2024.12.23
大量の問い合わせにデスクはお手上げ、現場はブチギレ…… 崩壊したチームを立て直した、kintoneによる業務改善の道のり
アセンド株式会社 丹羽 健氏ピッチ(全1記事)
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司会者:丹羽さん、準備はよろしいでしょうか。
丹羽健氏(以下、丹羽):はい。
司会者:持ち時間は6分です。それでは、よろしくお願いします。
丹羽:よろしくお願いいたします。日本で最もデジタル化の遅れた物流産業に挑む、アセンド株式会社取締役CTOの丹羽健です。物流は、私たちの生活や社会、あらゆる産業を支える存在です。その一方で、2030年にどれだけの荷物が運べなくなるかというと、3分の1です。これは経済損失10兆円、日本のGDPの1.6パーセントに当たります。
そして現在、6割は空気を運ぶ非効率な物流になっています。この原因には、物流は日本で最もデジタル化の遅れた産業があります。
これは、エンジニアの誰かがやらねばならない仕事です。そこで私たちは、日本全国を結ぶ物流デジタルネットワークの構築に挑んでいます。最大効率で物流を回すんです。
ネットワーク構築は何から始めるべきか。物流メインプレイヤーであるトラック運送会社のデジタル化です。トラック運送会社は低収益体質で人手不足。他産業に比べて労働時間は2割長く、給与は2割安い。この不合理な現状に関しても、解決すべきだと私は考えています。
私たちは、業務の効率化と経営の高度化を同時に実現するオールインワンSaaSを開発しています。
このロジックスは、運送会社の業務のデジタル化を進め、収集した会計データを元に管理会計の実現、経営改善につなげていきます。これがドライバーの過労働の解消、給与の改善につながっていくんです。
そして、ロジックスは長期的な役割として、物流のコアデータの定常的な生成と蓄積、デジタルネットワークの構築の要を担っています。
丹羽:私たちは、この2つの事業戦略を実行しています。
では、CTOが持つこの3つの領域の経営的な問いは何でしょうか。まず1つ目が「事業」です。多様な運送セグメントへの対応として、あらゆる輸送体系を扱える運行管理プロダクトの実現があります。
個社開発をゼロに。私たちはノーコードツールを開発し、運送案件項目の変更機能を提供しました。そして、対応セグメントの拡大。2度の失敗を乗り越え、運行管理機能をフルリプレイスをしました。
そして、エンタープライズ対応。営業所間の連携を実現しました。電話・ファックスからの脱却です。空車情報の共有、案件の協力依頼。これは物流ネットワークのステップ1となります。
2つ目が「技術」。圧倒的な開発生産性の追求です。まずはFull-Stack TypeScriptを選択し、技術を平易にすることによって、エンジニアのフルスタック化を進めました。そして初期からCI/CDに投資し、30秒のChatOpsでのデプロイを実現しました。
これによって、私たちは3年間で(合計デプロイ数が)3,939件。これは1日当たり4.91回です。このように私たちは毎日顧客に価値を届け、毎日顧客から学び、そして毎日プロダクトを磨く。そんな日々をアセンドメンバーの一同は過ごしてきました。
最後に「組織」です。複雑なドメインに対して、プロダクト志向なエンジニア組織を実現しました。
まず、私たちはドメインの深い5つのプロダクトを作っています。運行、請求、労務、車両、経営。これに対してドメイン知識を持つエンジニアのプロダクトマネージャー化を進めました。
それがプロダクトエンジニアです。海外動向調査においてプロダクトエンジニアの概念を発見し、これはアセンドに必要と考え、役割と越境を言語化。これはプロダクト志向に対する肯定です。
そしてプロダクトエンジニアのコンピテンシーを定義し、これに基づいて育成施策を実行しました。こうしてできたのが、私たちのプロダクトエンジニア組織です。これによって、5つのプロダクトの立ち上げにつなげました。
このように私たちはあらゆる運送会社に対し、圧倒的な生産性とプロダクト志向を持って、ロジックス事業を成立させました。結果、全国100社以上の運送会社に導入。そして3年間で解約はゼロ件です。
NRR(売上維持率)167パーセントと、高い数値を示しています。これからも日本の物流デジタルネットワークの構築に突き進んでいきます。
丹羽:最後に、私は「社会を豊かにしたい」という強い思いを持つ人間です。アセンドのCTOとして物流に対して挑み、そして日本のイチCTOとしての務め(として)、日本の技術力の底上げも大切にしてきました。
コロナ禍を受けてTypeScriptの日本の知見共有の場が途絶えていました。これに対して、41人の同志たちと共にTSKaigiを立ち上げ。私は理事を務めております。発表は49件、そして2,400名以上の方が学び、つながる場を再開しました。
プロダクトを作る技術、知見を共有する場を進めるため、私はプロダクトエンジニアを啓蒙し、コミュニティ設立、記事執筆、カンファレンス登壇と進めています。これは「ANDの才能」です。社会の発展と技術広報を両立する採用戦略の動きにより、私たちは新たに4名の志高い仲間に入社していただきました。
エンジニアは社会を豊かにできる仕事だと、私は考えています。共に志を持ち、プロダクトを社会に実装していきましょう。物流の真価を開き、あらゆる産業を支えるアセンドでした。それでは、ありがとうございました。
(会場拍手)
司会者:丹羽さん、ありがとうございました。見事トップバッターを務めていただきました。今日は応援の方もたくさんいらっしゃってるということですが、どちらですかね? いらっしゃった?
丹羽:はい。目の前に来ていただいて、大変心強くやらせていただきました。
司会者:ありがとうございました。
司会者:それでは、これから質疑応答の時間でございます。質問のある審査員の方は手を挙げてお知らせください。挙がりました。小野さまですかね。お願いいたします。
小野和俊氏(以下、小野):まずはプレゼンありがとうございました。先ほど導入実績100社というご説明があったと思うんですが、プロダクトの性質的に、たぶん日本の運送会社に入れば入るほどネットワーク効果が広がると思うんです。
100社というのはどれぐらいなのかが、イマイチピンときていなくて。分母というか、何社中100社なのかを教えてもらっていいですか?
丹羽:ありがとうございます。まず、運送会社自体は全国に6万社あります。稼働しているところが4万社、あとは特に私たちの相手になってくる(車両台数)20台以上がだいたい1万社くらいです。なので、まだまだこれからになってきます。
小野:わかりました。20台以上だから、そうするとものすごく小さなところというよりかは、中堅どころで100社入っているという理解の仕方で合ってますか?
丹羽:そうですね。なので、特にネットワークを作る時に、元請けの協力会社関係の一番トップのところに入れていくことを肝として考えています。
小野:わかりました。ありがとうございます。
司会者:小野さま、よろしいでしょうか。他の審査員の方……。藤本さん、お願いいたします。
藤本真樹氏(以下、藤本):ご無沙汰しております(笑)。諸般あって事業内容とかはいろいろおうかがいしているので、ぜんぜん違うことをおうかがいしちゃいますが、最近お仕事は楽しいですか?
丹羽:ははは(笑)。そう言うと、今回ピッチ資料を作って、やっぱりすごく楽しいなとあらためて思いましたね。
藤本:どのへんが楽しいですか?
丹羽:正直に言うと、アセンドのメンバーと一緒にやれていることと、この社会を豊かにするということを、この気持ちをまっすぐにそのままやれていることが本当にありがたいと思ってます。
藤本:ありがとうございます。数ヶ月前にお会いした時と、けっこう顔つき変わっていて。今後ともよろしくお願いします。……違うな? まぁいいや。ありがとうございます。以上です。
丹羽:ありがとうございます。
司会者:藤本さん、ありがとうございました。
司会者:塚田さん、お願いいたします。
塚田朗弘氏(塚田):プレゼンありがとうございます。プロダクトエンジニアの組織づくりをしたというのがあったと思うんですが、流れとしては、海外でもそういう知見があって(組織づくりを行った)ということかなと思いました。
丹羽さん自身は未経験なところを実運用に持っていくというのは、けっこう大変なところがあったんじゃないのかなと思っていて。どうやって組織にちゃんとプロダクトエンジニアリングが回るように持っていったのか、工夫があったら知りたいなと思いました。
丹羽:ありがとうございます。そこは僕がとてもこだわりを持っていたところなので、質問をいただけてありがたいですね。
ある意味で言うと、僕はずっとプロダクト志向で、この8年間社会人として開発してきました。その中で、「どうやったらエンジニアって効果的に働けるんだろうか?」というところを最初から作っていました。
「こういうコンピテンシーが重要だよ」という海外の知見を見た時に、「確かに」って、すごくすんなり通るところが多かったんですね。なので、そこに対して微改善をするようなかたちで進められたので、意外と大きくは変更はないかなと思いました。
塚田:丹羽さんご自身がそうだとして、メンバーの方にどうやってそういう概念を落とし込んでいったのか。メンバーの方もけっこうすんなりなのか、丹羽さんが採用する時からそういう方を選んでいたのかとか、そういうところがあったら教えてください。
丹羽:ありがとうございます。それで言うと、入り口の議論はかなり重要だなと思っています。「この社会のために」とか「顧客プロダクト」を主語にできる人に入っていただく。また、入社していただいた後に相談を受ける時に、自分自身はずっと顧客やプロダクトを主語にし続けること。ここが、結局のところ一番重要なんだなと思っています。
塚田:ありがとうございます。
丹羽:ありがとうございます。
司会者:審査員のみなさん、よろしいでしょうか? (他に質問は)ないようですね。以上で質疑応答終了です。審査員のみなさま、ありがとうございました。
丹羽:ありがとうございます。
司会者:丹羽さんも、どうもありがとうございました。みなさん、拍手でお送りください。
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