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Re21. 1on1って難しくないですか?(全2記事)

「1on1って難しくないですか?」 広木大地×湯前慶大×佐藤将高が、部下との関係性構築で意識していること

Engineering ManagerによるEngineering ManagerのためのPodcast「EM . FM」。広木大地氏 、湯前慶大氏、佐藤将高氏が、「1on1って難しくないですか?」というテーマで語りました。

今回のテーマは「1on1って難しくないですか?」

湯前慶大氏(以下、湯前):「EM.FM」は、「エンジニアリングマネジメントをもっと楽しく、もっとわかりやすく」をコンセプトにお届けするポッドキャストです。「ゆのん」です。お相手は……。

広木大地氏(以下、広木):広木です。よろしくお願いします。

佐藤将高氏(以下、佐藤):佐藤です。よろしくお願いいたします。

湯前:EM.FMでは、毎回ちょっとためになる情報を紹介していきたいということで、1つのテーマを掘り下げて学んでいこうと思っています。今回は、佐藤さんがプレゼンターです。今回のテーマは……佐藤さん、何ですか?

佐藤:「1on1って難しくないですか?」というテーマを持ってきました。

湯前:おぉ、1on1。

佐藤:僕が抱える課題とか、過去にやはり苦労したなというところをお二人とお話ししてみたいなと思っているんですけども。

聞いていただいている方の中で、「1onを1していますよ」という方って、たぶんけっこうな割合でいるんじゃないかなというぐらい、当たり前に普及してきていると思っていて、このあたりをちょっと掘り下げながら、今日お話できたらなと思っています。

僕自身も、毎週何件も1on1ってやっているんですが、「ベストだな」「最高の1on1できたな」と思える日ってそんなに多くはなくて、日々、「うまく伝わっているんだろうか、どうだろうか?」とか、「うまく僕は汲み取れたんだろうか?」みたいにめちゃくちゃ難しさを感じているんです。

歴史から1on1をひもといてみる

佐藤:ゆのんさんはどうですか? 最近1on1はやっていますか? どんなことを話しているんですか?

湯前:そうですね、1on1はけっこうやってはいるんですが、人によっても変わるんですよね。業務連絡的なことを話す場合もあれば、「僕、こういうふうに考えているんですけど、どう思います?」みたいなことを聞いたり、逆に、「なんか困っていることありますか?」みたいなことを聞いたり。

ほかの人と一緒になって話しても別にいい話題は、1on1である必要がないと思っていて、1対1じゃないと聞けないようなこととか、深く話せないようなことだけを話すようにしようと、一応意識していますね。

佐藤:なるほど。確かに、「これ、みんなの前だとちょっと聞きにくいよね」とか、「話しにくいよね」というところを話す感じなんですね。

湯前:はい、そうですね。

佐藤:めちゃくちゃ大事ですよね。そのあたりとかを含めて最初に、「1on1って、そもそも何するんだっけ?」みたいなことも、歴史からひもといてみようと考えたりしていて。

最近、「Bing」の「Chat」のほうもオープンしたので、「1on1って何ですか?」と聞いたらいろいろ出てきました。

そもそもの歴史として、Bingいわく、「アメリカ、シリコンバレーが発祥」みたいなところで、シリコンバレーだとすごく優秀な人材がめちゃくちゃ集まるから、人材の争奪戦が激しくて、人材を他社に流出させないというところで、きちんと育成していこうねというのがもともとあって、そこから始められたというのがあるんですよね。

もう1つ、広まったきっかけについて。1983年の時点で、Intelの元CTOのアンドルー・グローヴの著書、『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』で、マネジメント手法として紹介されていて、そこがきっかけなんじゃないか、と言われているみたいなんですよね。

「日本でも広まったきっかけは、ヤフーさんだよね」という話が知られているかなと思いますが、あれはいつ頃なんだろうかと調べてみたら、2012年……なので10年ちょっと前くらいに導入したというのがあって、一説によると6、7割ぐらいの会社が1on1を導入していると、今言われているみたいですね。

「1on1は、何するものなんですか?」と聞いてみたんですけど、BingのChatいわく、「上司と部下が1対1で対話することがメイン」で、ビジネスにおける1on1ミーティングは、「上司と部下が」という文脈がけっこうつくところが多いですね。

「上司は、部下が抱えている悩みや将来的なビジョンを理解し、問題解決や気づきによる部下の成長をサポートすることですよ」だそうなので、聞いていただいている方も、お二方も、まぁ、そうだよねという感覚はあるかなとは思うんですけども。

やはり、1on1していく上でプラスで気になるところは、先ほど、ゆのんさんに聞いたところにもなってくるんですが、「1on1ってどういうところを大事にしていますか?」というところがちょっと気になって、広木さんに振ってみたいなと思うんですけど、いかがですか?

Howの部分が堅くなりすぎている

広木:いや、1on1って1対1で話すだけだからそんなに難しいかなというところがまずあって(笑)。

ただ、佐藤さんの言っていることもすごくわかって、難しいものを求めているような感じがするなというのは、すごく思うし、難しいものなんだという固定観念を持って、初めて1on1に臨もうとすると、すごくガチガチになってしまって。

「キャリアをどう考えているの?」みたいな話になったり、すごく不自然なコミュニケーションになっちゃう部分があるなと思っていて、そういう意味で、関係を築くところから始めたほうがいいんだけど、「これが1on1のやり方だ」みたいなところのHowの部分が堅くなりすぎているんでしょうね。

あと、「傾聴する」も、先走っていきすぎると、ずっと「聴く」わけだから、うんうんって言っていればいい感じになるじゃん?

佐藤:(笑)。

広木:ちょっと難しく捉えちゃう部分があるなと思っていて、基本的に1on1って、(メンターも)しゃべっていいんですよ。自分のことを知ってもらうことを先にやったほうがいいとか、そういうのが基本的にはあると思うので、あまり緊張せずに取り組んでいけばいいのになとは思っていますね。

まずはお互いの信頼を深めていくことが大事

佐藤:そうですよね。僕自身もやはり最初は、「1on1をしっかりやって、メンバーを育成しなきゃ」とか、「話してもらわなきゃ」とか(笑)、ずっと考えていて、そこで、「1on1、どうしたらいいんだろう?」とか「今、これってできているのかな?」とか、自分がチェックリストを達成できているか、みたいなところにフォーカスしちゃったんですよね。

やはり本質は、部下の成長のサポートだったり、先ほどゆのんさんからあったような、話しにくいところを話せるようになっていくみたいなところかなとは思っていて、そこで難しく考えすぎていたなっていうところもあって、今回はこのテーマだったりするんですけど。

特に今までを振り返ってみて、「何が、難しくさせていたのか?」というと、コンピューターサイエンスを学んでいく上で、1on1の話を習うわけじゃないし、みなさんもたぶん、社会人になってからとか、早くてもインターンとかのタイミングで、「1on1というのがあって」というので、「なるほど1対1でやるんだ」ぐらいの感覚から入っていく人が多いんじゃないかなとは思います。

その中でもけっこう難しさを感じたハードルが大きく3つあって、「準備の段階でどうしたらいいんだろう?」とか、「何をどう話さなきゃいけないんだろう?」とか。話し方という2つ目においては、先ほどあったような、「どう傾聴するんだろう?」みたいな部分(笑)。

「『最近どうですか?』みたいに聞いちゃいけないのかな? なオープンクエスチョンじゃなくて、クローズドなクエスチョンにしなきゃいけないのかな?」とか、「どうやってほめていく?」という部分がわからなかったりして。

そういったところもあるし、関係性みたいなところもあるのかなと思っていて、退職しちゃう人によくよく後で話を聞いてみると、「ぜんぜんそんなこと話してもらえなかったな」みたいな、悩みを話してもらえないままほかの会社に行って、後から聞いて、「えっ、それ言ってもらえればすぐに解決したのに」みたいなものとかもあるのかなと思っていて。

いろいろ難しい要素が出てきたりもするのかなとは思うんですけど、だいたいこの、準備がうまくできていないとか、話し方とか、関係性の話とかに難しさがあるのかなと思っていました。

ざっと考えただけでも、難しくしてしまっている要素がいっぱいあるんですが、今回、僕の提案としては、そういったテクニックみたいな部分は置いておきながら、もうちょっと信頼を深めていくということをやったほうがいいのかなと思っていて。

特に、信頼が足りていない状態の組織とか、新しい組織に入りますというタイミングとか、もしくは組織が変わるタイミングにおいては、もう100パーセント雑談に振って、お互いのプロファイリングというか、お互いに、「そういう人なんだね」というのを知るという、雑談の1on1にしてみるのはどうかなというのが、今回持ってきた提案です。

簡単に言うと、「関係性構築だけに振りましょうかね」みたいな話ではあるんですが、仲のいい友だちや家族をちょっと思い返してみると、お互いに「うっせーよ」とか、ちょっとした冗談をストレートに言ったとしても、「あれは故意で言っていないな」みたいに、許せる関係になると思うんですけど。

心理的安全性というか、お互いに言っても大丈夫という状況が作れているからこそなんでも言い合える状態なのかなとは思うんですけども、同じように、組織、お仕事においてもできるんじゃないかなと思っていて。

信頼性がない状況だったら仕事の話をせずに雑談メインにしてみる上で、信頼性が構築できたら徐々に仕事の話を増やしていったり、目標設定とかの話題にシフトしていくといいのかなと思っています。

例えば、ファインディの組織でもやっているんですが、自己紹介とか自分の取説(※取扱説明書)みたいなものを作るところから、実はトライをしてみたんですよね。

「取説って何だ?」みたいなところで言うと、自分の弱み、「こういうところが弱くって」というところをわざと出したり、あとは、こういうのが趣味で、こういうのに土日行っていますみたいな話をしたりする自己開示の話だとか。

もしくは、自慢しないみたいなところ。相手を圧倒させたいわけじゃなくて、「あぁ、そういうことをやっていた人なんだ」ぐらいでいいかなと思うんですけどこういうふうに扱ってくださいねというところがわかると、「あぁ、なんだ、めちゃくちゃすごい人って思いきや、彼も彼女も1人の人間なんだな」というところがわかるんじゃないかなと思っていて。

それを自分もやるし、相手の人にもちょっとした取説を5分くらいで作ってもらって、それをお互いに共通ポイントを発見しにいくみたいなことをやってもいいのかなと思っています。

うちは、新しく入った人は、1ヶ月目、2ヶ月目の中で1on1で雑談をする日がすごく多いんですけど。

上下の関係よりは、「役割を持っている人だよね」というところの会話に変えていきたいなと思っていて、そういう意味で、「相手から言いにくい」を減らすし、関係性を作れていないと、自分からも「あっ、この一言、言っちゃっていいのかな?」みたいなところがあると思うので、そういった意味で、自分をさらけ出して相手を知るみたいなところにフォーカスするのがいいかなと思っています。

「esa」に自分の自己紹介を書いてコミュニケーションを取っている

佐藤:そういった意味で関係性構築のためにやっていることがあれば聞きたいなと思うんですけど、ゆのんさん、いかがですか? どんなことを関係性構築のためにやっていますか?

湯前:今の会社だと、新しく入社した人は全員、「esa」に自分の自己紹介を書くというのが最初のオペレーションの中に入っていて、それをもとに自己紹介をお互いするというのが、けっこういいやり方だなと思っていますね。

僕も会社入って、いろいろな人とコミュニケーションを取っていく中で、自己紹介のesaがあったので、「こういう人です」とて言いやすいし、自分の家族のことや趣味のこともそこで織り交ぜながら話せるので、すごくそれはやりやすいなと思いました。

佐藤:なるほど、ありがとうございます。スライドみたいなものを作っているんですね。

湯前:はい、そうですね。

少しでも「もや」を取ってあげることを意識している

佐藤:広木さんは、なにかありますか? 関係性構築、新しい組織に関わる場合。

広木:僕は、いろいろな人と1on1する機会がある時、唐突に、初めましての人となんとかしなきゃいけないことがけっこうあるから(笑)、雑談も含めたアイスブレイクを大事にはしています。

やはり1on1となると1対1の関係で、当然自分の弱さも自己開示していくことが意外と必要。きちんとそこから始めないといけないと思うんですよね。

ステップの話だと思っていて、雑談ぜんぜんしてもいいんですよ。僕の場合、お手伝いする会社から時間をもらってやっているから、「本当に雑談だけしていていいのか?」と言われると、ちょっと悩ましいところがあって。

なにかを持って帰ってもらいたいなと思うんだけど、ちょっと塞ぎ込んできた人が元気になって楽しそうにして帰っていったら、「この1on1、うまくいったな」なんですよ。

比較的そういう悩んでいる人とか困っている人とかが、話すことで、「すっきりした」ってなって、気持ち良くなって帰ってもらうというのをけっこう心掛けていて、それを1時間以内にどうやるか、会ってから1、2週間でどうやるか、そういう、時間をどうやったら効率化できるかなというのはけっこう考えています。

なので、まずは信頼関係の構築、そのためにお互いを知ることは大事で、その人の頭に引っ掛かっているものを取ってあげる感じなんですよね。少しでも「もや」を取ってあげる、みたいな。

そういう関わり方をするようにはけっこう心掛けているので、「気持ち良かったです」と帰ってもらえる1on1が、比較的最高で、勝率7割、8割ぐらいは、「気持ち良かったです」と言って帰ってもらうみたいな、そういう感じで暮らしていますね(笑)。

(一同笑)

佐藤:なるほど(笑)。

(次回へつづく)

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