2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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小枝創氏(以下、小枝):では続きまして、「生成AIの台頭でエンジニアの未来はどう変わるのか?」というところを毛利さんと対談形式で、みなさんの質問に答えていくかたちでやっていこうかなと思います。
事前にいただいた、よくある質問が気になられる方がけっこう多いと思うので、こちらから選択していただこうかなと思っています。
ということで、みなさん、ぜひチャットに気になる番号でよいので書いてみてください。
「AIがエンジニアの職を奪うと聞きますが、どうですか?」。もう来ていますね。おぉ、1と6が多いですか、これ?
毛利真崇氏(以下、毛利):ちょっと速すぎて追いつかないですけど(笑)。
小枝:1、6、3がけっこうちらちら見えている感じがしますね。1番からいきましょうか?
毛利:はい。
小枝:じゃあ、「AIがエンジニアの職を奪う」というところですね。私からこちらを説明いたします。
僕の見解からすると、AIがエンジニアの職を奪うという話は、まずエンジニアの定義とスコープですね、範囲と、あとは、どれぐらいかけて職を奪うのかという時間軸をしっかり定義しないと曖昧な話になってしまうかなと思っています。
ここ2、3年では、エンジニアの職は絶対に奪われない。働き方は変わるでしょうけど、エンジニアの職がなくなることは、まったくないと思っています。
5年後、10年後は、そもそも予測するのが難しいところがあるのですが、エンジニアがまったくいなくなることはなくて、ここも少しスコープは狭まってくるとは思いますが、AIを作るエンジニアだったり、AIを活用するエンジニアという視点では、残っていくと思っています。
職を奪われるエンジニアがどんなところかというと、おそらくですが、例えば、コードを書くのを完全に専門にしているコーダーと言われる方だったり、テスターですね、エンジニアの中にテスト専門のエンジニアの方がいる場合、このあたりはAIに置き換わりがちなのかなと思っています。
ほかに、職じゃなくてタスクごとになくなっていくものはけっこうあるかなと思っています。コーディングが従来に比べて「Copilot」で削減されているという話は社内でも聞くので、コーディングではなくてプロダクト開発の総合力が求められてくると思っています。以上です。
小枝:では、続きまして、6番いきますか。6番多かったと思います。毛利さんから。
毛利:活躍できる人。そうですね。一言で言うと目的志向の人なのかなと思っていて、さっきの1番の話にも関わるのですが、やはり生成AIみたいなのが出てくると、いわゆる作業みたいなものは限りなくゼロに近づいていくなと思っています。
特にエンジニアの領域で言うと、こういうものがあると社会的に価値を持ちそうだというところから考えられる、いわゆるクリエイティブと言われる領域まで行ける人がどんどん活躍できる場が出てくるんじゃないかなと思います。
ちょっと1番の話とも関わるのですが、僕がよく社内のエンジニアに、エンジニアという職業自体はなくならないけれども、生成AIを使いこなすエンジニアが、生成AIを使いこなせないエンジニアの職業を奪っていくみたいなことは起こるんじゃないかなとよく話しています。
やはり、何を作ったらいいとか、こういうものがあったら価値を持つよねというのを考えられる力は、これからどんどん重要になってくるんじゃないかなと思います。
小枝:ありがとうございます。残り10分ぐらいなので、あと2つぐらいは答えられるのかなと思います。
毛利:2と4ですかね。じゃあ、2番いきますか?
小枝:「生成AIが充実してきている昨今、技術基盤などの基礎理解は必要だと思いますか?」。結論から言うと、必要だと思います。
逆に言うと、基盤技術などの基礎を理解しない範囲というのは、AIを信じるという仕事の仕方をしている人で、それこそ発注している人が、「俺はAI信じるから、君は要らないよね」みたいな話にはなっちゃうところがあって。
逆に、AIの出力を保証してくれる人、担保してくれる人、間違いを直してくれる人、あとはですね、AIが出したものが結局、何をどう使って作られているのかとか、それの本質は何なのかというところをきちんと理解して言語化して顧客に説明したり、あらかじめそれに対するリスクなどをイメージして対策を打てる人が今後大事になってくる。
そういう素養が大事になってくるところで、逆にこれからはどんどん基盤の技術、基礎的なところが重要になってくると思っています。
例えば、ちょっと一昔前の例を挙げると、Scalaという言語を知っていますか? ちょっと前にエンジニアで流行って、今もぜんぜん使われている技術です。
こちらは、Javaをラップして作られているもので、Java言語で書かれたものは、結局Java Runtime Environmentという、実行環境に落とすんです。
このJREの基盤の技術を理解していないと、なかなか、Scalaのコードを最適化させるいいコードが書けなかったりします。トッププロは、このへんをきちんとしっかり理解しているので、それと一緒なのかなと思っています。
AIが作ったコードの、結局どこがどう良くて、どこがどう悪いのか。実行した時のリスクは何なのかというのは、判断できる理解力や知識がないといけないと思っています。長くなりましたが以上です。
小枝:じゃあ、次、4番。
毛利:じゃあ、こちらは僕から。技術トレンド。やはり本とかだと、どうしても考査とかがあって、出てくるまでにやはり半年、1年かかってしまうので、本で最新トレンドを追うのはけっこう難しいですね。トレンドを追うとなると、基本的にXとか「Discord」が多いかなと思います。
特にXで気になる技術を発信している人をがんがんフォローして、「あぁ、こういうふうになっているんだ」みたいなものを見る。
これはちょっとみなさんには難しいかもしれませんが、僕らは、社内にけっこうDS(データサイエンティスト)や研究者がたくさんいるので、詳しそうなやつに聞くのが一番早いやり方です。
特にLLM、例えば「Claude 3」みたいなものが世の中に出ましたとか、「GPT-5」、今、作られていると噂になっていますという時に、「じゃあ、GPT-5ってどういうアーキテクチャで来るのかな?」というのを、社内でLLMを作っているやつに聞くと、そいつはめちゃくちゃいろいろな論文を読んでいるので、「たぶん、こういう感じでやるんじゃないですか」と教えてくれる。
やはり詳しいやつに聞くのが一番早いかなと思いますので、基本的には、Xみたいなのを追いながら、なんとなくその分野に詳しい人に直接聞くのが、一番早いのかなと思います。
小枝:ありがとうございます。時間がまだありますね。5番。
毛利:じゃあ、こちらも僕から。無料生成AIツールだけでも、まず触ってみるだと非常に取っ掛かりがつきやすいのかなと思いますので、たぶんイメージとしてはあれですかね、ChatGPTの3.5とかそういう感じなのかなと思うんですけれども、まずは、いいんじゃないかなと思います。
無料か有料かというよりは、特に技術者の方だと、やはりオープンソースになっているようなLLMだったり、画像の拡散モデル系の、例えば「Stable Diffusion」だったり、そういったものをローカル環境でもいいので触れるようにして、いろいろといじってみる。
できればFine-tuningとかをしてみて挙動を見たり、遊びでもいいので、自分の好きな分野でやってみて、「あっ、これはできて、これはできないんだ」「おっ、めちゃくちゃ嘘多いな」とか。
そういったところの感覚があると、先ほどちょっと6番で回答した、「あっ、こういうことに使えるんじゃないか?」みたいなところにけっこうつながってくるかなと思うので、技術者の方は、オープンソースになっているモデルをローカル環境で少しいじってみると、学習としてはすごくいいんじゃないかなと思います。
小枝:はい、ありがとうございます。そうですね、僕もちょうど、リスキリングの「for Developers」のところで、生成AIのツールを使って開発するというのを社員のみなさんにやっていただいたんですけど。
その中で、「このAPI使ってもいいですか?」「このサービスを課金して使ってもいいですか?」みたいなことがあって、そこは基本的に、上限の予算を決めて、「この範囲だったら課金して自分のやりたいものを実現していいよ、試していいよ」と言っていました。「試した結果、使えませんでした」というのも理解の1つにはなるので。
そういうかたちで研修の体験の1つとして、生成AIツールは、有料のものでも会社のお金で試していいよということはやっていました。
小枝:まだいけますかね? 最後、残っている3番、やっちゃいますか?
毛利:はい。
小枝:3番やっちゃいますか。では、結局全部になっちゃいましたが(笑)、「エンジニアはこれからも価値の高い職種であり続けると思いますか?」。
これも時間軸の問題があって、さすがに10年後というと、僕らもなかなか保証はできないのですが、5年とかのスパンであれば、職に困ることは絶対ないと思っています。
ただ、先ほど1番で言ったように、範囲やタスクというところで、AIに置き換わっていくところはもちろんあるので、エンジニアとして価値の高い職種に就き続けたいという、モチベーションのある方は、ぜひ、AIを学んで、AIを味方につけて、AIを武器にして戦えるような人材になっていってもらえればと思います。
これから風向きが逆転して、AIはまったく要らないよねとなるのは、基本的にはあり得ないと思っていて、どんどんAI化が進んでいく未来を、我々サイバーエージェント全体としても確信して全社で動いているという流れもあるので。
ぜひ、みなさんには、AIエンジニアになってくださいというよりは、AIを使いこなせるエンジニアになってほしいなと思っています。
別に、数学が苦手なエンジニアも意外といて、別に統計学や機械学習をやらないといけないというわけではなくて、先ほど言った、APIを使いこなしたり、AIを使った開発実績をいっぱい体験してきてもらったりというかたちが良いのかなと思います。
小枝:ちょうど時間になりましたので、最後に、告知をして終わりとしたいと思います。
サイバーエージェントは通年で実践就業型のインターンシップの募集をしています。こちらは、トレーナーの指導の下、実際のプロダクトで業務をするかたちで実践力をつけていただきます。
期間は1ヶ月間で、就業希望月の3ヶ月前の月末までにエントリーをいただければと思っています。選考などあるので、前もってエントリーをお願いいたします。
応募条件として、希望職種の開発経験は必要になってくるので、未経験の方だとかなり難しくなってきます。逆に言うと、それぐらい専門的な、実務を通してしっかりレベルアップできるインターンシップとなっています。
もう1つですね、2025年度新卒採用の本選考も始まっています。選考サイトでは、サイバーエージェントの若手の活躍事例など、社員のさまざまなキャリアパスのご紹介コンテンツもありますので、ぜひ見ていただいて、エントリーしてもらえればと思います。
「開発経験にハッカソンやサークルは含まれますか?」。はい、含みます。ソースコードや「こういうことをやってきました」みたいな資料を作ってきていただけると、大変参考にできると思います。
ということで、お時間になりましたので、こちらで終了させていただきます。みなさん、長い時間来ていただき、ありがとうございました。毛利さんもありがとうございました。
毛利:みなさん、ありがとうございます。
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