスキルとして可視化していくというのが、我々の方向性になっています。

2つ目のミッションに関しましては、おっしゃるとおり、我々は本当にモノづくりの集団だと思っています。私はCEOではあるんですが、CTO的なロールも兼任しながら、モノづくりでどんどん難しい課題を解決していく。

そういったロールモデルになって、私も作りたいという思いがあるとおり、我々がこれからもモノづくりでどんどん引っ張っていけるように猛進して参ります。ありがとうございます。

司会者:ありがとうございました。質疑応答は以上でございます。モノづくりの集団として、これからもますます発展していただきたいと思います。葛岡さん、どうもありがとうございました。

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