2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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毛利真崇氏(以下、毛利):みなさん、こんにちは。サイバーエージェントの毛利です。この時間では、「サイバーエージェントが語る『生成AIでエンジニアの未来はどうなるのか』」というセッションをお話しいたします。
今日お話しするアジェンダはこちらになっております。順を追ってお話を進めていきたいと思います。
最初に私から、サイバーエージェントについて少しお話をさせていただければと思います。
私はサイバーエージェントのAI事業本部という、エンジニアが中心となっているAIクリエイティブという組織の責任者をしています。
7年前に立ち上げた組織で、AIを活用して、主に広告の効果を事前に予測したり、AIを使った自動生成の研究開発をしています。
みなさん、サイバーエージェントにどんなイメージをお持ちでしょうか?
「21世紀を代表する会社を創る」というビジョンを掲げており、あえて、21世紀を代表する会社とはこういうものだとは明言せずに、社員一人ひとりが、「21世紀を代表する会社とはこういう会社なんじゃないか?」と思いをめぐらせながら、「もっとこういうことがあったほうがいい」とか「もっとこういう事業があったほうがいいんじゃないか?」と日夜、みんなで話し合いながら、このビジョンに向かって進んでいるような会社です。
サイバーエージェントは、1998年に創業したので……25年ぐらいの会社になりますが、創業以来、増収増益を継続的に達成しています。
いくつかにまたがって事業が構成されていて、このメディア事業は、もしかしたらみなさんの中にもご覧になった方がいると思います。「ABEMA」という、動画配信サービスを中心に、さまざまな消費者向けのサービスを展開しています。
私はAI事業本部に所属しているのですが、インターネット広告を中心とした広告の事業になっていて、インターネット広告の中ではトップのシェアを持っています。
ここでけっこうAIの研究とかもしていて、(スライドの)右下にちょっと書いてありますが、外部のベンチャーキャピタルさんとかにAIの研究をリードする企業として発表をいただいていて、国内でNTTさん、NECさん、富士通さんに続いて4位という評価をいただいています。
ゲームの事業では、スマートフォンのゲームを中心に開発をしており、『ウマ娘 プリティーダービー』だったり、2023年リリースした『FINAL FANTASY VII EVER CRISIS(ファイナルファンタジーVII エバークライシス)』なども僕らが開発をしています。
創業以来、「アメーバブログ」というものを立ち上げたり、先ほどの「ABEMA」だったり、世の中の技術変革に合わせて、僕らも事業を多様化しながら、先ほどの増収増益をしている会社です。
子会社も非常にたくさんあって、今ではもう100社を超える子会社が本当にいろいろな事業を展開しています。
AIというところで言いますと、本当にいろいろな事業がいろいろなところでAIを活用していて、データサイエンティストやマシンラーニング(ML)エンジニアが各部署に所属をして、日々AIの技術を活用しています。
AIを中心とした技術力を中心に、世の中はどんどん移り変わっていきますので、その変化に対応しながら、21世紀を代表する会社に向けて、継続的にきちんと会社が成長していけるように対応している最中となっています。
今日は、AIがどのようにビジネスの現場で使われているかを、ほんの少しだけにはなりますが、みなさんに少し説明したいと思います。
今日ご紹介させていただくのは、インターネット広告の中で使われている、AIを使ったプロダクトです。「極予測シリーズ」というものを開発しています。
最近はいいイメージを持っている方も少ないかもしれませんが、みなさんもふだん広告をご覧になっていますよね。
「Instagram」や「YouTube」を見ていると出てくる広告にどれだけ効果があるのかを配信する前に予測するAIのエンジンと、それを自動生成するエンジンを組み合わせたものがこの極予測シリーズです。
(スライド)一番左の「極予測AI」が、バナー領域と言われる、動画や静止画の予測および自動生成。真ん中の「極予測TD」が、検索連動型ですね。Googleとかで検索した時に出てくるテキストの広告の予測および自動生成です。
右の「極予測LP」は、広告をクリックすると最初に出てくるランディングページという、僕らみたいな広告会社が広告主の代理として制作することが多いものですが、これの予測および自動生成の機能がついているものです。
この極予測シリーズというものを4年前に世の中にリリースしました。toBのものなので、おそらくみなさんにはなじみがないかなとは思いますが、広告を出したいさまざまな企業さまに向けて提供しています。
今では、サイバーエージェントと取引のある約8割以上、もうほとんどの企業さまに、予測をしながら作るという広告の作り方でご提供していて、制作費というかたちでお客さまからお金をいただいています。
(スライドを示して)少し右側のグラフを見ていただきたいのですが、4年前、この極をリリースする前は、サイバーエージェントの社内にいる、広告のクリエイター1人が、お客さまとミーティングしたり撮影をしにいったり、いろいろな作業があったので制作できる量に限りがありました。
そこから、AIで予測しながら、かつ、自動生成の補助を受けながら作ることによって、今では1人のクリエイターの制作量が、だいたい約4.5倍ですね……というふうに上がってきました。
自動生成のサポートの機能がいくつかあるんですけれども、すべてのクリエイティブを自動生成しているというよりは、クリエイティブに使う素材、エンジニア的にはアセットと言うんですが、みなさんの目に触れる広告すべてを自動生成するというよりは、アセットを作るクリエイターに自動生成の素材をパスするような仕組みになっています。
こちらが、「商品画像自動生成」と言われるものです。広告なので、お客さんの商品ですね。飲料とかコスメとか、いろいろな商品があって、基本的にはそれを撮影して広告にしていくというのをずっとやっていたのですが、2023年の12月にリリースした機能で、「商品画像自動生成」という、商品の背景を自動生成していく、アウトペイントと言われるもの。
これは2023年から、AmazonやMetaなどいろいろなところがやっているんですが、僕らが作ったのは、それに加えて、商品画像ごと作るというもので、こちらは、だいたい100枚ぐらいペットボトル容器の写真をAIに学習させることによって、その容器ごと自動生成するというものになっています。
例えばこういうペットボトルみたいな透明なボトルだと、屋外で撮った時の昼と夜の光の当たり加減がけっこう違う時に背景だけ自動生成すると、そこまでは考慮できないんですが、容器ごと作ってしまえば、朝の光や夕方の夕日を再現できたり、手に持つとか、そういったところまでできてしまいます。
別にロケに行かずとも、そこに行ったかのように商品の撮影した素材が手に入るというものを、2023年の年末にリリースをして、今から活用していくというフェーズに入っています。
あとは、これはみなさんもできるだろうとご想像できるとは思いますが、広告のキャッチコピーの自動生成ですね。こちらは、「ChatGPT」や、独自に開発したLLMを活用して、広告のキャッチコピーを自動生成しています。
この独自のLLMは、2023年5月にリリースしました。「CyberAgent LM」と言われる、CyberAgent Language Modelになっており、サイバーエージェント独自のLLMになっています。
2023年にリリースはしたのですが、実は、3年前から研究開発をしていたものになっていまして、約1年半学習したものを、2023年5月にリリースしました。2023年5月時点では、オープンソースの中で最大規模のパラメーター数だったというところで、注目をいただきました。
社内では、もちろん広告のキャッチコピーの自動生成などに利用がされていて、2023年11月にはですね、CyberAgent LMのバージョン2という少し新しめのモデルもオープンソースでリリースをしました。「X」とかを見ていると、小説を書いたり、ロールプレイング、自分のキャラクターに対話をさせたりというように、ご利用いただいている方がけっこう多いのかなという印象を受けています。
あとは、このLLMを使う上では、NVIDIAの「H100」という最新のチップにも10億円規模の投資をしており、今もこちらで最新鋭の大規模モデルが学習され続けています。
2023年2、3月の時点では、このLLM、H100は僕らか筑波大学ぐらいしか持っていなかったんじゃないかなと思います。今では、もう少し持たれている会社さんも増えている印象です。
先ほど、広告の素材を自動生成しているというお話をしましたが、やはり広告と切っても切り離せないのは、芸能人やタレントの方ですよね。けっこうよく使われているのをみなさんもご存じだと思いますが、タレントの方は、非常にインターネット広告と相性が悪いんです。なぜなら、1回撮ってしまったら撮り直しができないから。
インターネット広告だと、広告を配信した後にどれだけクリックされたかとか、そこからどれだけ物が売れたかとかがわかるのですが、ちょっと効果悪いな、もう少し作り直したいなと思っても、芸能人の方の素材は作り直しができません。それを、アバターのようなかたちで再現ができたとしたら何回でも作り直せるんじゃないかと、チャレンジをしています。
少しサンプルのムービーがあるので、ご覧いただければと思います。
今、みなさんにご覧いただいた、こちらは、ハリウッドの映画撮影とかに使われる技術を応用していまして、写真のように、150台ぐらいのカメラでババババ、ババババッと撮影して、一気に3Dモデルを作るという技術です。
その技術を応用して作ったYouTubeのCMがありますので、こちらも一度ご覧いただければと思います。
話者1(※YouTube動画の音声):デジタルツインの冨永愛です。この家で私の新しい暮らしが始まります。ここから、私を作ろう。ザ・パークハウス。三菱地所レジデンス。
毛利:これは2年前のCMなので、今CGのクオリティを見ると今一歩かなと思いますが、冨永愛さんの声はすべて自動生成になっています。
冨永さんは一切話しておらず、本当にテキストを打ち込むだけで、今のような音声データが手に入ります。もちろんご本人と確認をしながら進めているプロジェクトになっています。
最後は、芸能人の方も含めた撮影のDXについてお話しします。2023年にお台場に新しく、この巨大な「LED STUDIO」とロボットアームですね。カメラマンではなくてロボットでギュンギュン、ギュンギュン撮るような、こういった最新鋭のバーチャル撮影スタジオもオープンしました。こちらも動画がありますので、ご覧いただければと思います。
話者2(※YouTube動画の音声):極予測AIとLEDウォールを組み合わせた、まったく新しいスタジオ。3種類のLEDウォール。AI予測を連動させた撮影と編集。4Dスキャンによるデジタルヒューマンの生成。サイバーエージェントが誇る技術のすべてがお台場に。
毛利:実は、今ハリウッドや韓国で、「Netflix」のドラマとかバンバン撮っているスタジオでは、けっこうこういったLEDで撮影するのが、今どんどん主流になってきています。
制作コストを下げながら、かつ、クオリティを上げて撮るというのが、けっこう今世の中的に広まってきていて、それを広告に応用したものになっています。
いろいろなシーンで撮影ができたりするので、動画にあったような予測と組み合わせて、撮影しているそばから効果予測スコアを出して、効果が高い、低いというのが出てくるというものになっています。本当にいろいろな場所で、AIを使いながら、いわゆる広告をAI化していくといったところにチャレンジしています。
少しではありましたが、簡単にご紹介をさせていただきました。ここから、また別の人間にバトンタッチしていきたいと思います。小枝さん、お渡ししますね。
(次回へつづく)
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